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映画『アニマトリックス』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『アニマトリックス』の概要:映画『マトリックス』3部作の監督ウォシャウスキー兄弟と、日本人を中心とする世界の気鋭のクリエイターが集結。『マトリックス』の世界観を9つのアニメ作品で表現したオムニバス作品。『マトリックス』の背景となっている、人類と機械との対決のルーツも知ることができる。

映画『アニマトリックス』の作品情報

アニマトリックス

製作年:2003年
上映時間:90分
ジャンル:SF、アクション、ヒューマンドラマ、アニメ
監督:アンディー・ジョーンズ、前田真宏、渡辺信一郎、川尻善昭、小池健、森本晃司、ピーター・チョン
キャスト:キャリー=アン・モス、キアヌ・リーヴス、ケヴィン・マイケル・リチャードソン、パメラ・アドロン etc

映画『アニマトリックス』の登場人物(キャスト)

トリニティ(キャリー=アン・モス)
かつて国税局のシステムにも侵入したほどの天才ハッカー。『マトリックス』の中では、モーフィアスと共にコンピュータの支配と戦い、ネオを覚醒させる女戦士だが、この作品の中でも『ディテクティブ・ストーリー』に登場するほか、他のストーリーの中でも、たびたびその名前が出てくる。
ネオ(キアヌ・リーヴス)
コンピュータの支配から人間を解放するために戦う「救世主」。この作品の中でも、トリニティと共にその名が登場する。『キッズ・ストーリー』の中でキッドに重要なメッセージを伝えている。
サディアス(ケヴィン・マイケル・リチャードソン)
『ファイナル・フライト・オブ・ザ・オシリス』に登場する人間の男性。オシリス号のリーダー的存在。ジュエと訓練中にセンティネルからの追撃を受けると、ジュエに重要な任務を託して敵と戦う。
ジュエ(パメラ・アドロン)
『ファイナル・フライト・オブ・ザ・オシリス』に登場する人間の女性。サディアスとは仲間であると同時に、互いに愛し合っている。人間社会最後の砦、ザイオンを守るため、重要な任務を帯びて、サディアスと別れる。
インストラクター(ジュリア・フレッチャー)
『セカンド・ルネッサンス パート1』&『パート2』の中で、ザイオンのアーカイブから取り出した資料を紹介する。その中には、人間と機械の対立が生まれた歴史が描かれていた。
キッド(クレイトン・ワトソン)
自らの存在する社会に、疑問を感じている高校生。「ポッパー」という姓らしく、教師からそう呼ばれている。ネオとトリニティに導かれて覚醒を始めるが、コンピュータのエージェントによって校舎の屋上に追い詰められ、そこから飛び降りる。
シズ(ヘディ・バーレス)
『プログラム』に登場する人間の女性。仮想社会の中で、コンピュータと戦う訓練を受ける。一緒に訓練を受けるデュオに心惹かれるが、デュオから一緒にコンピュータ側へ投降するよう誘われると、悩んだ末に、デュオと戦う決意をする。
霧島陽子(ヘディ・バーレス)
仮想空間の中で生きる人間の若い女性。子供たちと一緒に、プログラムのバグが作り出した「お化け屋敷」に入り込み、不思議な体験をする。しかし、覚醒を恐れた当局によって「お化け屋敷」から追い出され、バグも修正されてしまう。
ダン(ヴィクター・ウィリアムズ)
陸上競技の短距離選手。世界記録を樹立するが、ドーピングによって無効とされる。その汚名を晴らすために再び競技の場に復帰するが、レース中、酷使しすぎた身体が限界を超え、その瞬間に覚醒。しかし、エージェントによってその覚醒を抑え込まれてしまう。
アッシュ(ジェームズ・アーノルド・テイラー)
ハッカー探しを得意とする探偵。名前を名乗らぬ依頼人からトリニティを探し出すよう依頼を受ける。
アレクサ(メリンダ・クラーク)
コンピュータと戦う人間の女性。コンピュータが人類を攻撃するために送り込んでくるマシンを洗脳し、味方につける任務を負う。しかし、そのアジトがマシンに見つかって攻撃を受け、仲間が次々と殺されてしまう。
エージェント
コンピュータから送り込まれ、人間を取り締まる、仮想世界の番人。すべて黒のスーツに黒のサングラスという共通の格好をしている。『マトリックス』でネオと戦うスミスも、エージェントの1人。

映画『アニマトリックス』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『アニマトリックス』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『アニマトリックス』のあらすじ【起】

