映画『第七の封印』の概要:中世ヨーロッパを舞台に騎士アントニウスが死神や旅芸人に出会い、生と死、信仰を見つめなおす物語。出演はマックス・フォン・シドー。イングマール・ベルイマンの1957年スウェーデン映画。
映画『第七の封印』 作品情報
- 製作年:1956年
- 上映時間:97分
- ジャンル:ミステリー、ファンタジー
- 監督:イングマール・ベルイマン
- キャスト:マックス・フォン・シドー、グンナール・ビョルンストランド、ビビ・アンデショーン、ニルス・ポッペ etc
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映画『第七の封印』 評価
- 点数:70点/100点
- オススメ度:★★★☆☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★★
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『第七の封印』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『第七の封印』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『第七の封印』 あらすじ【起・承】
14世紀のヨーロッパ。十字軍の騎士アントニウス(マックス・フォン・シドー)は、故郷へ戻る途中、海辺で死神と遭遇した。”死にたくない!”と思ったアントニウスは、死神にチェスの対決を申し込んだ。
”もし私が勝ったなら、命を取らないでくれ。”と頼むが、死神はチェスが得意なんだと言って譲らない。
一旦、チェスを中断して、その間に相棒ヨンス(グンナール・ビョルンストランド)と共に故郷へ急ぐのだ。2人が途中に、ある田舎の教会を訪れた時、教会の壁画が描かれている最中だった。
死神や地獄を描いた壁画を見ながら騎士アントニウスは考えた。そして、”死は怖くない。だが、なぜ神を五感で捕らえることはできないのか?”と長々と懺悔するのだった。
そこで懺悔を聞いていた司祭に、騎士アントニウスは、死神とチェス対決をしていると話してしまう。すると、”どうやって勝つつもりだ?”と聞かれ、”ビショップとナイトを連携させて勝つつもりです!”と答えた。
ところが、司祭だと思っていた人物は死神だったのだ!
映画『第七の封印』 結末・ラスト(ネタバレ)
その後も旅を続ける騎士アントニウスと相棒ヨンスは、住民が消えた村にも立ち寄った。そこには死人から時計や金品を盗む男がいた。村に1人だけ残っていた女性を”料理係”として仲間に加えた。
村には、疫病が流行っているという噂が流れていた。そこへ、旅芸人の一座がやってきた。時々、マリア様を視るという信心深い夫と奇跡を信じない妻、道化師を演じる男などが劇を見せた。
それを見て、笑う村人たち。やがて、村にキリスト像を筆頭に魔女裁判にかけられた女性たちの異様な行進がやってきて、それに併せて村人たちも祈りを捧げるのだった。こうして騎士アントニウスの元に様々な人が集まってきた。
一方、死神とのチェス対決は続けられていた。死神は、”そうくると思ったよ!”とうなずきながら、楽しそうにチェスに興じた。まるで人間であるかのように。
しかし、騎士アントニウスの大切な人たちの命を奪おうと虎視眈々と狙っているのだった。そして、浮気をした愛人に狙いを定め、殺したのだ。
騎士アントニウスと仲間たちは、死神から逃れようと逃亡した。無事に家にたどり着いたが、死神が現れて、”次でお前の負けだ!”と宣言するのだった。
夕食の時間。再び、死神が現れ、手をつないで歩くよう命令した。死神を先頭に丘の上を歩いてゆく。その様子を旅芸人のヨフ(ニルス・ポッペ)が目撃し、妻に話したがやはり信じてもらえないのだった。
映画『第七の封印』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『第七の封印』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
死神がカオナシに見えてしまう~信仰の意味を問う異色作
イングマール・ベルイマン監督は、牧師の家に生まれた経験から、信仰をテーマにした作品を多く描いています。「第七の封印」もその1つで、「ヨハネの黙示録」にある7つの災いが人類を滅ぼしてしまうという世界観を表現しています。
キリスト教的思考で、不思議に思うのは”恐怖で人を支配しよう”とする意図が感じられること。私は、死神が登場した瞬間から、カオナシに見えてしかたがなかった。カオナシというのは、宮崎駿監督のアニメ「千と千尋の神隠し」に出てくる妖怪です。
カオナシは、名前を奪われた少女・千(せん)と友達になりたくてお金で強引に繋がろうとします。しかし、「第七の封印」の死神はマイペースで、騎士アントニウスとチェスの戦いをしたり、神父の振りをして告白を盗み聞くなど”人間的”です。
信仰とは、”神の意志を聞き、それに沿った生活をする”ことでしょうか?人間の意志は尊重されないのか。魔女狩りのシーンや懺悔などにベルイマン監督が信仰について葛藤している心模様が現れているように感じます。
私はキリスト教を信仰していないので、分からない部分も多いのですが、全体的にのんびりとした展開につまらなく思いました。
イングマール・ベルイマンの三大傑作に出演した名優、マックス・フォン・シドー。
「第七の封印」で、中世の騎士アントニウス役を演じているのが、マックス・フォン・シドー。勇気を持って、死神にチェスの勝負を挑むが、イジワルな死神に翻弄されてしまう。
彼は3作品のみならず、10作品以上出演しています。三大傑作の2作目「野いちご」では、陽気なガソリンスタンドの店長を、3作目の「処女の泉」では娘を殺される父親役と重要かつコミカルな演技が評価されています。
また彼が、「エクソシスト」でランカスター・メリン神父役を演じていたことも注目です!北欧出身でハリウッドを中心に活躍している俳優は多いが、魅力は北欧独特の存在感と演技力ではないでしょうか。
86歳を迎えてもなお、精力的に活動しています。マックス・フォン・シドーの最新作は、「スター・ウォーズ フォースの覚醒」(15)のロン・サン・テッカ役です。
ご期待下さい。
本作は、中世ヨーロッパを舞台に、10年に渡る戦いから帰還した騎士アントニウスが自分に忍び寄る死神や旅芸人たちとの出会いを通じて生と死、信仰を見つめ直す姿を描いたファンタジーミステリー作品。
ヨハネの黙示録に記載され”世界の終末”を意味する「第七の封印」をテーマにしており、主人公と死神は心理的な掛け合いを楽しみながらユーモラスに展開されていく。
こうして見ていると、神は人間の作り上げた創造物にすぎないのだと思えてきて、不思議と死神が可愛く見えてきた。
いつ見ても色褪せない作品。(女性 20代)
無信仰の私には、「死にたくない」という感情が「死は怖くない」に変換できてしまう信仰の力って凄いなと感じました。考え方を変えるというのはとても難しいことだと思います。それが長年信じて疑わなかったものであれば尚更です。死にたくないという当たり前だと思っていた感情は、果たして正しいのか、死後の世界にも幸福はあるのでは無いかと様々なことを考えさせられました。
死神のビジュアルがかなりシュールなので少し笑えますが、全体的には重厚な雰囲気で心にズシンと来るものがありました。(女性 30代)
映画『第七の封印』 まとめ
「第七の封印」は、ホラー映画のように恐ろしいものかもしれない。鑑賞する前はそんな想像でいっぱいだったが、良い意味で観る者の意識を裏切る作品だと思う。
死神はまるで騎士アントニウスとのチェス対決を喜んでいるように思えるし、信仰に翻弄される人間を見て笑っているのかもしれない。
信仰とは何か。恐怖でも神との契約でもないはずだ。人間の想像力や自然の中にもしかしたら答えはあるのかもしれない。
名優マックス・フォン・シドーの存在感やイングマール・ベイルマン監督の宗教観など見どころは多い。ただ形而上学的な作りになっていて理解は難しい。
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