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映画『あゝひめゆりの塔』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『あゝひめゆりの塔』の概要:第二次世界大戦中の悲劇として知られる「ひめゆり部隊」の壮絶な運命を、吉永小百合と浜田光夫の黄金コンビで映画化。俳優陣の鬼気迫る演技とリアルな戦争描写が、観る者の心を打つ名作。

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映画『あゝひめゆりの塔』の作品情報

あゝひめゆりの塔

製作年:1968年
上映時間:127分
ジャンル:歴史、戦争、青春
監督:舛田利雄
キャスト:吉永小百合、和泉雅子、浜田光夫、遠山智英子 etc

映画『あゝひめゆりの塔』の登場人物(キャスト)

与那嶺和子(吉永小百合)
沖縄師範学校女子部の学生。父を亡くし、小学校教員の母と中学生の弟の三人家族。真面目で責任感が強く、寮では室長を務める。男子部の中では、美人と名高いマドンナ。
西里順一郎(浜田光夫)
沖縄師範学校男子部の学生。お調子者だが、根は真面目。女子部の運動会で和子と知り合い、毅然とした態度の和子に心を寄せる。
与那嶺武(小池修一)
和子の弟。中学生で、やんちゃもするが、現実をしっかり見据えた大人びた一面も。従軍後は、通信兵に志願する。
野口貞信(中村翫右衛門)
沖縄師範学校の校長。穏やかで、特に女学生から大いに慕われている。戦時下でも、学生の身の安全を一番に考える教育者。

映画『あゝひめゆりの塔』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『あゝひめゆりの塔』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『あゝひめゆりの塔』のあらすじ【起】

終戦から20年。ゴーゴークラブに一人たたずむ男が、沖縄の歌をリクエストした。彼は、フロアで踊る気だるげな若者を眺めながら、かつてその歌を愛した乙女達に思いを馳せる。ちょうど目の前で踊る彼らと同じ年頃だった、沖縄師範学校の女学生だ。

昭和18年秋。いまだ沖縄には戦争の影も薄く、女学生達は運動会で大いに盛り上がる余裕があった。順一郎率いる男子部の生徒達が、親族とウソをついて応援席に潜り込み、中学に弟のいる和子は彼らのインチキに巻き込まれてしまう。そんな和子を級友達はからかい、順一郎を和子の秘密の彼氏だろうと言い合って笑った。

1年後の昭和19年夏。次第に、和子達の学生生活は戦争のために捧げられるようになっていた。南洋の米軍は、猛スピードで日本へ向かって北上している。女子部も男子部もそれぞれに駆り立てられ、日本軍の陣地構築や、竹やり訓練で一日が過ぎていった。和子達の心に、見た事もない米英兵の恐ろしいイメージだけが、植え付けられていく。

そんな毎日の中でも、和子達は歌や笑いを忘れなかった。太田少尉が特別に作詞した曲を合唱し、男子部の行進と行き違う時には目配せして笑い合う。いまだに運動会のことで友人に冷やかされている和子だが、順一郎の熱い視線に悪い気はしなかった。

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映画『あゝひめゆりの塔』のあらすじ【承】

教師を目指す和子は、母の勤める小学校へ教育実習に行く。懸命に教壇に立つものの、ガキ大将に泣かされてしまった和子。彼女を救ったのは、皮肉にも米軍機のけたたましいエンジン音だった。戦争は、確実に女学生達の人生を変えていた。サイパンの日本軍が玉砕し、これを機に空襲は激化。女子寮には、サイパンに兄を送った友人もいた。

8月8日。小学校児童の、本土疎開の日がやって来た。和子の母も、引率として沖縄を離れることになる。和子は弟の武と努めて明るく振る舞い、亡き父の遺影をそっと母のカバンに入れてやった。児童の親達と共に、校庭で母を見送る姉弟。船までの見送りは、軍から禁止されていた。

しかし、保護者達は港へ詰めかけ、児童達が乗るらしい貨物船「対馬丸」の姿を探す。船の姿こそ見えないが、子供達が歌う“ふるさと”が見送る家族の耳に届いた。皆その歌に自分の声を重ね、別れを惜しむ。

後日、米軍の潜水艦による、対馬丸撃沈の知らせが入る。日本軍はこのニュースを流言と発表したが、それを信じる者はいなかった。小学校の校長は責任を取って自殺。和子は武と二人きりの家族になった。

和子は母だけでなく、毎日暮らす寮までもが空襲で襲われ、失った。しかし、室長の和子は笑顔を忘れず、男子部の学生と協力して瓦礫撤去に勤しんだ。そんな時、和子達のことを一番に考えてくれる校長が長い出張から無事に帰り、学生達は喜びに沸きたった。校長は、対馬丸に家族を乗せた和子や珠代を呼び寄せ、そっと肩を抱いて泣かせてやった。

映画『あゝひめゆりの塔』のあらすじ【転】

昭和20年3月。本当なら和子達の卒業式が行われるはずだったその日も、米軍機の空襲は続く。教師を目指していた師範学校の女学生達は、従軍看護婦として学校を巣立って行った。男子部と中学の生徒は鉄血勤皇隊だ。

それぞれの野営病院で必死に任務を果たす和子達を、ある晩、校長が呼び集めた。卒業証書は焼け落ちてしまったが、卒業式だ。総代の和子は、答辞を述べた。涙ながらに、校長や教師達への礼を繰り返す和子。

