映画『リヴァプール、最後の恋』の概要:1950年代にハリウッドで活躍した往年の大女優グロリア・グレアムと若手イギリス人俳優のピーター・ターナーの回顧録を実写化した一作。アネット・ベニングを主演に迎え、ポール・マクギガンがメガホンを取っている。
映画『リヴァプール、最後の恋』の作品情報
上映時間:105分
ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ
監督:ポール・マクギガン
キャスト:アネット・ベニング、ジェイミー・ベル、ジュリー・ウォルターズ、ヴァネッサ・レッドグレーヴ etc
映画『リヴァプール、最後の恋』の登場人物(キャスト)
- グロリア・グレアム(アネット・ベニング)
- ハリウッドを代表するオスカー女優。複数回の結婚を経験し、歳を重ねるほど落ちていくことに自信を失いつつある。ニューヨークを離れリヴァプールへ移住しピーターと出会う。
- ピーター・ターナー(ジェイミー・ベル)
- リヴァプール在住の若手舞台俳優。グロリアと隣の部屋に引っ越したことで交流が始まる。年齢差を超えて真剣にグロリアと交際を始めるが、大きな弊害にぶつかる。
映画『リヴァプール、最後の恋』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『リヴァプール、最後の恋』のあらすじ【起】
楽屋で仕事前のルーティンをこなしながら1979年のヒットソングをかけるグロリア。慣れた手つきでメイクを進め、仕上げは真っ赤なリップをする。最後に一服したグロリアはむせた拍子に倒れこんでしまうのだった。
若手舞台俳優のピーターが帰宅すると自宅では母親と兄が揉めていた。ピーターは仲裁に入りことを収め、興奮しきった母親を抱きしめなだめるのだった。矢先、ピーター宛にランカスター劇場の支配人からグロリアの病気について連絡が入った。
ピーターはグロリアのいるホテルに向かった。元々恋人関係にあった二人だが、一方的に連絡を途絶えさせていたグロリア。しかし再会してすぐに「あなたのママに会いたい」と言い出した。迷うピーターだが、病気を抱えるグロリアの様子に同情し両親の住むリヴァプールへとグロリアを連れて行くのだった。
病気のことをピーターとピーターの家族以外に知られたくないというグロリア。ピーターは調子の悪いグロリアの背中をそっとさすり、温かいミルクを淹れてあげるのだった。
映画『リヴァプール、最後の恋』のあらすじ【承】
1979年、ロンドンで二人は出会った。白黒映画で有名となったグロリアはすでに落ち目の女優である。グロリアと同じアパートに住んでいたピーターは、ドアを開けたまま大声で発声練習をする姿を見かけていた。
ある日、ダンスのパートナーが欲しいというグロリアに声をかけられ、ピーターは一緒に「サタデーナイトフィーバー」を踊り明かした。その後、一緒に劇場に出向いた二人。グロリアはRSC(ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー)に入ってジュリエットを演じたいと、ピーターに相談を持ち掛けた。年齢的にも難しいとは口にできずにいたピーターの表情に、グロリアは嘆き二人は口論になる。しかしそのまま二人は一線を超えるのだった。
付き合いだしてからグロリアの過去の栄光について知っていくピーター。グロリアが出演した舞台が大成功すると、パーティーには大勢が集いグロリアを称賛する。そして口々に過去のグロリアの実績を語るのである。
病を患ったグロリアの姿を目の当たりにしたピーターの両親。ピーターも当然心配しているため、グロリアの荷物の中からランカスター病院の診断書を見つけこっそりと担当医と連絡を取るようになるのだった。
映画『リヴァプール、最後の恋』のあらすじ【転】
順調に交際を進めていた二人。ピーターはロサンゼルスにあるグロリアの別邸に招かれ、始めてグロリアの家族と会うことになった。グロリアの長男・ティムと変わらない年齢の恋人を連れてきたことに戸惑うグロリアの家族たち。グロリアの姉の嫌味により食事の時間は不穏なものとなり、ピーターはグロリアの母親から「請われても結婚はしないで」とくぎを刺される。しかし二人は愛し合っていることを確認しあい、その先も一緒にいることを誓うのだった。
担当医からグロリアの死期が迫っていることを知らされたピーター。病院に行くように勧めるが、グロリアは「必ず良くなるから」と頑なにピーターといたいと主張する。ピーターの家族はグロリアの家族へガンであることを知らせるように諭すが、ピーターは一人で抱え込んでしまう。舞台の仕事を終えたピーターは、グロリアのことをよく知るアイリーンに話を聞いてもらい気持ちをなだめるのだった。
ある日行きつけの店での食事中に、顔を合わせたくない相手と鉢合わせてしまったグロリア。他の店へ行く前にグロリアは二人の関係がどう見えるのか気にしだした。冗談交じりになだめたピーターの言葉でグロリアは機嫌を損ねてしまう。結局部屋に戻った二人。グロリアは一緒に暮らすことを求めだすが、ピーターは即答することができなかった。
映画『リヴァプール、最後の恋』の結末・ラスト(ネタバレ)
リヴァプールでのオーディションよりもグロリアとの時間を優先するようになったピーター。その一方でグロリアは担当医からがんの宣告を受けていた。その日からグロリアはピーターとの距離を取るようになり、喧嘩の末にピーターを追い出してしまうのだった。
アイリーンに話を聞いてもらったピーターは、帰宅すると兄にグロリアを置き去りにしたことを責め立てられた。二人が喧嘩する声を聞いてしまったグロリアは、「家族に電話してほしい」と申し出るのだった。
息子のティムがグロリアを迎えに来る前夜、ピーターはグロリアをリヴァプール劇場へ連れ出した。ステージにいすを二つ並べ、「ロミオとジュリエット」の脚本を手にしたピーターはグロリアが思うまま一緒に演じ続けた。
別れの日、「どう見える?」とグロリアはピーターへ尋ねた。ピーターは迷わず「美しいよ、永遠に」と答える。グロリアが乗り込んだタクシーが見えなくなるまで、ピーターは見送るのだった。
映画『リヴァプール、最後の恋』の感想・評価・レビュー
「女」であることを生きがいに人生を謳歌し続けるグロリアの姿が印象的な前半。終盤「女の意地」が垣間見えることで、二人の記憶が夢物語ではなく現実であることを突き付けられるようだった。往年の大女優の恋愛事情がロマンティックだけでは済まされないのは、逆に好印象である。歳の差はもちろんキャリアの差もある二人の選んだ結末は決してハッピーエンドとは言い難いが、愛情の深さをしっかりと見せつけられる濃い時間であった。(MIHOシネマ編集部)
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