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映画『アンチクライスト』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『アンチクライスト』の概要:『ダンサー・イン・ザ・ダーク』『ニンフォマニアック』などで知られるラース・フォン・トリアーが、自身の闘病経験をもとに人間の精神世界を過激に描写する。主演はウィレム・デフォーとシャルロット・ゲンスブール。

映画『アンチクライスト』の作品情報

アンチクライスト

製作年:2009年
上映時間:104分
ジャンル:ヒューマンドラマ、サスペンス
監督:ラース・フォン・トリアー
キャスト:シャルロット・ゲンズブール、ウィレム・デフォー、ストルム・アヘシェ・サルストロ etc

映画『アンチクライスト』の登場人物(キャスト)

彼(ウィレム・デフォー)
セラピスト。自らの責任で息子が死んだと思い込んでいる妻を治療するため、献身的に彼女に尽くす。
彼女(シャルロット・ゲンスブール)
息子の死をきっかけに精神を病む。

映画『アンチクライスト』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『アンチクライスト』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『アンチクライスト』のあらすじ【起】

古いアパートの一室である夫婦が愛しあっている。その間に幼い息子がベッドを抜け出し、窓辺に立っていることにも気が付かずに。二人の情交中に息子は足を滑らせ、転落死する。

息子の死がきっかけで妻は心を病んでしまう。自責の念にかられ、自傷行為に走る彼女の姿を見かね、セラピストである夫は自らの手で治療することを決意する。

妻の病因は、心の内にある恐怖からであると推測した夫は、あえてその恐怖に身を浸すことによってそれを克服させようと試みる。
彼女に恐怖の所在を聞く夫。彼女は生前の息子とよく通った「エデン」と呼ぶ森の存在を告げた。夫はその森の存在を詳しくは知らなかったが、そこへ行けば彼女の病因の解決に近付けるのではと思い、彼女と二人エデンへ向かうことを決意する。

森へ向かう列車の中で夫は、森の中にいるイメージを浮かべてみてと彼女に言う。彼女は空想の森の中で、草木の緑に横たわり徐々に同化していった。

エデンの奥に建つ小屋での二人の生活が始まる。

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映画『アンチクライスト』のあらすじ【承】

エデンでの治療が始まったが、初めのうちこそうまくいかず、彼女は何度も発作を繰り返す。彼女のそばに寄り添い続ける夫だが、一方でそんな彼も森の中に不穏な気配を感じ始めていた。

あるとき夫は、森の中で腸の飛び出した鹿を目撃する。

珍しく体調の優れている妻が、その昔息子とここを訪れた際のエピソードを語る。
ある朝、息子の泣き声で目が覚める。慌てて隣の小屋へ様子を見に行くが、息子は何事もなくそこにいた。しかし何者かの泣き声は尚も森の中をこだましていたという。
妻はその声を”死んでいくすべてのものの声”だと推測するが、夫はそれを否定する。

夫はある日、部屋の中から妻が読んでいた『殺戮』というタイトルの本と、それを論じる彼女のレポートを発見する。その傍らには死んだ息子の写真がある。何気なく写真を眺めていた夫だが、違和感を覚える。

その日、彼は森の中で自らの体を食いちぎるキツネを目撃する。キツネは彼に語りかける。
「カオスが支配する」

映画『アンチクライスト』のあらすじ【転】

妻の病状が再び悪化していく。それは二人の性の営みの最中に顕著に現れた。彼女は夫に「私を殴って」と懇願するが、妻を愛するがゆえそれができない。
腹を立てた妻は全裸で家を飛び出し、大樹のもとで自慰に耽る。

以前読んだ彼女のレポートから、彼女の中に「女性は悪魔である」という考えが芽生えていることを感じた夫は、彼女の恐怖の根源は彼女自身の存在なのではないかと結論づける。

