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映画『ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像』の概要:ヘルシンキで美術商を営むオラヴィ。廃業を考えていた矢先に、署名のない一枚の肖像画に目を奪われる。彼は職場体験でやって来た孫と一緒に、肖像画の作者を突き止めることにした。

映画『ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像』の作品情報

ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像

製作年:2018年
上映時間:95分
ジャンル:ヒューマンドラマ、ミステリー
監督:クラウス・ハロ
キャスト:ヘイッキ・ノウシアイネン、ピルヨ・ロンカ、アモス・ブロテルス、ステファン・サウク etc

映画『ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像』の登場人物(キャスト)

オラヴィ・ラウニオ(ヘイッキ・ノウシアイネン)
ヘルシンキで小さな美術商を営む老人。家族よりも仕事優先で生きてきた。最近すっかり売り上げも減り、廃業を考えている。辞める前にひとつ、いい仕事をしたいと思っていた矢先、オークションの下見で作者不明の肖像に魅せられる。
レア(ピルヨ・ロンカ)
オラヴィの娘。オットーを女手ひとりで育てているシングルマザー。母の死後、父とは疎遠になっていた。オットーの職場体験をきっかけに父との交流を再開する。
オットー(アモス・ブロテルス)
オラヴィの孫。15歳。学校の課題である職業訓練でオラヴィの店を手伝い、肖像画の作者探しの協力をする。店番の初仕事で1250ユーロの絵を1500ユーロで売る商才がある。

映画『ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像』のあらすじ【起】

ヘルシンキで小さな美術商を営む老人オラヴィ。大手やネットに押されて売り上げも減り、客から値切られてばかりだ。そろそろ店を畳もうと考えていたが、辞める前にひとつでいいから、いい仕事がしたいという思いを募らせていた。

オラヴィはオークションの下見に行き、ある肖像画に目を奪われる。それは真っ直ぐ正面を見据えた男の顔。サインがないため作者不明とされるが、名作に違いないと彼は感じていた。

オラヴィは長年音信不通だった一人娘のレアから、孫のオットーの職場体験をさせてくれと頼まれる。一度は素っ気なくオットーを追い返すオラヴィだったが、自分が肖像画の作者探しをする間、オットーに店番をしてもらうことにした。カンバスの裏に貼られていたゴーデンという文字の切れ端を手掛かりに、オラヴィは図書館の美術書を片っ端から調べ始める。

店番をしているはずのオラヴィが図書館に来て、1250ユーロの絵を1500ユーロで売ったと報告してオラヴィを喜ばせる。オラヴィはオットーにも作者探しを手伝ってもらうことにした。しかし、オットーは絵にはまるで無頓着。オラヴィは彼を美術館に連れて行き、絵画の奥深さを説明する。

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映画『ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像』のあらすじ【承】

肖像画の作者はロシアの巨匠イリヤ・レーピンの作品であると、オラヴィは確信した。本物ならば10万ユーロは下らない価値がある。オークションまで2日しかないため、オラヴィは証拠を探すことを急いだ。

オットーがミレスゴーデン美術館のカタログ一覧の中から、同じカンバスサイズの「キリスト」という名の目録を見つける。さらにオットーはネットで絵の元の持ち主を探し当て、その人がいる高齢者施設に突撃訪問する。身分を偽って勝手に部屋に入り、山のような荷物の中から証拠となりそうなものを探した。

オークション当日。オラヴィは積極的に肖像画の入札に参加する。どんどん値が吊り上がっても彼は強気に手を挙げ続け、ついに1万ユーロで落札した。オークションの直前、オットーがレーピンの作品であることを裏付ける画集を見つけていたのだ。オラヴィは同業者のパトゥに画集を見せてニヤっと笑った。その後、レーピンの作品を手に入れたことを、スウェーデン人の富豪アルベルトに真っ先に連絡した。

映画『ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像』のあらすじ【転】

キリストの肖像画を落札したものの、オラヴィには1万ユーロも払う余裕はなかった。金融機関に融資を頼むが、担保となる不動産もないため軽くあしらわれる。彼は店の商品や亡妻の形見の品を質屋で換金するが、残り3600ユーロ足りなかった。

オラヴィはレアの家で夕食をご馳走になった後、彼女に金を貸してくれと求めた。するとレアは大きなため息をつく。彼女は夫が残した借金で苦労していた。それでもオットーに十分な教育をさせるため節約生活をしているのだと訴えるが、ならばいくらなら貸せるかとオラヴィはしつこく食い下がった。オラヴィは追い出されるが、オットーを味方に付け、彼の通帳から貯金を引き出させる。

オットーの貯金を足してキリストの肖像画を手に入れたオラヴィは、早速アルベルトを招き、絵を12万ユーロで売りたいと商談した。しかしアルベルトは即答せずに用があるといって店を去る。閉店時間を過ぎても戻らないため、オラヴィがホテルに出向くと、アルベルトから今回は見送ると言われてしまう。彼はオークション店の社長から落札価格を聞き、サインのない絵を買うべきではないという入れ知恵を受けていたのだ。

映画『ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像』の結末・ラスト(ネタバレ)

1万ユーロをかき集めて手に入れた絵が売れなくなり、オラヴィは絶望した。さらにレアから、オットーの大学進学資金を引き出したことを叱責される。彼は自分の店を譲渡することを決意。譲渡した金でレアに金を返済するが、それを伝えようとした電話に彼女は一切出なかった。オラヴィは商談を妨害したとオークション店を押しかけ、一度破断になった絵はもう買い手がつかないのだと嘆いた。

一枚の絵で店を失い、娘からも見放されたオラヴィ。そんな中、オットーが記入した職場体験の店に対する評価シートが届き、5点満点中6点と書かれていてオラヴィは感激する。さらにミレスゴーデン美術館から連絡があり、肖像画にサインがないのは聖画として描いたためで、作者は誇示より謙遜を選んだのではという見解を聞いて満足した。

上機嫌のオラヴィは部屋の片付けをしながら倒れ、帰らぬ人となる。葬儀の後、遺品を査定していると、レーピンの絵の裏に遺言状が挟まれており、この絵はオットーに譲ると書かれていた。手紙にはレアに対していい父でなかったことを悔やむ言葉や、オットーへの期待の言葉が綴られていた。

映画『ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像』の感想・評価・レビュー

ヤコブへの手紙』(2009)や『こころに剣士を』(2015)など、心温まるヒューマンドラマを描いてきたフィンランド人監督、クラウス・ハロの2018年の最新作。前半はサインのない謎の絵画の作者を探すミステリー仕立てとなっているが、結果は半分経過したあたりであっさり判明。全体を通して描かれているのは、仕事一筋で家庭を顧みなかった男が、一枚の肖像画を巡って最後の賭けに出た結果、思わぬ展開となっていくというお話。ラストシーンはバッドエンドでもありハッピーエンドとも感じられる。自分の親や家族と照らし合わせると、人によって受け取り方が変わりそうな映画だった。(MIHOシネマ編集部)

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