映画『17歳の肖像』の概要:キャリー・マリガン主演の青春ドラマ。16才の背伸びした恋とその代償を描く。共演はピーター・サースガード、ロザムンド・パイク。原題「AN ADUCATION」。ロネ・シェルフィグ監督の2009年イギリス映画。
映画『17歳の肖像』 作品情報
- 製作年:2009年
- 上映時間:100分
- ジャンル:青春、ラブストーリー
- 監督:ロネ・シェルフィグ
- キャスト:キャリー・マリガン、ピーター・サースガード、ドミニク・クーパー、ロザムンド・パイク etc
映画『17歳の肖像』 評価
- 点数:80点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★☆
映画『17歳の肖像』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『17歳の肖像』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『17歳の肖像』 あらすじ【起・承】
1961年、ロンドン。16才の高校生ジェニー(キャリー・マリガン)は、成績優秀でオックスフォード大学を目指して勉強中。楽団に所属し、趣味はチェロと読書。フランスに憧れて、よくシャンソンを聴く。
ある雨の日、学校帰りにジェニーは、チェロを濡れないようにしてくれた年上の男ディビッド(ピーター・サースガード)と出会う。ディビットに誘われて、彼の仲間ダニー(ドミニク・クーパー)とヘレン(ロザムンド・パイク)とも知り合う。
彼らと共にコンサートやオークション会場、酒場などに出かけ、刺激的な毎日を送った。大人の世界に触れたジェニーは喜ぶが、背伸びした恋には大きな落とし穴が待っていた。
一方、高校では、勉強に身が入らず、成績を落としてしまう。教育に厳しい父ジャック(アルフレッド・モリーナ)は、成績が伸びないなら無理に大学に行かなくてもいいと怒ってしまう。
英文学のスタッブズ先生(オリヴィア・ウィリアムズ)からは、”ロチェスターみたいな彼と付き合ってるんですか?”と苦言を言われてしまう。それでも彼との恋愛を止められなかった。
ディビッドは、読書家のジェニーのためにC.S.ルイスの「ライオンと魔女」のサイン本を手に入れてくれた。しかし、ある時、彼らが盗んだ美術品を売りさばくビジネスをしている事に気づく。
フランスに憧れるジェニーに、ディビットは一緒に行かないかと誘う。
映画『17歳の肖像』 結末・ラスト(ネタバレ)
ディビッドとのフランス旅行にわくわくするジェニーだったが、友人に話した事がきっかけで学校中に広まってしまう。悪い影響を心配したウォルターズ校長(エマ・トンプソン)は、ジェニーを呼び、このままでは学業がおろそかになってしまうと忠告した。
しかし、ジェニーの考えが変わることはなかった。両親の許しを得て、フランスへ旅立った2人。パリの夜、ジェニーはディビッドと結ばれます。帰国後、パリ土産の香水をスタッブズ先生に渡そうとするが、先生から受け取れないと言われます。
パリ旅行に気をよくしたディビッドは、ジェニーにプロポーズした。だが仲間の1人、ダニーは結婚に反対するのだった。ジェニーは、高校を中退する時、ウォルターズ校長とケンカしてしまう。
結婚が決まり、両親を交えての食事会に出かけることになった。ところが、車内でディビッドが既婚者であることを示す夫婦宛の手紙を見つけてしまう。彼を問い詰め、両親への説明を求めたが彼は説明することなく去っていった。
傷心のジェニーは、近くに住むという彼の家を訪ねた。彼には妻と息子がいた。妻は、彼がまた浮気をしたことを知るのだった。現実を受け入れたジェニーは反省し、高校に戻り勉強を続けたいと申し出るが、ウォルターズ校長から断られてしまう。
そんな失意のジェニーを救ったのは、英文学のスタッブズ先生だった。スタッブズ先生と共に勉強をし、ジェニーはオックスフォード大学英文学科に合格。入学後は、大学の寮で生活をし、充実したキャンパス生活を謳歌しています。
映画『17歳の肖像』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『17歳の肖像』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
甘い恋の罠に気を付けて!
大人の階段を登り始めた10代の女の子には、夢の様なシンデレラ・ストーリーかもしれない。しかし、そこには誰もが陥りやすい危険な落とし穴が待っています。主人公ジェニーを演じる、キャリー・マリガンが知的でかわいい。
フランス行きを夢見るシーンを観ていると応援したくなっちゃう。彼女が同年代の男の子ではなく、年上でなんでも叶えてくれるような人に憧れるのも自然な流れです。と同時に恋愛において相手の見定めが甘い。
どんな仕事をしている人?どこに住んでる?交友関係は?といった基本的な事を何も知らないのです。物語の途中で、彼が仲間と絵画を盗み、売りさばいているのではないかという疑惑が生まれます。
なぜ、そこで男の嘘を見抜けなかったのだろう?また彼がジェニーに贈った「ライオンと魔女」のサイン本も嘘だったのです!だんだん物語が進むにつれ、腹がたってきます。
だからラストで彼の正体が分かった時、やっぱり・・と思いました。正体不明の年上男には要注意です!
