この記事では、映画『デザート・フラワー』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『デザート・フラワー』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『デザート・フラワー』の作品情報

上映時間:127分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:シェリー・ホーマン
キャスト:リヤ・ケベデ、サリー・ホーキンス、ティモシー・スポール、ジュリエット・スティーヴンソン etc
映画『デザート・フラワー』の登場人物(キャスト)
- ワリス・ディリー(リヤ・ケベデ)
- 遊牧民の女性。家を飛び出し首都に出て来た際に、有名カメラマンの目にとまる。その後モデルとして活躍するようになる。
- マリリン(サリー・ホーキンス)
- ホームレスになってしまったワリスに、職を紹介してくれた女性。ダンサーとして活躍する夢を持つ。
- ニール・フェアラム(クレイグ・パーキンソン)
- ワリスと偽造結婚することになった人物。束縛が強い人物で、もともとその愛は表面上のはずであったが…?
- テリー・ドナルドソン(ティモシー・スポール)
- 有名カメラマン。ワリスの美しさに目を奪われ、彼女の写真を撮りたいと願い出てくる。
映画『デザート・フラワー』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『デザート・フラワー』のあらすじ【起】
ワリス・ディリーは、ソマリアの遊牧民として生を受けた。兄弟と共に力強く生きていた彼女だったが、まだ彼女が13歳の時、彼女に結婚相手があてがわれることとなった。なんと、その相手は60代の老人だった。その事実に耐えかねたワリスは、首都で暮らす祖母を頼って家を飛び出したのだった。
その後メイドの仕事をしながらなんとか暮らしていたワリスだったが、やがてその仕事も失ってしまう。英語が話せない彼女を雇ってくれる場所もなく、家に戻ることもできず、彼女はなすすべもなくホームレスになってしまうのだった。
ある日、ワリスが店で服を見ていると、彼女はマリリンという女性店員に出会う。最初はワリスを拒むマリリンだったが、その後偶然が重なり、彼女達は何度か顔を合わせることになる。そして、成り行きでワリスを一晩家に泊めることになったマリリンは、ワリスの心優しさと気遣い、そして、勤勉さを知り、彼女に仕事を紹介することにするのだった。
映画『デザート・フラワー』のあらすじ【承】
マリリンがワリスに紹介してくれたのは、バーガーショップの清掃員としての仕事だった。与えられた仕事をしっかりとこなすワリス。そんな彼女は、とある男性の目にとまる。その男性の名前はテリー・ドナルソン。その時の彼女は知る由もなかったが、非常に有名な写真家である人物だった。
ワリスに強い魅力を感じたテリーは、彼女の写真を撮りたいと願い出る。当初はそれを断っていたワリスだったが、次第に彼女は体調不良を訴えるようになってしまう。実は、彼女は遊牧民であった頃、女子割礼を受けていた。女子割礼とは女性器の一部を切除する、純潔を重んじる部族の独特の行為のことであり、結婚初夜に夫となる人物が開けるまでは縫合されているのだ。
しかし、その手術は彼女に大きな苦痛を敷いていた。医師に診せたワリスは、失った性器は戻せないものの、手術によって今よりもまだ良い状態にできることを聞かされる。そして、手術費を手に入れるために、ワリスはテリーの元へと向かうのだった。
映画『デザート・フラワー』のあらすじ【転】
こうして、ワリスは初めてのモデルとしての仕事を開始するのだった。そして、ワリスは次第にモデルとして注目を集めるようになる。ある日、ワリスは世界中で開催される大きなショーに出演することが決まる。しかし、なんと彼女のパスポートは6年も前に期限が切れており、このままでは彼女は不法滞在者として強制送還になってしまうことが明らかになるのだった。
ワリスの友人や所属事務所の社長であるルシンダの暗躍によって、偽造パスポートを使い出国しようとしたワリス。しかし、彼女はあえなく空港で捕らえられてしまうのだった。周囲の助けもあり、なんとか刑務所から出ることができたワリス。
しかし、その際の弁護代など多額の借金を背負ったワリスは、その借金を返済するためにもニールという男性と結婚することになる。ニールには恋人がいて、その結婚は偽造結婚のはずだった。しかし、ニールは非常に束縛が強く、ワリスは次第に追い詰められていくのだった。
映画『デザート・フラワー』の結末・ラスト(ネタバレ)
偽造結婚のはずであった彼らだが、ニールは本気でワリスに恋をするようになっていたのだ。ニールに恋人がいるという話も真っ赤な嘘であり、ニールは本当にワリスと一緒になりたい、とワリスに告げる。しかし、ワリスはそれを受け入れることはできないのだった。そんな彼女に、とうとう無期限滞在許可が降りた。そして、彼女はニールに礼を言うと、彼の元を去るのだった。
