映画『カメラを止めるな!』の概要:ゾンビ映画の製作中、突如本物のゾンビに襲われる出演者。緊迫した状況下でもカメラで撮影が続行される理由とは。低予算ながらもロングランヒットを記録した本作。ホラー映画と見せかけて無数の仕掛けが練りこまれた新感覚ムービー。
映画『カメラを止めるな!』の作品情報
上映時間:96分
ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ、ホラー
監督:上田慎一郎
キャスト:濱津隆之、真魚、しゅはまはるみ、長屋和彰 etc
映画『カメラを止めるな!』の登場人物(キャスト)
- 日暮隆之(濱津隆之)
- 再現VTRを中心に撮影する監督。ある日、カットなし生放送で放映されるホラー映画作品に携わることになる。
- 日暮真央(真魚)
- 隆之の娘。父親と同じ撮影監督を目指すが熱量が高いあまり周囲へ迷惑をかけがち。
- 日墓晴美(しゅはまはるみ)
- 隆之の妻。元女優で引退はしているものの女優業には未練がある。
- 松本逢花(秋山ゆずき)
- 日墓が監督する映画「ONE CUT OF THE HEAD」の主演女優。撮影では何かと理由をつけて演出へNGを言いがちなナルシスト。
- 神谷和明(長屋和彰)
- 「ONE CUT OF THE HEAD」にて松本の相手役俳優。演技への意識が高いが演出に対し納得いかない点を躊躇なく言うため少々生意気。
- 細田学(細井学)
- カメラマン役の俳優。アルコール依存で撮影現場のスタッフを困らせる。
- 山越俊助(山﨑俊太郎)
- 録音役の俳優。硬水を飲んでしまうとお腹を下してしまう体質。
- 古沢真一郎(大沢真一郎)
- 「ONE CUT OF THE HEAD」を放送するテレビ局の番組プロデューサー。
映画『カメラを止めるな!』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『カメラを止めるな!』のあらすじ【起】
山奥にてホラー映画「ONE CUT OF THE HEAD」の撮影が行われていた。ヒロインのゾンビに迫られる表現について納得のいかない映画監督は女ヒロイン役の女優を厳しく指摘する。
撮影の休憩中、ヒロインの相手役の俳優とメイク担当は落ち込む女優を励ます。そんな中、メイク担当は、撮影現場はかつて政府が極秘裏に実験を行っていたために死人が蘇ったと噂される土地であると2人に説明する。冗談半分に話したメイク担当であったが、突如外へ繋がる扉が何者かに叩かれる音がする。
外の扉が開かれると助監督とカメラマンが本当のゾンビになっており3人に襲い掛かってくる。そこへ監督が姿を現し、演技ではない本物のリアクションが取れるため撮影をこのまま続行することを3人へ伝える。
その後、録音係もゾンビ化してしまい3人はさらに窮地に追い詰められてしまう。そんな中、女優がゾンビにかまれたことを疑ったメイク担当は持っていた斧で襲い掛かる。
俳優は女優を守るためメイク担当を殺害する。襲い掛かってくるゾンビに抵抗しつつも最終的に俳優もゾンビ化してしまう。
混沌と化した状態になった女優は、相手役の俳優や監督も斧で殺害し、血で地面に書かれた五芒星のところへ行く。五芒星の中心に立った女優が上を眺める姿を上空から引きで撮影したところでエンドロールが突如流れ始めた。同時に「ONE CUT OF THE DEAD」という映画シークレットが表示され映画の幕が閉じる。
ゾンビ映画の撮影中に本物のゾンビに襲われるというところまでが1つの作品となっているフィクション映画であった。
映画『カメラを止めるな!』のあらすじ【承】
「ONE CUT OF THE DEAD」の放映1ヵ月前、再現ムービーを中心に手掛ける監督、日暮隆之のもとへ番組プロデューサーの古沢真一郎から声がかかる。古沢は今度ゾンビ専門チャンネルを開設予定としていた。初回放送は生放送でワンカット30分のゾンビ映画の放送を企画しており、「安い、早い、質はそこそこ」をモットーとする監督の日墓へ白羽の矢が立った。
数日後、「ONE CUT OF THE DEAD」のキャスト達が集う。キャストは女優役には松本逢花、俳優役に神谷和明、カメラマン役の細田学、録音係役の山越俊助、監督役の黒岡大吾、助監督役の山ノ内洋、メイク係役の相田舞が選出されていた。
台本の読み合わせが始まるが松本からは演出についてNGが多く、神谷は逆に脚本への注文が多かった。加えて細田はアルコール中毒により眠ってしまい、胃の弱い山越は支給される水について軟水でないと文句を言う等スタッフ泣かせの俳優陣が集ってしまっていた。
