映画『デビルズ・ノット』の概要:1993年にアーカンソー州のウエスト・メンフィスで起きた3少年殺害事件を基にして製作された作品。この事件は「ウエスト・メンフィス3」と呼ばれ、有罪判決を受けた3人の少年の冤罪事件としても知られている。
映画『デビルズ・ノット』の作品情報
上映時間:114分
ジャンル:伝記、ミステリー、ヒューマンドラマ
監督:アトム・エゴヤン
キャスト:コリン・ファース、リース・ウィザースプーン、デイン・デハーン、ミレイユ・イーノス etc
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映画『デビルズ・ノット』の登場人物(キャスト)
- ロン・ラックス(コリン・ファース)
- やり手の私立探偵。テレビのニュースでウィスト・メンフィスでの事件を知り、無料で公選弁護人に協力する。容疑者として逮捕されたダミアンたち3人は、無実だと思っている。
- パム・ホッブス(リース・ウィザースプーン)
- 8歳の息子スティーヴィを、何者かによって惨殺された母親。スティーヴィと妹を連れ、テリーと再婚している。裁判を傍聴するうちに、警察の捜査や夫の態度に疑問を感じ始める。
- ダミアン・エコールズ(ジェームズ・ハムリック)
- 3人の少年が惨殺された事件の容疑者として逮捕された18歳の少年。自己破滅型で素行が悪かったため、仲間のジェイソンとジェシーと共に犯人だと決めつけられる。
映画『デビルズ・ノット』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『デビルズ・ノット』のあらすじ【起】
1993年5月5日、アーカンソー州ウエスト・メンフィス。8歳の少年スティーヴィは、母親のパムに“4時半までに戻る“と約束し、友達のマイケルと自転車で遊びに行く。途中でクリスも仲間に入り、3人の少年はロビン・フットの森で遊び始める。
4時半になってもスティーヴィは戻らず、心配したパムは、再婚相手のテリーに息子を捜すよう頼んで、夕方からの仕事へ向かう。しかし夜になってもスティーヴィは見つからない。
クリスの父親から事情を聞いていた婦人警官は、近所のレストランに血まみれの黒人が来たという通報を受ける。黒人は女性トイレの壁に血痕を残し、姿を消していた。
3少年の親は必死で子供達を捜し始めるが、警察はよくある家出だと考え、捜査をしてくれない。しかし翌日も少年たちは帰らず、警察は慌てて捜査を開始する。
ロビン・フットの森にある悪魔の巣窟と呼ばれる川辺を捜索していた刑事は、川底から、全裸にされ靴紐で手足を縛られた少年の惨殺死体を発見する。その場所からは少年たちの靴や服も発見された。報告を受けたパムは、発狂したように泣き叫ぶ。
警察はすぐに犯人の捜査を開始し、ホッブス家を訪れたことのあるクリストファー・モーガンというアイス売りの少年の事情聴取を行う。しかし決定的な証拠はなく、クリストファーはすぐに釈放される。
次に警察が目をつけたのは、退廃的な生活を送るダミアンという18歳の少年と、その友達のジェイソンだった。デスメタル好きのダミアンは、悪魔崇拝者だと決めつけられ、子供達を生贄にしたのではないかと疑われていた。
5月6日、スティーヴィ達と同い年の少年アーロンが、母親のヴィッキーに連れられ、警察へやってくる。アーロンは3人と一緒に現場にいたと話し、犯人はダミアンとジェイソンとジェシーだと証言する。警察は5月から6月にかけてビデオ録画をしながらアーロンとの面談を重ねる。
映画『デビルズ・ノット』のあらすじ【承】
6月3日。警察はジェシーの身柄を拘束し、12時間に及ぶ尋問をする。17歳になるジェシーは、6歳程度の知能しかない障害者で、その証言もあやふやなものだった。それでも警察は彼の自白に基づき、ダミアンとジェイソンを逮捕する。
6月4日。私立探偵のロン・ラックスは、ウィスト・メンフィス署の記者会見を見て、3人の少年の逮捕に疑問を抱く。この事件に興味を持ち、独自で調査を続けていたロンは、“悪魔崇拝が殺しの動機だ”とか、“ダミアンが血を飲むのを見た”という人々の証言に、強い懐疑心を持っていた。検察は、10代の被告3人に死刑を求刑し、死刑に反対のロンは、彼らの公選弁護人を訪ねる。
ロンは3人の弁護人に無償で協力する意思を示し、被告人の少年たちと面会する。ロンは冤罪の可能性が高いと見ており、徹底的な調査を開始する。
主犯格とされるダミアンは、自己破滅型で少年鑑別所に入った前歴もあり、誤解されやすい少年だった。ロンは彼と直接話をして、警察のやり方に問題があったのではないかと疑うようになる。
スティーヴィを亡くしてから、パムは情緒不安定気味だった。テリーはテレビの取材を受けたパムを非難し、“嘆き悲しむ母親を演じろ”と命令する。パムはそんな夫に違和感を感じる。
ジェシーは裁判の直前に自白を撤回し、無実を訴える。そのため、8月4日の裁判で、ジェシーの裁判だけ分離されることが決まり、彼は単独で裁かれることになる。
ロンは少年たちの遺体写真を見返し、アーロンの証言ビデオを繰り返し見る。アーロンの証言は二転三転しており、とても信用できるような内容ではなかった。
警察はロンが動いていることを知り、彼の元妻に連絡を取る。元妻からその話を聞き、ロンは、警察に確信がないから、そんなことをするのだと考える。
