映画『明日泣く(2011)』の概要:武は学校や家に居場所がなく、雀荘に入り浸ってフラフラしていた。ある日、同級生のキッコと出会い、交流を持つようになる。キッコは音楽の才能を見出され、音楽教師から指導を受けていた。だが、キッコは自分の好きなピアノ演奏ができず、不満を抱いていた。
映画『明日泣く』の作品情報
上映時間:76分
ジャンル:ヒューマンドラマ、青春
監督:内藤誠
キャスト:斎藤工、汐見ゆかり、武藤昭平、井端珠里 etc
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映画『明日泣く』の登場人物(キャスト)
- 武(斎藤工)
- 10代の頃からどこにも居場所がなく、雀荘に入り浸るようになる。夢だった小説家になり22歳のときに小説の新人賞を取るが、それ以降は書けなくなる。キッコに惹かれているが、どこか一線を引いて接している。
- 定岡菊子(汐見ゆかり)
- 通称キッコ。武の高校の同級性。ジャズピアニスト。周囲にはニューオーリンズ出身だと言っているが、本当は沖縄生まれのグアム育ち。キッコの父はミュージシャン崩れの観光ガイドで、キッコが幼い頃に蒸発している。
- 島田(武藤昭平)
- 売れっ子ミュージシャン。キッコと関係を持ち、バーの前座の仕事を斡旋している。
- クレイグ・ハンター(マービン・レノアー)
- ニューオーリンズ出身のジャズドラマー。キッコの憧れの人物。
- ヨシナガ先生(奥瀬繁)
- 武達の高校の音楽教師。キッコのピアニストとしての才能を見出す。ピアノ指導をしているときにキッコとの関係が悪化し、心中事件に巻き込まれる。キッコに対して、父のような恋人のような複雑な感情を持っている。
- みずゑ(井端珠里)
- 武の担当編集者。武のことが好きで、キッコの存在に嫉妬している。大学を中退して会社に就職しているため、担当する武の小説をヒットさせて出世しようとしている。
映画『明日泣く』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『明日泣く』のあらすじ【起】
武は10代の頃から家にも学校にも馴染めず、雀荘に入り浸っていた。雀荘にいる大人からは、子供が来るところじゃないとあしらわれるが、札束を見せれば文句も言われず仲間に入れた。麻雀の腕も悪くなく、大人相手に勝つこともあった。
武が喫茶店にいると、同級生のキッコ(定岡菊子)が駆け込んできて隣に座った。その後から、音楽教師のヨシナガ先生が入ってきた。だが、武の姿を見ると、強張った顔をして出て行った。キッコは武の煙草を一本吸うと、助かったと言って帰っていった。武がキッコと話したのは、この日が初めてだった。
ヨシナガ先生はキッコに音楽の才能を見出し、マンツーマンで指導をしていた。そのおかげで、キッコは音楽大学への推薦入学がほぼ決まっていた。だが、キッコが好きなのはジャズ音楽だったため、試験用に練習しているクラシックの指導に耐えられなくなっていた。2人の間の溝は、広がるばかりだった。
キッコは武が小説家を目指していることを馬鹿にせず、ニューオーリンズ出身の小説家の本を武に貸した。そして、これぐらい読めないと作家にはなれないと激励した。キッコの夢は生まれ故郷のニューオーリンズで、ピアノを演奏することだった。武はその話を黙って聞いていた。
武が喫茶店で小説を書いていると、突然現れた女性に小説を読み上げられ、からかわれる。武は恥ずかしくなり、逃げるように喫茶店を後にした。その姿を、女性は楽しそうに見送った。後日、武はカジノでその女性と再会する。女性は武に金を渡し、一緒にやろうと指で誘った。