日墓はキャスト陣の癖の強さに頭を抱えながらも物腰柔らかく演者一人一人に耳を傾け、本番に向けて準備を進めるのであった。
映画『カメラを止めるな!』のあらすじ【転】
日墓の自宅には元女優で妻の晴美が家に置いてあった「ONE CUT OF THE DEAD」の台本に目を通していた。将来監督志望の娘の真央は、母が度々台本に目を通す姿を見て、再度女優になることを提案する。晴美は現役時代の自分を知らないことを理由に娘へ女優として復帰する意思はないことを告げる。
一方、撮影現場では「ONE CUT OF THE DEAD」のリハーサルが行われていた。神谷はゾンビが斧を使うという演出にリアリティがないと文句を言い、松本は事務所を理由に演出へ注文を付ける等、相変わらずのキャスト達に日墓は悩まされていた。
生放送当日を迎え、晴美と真央は特別に撮影現場へ招待されていた。キャスト陣が続々と現場へ集合してきたが、メイク役と監督役が交通事故を起こし、突如現場に行けない事態が発生する。
キャスト2人を欠いてしまったがプロデューサーの古沢は生放送のため番組を中止しない意向を日墓に伝える。
急遽代役を立てる必要になった日墓は、監督役は日墓自身が担当することにした。メイク役の代役については、娘の真央が母の晴美を推薦する。女優経験もあり台本を家で100回も読んでいるため頭に入っているという好条件から古沢は晴美のメイク役を承認する。だが、夫の日墓は、かつて女優時代の晴美の破天荒な様を知っていたため、最後まで一抹の不安を抱えるのであった。
映画『カメラを止めるな!』の結末・ラスト(ネタバレ)
急な代役を立てる等、バタバタな状態であったが、ついに「ONE CUT OF THE DEAD」の生放送の幕が上がる。監督役の日墓は、普段の姿から想像できない迫真の演技で迫りかかってきたため、松本と神谷は圧倒される。
日墓の監督役が上手くはまったことにより、出だしは順調に回っていた。だが、生放送直前に間違って硬水を飲んだ山越は腹を下し始め、顔色が悪くなり始める。また、細田も直前にお酒を飲んでしまい、泥酔状態に陥っていた。
山越は本番中であったが排泄を我慢できず、ついにカメラの前から突如姿を消した。また、お酒の影響でまともに演技できない細田も予定とは異なる演出で使う等、生放送はトラブル続きの中行われていた。
松本、神谷、晴美の3人は何とかアドリブでその場をやり過ごしていた。だが、晴美のアドリブはエスカレートし、完全に台本とは異なることを始めてしまう。日墓の予想通り、役に入りすぎてしまい暴走を始めた。
晴美の暴走によりクライマックスシーンで、五芒星に立つ女優を上空から引きで撮影するためのクレーンも破壊されていた。日墓は応急処置として急遽手の空いているキャストやスタッフを総動員させ、人間ピラミットを作成する。
ピラミットの最上段に上がった真央は五芒星に立つ松本に向けカメラを向け、最後まで撮影を続けた。
エンドロールが流れ、生放送が終わると、演者スタッフはその場に力尽き倒れこむ。トラブル続きであったが、やり切った達成感から、笑顔で撮影を終えるのであった。
映画『カメラを止めるな!』の感想・評価・レビュー
2018年、低予算ながら口コミにて公開規模を増やしたことで話題になった本作。観終わった後、「なるほど、ヒットしたことがわかるな」と納得ができる作品であった。1つ1つの要素は新しくないが、各要素を組み合わせる構成が新しいのだ。
映画というフィクションに対し、ノンフィクションである描写を差し込む。さらに冒頭のフィクション部分に対する撮影の舞台裏を結末に持ってくる。それによって冒頭の3流ゾンビムービーの内容と面白さを補填し、「あのシーンの裏ではこんなことが行われていたのか」と鑑賞者を1種の答え合わせ感覚に引き込むことに成功している。いかに鑑賞者を映画の作品に引き込むかが重要であり、そこが抜群に上手いのが本作のヒットの要因だと思う。
ジャッキーチェンの映画には、よく映画のエンドロールに撮影の舞台裏が流れていた。そこを楽しみにしているファン層もいた。そのエンドロールの舞台裏映像を本編で活用し1つの映画として昇華させた発想は、ありそうでなかった。よくエンドロールまでが映画だと言うが本作はどの作品よりもそこを突き止めていると思う。これだから映画鑑賞は止められない。(MIHOシネマ編集部)
いや、単純に面白かった。