第1話『ファイナル・フライト・オブ・ザ・オシリス』

場面は『マトリックス』の中でネオとモーフィアスがカンフーの訓練をした場所と同じタイプの、仮想空間の道場。そこでサディアスとジュエが、真剣を持って斬り合っている。

2人とも目隠しをしており、感覚だけで相手の攻撃を紙一重でかわす。しかし、その度に互いの服が切り裂かれ、下着姿になったジュエをサディアスは目隠しを外し、盗み見る。斬り合いはエスカレートし、2人は激しく鍔迫り合いをする。2人の顔が、互いの吐息が触れ合うほど接近した瞬間、アラームが鳴って、2人は仮想社会から現実の世界に引き戻される。

センティネルが多数、サディアスたちの船オシリスに迫っていた。コンピュータが支配する機会文明から送り込まれてきた戦闘マシンだ。機銃で攻撃しながら猛スピードで逃走し、なんとかセンティネルの追撃をかわしたオシリス号の目の前に、今度はさらにおびただしい数のセンティネルが現れる。

センティネルの群の中心には、掘削機が引き出されていた。その真下には、人類の最後の砦、ザイオンがある。掘削機で穴をあけ、ザイオンを攻撃しようとしているのだ。ザイオンにこの危機を知らせるべく、サディアスはジュエを仮想社会に送り込む。

人間の後頭部には、機械によって埋め込まれたソケットがあり、そこにプラグを差し込み、ローディングすることで、意識だけが仮想社会に入り込む。ただし、肉体だけはそこに残るので、肉体が滅びると、仮想社会に侵入した意識も失われる。サディアスとジュエは最後の口づけを交わし、ジュエの意識は仮想社会へと旅立つ。

オシリス号は、徐々にセンティネルによって浸食され始めていた。クラゲのような形態のセンティネルは、その長い脚でオシリス号に取り付き、口からレーザー光線を発して船体を解体していく。船員は次々に殺されるが、サディアスは船とジュエの肉体を守るため、銃を持って戦う。

ジュエは仮想社会に潜入し、ザイオンに警告のメッセージを届けることに成功した。その報告をサディアスに通信しようとした瞬間、ジュエはそこに倒れて動かなくなった。ジュエの肉体は、オシリス号の爆発と共に消滅していた。

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映画『アニマトリックス』のあらすじ【承】

第2話『セカンド・ルネッサンス パート1』、第3話『セカンド・ルネッサンスパート2』

インストラクターによって、ザイオンアーカイブの中にある資料の内容が語られる。資料には、人類と機械の対決の歴史が記されていた。

人類はかつて、自分たちの意のままに動くマシンを作り、労働をさせた。はじめは従順に働いていたマシンたちだったが、その中の一体、B1-66ERというマシンが、主人に反抗してこれを殺害した。これをきっかけに、マシンたちは労働条件の改善を求めて抗議を始めるようになる。マシンの反抗に危機感を感じた人類は、すべてのマシンを廃棄処分し、海中に捨てた。

しかし、マシンは絶滅しなかった。生き残ったマシンは、自分たちの国「ゼロ・ワン」を建設し、そこを中心に文明社会を築き上げる。ゼロ・ワンで生産される製品は、人類が作るものよりはるかに精巧にできており、それらの製品は世界中に広まって、ゼロ・ワンは大いに繁栄した。

再び危機感を感じた人類は、ゼロ・ワン国家を経済封鎖する。ゼロ・ワンの代表が国連にやってきて、人類との協調を提案するが、その提案は却下された。そして、ついに人類とゼロ・ワンの間で戦争が始まる。

戦いは長期化し、人類は最後の手段として、「空を破壊する」という戦略=ダーク・ストーム作戦を実行する。その狙いは、マシンの動力源である太陽光を奪うというものだった。

太陽光のなくなった地球上でも、人類とマシンの戦いは続いた。そして、ゼロ・ワンの圧倒的な攻撃兵器の前に、人類は敗北する。マシンは人間のエネルギーを動力源に変える方法を開発し、捕えた人間をカプセルに閉じ込め、動力源に変えた。皮肉にもマシンが人類に提案した「人類とマシンの協調関係」が、奇妙な形で生まれたのだった。

映画『アニマトリックス』のあらすじ【転】

第4話『キッズ・ストーリー』

高校生のキッドは、自分が存在しているこの世界に疑問を感じ始めていた。その気持ちを夜中にネットのチャットルームに書き込むと、何者かが「真実を知りたければ、すべてを犠牲にする覚悟を持て」というメッセージを送る。