武が家に帰ると、父にこんな時間までどこに行っていたのだと叱られる。父は勝手なことばかりしていたら同じ末路を辿るぞと、新聞を投げてきた。そこには、「教師が教え子と心中図る 恋愛感情のもつれか」と書かれていた。キッコはその日から学校に来なくなった。
映画『明日泣く』のあらすじ【承】
武は22歳のときに小説の新人賞を取った。だが、それ以降は全く書けず、その場限りの文章を何とか書いて仕事を繋いでいる有り様だった。その頃に父が亡くなり、武は遺産を相続した。武は遺産をすぐに切り崩すと、賭場に入り浸った。周りからは、武は書かなくなったのではなく、書けなくなったのだと噂されていた。
武の馴染のカジノに警察の手入れが入った夜、武は知り合いのミュージシャンの島田とバーを訪れた。そのバーでピアノを演奏していたのは、キッコだった。武はキッコが演奏する姿を、驚きながら見ていた。島田が席を離れたときに、武はキッコと言葉を交わした。キッコの存在が自分と同じように、どこか頼りなく感じた。
武はバーの閉店時間に目を覚ました。すると、島田とキッコが体を求め合っていた。武はそのことに驚き、戸惑った。しかも、キッコは結婚している人妻だった。キッコを迎えに来た結婚相手は、ヨシナガ先生だった。ヨシナガ先生はキッコが誰と関係を持っていても、気にしていない様子だった。
担当編集者のみずゑが怒りながら武の家を訪ねてきた。ヤクザが武の借金を肩代わりしろと、出版社に怒鳴り込んできたのだ。周りは武に何の期待も抱いていなかったが、みずゑは武のことを心配していた。大学中退後に会社に入っていたため、武のような目が出ていない人の作品をヒットさせなければ、出世が見込めないからだった。武はみずゑの博打のような考え方が気に入り、小説を書く気になった。そして、一緒にキッコの取材に行った。
みずゑはキッコの話を聞いて、楽をしながら生きているように感じ、良い御身分だと皮肉った。だが、みずゑは仕事のために努力していた。ヨシナガ先生は家事をさせてくれず、時間があればピアノの練習を強要してくるほどだった。みずゑが腹を立てて帰ろうとしたため、武は演奏を見て行けと引き止めた。
武は島田にもキッコの話を聞いた。キッコはずっと前座としてピアノを演奏しており、腕もたいしたことがないと貶されていた。しかも、最近は遅刻も多く、周りも手を焼いている有り様だった。武が真剣にキッコの演奏を聞いているのを、みずゑは複雑な気持ちで見ていた。みずゑは武が書いた小説の登場人物のモデルがキッコだったことに気づくが、武は架空の人物だと誤魔化した。
映画『明日泣く』のあらすじ【転】
キッコは島田からクビを言い渡される。怒ってバーを出て行ったキッコを、武は追いかけた。キッコは好きなように弾かせてくれなかったバーに、未練はなかった。幼い頃からきっと泣きを見るぞと周りから言われていたが、キッコは今まで一度も泣いたことはなかった。生きたいように生きるから、後悔はしないのだ。キッコが望む夢は「定岡菊子トリオ」を結成し、満員の会場で好きな曲を思いっきり演奏することだった。
キッコは武を連れて、ニューオーリンズから来た一流のドラマー(クレイグ)がいるバーに足を運んだ。武はクレイグの演奏に、素直に感動した。キッコは徐にステージに上がると、自らピアノを弾いて、クレイグに最後にこの曲を演奏してはどうかと提案した。キッコはクレイグとの共演を楽しんだ。
武は酔っ払ったキッコを自宅に送り届けた。キッコが浮かれている様子を見て、ヨシナガ先生に何があったのか問い掛けられる。武はクラブでクレイグと演奏したことを話した。その時ヨシナガ先生から、キッコが実は沖縄生まれのグアム育ちであることを打ち明けられる。キッコの父はミュージシャン崩れの観光ガイドで、キッコが幼い頃に蒸発していた。