その後、次々とファッションショーに出演して成功を収めた彼女の元に、インタビューの話が舞い込んでくる。そして、そのインタビューで彼女は自身も受けた女子割礼について訴えたのだ。彼女の姉妹は、女子割礼が原因で命を落としていた。出血過多や感染症などのリスクも高い女子割礼は、まだ幼い女性にとって非常に危険な行為である。ワリスはそんな行為はやめるべきだ、と世界に訴えた。彼女は国連の特別大使に任命されることとなり、その後自分と同じような経験をする女性を減らすために尽力するのだった。
映画『デザート・フラワー』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
本作は、アフリカのソマリアの遊牧民として育った実在のトップモデル、ワリス・ディリーの半生を描いたヒューマンドラマ作品。
ホームレスからトップモデルになるまでのシンデレラストーリーではなく、衝撃的な内容で非常に観るのが辛かった。
平凡に暮らす自分にとっては、現代も残るこの女子割礼の風習が一刻も早くなくなることを祈るばかりだ。何か力になれないかと、女性の尊厳について深く考えさせられた。
宿命を抱えながら生きているワリスの強さは本当に誇らしく、美しい。(女性 20代)
全てが衝撃的な作品だった。13歳という若さで結婚を強要され、その相手が60代の男性なんて辛すぎる。それに、生きられる保証がないまま砂漠を彷徨い歩いた時間は、本当に怖くて苦しかっただろうなと思った。
生活もままならない中、ワリスが苦労しながら未来を切り開いて行く様子に胸を打たれた。どこかで心が折れていてもおかしくない状況だと思う。ワリスは本当に強く、素晴らしい女性だなと思った。多少脚色はあるかもしれないが、ソマリアの女の子達の実情が知れる作品だと思う。(女性 30代)
閉鎖的なコミュニティで、人とは違う行動を取ること、守られてきた伝統を壊すような行動をすることにどれほどの勇気が必要だったのだろうと、ワリスの勇敢さに感動しました。
彼女が受けた女性割礼は、メリットなんて1つもないことが素人でも容易に分かりますが、それを伝統として受け継いでいて、今も尚当たり前のように続けられている世界があるのだと知ると知識のなさや、危険な伝統にゾッとしました。
彼女の場合はとてもラッキーだったと思います。彼女の姉妹が命を落としているように、女性割礼を受けたせいで長く生きられない人の方が多いのでは無いでしょうか。世界には知らないことばかりだとハッとさせられる作品でした。(女性 30代)
実在のモデル、ワリス・ディリーの壮絶な半生を描いたこの映画は、ただの伝記ではない。女性器切除という痛ましい風習を体験し、それでも世界的モデルとして立ち上がった彼女の姿に涙が止まらなかった。幼い頃のシーンは直視できないほど残酷だが、彼女の強さと生きる意志が希望に変わる。観終わったあと、自分の無知を恥じた。(30代 女性)
アフリカの過酷な現実と、ロンドンの華やかなファッション業界。その落差があまりに鮮烈だった。ワリスが自らの傷を語る場面は、勇気という言葉では足りないほどの重みがある。苦しみの告白が「生きる力」に変わる瞬間を目撃した気がした。単なる啓発映画ではなく、人間としての尊厳を問う物語だ。(40代 男性)
映画中盤でワリスが自らの秘密を友人に打ち明けるシーン、涙が止まらなかった。あの沈黙の重さ、そして語られた真実の痛み。彼女が「過去を語る」ことがどれだけ勇気を要したか想像するだけで胸が締めつけられる。悲劇の被害者で終わらず、声を上げて世界を変えた女性。その姿に心から敬意を抱いた。(20代 女性)
ファッションのきらびやかさの裏にある“真の闘い”を描いた傑作。ワリスが自らの経験を武器に、女性の権利を訴える姿は圧倒的な力を持っていた。モデルとしての成功よりも、「語ること」の重要性が強調されているのが印象的。現実の問題を知るきっかけとしても、非常に意味のある映画だと思う。(50代 男性)
ワリスが少年のように砂漠を駆ける序盤の映像の美しさと、後半で彼女が過去を語る痛々しさ。その対比が忘れられない。文化や伝統の名の下で行われる暴力を、真正面から描く勇気ある作品。彼女のような人が声を上げたからこそ、世界は少しずつ変わるのだと信じたくなった。深く心に刻まれる映画。(30代 男性)
女性であることを理由に奪われた自由。それを取り戻していく過程が感動的だった。特に、ファッションショーで堂々と歩くワリスの姿はまさに“再生”の象徴。美しさと痛みを併せ持つ彼女の生き様が、静かに強い。社会的テーマを扱いながらも、人間ドラマとして完成度が高い一本だった。(20代 女性)
痛みと希望の物語。少女時代の描写は本当に見るのが辛いが、あの現実を知らなければこの映画の意味は伝わらない。ラストでワリスが国連の場でスピーチするシーン、涙が止まらなかった。彼女が歩んだ人生は、ひとりの女性の物語を超え、人間の尊厳そのものを描いている。(40代 女性)
映画『デザート・フラワー』を見た人におすすめの映画5選
チョコレートドーナツ(原題:Any Day Now)
この映画を一言で表すと?
