映画『キラーソファ』の概要:男を魅了するダンサーのフランチェスカは、失踪した知人が使っていた一人掛けのソファを譲り受けた。命が宿っているソファは魅力的な彼女に恋をし、フランチェスカに近付く不貞な男を殺し始めた。
映画『キラーソファ』の作品情報
上映時間:81分
ジャンル:ホラー、コメディ
監督:バーニー・ラオ
キャスト:ピイミオ・メイ、ナタリー・モリス、ジェド・ブロフィー、ジム・バルタクセ etc
映画『キラーソファ』の登場人物(キャスト)
- フランチェスカ(ピイミオ・メイ)
- ダンサー。男性を虜にする不思議な魅力があり、これまで親しくなった男性のほとんどから異常なほど執着されてきた。その度に警察へ相談し接近禁止令を出してもらい、引越しを繰り返している。自分を性的な目で見ないゲイのTJと共に暮らしている。友人のフレデリコの足が発見されたことで、犯人に心当たりはないか聞かれる。
- マキシ(ナタリー・モリス)
- フランチェスカのマネージャー。親友。男に付きまとわれる彼女を心配し、送迎を買って出ている。いとこのラルフ・キルケリーがフランチェスカへ執心しており、彼女の生活を脅かすかもしれないと警戒している。
- グレイビー捜査官(ジェド・ブロフィー)
- 公園でフレデリコの足が見つかった事件を受け、彼の部屋からフランチェスカの写真が無数に見つかり話を聞きにいく。捜査を進める内にフランチェスカへ惹かれていく。
- ジャック(ジム・バルタクセ)
- マキシの祖父。ラビ。スピリチュアルに精通している恋人・アシャンティと暮らす。アンティーク家具の店を経営している。
映画『キラーソファ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『キラーソファ』のあらすじ【起】
男は、想いを寄せるフランチェスカの写真を前にして、生きたまま電動のこぎりで足を切り落とされた。
集配の依頼を受け、指定されたガレージを訪れた配送業者の職員達は、薄暗い室内の禍々しい装飾と異臭に顔をしかめた。彼らは、“配達先フランチェスカ”とのメモが張られたソファを見つけ運び出した。
ショーのリハーサルを行うフランチェスカの元へ、グレイビー捜査官とその相棒のグレープ捜査官が訪れた。フランチェスカはマキシと共に、フレデリコの両足が発見されたと聞かされ情報を求められたが、彼女は2年前にストーカー紛いの彼へ接近禁止令出していた。フレデリコと会っていないことを告げたフランチェスカは、マキシが「家具が届く時間だから帰ろう」と言うのでスタジオを後にした。
ソファを届けた配達員だったが、指定された住所はマキシの祖父ジャックの店だった。誤配送されたソファを見たジャックは瞬時に心を奪われ、肘掛けに触れるとソファの記憶に引き込まれた。ジャックは森の中を走る女の後ろ姿を見たが、配達員に声をかけられ現実に引き戻された。
マキシによって自宅へ送られたフランチェスカは、同居人のTJに届いたソファを運ばせた。
ジャックは恋人のアシャンティに昼間見たソファが“ディブク”だったと告げ、オカルトサイトの動画で“ディブク”について勉強した。
フレデリクの無残な死を知らされ不安になったフランチェスカは、夜にマキシを呼んで気を紛らわせた。少しの元気を取り戻したフランチェスカはマキシを帰したが、外に出たマキシは、リビングにあったソファがこちらを向いているのを見て違和感を抱いた。
一人になったフランチェスカは、部屋の中の気配に怯えて眠った。ソファの背後には見知らぬ女の影があった。
映画『キラーソファ』のあらすじ【承】
自宅にいたTJは、背後に迫るソファに両方のふくらはぎを突き刺されフランチェスカへ助けを求めた。フランチェスカと共に血だらけのTJを発見したグレイビーは、呪われたソファのせいで怪我をしたと言う彼を保護した。
実家に身を寄せたTJは、バスルームの窓から外で蠢く影を見つけた。窓を開け振り向くと、そこにはかぎ爪を使って部屋へ侵入したソファがいた。ソファはTJの頭を潰して殺害した。
アシャンティのまじないによって、ソファに触れた時に見た幻覚を呼び覚ましたジャックは、森の中を走っていた女は誰かに毒を盛ったことで追われていたと知った。女は逃げる途中で農民の娘と出会い、娘が持っていたナイフで自分の首を掻き切って死んだ。ジャックは、ソファを探し悪霊を退治しようと決めた。
グレイビーから署に来るよう言われ家を出たフランチェスカは、突然現れたラルフからプロポーズの返事を迫られた。彼氏がいると嘘をついてラルフをかわしたフランチェスカだったが、ラルフは彼女が去ったのを確認して部屋へ上がり込んだ。
グレープは、フレデリコの部屋にあった手袋から見つかった指紋がウォーレン・リーの物だとグレイビーへ報告し、ウォーレンと、フランチェスカに執着しているラルフが共謀している可能性を示唆した。
ラルフは、フランチェスカの部屋に監視カメラを仕掛けた。ソファはその様子を目で追い、ベッドルームでオナニーを始めた彼をアイロンで撲殺した。
