映画『ブルーム・オブ・イエスタディ』の概要:ナチスドイツの戦犯を祖父に持つホロコースト研究者の主人公が、ナチスドイツ被害者の祖母を持つフランス人女性と出会う。極端な考え方を持つ2人は、対立し喧嘩しながらも次第に距離を縮め、惹かれ合うようになる。
映画『ブルーム・オブ・イエスタディ』の作品情報
上映時間:126分
ジャンル:コメディ、ラブストーリー、ヒューマンドラマ
監督:クリス・クラウス
キャスト:ラース・アイディンガー、アデル・エネル、ヤン・ヨーゼフ・リーファース、ハンナー・ヘルツシュプルンク etc
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映画『ブルーム・オブ・イエスタディ』の登場人物(キャスト)
- トト(ラース・アイディンガー)
- ホロコースト研究者で州司法行政の研究所に所属しているが、人付き合いが苦手で短気。ナチの家系で驕った思想に毒されていたが、17歳の時に脱却。黒人の子を養女に貰い、認知症を患う祖母を持つ。実は性的に不能者だったが、ザジと心を通わせ復活する。
- ザジ(アデル・エネル)
- ホロコーストの犠牲となり、ナチやドイツに対して恨みを抱える親族を持つ。偏った見方をしており、酷く頑なな面がある。そのせいで精神的に不安定で、何度も自殺を図っている。トトの苦悩を目の当たりにし、惹かれ合うようになる。
- バルタザール(ヤン・ヨーゼフ・リーファース)
- 研究所の同僚。物事を冷静に判断することのできる人物であるが、トトとはいつも対立している。ザジとは愛人関係にあり、彼女のために妻と離婚する。
- ハンナ(ハンナー・ヘルツシェプルンク)
- トトの妻で獣医。夫の理解者であるが、たまに煩わしく思っている。不能である夫からは浮気を容認され、複雑な感情を抱きつつもトトと養子の子へと愛情を注いでいる。
映画『ブルーム・オブ・イエスタディ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ブルーム・オブ・イエスタディ』のあらすじ【起】
ドイツ、州司法行政の中央研究所にて、第二次世界大戦中のナチがユダヤ人などに対して組織的に行った大量虐殺、ホロコーストの研究を行っているトト。彼は高齢な教授の元でアウシュビッツ会議へ向けて一心に準備を行ってきたが、同僚のバルタザールに発表の座を奪われてしまう。その上、研究所は財政難で窮地を救うべく研究所を催事場として貸し出すことにしたものの、その件でバルタザールと大喧嘩。研究所内は騒然となったが、騒ぎの最中に教授の容態が急変し帰らぬ人となってしまうのだった。
その後、研究所にインターンが来ることになり空港へ。フランスからやって来たインターン、ザジは教授が飼っていた小型犬をヒトラーの犬なら安楽死させるべき、装甲車には絶対に乗らないなど、酷く頑なで偏った考え方をしているのだった。どうやらザジの祖母はホロコーストの犠牲者であり、彼女の一族はナチやドイツに対して、少なからず恨みの念を抱えている。しかも、彼女はバルタザールの愛人だと自ら告白。それに加えてインターンであるため、知識も不足しており、トトは彼女を内心バカな子だと思っていた。
対してトトはヒトラー親衛隊に所属していた祖父を持ち、研究熱心で知識も豊富ではあるが、人付き合いが苦手で、嫌味の応酬ばかりしてしまう。特にバルタザールとは犬猿の仲でいつでも対立している。彼もまた偏った考え方をしており、同僚からも顰蹙を買うことが多かった。
実質、ザジの面倒を見ることになったトト。互いに極端な考え方をする2人は、遠いようでいて実は近く似た者同士である。そこで、バルタザールはアウシュビッツ会議に執着を見せるトトに、ザジと一緒に会議の準備をするよう命令するのだった。
映画『ブルーム・オブ・イエスタディ』のあらすじ【承】
会議にて講演を頼むべく、ホロコーストの犠牲者で存命中の婦人を訪ねた2人。だが、トトは生き証人でもある婦人の挑発に煽られ、またも失言してしまう。このことにより、婦人が講演をしないと言ってしまえば、マスコミも来ないだろうし補助金も出ない。最悪な状況である。自分の行いに落ち込み、ザジの会話でも苛立ちを募らせるトト。
彼はカフェのトイレにて妻ハンナに慰めてもらおうと電話。ところが、仕事中であるはずのハンナは、別の男と浮気中だった。しかし、夫婦間でのルールでは浮気をしても良いことにしている。問題なのは、行為自体が診療時間内に行われていることだ。トトはルールを破ったハンナに激怒。怒りは他の利用客2人へも飛び火し、トトは恰幅の良い男性に殴られてしまう。そこへザジが登場し、彼を助けてくれるのだった。