1994年の1月から2月にかけて、ジェシーの裁判が行われる。警察は、知能の低いジェシーにアーロンの証言を聞かせ、それを元にジェシーの自白を誘導したと弁護人は主張する。確かにジェシーの証言には多くの矛盾点があったが、警察はわざとそれを無視していた。しかし陪審員による評決は有罪で、ジェシーは終身刑と禁固40年の実刑を言い渡される。裁判を傍聴してきたパムは、その判決に疑問を持つ。
映画『デビルズ・ノット』のあらすじ【転】
ロンはパムと話したいと考えていたが、テリーが邪魔をしてくる。クリスの父親はマスコミ相手にペラペラとよく喋っており、息子の死を悲しんでいるようには見えなかった。彼は普段から息子を虐待していた。
1994年の2月から3月にかけて、ダミアンとジェイソンの裁判が行われる。血痕のついたナイフを所持していたクリスの父親も弁護側の尋問を受ける。警察もそのナイフの存在を知っていたが、念入りな捜査はしていなかった。
ロンはヴィッキーを訪ね、アーロンの証言について話を聞きたいと申し出る。しかしヴィッキーはそれを断り、“ブレイ刑事に聞いてくれ”とだけ話す。ブレイ刑事は、この事件を取り仕切っているベテラン刑事だった。
ヴィッキーにはカード詐欺に加担した疑いがあり、事件の翌日に警察へ呼ばれていた。彼女は息子のアーロンを連れてきて、アーロンに証言をさせる。ヴィッキー自身も、ダミアンに赤い車で魔女が集まる集会に連れていってもらい、悪魔崇拝の現場を見たと証言していた。しかしダミアンは免許も赤い車も持っていなかった。彼女は警察に有利な証言をしたことで、自分の罪は問われずに済んでいた。
ロンは、クリストファー・モーガンの一件も突き止め、弁護側は彼を証言台に立たせることにする。モーガンもジェシーと同じように最初に自白をしていたが、自白の内容を撤回すると、すぐに釈放されていた。しかし、判事はモーガンを非公式に審問することにして、傍聴人は法廷から出されてしまう。弁護士でないロンも、法廷へ入れてもらえない。
ロンは焦りを感じており、弁護人と衝突する。弁護人は、時間も人手も資金も足りない中で、最大の努力をしていた。ロンは、警察や検察側、そして判事にも怒りを募らせていた。
映画『デビルズ・ノット』の結末・ラスト(ネタバレ)
夫に疑惑を抱いていたパムは、屋根裏部屋に隠された道具箱の中に、スティーヴィのナイフが入っているのを見つける。それはスティーヴィが祖父からプレゼントされた宝物で、彼は遊びに行く時も必ずそのナイフを持っていた。しかし事件があってからそのナイフの行方が分からなくなっていた。そのナイフが、なぜか夫の道具箱から出てきて、パムはますます夫への疑惑を深める。
ジェイソンはダミアンに不利な証言をするよう司法取引を持ちかけられるが、それを断る。
弁護側は、事件当夜、血まみれの黒人を目撃したレストランの支配人に証言をしてもらう。黒人の足元は泥だらけで、ズボンも膝まで濡れていた。しかしトイレの血痕を確認した刑事は、その血痕を採取していなかった。刑事は自分のミスで物証をなくしたことは認める。
1994年の3月9〜10日にかけて、ダミアンが証言台に立つ。ダミアンは質問に対して正直に答えるが、その誠意は伝わらない。
結局ダミアンには3人の少年を殺害したとして有罪判決が下り、死刑を宣告される。ジェイソンも同罪で終身刑を言い渡される。判決を聞いたジェイソンは、“僕は無実です”と訴えるが、ダミアンは無言のままだった。
裁判後、事件現場を訪れたロンは、パムと遭遇する。パムはそこで、テリーの道具箱にスティーヴィのナイフが隠されていたという事実を伝える。パムはどうしていいか分からず、ずっと苦しんでいた。ロンは困惑しているパムに、“あの3人は無罪です”と伝える。パムは黙ってロンにナイフを渡す。
その後パムはテリーと別れ、娘と家を出る。アーロンもヴィッキーも証言を撤回し、警察に死ぬほど脅されたと主張する。
裁判の2年後。クリスの母親が自宅で遺体となって発見されるが、死因は不明とされた。ロンは執念深く調査を続け、2006年にテリーのDNAサンプルを密かに入手し、分析に回す。その結果、マイケルを縛った靴紐に付着していた体毛とテリーの体毛が一致することが分かった。血まみれの男は、今も発見されていない。
ダミアンたち3人はアーカンソー州と特殊な司法取引をし、2011年に釈放された。しかし未だに「既決重罪犯」の汚名は晴れていない。パムは今も、事件の真相を追い続けている。
映画『デビルズ・ノット』の感想・評価・レビュー
実際に起きた事件をもとに作られた今作。息子を殺された母親、事件に疑問を持つ探偵、犯人に仕立て上げられたら少年たちと様々な視点で描かれるので事件を知らないほうが、先入観無しに公平な見方ができるかもしれません。
見た目や普段の素行のせいで犯人にされてしまった少年たち。無意識に私も偏見の目で見てしまっていることがあるかもしれないとハッとさせられました。
何の解決にもなっていないラストには本当にイライラしましたが、これが現実なのだと思うと悲しみしかありません。(女性 30代)
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