“愛”と“社会の壁”に挑む、大人たちの心を震わせる人間ドラマ。
どんな話?
1970年代のアメリカ。ゲイカップルのルディとポールは、母親に見捨てられた障がいを持つ少年マルコを引き取り、家族として生きようとする。しかし、社会は彼らの絆を認めない。法と偏見に翻弄されながらも、愛を貫こうとする姿が胸を打つ感動作。
ここがおすすめ!
社会の不条理と人間の尊厳を真正面から描いた傑作。『デザート・フラワー』と同じく、“声を上げる勇気”と“人を愛する強さ”がテーマ。アラン・カミングの名演が観る者の心を掴んで離さない。涙と希望が同居する忘れがたい作品。
プレシャス(原題:Precious)
この映画を一言で表すと?
絶望の中で自分を愛する力を見つける少女の物語。
どんな話?
ニューヨークの貧困地区に住む16歳の少女プレシャス。家庭内暴力、レイプ、差別という地獄のような日々の中、彼女は教育と友情によって希望を見いだしていく。過酷な現実を生き抜く姿が痛々しくも美しい。観る者の心を揺さぶる真実のドラマ。
ここがおすすめ!
『デザート・フラワー』同様、女性が「自分の声で語る」ことの大切さを描いている。苦しみの連鎖を断ち切り、自分を取り戻す過程が力強い。監督の冷静な演出と主演ガボレイ・シディベの圧倒的存在感が光る感動作。
マルコムX(原題:Malcolm X)
この映画を一言で表すと?
差別に抗い、信念を貫いた男の壮大な生涯を描く歴史ドラマ。
どんな話?
アフリカ系アメリカ人公民権運動の指導者マルコムX。犯罪者として生きた若き日々から、イスラム教への改宗、そして社会改革への目覚めまで――波乱に満ちた人生を壮大なスケールで描く。スパイク・リー監督による迫力と情熱の伝記映画。
ここがおすすめ!
理不尽な社会と闘う姿勢、そして「言葉で世界を変える力」。それは『デザート・フラワー』のワリス・ディリーにも通じるものがある。デンゼル・ワシントンの鬼気迫る演技が、信念と覚悟の重さをリアルに伝える。圧巻の3時間。
しあわせの隠れ場所(原題:The Blind Side)
この映画を一言で表すと?
“誰かを信じる”ことで人生が変わる、心温まる実話。
どんな話?
貧困層に生まれた黒人少年マイケルが、裕福な白人女性リー・アンに出会い、彼女の家族と共に新たな人生を歩み始める。彼女の愛と信頼が、マイケルに生きる希望を与え、やがてNFL選手として成功する感動の実話。
ここがおすすめ!
差別や格差を超えた“人間同士のつながり”を描く温かい物語。『デザート・フラワー』同様、希望を信じる力と他者への共感がテーマ。サンドラ・ブロックの名演が光り、観る者の心を穏やかに満たしてくれる。
ホテル・ルワンダ(原題:Hotel Rwanda)
この映画を一言で表すと?
絶望の地で人を救う勇気を描いた、真実の人間ドラマ。
どんな話?
1994年、ルワンダの民族紛争。ホテル支配人ポールは、虐殺から逃れるために1200人以上の難民を自らのホテルに匿う。国際社会が沈黙する中、ひとりの男の勇気が無数の命を救う。実話に基づいた緊迫と感動の物語。
ここがおすすめ!
ワリス・ディリーが闘った“声なき人々の現実”と重なるテーマ。暴力の中でも人間性を失わない強さが胸を打つ。静かな演出ながら、倫理と勇気を問う力強い映画。ドン・チードルの名演が光る、アフリカ映画史に残る傑作。






みんなの感想・レビュー
実話を基にしたサクセスストーリーと思い見て見たが、全く違った印象を受けた。
日本では無い女性器の割礼。正直私には理解し難い慣習である。
世界的なトップモデルになった後のワリスの行動に私は大きく感銘を受けた。
3000年続いて来た慣習を否定し、一石を投じた彼女の姿には鳥肌がたってしまった。
私には想像出来ない苦悩の中で勇気を出して民衆の前で声を上げていた。
ひとつの行動で世界が変わった。
まだ慣習が残っている事に対しては遺憾も感じるが、私の行動でも何か変えられるのでは無いのかと勇気を貰えた作品だった。