その日の夜はザジが滞在しているゲストハウスへ。怪我の手当てをしてもらったが、そういう時に限ってバルタザールが彼女を訪ねて来る。どうやら、愛人だというのは事実らしい。ザジがバルタザールの対応をしている間、彼女の資料に目を止めたトトは、ある歴史書を開く。その歴史書にはトトの祖父の経歴が詳細に記載されている。彼は彼女の本を持ってひっそりと自宅へ帰った。
翌日、トトが失言をしてしまった婦人が研究所を訪れ、バルタザールと面会。婦人は収容所での記憶に共感できる教授がいたから講演を了承したのだと言う。故に教授亡き今、講演をする必要はないと考えていた。
一方、ザジへと本の件で詰め寄ったトトは、彼女の祖母が祖父と同じクラスの同級生であったことを知り愕然となる。
映画『ブルーム・オブ・イエスタディ』のあらすじ【転】
一族内でも唯一、祖父の行いを非難し家族から勘当の憂き目にあっているトト。彼はザジが話し合いたいと望んでも、頑なに拒絶。彼女はトトと話をするためにインターンでドイツへ来たと言う。それでも話し合おうとしないトトを引き留めるため、ザジはその場にあったペンキを頭から被り、トトと話し合う機会を得ることに成功するのだった。
被害者の家系であるザジも一族の運命を背負い、苦悩していた。過去に囚われているのは、トトも同じである。何だかんだと口喧嘩しつつも、2人は互いに認め合い徐々に心を寄せ合うようになる。
アウシュビッツ会議開催は教授の悲願であった。そのため、婦人が講演を承諾する条件として、ウィーンに住む同じ被害者に会議への参加を要請することに。
ところが、高齢であったことから、ザジとトトがウィーンの自宅を訪ねた時にはすでに亡くなっており、希望が潰えてしまう。こればかりは、どうしようもない。
バルタザールには目的の人物は体調不良で、会えなかったと話した。その後、2人は気を取り直して観光へ。夜はバーで酒を飲みながら、互いの事情を明かし更に距離を縮めた。
しかし、翌朝。目が覚めたトトは、ホテルの浴室で手首を切り自殺を図っているザジを発見。慌てて彼女を病院へ搬送した。幸い、命に別状はなく助かったものの、どうやら自殺はこれが初めてではないらしい。更にザジは教授からトトの話を聞き、3年前から彼へと恋心を抱いていたと言うのだった。
映画『ブルーム・オブ・イエスタディ』の結末・ラスト(ネタバレ)
その後、2人はラトビアのリガへ。かつて彼らの祖父と祖母が在籍していたギムナジウムを訪れる。
同じ頃、トトとザジの関係に気付いたバルタザールは、トトの祖母へと会いに行っていた。
日中は強制収容所跡を巡り、その日の夜はホテルへ一泊。ザジとトトは、とうとう体を重ねてしまう。ドイツへ戻った2人は、それぞれの相手へと別れを告げ、一緒になろうと考える。
だが、バルタザールはザジと別れたくないあまりに刑務所へ収監中のトトの兄に会わせ、トトの真実を知らしめる。このことでショックを受けたザジは、教授が残した家でトトと大喧嘩してしまう。
トトは若い頃、ナチの思想を正当化する祖父と兄をとても慕っていたが、17歳の時にその思想が誤っていることに気付き、ホロコーストの研究者を目指すことにしたのだ。
だが、ザジは怒りのあまり正気を失い、彼の苦悩を理解することなく去ってしまうのだった。
その後、アウシュビッツ会議での講演は無事に行われ、成功を収めた。傷心のトトはハンナの元へ戻り、ホロコーストの研究をやめることにした。
それから5年後。街でばったりザジと遭遇。彼女は3歳になる息子を連れていた。トトは人種融合研究所へ仕事場を移し、今は別の研究を行っている。世間話をした後、別れた2人。しかし、そのすぐあとでトトの娘が言う。ザジの子供は女の子でカルミナと呼んでいたと。それは5年前にトトとザジが抱き合った後、2人で決めた子供の名前だった。
映画『ブルーム・オブ・イエスタディ』の感想・評価・レビュー
第二次世界大戦中の選民思想により行われた大虐殺をテーマにした恋愛映画。ナチの親衛隊隊長だった祖父を持つ主人公と、ユダヤ人で被害に遭った祖母を持つヒロインが互いの苦悩を理解し合い、次第に惹かれ合っていくという内容だが、どちらも極端な考え方をしており、精神的にも均衡を崩している。
どちらも感情的に不安定で急に怒り出すため、彼らにとってはまだ戦争は終わっていないのだろうと思われる。第三世代にまで影響を及ぼすほどの酷い惨劇だったのだろうが、主人公もヒロインも研究者でありながら、客観的に見る目をあまり持っていない。複雑な事情を抱えつつも、展開される恋模様にやきもきさせられる作品。(MIHOシネマ編集部)
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