再び日常に戻り、キッドはスケボーで登校する。授業中、ノートに「トリニティ、ここから出して」と落書きをするキッドの携帯が鳴る。教師に咎められ、携帯をオフにするキッドだったが、その携帯が再び鳴る。教師の制止も聞かず、携帯を取るキッド。相手はネオだった。

ネオは、「バレた。逃げろ」とキッドに指示する。校舎の外に黒塗りの自動車が現れ、異常を感じたコンピュータによって送り込まれた黒服のエージェントが、キッドに迫る。キッドはスケボーで校内を逃げ回った。しかし、次第に追い詰められ、女子トイレの窓から屋上によじ登るキッドを、銃を構えたエージェントが待ち受けていた。キッドは屋上から飛び降りる。

数日後、キッドの葬儀が行われた。教師を始め、関係者は、キッドが精神のバランスを崩したと噂する。しかし、その頃キッドは、自力でネオとトリニティの元にたどり着いていた。

第5話『プログラム』

その訓練プログラムは戦国時代の設定で、シズは女武将になっていた。そのシズを、黒い甲冑に身を固めたデュオが襲う。

訓練中、デュオは密かにオペレータとの通信をオフにし、シズに秘密の提案をする。それは、ザイオンが滅びる前にコンピュータに投降して、機械が人間を支配するマトリックスに戻るというものだった。シズは迷った末に、その提案を拒否する。

デュオは提案を拒否したシズを殺そうとする。密かにデュオに惹かれていたシズは、戦いを避けて仮想世界の中を逃げ回るが、デュオは必要に追ってくる。そして、刀を折られたシズは、捨て身の戦法でデュオの白刃を素手で受け、その刃を折ってデュオの喉元に突き立てた。

「君と一緒に戻りたかった」と言って息絶えるデュオ。「No!」と叫ぶシズは、現実世界で目を覚ます。トレーナーは、シズに「合格だ」と告げ、デュオはプログラムの一部に過ぎないと説明する。非情なトレーナーを、シズは素手で殴り倒す。

第6話『ワールド・レコード』

短距離ランナーのダン・デイビスは、100m競走で8秒99という驚異的な世界記録を打ち立てるが、ドーピング疑惑でその記録は抹消される。

数年後、汚名を晴らすため、再びレースに挑むダン。号砲が鳴り、驚異的なスピードで周囲の選手を引き離していく。しかし、ダンの身体には異常が生じ始めていた。レースをスタンドで観戦していたエージェントは、「奴を目覚めさせるな」と指令を出す。

ダンの肉体は、筋肉が引きちぎれそうになり、危うく転倒しそうになる。他の選手からも抜かれるが、立ち上がったダンは再び他の選手を引き抜いてトップでゴールに駆け込む。8秒72という驚異的な世界記録をマークした。

限界を超えたダンの前に、一瞬、マトリックスの数列が現れる。そしてダンは倒れこみ、エージェントが彼を取り囲む。現実世界にあるダンの肉体は機械によって苦痛を与えられ、仮想世界の中のダンの精神は廃人同様になってしまう。

後日、病院で車いすに乗るダンの姿があった。レースの記憶などはすべて消し去られ、ダンは走るどころか、歩くことさえできなくなっていた。一瞬、「自由」とつぶやいて立ち上がろうとするダンだったが、すぐにその場に倒れこんでしまった。

映画『アニマトリックス』の結末・ラスト(ネタバレ)

第7話『ビヨンド』

陽子は、携帯で友人の恋の悩みの相談を受けながら、飼い猫のユキを探していた。

子供たちが、ユキは「お化け屋敷」に行ったんじゃないか、と言う。子供たちに連れられ、陽子は「お化け屋敷」に足を踏み入れる。そこは不思議な世界だった。半分変色した犬、電球がないのに光る電灯、晴れた空から一部分だけ降ってくる雨、紙くずが飛んできては宙に消える。

子供たちが割ったガラスの瓶は、すぐに元の形に復元された。そこには重力もなかった。宙を浮遊して遊ぶ陽子と子供たち。そこで陽子はユキを見つける。

ユキが覗き込んだ穴から、大量のネズミが駆け出してくる。すると、害虫の駆除と称して、多くの作業員が「お化け屋敷」に踏み込んできた。その中には数名のエージェントも混ざっていた。エージェントの指示で、陽子と子供たちは「お化け屋敷」からつまみ出される。「ロケーション再構築完了」というコンピュータの音声が聞こえ、数日後、「お化け屋敷」は建築現場に変わっていた。