華麗なる、キャリー・マリガンの魅力
キャリー・マリガンは、この映画で主演を務め、アカデミー賞にもノミネートされました。彼女の愛くるしい笑顔と意志の強さが画面から伝わってきます。
彼女の人気を押し上げたのは、レオナルド・デカプリオと共演した「華麗なるギャツビー」(13)です。ディジー役を演じ、ピュアな美しさにときめいた人も多いでしょう。
レオナルド・デカプリオ演じる、ギャッビーの完璧なまでの成り上がりっぷりや空虚な日々。まさにアメリカを象徴する作品でした。キャリー・マリガンの魅力は、目が釘づけになる存在感です!
「17才の肖像」では、恋愛シーンにばかり目がいくかもしれませんが、高校の授業風景にも注目して欲しい。英文学の代表的な作品、例えばシェイクスピアの戯曲「リア王」や17世紀の放蕩詩人ロチェスターなどが学ばれています。
また英文学の先生との会話や協力も見どころ。恋愛よりも教養を学ぶことが大切だと教えてくれます。
高校生の時って、どうしてあんなに年上の男性が素敵に見えるのでしょう。どんな仕事をしていても、ただ年上と言うだけで人生経験が豊富で、色々なことを教えてくれる…ように思えてしまうんですよね。
多くの女性がジェニーに共感しつつ、あんまりハマりすぎちゃだめだよと警告したい気持ちになるはず。
最後は一応ハッピーエンドになりますが、もっと良い時間の使い方が出来たはずなのにと現実的なことを考えてしまうのは、きっと私が大人になってしまったからでしょう。(女性 30代)
ずっと怪しい匂いはしていたけれど、こんなに低俗な男性の生きる様を見ていたのかという結末に腹立たしくなりました。どんなに頭の良い女子高校生でも、一度恋に落ちたら、置かれた立場を忘れて恋に突き進んでしまうものなのかと、恋は盲目という言葉を突きつけられます。相手が知らない世界を見せてくれるような年上男性なら尚更のことです。内容は単調ですが、映画の色遣いのセンスが素敵で、若かりし頃のキャリー・マリガンのあどけない笑顔に癒されました。(女性 20代)
映画『17歳の肖像』 まとめ
大人になる喜びと痛み。それは、大人になって観ても、胸に突き刺さる青春の1頁です。主人公ジェニーを演じる、キャリー・マリガンがとにかく可愛くてたまりません。まるで、フランス人形みたい。
もし、男性の立場でこの映画を観たら少女を自分のものにしたいと思うかもしれません。ジェニーと対照的に、ディビッドの仲間ヘレン役を演じたロザムンド・パイクは、やぼったく無教養な女性。
クラシックを聴いても、”まるでお葬式みたいな曲ね!”と言う。この映画は、女性監督らしい、繊細な作りと1960年代のイギリスの雰囲気がよく表現されています。決して、教訓めいてつまらない映画ではありません。
邦題よりも原題の「AN ADUCATION」の方が、しっくりきます。また読書家だというジェニーの好きな本「ライオンと魔女」などイギリス文学のエッセンスが織り込まれているのも魅力です。
この映画を観れば、恋愛で失敗したとしても、教養を学び続けることの大切さが分かると思います。恋に傷つき、疲れた人にこそ観て欲しい。人生が学べる1作です!
みんなの感想・レビュー
本作は、ジェニーが少女から大人の女性へと変化していく過程を恋愛を通して描いていて、誰もが経験する恋愛から学ぶことの大きさを物語っている。
主人公の高校生ジェニーを演じたキャリー・マンガンの知的さと可愛らしさが溢れていて、イギリス文学やイギリスの雰囲気が素敵だった。
たとえ失恋しても、身につけた知識や教養が生涯自分の味方になってくれることや、その大切さに気付いていくジェニーの姿に勇気を貰えた。
自分の生き方を探すきっかけを与えてくれる作品。
CSルイスの偽サイン本を知らないでもらったのではないですよ。
旅行を許してもらうための両親へのうその口実への偽土産。
二人で作った二人の共犯です。