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映画『ある結婚の風景』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『ある結婚の風景』の概要:五時間に及ぶテレビドラマシリーズとして製作され、人気を呼び映画化。スウェーデンの名監督ベルイマンと撮影監督スヴェン・ニクヴィストの名コンビが、ある平凡な夫婦の赤裸々な生活を映し出す。

映画『ある結婚の風景』の作品情報

ある結婚の風景

製作年:1974年
上映時間:168分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:イングマール・ベルイマン
キャスト:リヴ・ウルマン、エルランド・ヨセフソン、ビビ・アンデショーン、ヤン・マルムショ etc

映画『ある結婚の風景』の登場人物(キャスト)

マリアン(リヴ・ウルマン)
主に離婚訴訟を取り扱う弁護士。夫・ユーハンと二人の娘と円満な生活を送っていたが、ある日ユーハンから愛人の存在を打ち明けられる。新たな恋人と家庭を築くが、ユーハンとの逢瀬を止めることができない。
ユーハン(エルランド・ヨセフソン)
マリアンの夫。心理学研究所の教授を務めている。ポーラという若い愛人と家を出てゆくが、やがてマリアンとの離婚を後悔し始める。
ペーテル(ヤン・マルムシェー)
ユーハンの友人。マリアンとユーハンの夫婦仲を理想的だと褒める。妻とは冷めきっており、ユーハンの家で大喧嘩を繰り広げたのちに離婚してしまう。
カタリーナ(ビビ・アンデショーン)
ペーテルの妻。マリアンとユーハンの食事の席に呼ばれるが、ペーテルの発言に気を悪くし、激情する。

映画『ある結婚の風景』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『ある結婚の風景』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ある結婚の風景』のあらすじ【起】

マリアンとユーハンは、周囲から羨まれる理想的な家庭を築いていた。ユーハンが心理学研究所の教授をしている関係で、夫婦は雑誌の取材を受ける。初めは恋愛感情など無かったが、やがて生まれた愛によって結びついたのだと口を揃えて話す。だが、二人は互いのいないところで、全くすれ違った意見を記者に打ち明けるのだった。

二人は友人夫妻を食事に招く。会は和やかに始まるが、カタリーナ夫人が夫ペーテルの失言によって気を悪くしたことで、夫妻の激しい口論が繰り広げられる。夫妻の間では、常から離婚の話が持ち上がっていたようだ。ついにカタリーナは、ペーテルにワインをかけて家を出ていってしまう。その夜、マリアンとユーハンは先の長い結婚生活について意見を交わす。マリアンは、夫婦が理解し合えるとしたら、同じ言葉で話しているからだと持論を述べる。

マリアンは三人目を身籠もるが、夫婦にとっては望まぬ妊娠であった。結局、堕胎を選んだが、マリアンは後悔の念を消すことができない。

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映画『ある結婚の風景』のあらすじ【承】

休日を家族水入らずで過ごすため、実家での食事を断ろうとするマリアン。だが、電話越しに母の猛反対に遭い、断念する。子供のように扱われていると落ち込むが、ユーハンは彼女を優しく慰める。そこでマリアンは急遽、今夜のユーハンとの食事をセッティングするが、ユーハンは困っている様子だ。マリアンが家を出ると、こっそりと誰かに電話をかける。

マリアンの事務所に、老年の女性が離婚相談にやってくる。彼女は愛がないという理由で、何不自由ない二十年もの結婚生活に終止符を打つという。初めは呆れた顔のマリアンだったが、愛する能力が発揮されないことで、物事を見たり聞いたりする感覚まで失われてきたという彼女の発言に、ひどく共感を覚える。

ユーハンは、順風満帆な結婚生活が突然崩れるのではないかと、ふと不安を口にする。そんな彼を否定し、自分たちは幸福な夫婦であると言い切るマリアンだが、セックスレスの話を持ち出され、いつものように口論になる。