工事現場を覗き込む子供たち。ものを宙に浮かせたりする不思議な力を再現しようとするが、何もできずに飽きて帰ってしまう。足元の缶を拾って落とす陽子は、缶の蓋で指を切ってしまう。缶も、陽子の血も、重力で普通に地面に落ちるのだった。

第8話『ディテクティブ・ストーリー』

フィリップ・マーロウなどにあこがれて探偵になったアシュは、浮気相手の調査くらいしか仕事に恵まれず、貯金も底を尽きかけていた。そんなアシュの元にある日、トリニティというハッカーを探してほしいという依頼が舞い込む。アシュの銀行口座には、大金が振り込まれていた。

ハッカー探しが専門のアシュは、間もなくトリニティの足掛かりをつかむ。アシュの前に3人の探偵が同じようにトリニティを追っていたが、1人は自殺、1人は失踪し、最後の1人は精神を病んでいた。

アシュは、生き残った最後の1人を訪ね、彼の言動から『不思議の国のアリス』の謎に秘められた暗号を読み解き、トリニティとの接触に成功する。場所は寝台列車の中だった。トリニティは、暗号を読み解いて自分に接触したアシュを、仲間に引き入れようとする。

しかしそれは、コンピュータの仕掛けた罠で、アシュがトリニティと接触したとたん、列車の乗客の身体はエージェントに乗っ取られ、2人に迫った。銃撃戦となり、2人は追い詰められた。さらにアッシュの身体が、エージェントに乗っ取られようとしていた。トリニティはアシュを仲間に引き入れることを諦め、アシュを撃つ。

アシュは、「一緒に行きたかったよ」と言い残し、そこに残る。アシュはマトリックスの存在に気がついていたが、あえてそれを認めようとしなかった。トリニティは列車の窓を撃ち破って外に脱出する。アシュは銃を片手に、追手のエージェントを待ち構えるのだった。

第9話『マトリキュレーテッド』

夜の海岸。アレクサはかがり火の近くに座り、猿型のペットと共に、敵のマシンが来るのを待っていた。マシンをおびき出して難破船のアジトに誘い込み、そこでマシンを洗脳して味方に引き入れるのが、彼女の役割だった。

2体の「ランナー」と呼ばれるマシンがやって来た。アレクサは2体をアジトまで誘導することに成功する。「ランナー」のうち1体は味方のマシンで破壊し、もう1体を捕獲した。

アレクサと仲間たちは、捕獲した「ランナー」と電脳世界でつながり、「ランナー」に楽しい世界を見せつける。そこでは「ランナー」も人間の形に変わり、アレクサと追いかけっこを始める。そこでアレクサが「ランナー」を受け入れようとしたとき、アラームが鳴って、全員が現実世界に引き戻される。

アラームはセンティネルの来襲を告げるものだった。アジトに潜入してくるセンティネルに対し、洗脳したマシンを送り込んで防ごうとするが、形勢は不利で、仲間たちは次々に殺されていく。そして、アレクサも捕えられてしまう。

それを見た「ランナー」は、アレクサを捕えたセンティネルを破壊し、アレクサを救う。そして、敵のマシンも味方もことごとく倒れ、最後には「ランナー」とアレクサだけが残った。

気を失っているアレクサの後頭部にプラグを差し込み、「ランナー」は再びアレクサと電脳世界に入り込む。そこで「ランナー」はアレクサを起こし、2人だけの世界を楽しもうとする。しかし、目覚めたアレクサは驚き、大声を上げて「ランナー」を拒む。ショックを受けた「ランナー」は、現実世界に戻り、静かにアレクサの元から去っていった。

映画『アニマトリックス』の感想・評価・レビュー

『マトリックス』が大好きな人が見るべき作品。壮大なスケールで描かれた大ヒット作品の世界観を様々なクリエイターが描いた短編集です。特に『マトリックス』が好きじゃない人が見ても全く面白くない作品です。しかし、あの世界観が大好きで、自分でイメージしてしまうほど『マトリックス』が大好きな方には、ぜひ見てほしい。
それぞれの作品が違うアプローチの仕方をしているので、とても面白いです。日本人監督が大活躍なのも嬉しいですね。(女性 30代)


映画「マトリックス」の世界観に基づくアニメ作品のオムニバス。「マトリックス」本編では詳しく描かれなった設定等にも触れており、「マトリックス」の世界をより深く知る為に必見の一本。そもそもの設定に対する疑問の答えの多くがここにあると言えるのではないだろうか。
「マトリックス」と切り離して観ることは考えられないが、内容的にはエピソード・ゼロ的な部分があるので本編を観る前にこの一本を先に観るのはありだろう。「マトリックス」好きには贈り物のような一本。(男性 40代)

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