もしこれから観る機会がある人は可能な限り前知識なしに観て欲しい。色々な評判があるとしても全て忘れて、最初から最後までできる限り集中して観て欲しい。先入観があったり、勢いを持って観れないと恐らくは楽しさ半減だ。
特に前半は荒削りに思えるが、そこは新進気鋭の小劇団でも観るつもりで温かく観よう。そんな馬鹿な、と思うことがあっても楽しもう。そうこうしているとなんとなく作り手の映画への愛が感じられてくる。そんな熱量がある1本。(男性 40代)
久しぶりに純粋に“面白いものを観た!”という高揚感で胸がいっぱいになる映画だった。
公開当時、SNSで話題になっているというだけで何の予備知識もなくふらりと映画館へ立ち寄った自分はかなりのファインプレーだったと未だに思う。
出演者の誰も見たことがない、というのもかなりの衝撃だった。面白い映画に俳優の人気や監督の知名度などは関係ないのだと改めて思い知らされた。
観たらとにかく人に薦めたくなる映画なので、もしまだ観たことがないという人がいたらぜひ観てほしい。そしてあの日の私と同じ高揚感を味わって頂きたい。(女性 30代)
公開当時、SNSや各メディアで大きく取り上げられていて話題となっていた今作ですが、邦画が好きでは無いことと、ミーハーだと思われたくない気持ちからあえて鑑賞していませんでした。
実際に鑑賞した感想としては、まず「もっと早く見れば良かった」です。そして、低予算でここまでクオリティの高いものを作れたことに感動しました。低予算だからこその「味」は出そうと思っても難しく、自然に滲み出てくるものだと思います。そういった意味でも今作は低予算で、無名の俳優陣が演じたからこそ「大ヒット」したのだろうと感じました。(女性 30代)
記憶を消して、もう一度楽しみたい映画といえばこれだ。事前情報なしでこの映画を見るのとそうでなかった場合、前者の面白さは桁違いだ。
フランスでもリメイクが決定したということで、そちらにも期待がかかるが、「チープな映像」を逆手に取ったアイディアに脱帽する。演者たちも、どこにでもいる普通の人のようでいて個性に満ちていて素晴らしい。
物作りに携わるすべての人が、理想と現実の間でいつも苦悩している。それなりにやるのか。自分が本当に望むものをやるのか。主人公、日暮隆之の苦悩が良くわかるからこそ、彼の成功に胸が熱くなった。(男性 30代)
とにかく話題になった映画で、評価も高い映画です。見事に騙されました。見ているときは、ただのゾンビ映画だと思っていたのに、途中からの違和感からの最後の展開までの繋がりに驚かされました。2回目に改めて映像を見ると、場面のポイントごとに伏線があり、発見するたびになぜか嬉しくなってしまいます。殺人事件の犯人を見抜いたような感じです。
また、それぞれのキャラクターの個性が魅力的で、ユニークな感じがたまりません。何回でも見たい映画です。(女性 40代)
自分は映画監督でも何でもないのですが、こんなにおもしろいことを思いつける企画力が羨ましく、なぜか悔しく感じてしまいました。
前半、あまり好みではないかもしれないと一瞬思いましたが、あっという間に後半の伏線大回収に目が離せなくなりました。
立派なセットや有名な俳優さんが揃っていなくても、本当に面白いものはちゃんと面白い、改めて気づかせてもらった作品でした。(女性 20代)
公開直後あまりの人気から社会現象とも呼ばれた作品である。
斬新な設定、所々笑ってしまうような演出、ゾンビ映画ではあるものの全体的にコメディタッチで描かれており、ホラーが苦手な方でも楽しめる作品となっている。
この映画の全ては後半であり、最後にあるとんでもない事実が明かされる。この展開には驚かされ、最後はとても楽しめた作品であった。前半のダラダラが印象に残ってしまう作品ではあるが、是非諦めずに最後まで観てほしい。(女性 20代)
前半40分弱、数々の疑問や違和感を感じ続けます。しかしその後、映画の舞台裏を披露して謎がみるみるうちに解けていくのです。物語と現実の部分を両方見せてくれる構成に、爽快感が得られ感動します。有名なキャストは出演していませんが、皆演技のレベルが高く驚愕しました。映画を作るには、沢山の人の手が掛かり苦労の末に完成します。そんな大切なことに気づかせてくれる、素敵な作品です。映画館で見た方が面白いだろうなと感じます。(女性 30代)
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