映画『天使と悪魔』の概要:前作、「ダヴィンチコード」に続くトム・ハンクス演じるラングドン教授が活躍するサスペンス作第二弾。第一弾共に安定した人気を誇り、第三弾、「インフェルノ」も公開されている。
映画『天使と悪魔』の作品情報
上映時間:138分
ジャンル:ミステリー、サスペンス
監督:ロン・ハワード
キャスト:トム・ハンクス、アイェレット・ゾラー、ユアン・マクレガー、ステラン・スカルスガルド etc
映画『天使と悪魔』の登場人物(キャスト)
- ロバート・ラングドン(トム・ハンクス)
- ハーバード大学で教鞭を振るう、宗教象徴学の専門家。かつてダヴィンチコードで難事件を解決した実績を買われている。
- パトリック・マッケンナ / カメルレンゴ(ユアン・マクレガー)
- 前教皇が事前に定めた、教皇不在時には教皇の役職を代理する役目であるカメルレンゴを務める若い青年。
- ヴィクトリア・ヴェトラ(アイェレット・ゾラー)
- 原子核を研究している科学者。父に科学者兼司祭であるレオナルドをもつ。
映画『天使と悪魔』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『天使と悪魔』のあらすじ【起】
事件は世界一小さい国、ヴァチカン市国で起きました。全ての始まりは、長年国に使えたローマ教皇の死でした。ローマ教皇の死によって、国は新たな教皇を選出する必要性に迫られています。そんな中、次期教皇候補を指すプレフェリーティ(枢機卿)が、4人選出されました。この4人の中から、コンクラーベと呼ばれる会議にて次の教皇が決定されます。
しかし、長く続くそのコンクラーベの途中、枢機卿のうち1人が誘拐されてしまったのです。「1時間ごとに枢機卿を公開処刑に処す」という脅迫状が届き、国はラングドン博士に協力を要請します。彼はかつてダヴィンチコードに関する難事件を解決しており、その実力が買われたのでした。ラングドン博士は、脅迫状にイルミナティという、長年教会と敵対視する組織のマークが記載してある事に気がつきます。
博士はヴィクトリアという博士の協力を得て、事件の真相に迫って行きます。また、ラングドン博士にスイスの研究場から「神の素粒子」と呼ばれる物質が盗まれていた事も突き止めます。そこからラングドンは、イルミナティがこの神の素粒子を使用し、教会を爆発させようと企んでいる、ということに気がつきます。
映画『天使と悪魔』のあらすじ【承】
更にラングドンは脅迫状の文面から、各枢機卿を「地」「火」「水」「空気」という4つの方法になぞらえて殺害するという犯人からのメッセージを読み取り、それぞれに沿って調査を進めていきます。
まず、「地」では地動説を唱えたガリレオ=ガリレイの「真実の図表」に目を向けました。するとその5ページ目に、イルミナティのマークとともに透かし文字が刻印されていたのです。その文字を頼りに新たな場所へと向かうラングドンとヴィクトリアでしたが、時すでに遅く、枢機卿の1人が口に土を詰められた状態で殺されていたのです。ラングドンは他の要素に関しても当たり始めますが、間に合わずにもう1人の枢機卿も命を落としてしまいます。
ラングドンは、今回の犯人が枢機卿だけではなく、前教皇をも殺害したのではないか、と疑惑を抱き始めます。前教皇は静脈血栓症を患っていた為、その治療として使用していた注射液に何者かが細工をしたのではないか、つまり教会内部の犯行なのではないかと睨みます。しかし教皇を解剖する事は禁じられている為、その確証が取れません。
映画『天使と悪魔』のあらすじ【転】
しかし、ヴィクトリア博士が教皇の遺体が保管されている場に忍び込み、外表状から、教皇が他殺されたと示す証拠を発見します。つまり、一連の犯行は内部の者によるものという事が決定的となったのです。前教皇が事前に定めた、教皇不在時には教皇の役職を代理する役目であるカメルレンゴは、コンクラーベに乗り込みます。そして爆発が近づいていること、教皇が殺害されたことからコンクラーベを中止し、住民を避難させることを提案しますが、枢機卿達はこれを拒みます。
しかしその後、新たに枢機卿が1人、今度は「火」になぞらえて殺害されてしまいます。ラングドンはその場居合わせた犯人達の銃弾に襲われますが、なんとか一命を取り留めます。そして4つ目の犯行、「水」の殺人の現場にとうとうラングドンは何とか間に合う事ができました。
殺される直前であった枢機卿を、その場に居合わせた一般人の手も借り、何とか救い出す事ができたのです。そして、その生き延びた枢機卿の「自分はとある場所に拉致されていた」という言葉をもとに、ラングドンは犯人の居場所にどんどん近づいていくのでした。
映画『天使と悪魔』の結末・ラスト(ネタバレ)