小屋にある封書が届いた。それは夫が妻に内緒で調べていた息子の検死報告書だった。死んだ息子は生前から、足の骨が歪んでいた。そこで彼の頭の中にいつか部屋で見た息子の写真がよみがえる。息子は妻によって、常に左右反対に靴を履かされていた。
そのことを妻に咎めると彼女は逆上し、夫を殴り気絶させる。

自分を捨てて夫はどこかへ去ってしまうのではないかという疑念にかられた妻は、夫の脚と砥石をボルトで固定し、身動きを取れなくさせる。

妻の常軌を逸した行動に夫は恐怖し、彼女の目を盗み逃亡を図る。
森の中を這い進む彼の耳に、遠くで喚く彼女の声が聞こえる。
彼は偶然現れたキツネの巣穴に身を隠す。巣穴の中を検分していると、土中からカラスが飛び出し、大声で鳴き始める。その声に導かれ、妻が姿を現した。

映画『アンチクライスト』の結末・ラスト(ネタバレ)

正気を取り戻した妻は、夫を助け起こし再び小屋の中へ。
夫が「僕を殺す気か?」と尋ねると、彼女は「まだよ。三人の乞食が現れてから」と答えた。

妻は「私を抱いて」と夫に詰め寄るが、行為の最中に息子の姿が過り断念する。息子が転落したその日、彼女は快楽の中で窓辺に立つ息子の姿を確かに認識していた。そのうえで見過ごしていたのだった。
取り乱した彼女は、自らの局部をハサミで切り取る。

その直後、部屋の中に鹿、キツネ、カラスが訪れる。
そのときがきたと悟った夫は、脚に固定されたボルトを外そうと試みる。そこにハサミを持った妻が襲い掛かるが、すんでのところでボルトを外し、夫は彼女の首を絞め殺害する。
翌日、大樹の根元に彼女の遺体を横たえ火葬する夫。森を抜けようと歩き出す彼の姿を、鹿とキツネとカラスが見つめている。

森の中で彼は立ち止まる。遠くから何人もの顔のない女性たちが近寄ってくる。やがて彼は何人もの女性に囲まれ、彼女たちは彼の横を通り過ぎどこかへ向かい歩いていく。

映画『アンチクライスト』の感想・評価・レビュー

ラース・フォン・トリアーという監督は物議を起こす作品が多いです。今作も然り。
そして、非常に陰鬱で恐ろしい。
最愛の息子を失って苦悩する夫婦は観ていて辛いものがありますが、それ以上に精神世界と現実が混ざった世界観に圧倒されました。繰り返し観るような映画では無いと思います。鑑賞後のなんとも言えない後味の悪さと絶望感はパンチ力が強過ぎました。(女性 20代)


本作は、プロローグ、第一章嘆き、第二章苦痛(カオスが支配する)、第三章絶望、第四章三人の乞食、エピローグという構成で成り立っている。
冒頭の夫婦が愛し合う最中、幼い我が子が雪の中を転落死するモノクロシーンがトラウマ的だが美しかった。
美しくて静かな雰囲気だけれど、痛々しい描写があり嫌悪感を感じるような、一言でまとめることのできない多面的な作品だ。
無駄が削ぎ落とされていて、気が付いたら真相に近づくにつれて段々見入っていった。
鑑賞後に絶望感や陰鬱な余韻を残す感じがとても好みだった。(女性 20代)


ウィレム・デフォーってすごく印象に残る演技をしますよね。『スパイダーマン』のイメージが強すぎて、彼が出ているときっとラストは裏切るだろうなと変な憶測をしてしまうほど。この作品で彼が演じるのは息子を事故で亡くしたセラピスト。特に悪の様子も無いのでこの作品はいい人かなと思っていましたが、奥さんがかなりヤバいやつでした。
そもそもこの作品の内容を全く知らないまま見始めましたが、かなり過激でハードな作品です。苦手な人はかなり体力を消耗するだろうな…。私はこの作品、大好きでした。(女性 30代)

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