武は高校の頃に借りた小説を返すため、キッコの自宅を訪ねた。すると、ヨシナガ先生に声を掛けられ、一緒にキッコの帰りを家の前の階段に座って待つことになる。武はなぜ結婚したのか、ヨシナガ先生に尋ねた。ヨシナガ先生はキッコの人生を狂わせてしまったからだと話しながら、本当は自分の人生の方が狂わされたからだと笑った。あの心中事件は、この世から消えてしまいたいと願ったキッコが起こしたものだった。ヨシナガ先生はキッコの父親代わりとして見捨てることができなかったのだ。だが、ヨシナガ先生はそう言いながらも、男性と帰って来たキッコを複雑そうな顔で見ていた。
映画『明日泣く』の結末・ラスト(ネタバレ)
武はカジノに行き、馴染の女性が亡くなったことを教えられる。遊びとホテル代のツケが1億以上あって、首が回らなくなったのだ。その夜、警察の手入れがあり、武は現行犯で逮捕されてしまう。罰金を払うだけで済んだが、今回のせいで出版社との契約が打ち切りになってしまう。
キッコが武の家を訪ねてきた。キッコはヨシナガ先生と別れ、フラフラと色んな家を渡り歩いていた。だが仕事は順調で、クレイグからピアノの演奏を認められ、一緒にセッションしようと話を持ち掛けられていた。キッコが高校生の頃に借りた本を手に取り懐かしんでいたので、武は父親に捨てられ、母を亡くした息子が父を探して旅をする話をした。それは借りた本の内容だったのだが、キッコは一瞬自分のことを言われたように感じ、気持ちが不安定になる。キッコは徐に麻薬を取り出し、吸おうとした。武はそれに驚き、自分の家でやれと怒鳴った。キッコは自分の家なんてないと泣き出し、出て行ってしまう。
キッコはクレイグ達を雇って「定岡菊子トリオ」を結成していたが、ギャラが支払えなくなる。雀荘にいる武に会いに行き、お金を貸してほしいと頼んだ。だが、武は貸すお金など持っていなかった。キッコは自分の体を掛けて、勝負をして欲しいと頼んだ。周りの男達がそれに乗ったため、武はキッコの体を掛けて麻雀をすることになる。武は見事勝利を収める。
「定岡菊子トリオ」の評判は上がり、キッコの夢は叶おうとしていた。そんな時、クレイグが麻薬取締法違反で捕まってしまう。密告したのはヨシナガ先生だった。武はその話をみずゑから聞き、驚愕した。その時、キッコから電話が掛かってくる。キッコは故郷のニューオーリンズに戻ることを話した。武はあまり無理をするなと、キッコの演奏が聞ければそれでいいのだと、素直な気持ちを伝えた。この日が、キッコと話した最後の日だった。
武は「明日泣く」という小説を書き上げた。キッコはUFOと交信できるピアニストとして、テレビ出演していた。武はどこかの国で泣いているキッコを思い浮かべたかったが、キッコはきっと泣かないと思った。
映画『明日泣く』の感想・評価・レビュー
ストーリーにはあまり盛り上がりがなかったが、斎藤工さんが演じる役がハマり役だったので、余計に他の方々が棒読みぎみだったことが目立ってしまい残念だった。演奏シーンは素晴らしく、雰囲気もいい映画になっているので、この作品は雰囲気を楽しむものだと割り切って観ると楽しむことが出来ると思った。
独特の雰囲気だったのは何だったのだろうかと思って調べてみたら、色川武大の短編小説が原作にあると知り、妙に納得することが出来た。(女性 20代)
原作は色川武大の「小さな部屋・明日泣く」。彼の作品は大体が自叙伝なので、今作もきっとそうだと思うのですが、主人公があまりにもかっこよすぎる。斎藤工が演じているので、色気がありすぎます。役としては完璧ですが、これが色川武大…と考えると違和感を感じてしまいます。
原作で描かれていた主人公はかなり堕落していて、でも女に好かれる。その女ウケする色気の部分が本当に最高でした。
ピアノやジャズ、純喫茶など雰囲気で楽しめる作品です。(女性 30代)
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