映画『ある結婚の風景』のあらすじ【転】

帰宅したユーハンを上機嫌で迎えたマリアンだが、彼の様子がおかしい。理由を尋ねたところ、ユーハンは衝撃の告白をする。ポーラという若い愛人ができたというのだ。さらに明日には彼女とパリへ飛び、半年以上は帰らないつもりらしい。マリアンは愕然とし、突然の別れに泣き暮れる。激しく口論を交わす二人だが、ユーハンの決意は固く、すでにマリアンに成す術はない。その夜、二人は慰め合うようにして体を重ねる。そして翌朝、ユーハンは家を出ていってしまう。マリアンは助けを求めて友人に電話をかけるが、ユーハンの浮気は周知の事実であった。馬鹿にされた気分になり、マリアンはヒステリックになって電話を投げつける。

夫婦は一年越しに再会する。昇進が決まったものの、ポーラに飽きていたユーハンは、マリアンに未練があるようだ。一方で、新しい恋人ができ、若々しくなったマリアンは離婚に乗り気だ。しかしユーハンに迫られ、彼への愛を再確認する。二人はベッドを共にするが、マリアンの恋人からの電話で白けてしまい、ユーハンは家を出てゆく。

映画『ある結婚の風景』の結末・ラスト(ネタバレ)

ユーハンのオフィスで離婚の書類をまとめる夫婦。二人は酒を嗜み、キスを交わしながら円満に進めていたが、昇進を取り消され、ポーラにも浮気されたユーハンは愚痴ばかりこぼす。そんな弱ったユーハンに、マリアンは魅力を感じなくなったと言い放ち、激論になる。ついにユーハンは、離婚を後悔していると白状する。やり直そうと持ちかけるユーハンだが、マリアンは動揺しながらも頑として受け入れない。劇場したユーハンは、帰ろうとするマリアンを殴る蹴るで引き止めるのだった。

夫婦の離婚はとうに成立し、それぞれ平凡な家庭を築いていた。ユーハンは関係を持った同僚に投げやりに別れを持ちかけ、マリアンに会いにいく。二人はかつて暮らした家に七年ぶりに向かう。懐かしいベッドに寝転んだが、哀愁に居心地が悪くなったため、友人の別荘に移動する。口笛を吹きながら部屋を片付けるユーハンの背中を見て、マリアンはたまらなく愛しさが込み上げてくる。

今の夫と、性生活の面で新しい感覚が拓けたというマリアンに、ユーハンは嫉妬する。二人は「真実」についてもう話さないと約束する。

その夜、マリアンは悪夢にうなされて目を覚ます。ユーハンに抱きしめられながら、本当は愛など一度も経験したことがないと打ち明ける。そんな彼女に、僕らは愛し合っているのだと、ユーハンは言い聞かせ続ける。

映画『ある結婚の風景』の感想・評価・レビュー

カメラが息をしているようだ、と思った。マリアンのまつ毛のかすかな動きまで捉えたとき、たまらない感動を覚えた。画面からは無駄な情報の一切が省かれ、食い入るように見つめてしまう求心力がある。セリフの膨大さに比例せず、なぜか単調な会話劇にならない。エゴのぶつかり合うくだらない痴話喧嘩が、真に迫り、躍動している。

撮影監督スヴェン・ニクヴィストは天才だ。そして彼の相棒であるベルイマンは、今後私が「好きな映画監督は?」と聞かれたとき、真っ先に挙げる名前だろう。『ベルイマン監督の恥』に続き、彼らの生み出す映像に心を撃ち抜かれた。(MIHOシネマ編集部)


この作品はある1組のおしどり夫婦の出会いから結婚、そしてすれ違いや別れまでを描いている作品で、もともとはTVシリーズの1話50分、全6話で構成されたものでした。それを映画用に約2時間半にまとめています。
夫婦ってなんだろうと考えてしまう作品でした。この夫婦に限らずですが、どんなに好き同士で付き合って結婚しても、あるきっかけでその関係が崩れてしまうこともあるのだなと、人間の面白さを感じました。
TVシリーズの約300分も見たくなるほど、クセになる作品でした。(女性 30代)

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