ジャックとアシャンティは、配送業者へ連絡してソファの在処を探り、フランチェスカの元にあると知った。ジャックはフランチェスカをモーテルに匿って帰って来たマキシへ、ソファのせいで彼女に危険が迫っていると伝えた。マキシはソファを処分するため一人でフランチェスカの自宅を訪れた。
部屋にはラルフが倒れており、彼がソファによってベランダの柵から投げ落とされる様子を見てしまったマキシは、バスルームの窓から家の裏のゴミ箱に向かって飛び降りた。
映画『キラーソファ』のあらすじ【転】
モーテルにいるフランチェスカの元を訪れたグレイビーとグレープは、「ヴァレリー」と呼ぶ何者かの声が聞こえると怯える彼女を連れ、マキシを探して自宅へ戻った。マキシを探すグレイビーは家の裏でラルフの遺体を発見し、恐怖の限界を迎えたフランチェスカは外へ飛び出したが、窓辺からこちらを見る男の亡霊を見てさらに悲鳴を上げた。
ジャックから連絡を受けたフランチェスカは、「ヴァレリー」と呼ぶ声が聞こえると彼に打ち明けた。ジャックは「ヴァレリーとジェラールだ!」と納得し、オカルトサイトの1ページを彼女へ見せた。
ヴァレリーとジェラールは、魔術師の夫婦だった。彼らはキョウチクトウの花びらの毒を使い人々の魂を喰らっていた。やがて夫婦の悪事は人々に露見し、ジェラールは殺され、ヴァレリーはマリーという農民の前で自殺した。
マリーは、フランチェスカの曾祖母であった。彼女はヴァレリーに憑りつかれて幻覚に苦しみ、村の男達は怪しい魅力を持つマリーを手に入れるため争ったという。ジャックは「ヴァレリーは君の中にいる。ディブクは家系内で世代を超えて受け継がれるんだ」と言い、ジェラールがソファに魂を宿して現れたことで、ヴァレリーも目を覚ましたと結論付けた。フランチェスカは、オカルトとブードゥー教に熱中していたフレデリコの仕業ではないかと言ったが、ジャックは、ディブクは人間の体がないと宿らないと答えた。
一方のグレイビーは、フランチェスカの写真を観ながら筋トレしている最中、グレープから「ウォーレン・リーが取調室にいる」と連絡を受け署へ向かった。
ジャックは、祈祷によってフランチェスカの中のヴァレリーを呼び出し退治しようとしたが、彼女からの攻撃を受けてしまった。苦しむジャックを見たフランチェスカは、自力でジェラールを退治しようと自宅へ向かった。
映画『キラーソファ』の結末・ラスト(ネタバレ)
フレデリコの件が怖くなり国外逃亡しようとしていたウォーレンは、彼の家にはいたが殺していないと訴えた。ウォーレンは、フレデリコに命じられるがままソファに収まりたがる彼の足を切ったのだと言う。
グレープは、管理人に案内されラルフの部屋を調べていた。パソコンには彼が仕掛けた監視カメラによってフランチェスカの部屋が映し出されており、録画を確認すると、ソファが一人でに動いている様子が確認できた。グレープは慌ててフランチェスカの家へ向かった。
ソファと向き合ったフランチェスカは、遂に堂々と動き出したソファへガソリンをかけ火をつけようとした。しかし、うまく着火できず、彼女は立ち上がったソファに追い詰められた。そこへグレイビーとグレープが駆け付け、グレイビーはソファに発砲した。ソファのカバーが外れると、中から顔面がただれて削げ落ちたフレデリコが姿を現した。怯えたフランチェスカはバスルームへ逃げ込んだが、戸棚の陰にはヴァレリーの亡霊がおり、彼女は体を乗っ取られてしまった。
意識を取り戻しゴミ箱の中から出てきたマキシは、再会を喜ぶフランチェスカに抱き締められた。
清掃が済んだフランチェスカの部屋で出されたお茶を飲むグレイビーだったが、カップの中にはキョウチクトウの花びらが入っており、彼は毒が回って倒れてしまった。フランチェスカはソファからジェラールの魂をグレイビーへ移し、再会を喜んだ二人は町へ出掛けた。
フランチェスカの部屋を訪れたマキシは、僅かに動くソファの瞳の中で、本当のフランチェスカが暗闇へ落ちて行くのを見た。
映画『キラーソファ』の感想・評価・レビュー
『テッド』以来の、綿系映画のパイオニア的作品。非常に楽しみにしていたため設定の細かさについていけない部分はあったが、余計なことを考えずに観られる良いホラー映画だった。
後出しじゃんけん的に、終盤に次々とディブクの設定が語られるのにはついていけなかった。こんなくだらない(誉め言葉)映画は、もっとシンプルで良い。矛盾があったって誰も気にしない。むしろ、B級映画のツメが甘い部分を楽しみにしていただけに、これ以上裏を取らなくていいのにと萎えてしまった。
『ムカデ人間』『武器人間』「セイウチ人間(『Mr.タスク』)」などの人体改造ブームを経て、無機物が人を襲う時代の到来にわくわくが止まらない。(MIHOシネマ編集部)
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