そしてその現場に辿り着いたラングドンは、リヒターという男に殺されそうになっているカメルレンゴを何とか救い出します。しかし、爆破の時間が迫っていました。カメルレンゴはヴァチカンを救う為、と爆弾をヘリコプターに詰め込み、自分がそれを運転し空へと飛び立ちます。爆発は空で起こり、ヴァチカンは破滅を免れました。そして、カメルレンゴもパラシュートで脱出に成功しました。国を救ったカメルレンゴは一躍英雄となり、次の教皇に相応しいという声が聞かれるようになりました。
しかし、あまり知られてはいない事でしたが、ヴァチカン内部には多くの監視カメラが前教皇によって設置されていました。そして、カメルレンゴがリヒターを利用し、そしてイルミナティの名を偽り彼等と教会が再度敵対する様に仕組んでいたのでした。そしてそのシナリオを上手く使い、自分が教皇にのし上がるのがカメルレンゴの描いたものでした。
この一連の所業が枢機卿に知られてしまったカメルレンゴは、自ら油を被り焼身自殺をしてしまいます。そして、新教皇には「水」の殺害から生き延びた、バッジア枢機卿に決定しました。こうしてラングドンは、また新たに難事件を解決したのでした。
映画『天使と悪魔』の感想・評価・レビュー
トム・ハンクス主演の続編になるんですが、このシリーズは1回観ただけでは内容が難しくて理解出来ない部分があります。映画の内容をしっかりと理解したうえで観るので、いつの間にか映画にのめり込んでしまいます。
1回目は映像をしっかりと観てと字幕をサラッと読んで、2回目で字幕をしっかり読んで内容を理解したらいいと思います。(女性 30代)
イルミナティという歴史的に実際にあった秘密結社を要素に入れ、謎解きをする作品。まず歴史的にも有名なイルミナティという現実が、非現実の作品の中に繰り込まれているという点がかなり面白い。それに加え、現実で研究が進められている反物質が完成した世界という設定も非常に良い。謎解き要素の強い作品であったため見ごたえがあった。
少しえげつないシーンもあるのでグロ耐性がない人にはお勧めできない。だがそれも気にならないほど面白く、常に緊迫した場面が多いので終始ハラハラドキドキさせられた。(女性 20代)
聖書を読んでいないので何回か観ないと理解しにくい作品です。細かいことを考えずに流すなら、トム・ハンクスとユアン・マクレガーという演技派俳優の2人が出演しているので普通に楽しく謎解き映画として観れます。
サスペンス要素も多く、特に最後の方には残酷なシーンもあるので終始ドキドキしながら楽しめます。シリーズ第三弾でありながら、第1弾よりも印象に残るシーンが多く、面白いです。ただ、ヒロイン役の女性のインパクトが今作では薄いです。(女性 30代)
関連作品
次作 インフェルノ(2016)
前作 ダ・ヴィンチ・コード
みんなの感想・レビュー
①アンビグラムとは
イルミナティは単語をアンビグラムにして象徴的に使っています。アンビグラムとは簡単にいうと“単語を違う角度から見ても読めるようにデザインされたもの”をいいます。つまり180度や45度など角度を変えても読めるようにするものなのです。さらにいわゆる“鏡文字”とよばれるものもアンビグラムの一種です。鏡文字は左右が反転しています、あのレオナルド・ダ・ヴィンチは鏡文字を書いたことで有名です。
このアンビグラムの名手と言われたのがジョン・ラングドンという人物で、劇中のアンビグラムも彼の作品です。主人公のロバート・ラングドンは彼の名前からきていると言われています。
②イルミナティとは
1785年に当時のローマ教皇ピウス六世が異端としたため活動を終えたとされているが現在でも活動がささやかれている秘密結社です。劇中では“ラ・プルカ”という事件から組織は過激化したとされています。1688年教会はイルミナティの科学者4人を罪を清めるため(ラ・プルカ)と称して胸に十字架の焼印を捺して処刑し、その体を路上に放置するという事件があったそうです。その報復のため科学の頂点ともいえる反物質を使ってキリスト教の総本山ヴァチカンをその事件になぞらえて消そうとします。
映画では「ダ・ヴィンチ・コード」の続編として作られていますが、こちらの方が1作目でラングドン教授がその知識を使って解決する初めての事件になっています。宇宙の起源“神の素粒子”ともいわれる反物質が宗教を壊すという科学対信仰を描いた作品です。何度も問いかけられるのは科学と信仰は対立するものなのか?ということです。私達にはいまひとつピンとこないのですがキリスト教では相反するものだという考えがあるのでしょうか。
「ダ・ヴィンチ・コード」はもちろんのこと、イルミナティとヴァチカンを扱ったこの「天使と悪魔」も謎ときの楽しさを味あわせてくれます。映画はもちろんのこと原作が本当に読み応えあって夢中になってしまいます。もし映画で色々興味がでたらぜひ原作を読んでみてください。