連合軍の攻撃が激しくなるにつれ、病院は重症兵達で溢れていき、和子達は懸命に患者の世話をする。さらに、物資の運搬は、まさに命がけの任務だった。広い畑の中でB29に狙われ、光子は死に、トミは両脚を負傷し、みち子は正気を失った。

一方、鉄血勤皇隊の男子学生達も、命がけの日々を送っていた。順一郎は任務中に武を見つけるが、直後に銃撃を受けて武は死んでしまう。和子と会った順一郎は、彼女に武の死を伝えることはできなかった。しかし、彼の様子から、弟が無事ではないことを悟る和子。

ついに司令部から退却命令が出たことを受け、校長は学生達の解散を願い出る。しかし、現場はそれを許さず、和子達も軍と共に南下することを余儀なくされた。重症の学校関係者は後から輸送されるという話を信じ、トミを置いて出発する女学生。結局、輸送車は現れず、トミは兵隊達に配られた青酸カリ入りの牛乳を自ら飲んで、自決した。

和子達は、飢えと闘いながら行進を続けた。皆が輸送車のエンジン音を心待ちにする中、トミの訃報が届く。さらに、途中の空き家で食料を見つけたと思ったら、箱の中身はびっしり詰まった手榴弾だった。

ある日の朝、一行は辺りがやけに静かなことに気が付いた。事前に兵隊達が触れ回っていた、日本海軍総反撃の日が来たらしい。学生達は笑顔を取り戻し、鶏を追いかけ、川に入る。泥を落とし、髪をすき、乙女達は琉球の歌を歌い踊った。そして別の女学生の隊と合流し、再会を喜んだところで、飛行機が数機近寄って来る。ようやく友軍の応援が来たのだと、手を振る和子達。しかしその機体に日の丸は無く、B29の容赦ない機銃掃射に、川の水は一瞬で赤く染まった。

映画『あゝひめゆりの塔』の結末・ラスト(ネタバレ)

生き残った和子達は、真壁の自然豪へと非難した。日本軍は、既にほぼ壊滅状態だった。その頃、校長は、ひとり各地に散らばった学徒隊を探し歩いていた。ようやく解散命令を取り付け、学生達は自由の身になったのだ。校長が順一郎達の隊を見つけた日、彼らは米軍基地へ切り込むつもりでいた。それを留まらせ、生きることを約束させた校長。これから女子部隊を訪ねて行くという校長に、順一郎が護衛を買って出た。

まもなく和子達の元へ辿り着くという砂浜で、校長は米軍の銃弾に倒れた。順一郎は一人自然豪まで逃げ切り、校長を置き去りにはできないという和子達を伴って、再び浜へ戻る。和子は校長の遺体を運び出そうとするが、米軍機に見つかり、和子をかばった順一郎が死んだ。

和子達は自決を覚悟し始めるが、生き残った教師達が、それは校長の遺志に反する事だとして許さなかった。教師達は学生を10人ずつ3班に分け、夜明けに島北部を目指し脱出することに決めた。出発前に、身綺麗にしてお別れ会を開く女学生。ほんの少しの握り飯と水を分け合い、和子の舞に合わせて、皆で歌う。

最初の出発は、女教師の貞子が率いる一班だ。お互いの無事を祈り合いながら、豪を出る。しかし、ほどなくして彼女達は機銃掃射に遭い全滅。残った学生達の豪にも、米軍の手で発煙弾が投げ込まれた。

気を失っていた和子が目を覚ますと、生き残ったのは自分ともう一人、後輩の久子だけだった。外では、片言の日本語で投降を促す放送が流れているが、もはや米軍の言うことなど信じられるはずがなかった。和子は久子の手を握り、崖の上に歩いて行く。そして手榴弾のピンを抜くと、久子と固く抱き合った。

映画『あゝひめゆりの塔』の感想・評価・レビュー

防空壕の中の臭いまで感じてしまうほどの臨場感。
気が狂っていく様子が実にリアルで、恐怖を感じた。
女学生たちは、この時代でなければ教養を活かして職に就き、幸せな結婚生活を楽しめたのだろう。
神風特攻隊も然り、優秀であるがゆえに死期が早まってしまったのが悔やまれる。
戦争の悲惨さを、涙を誘うドラマとしてではなく、史実を突き付けるドキュメンタリー寄りで表現したところが、この作品の神髄だと思う。(女性 30代)


もうすぐ30歳になりますが、子供のころからこういう「戦争」をテーマにした作品が苦手で、避けてきました。観て思うことは沢山ありますが、避けていてはいけないことで、知らなければいけないことなんだと強く感じました。
「アメリカ人に捕まったら、丸裸にされて戦車にくくりつけられるんだぞ!」と兵隊さんに言われた時の女学生たちの表情が本当に印象的で、忘れられません。もっともっと沢山の人に観てもらいたい、知ってもらいたい作品です。(女性 20代)


戦争末期の日本が舞台です。前半は若い女性たちの青春が描かれるも、後半にかけて重くなり辛いラストへと向かいます。無慈悲な空襲や、手榴弾による自決もしっかり映していて、改めて戦争の悲惨さ・意味について考えられさせます。アメリカ軍人などは出てこず、ひたすらに”戦争に見舞われた人”に焦点を当てていることが分かります。国が動くとき、一般の個人は変革に飲み込まれていく。そんなリアルを痛いほど感じます。(男性 20代)

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