映画『ディザスター・アーティスト』の概要:役者を目指すグレッグは、型破りな性格のトミーと出会い、衝撃を受ける。友達となった二人は、役者として成功を収めようと、一緒にLAへと向かった。オーディションに合格しない二人は、自分たちで映画を作ることを思いつく。
映画『ディザスター・アーティスト』の作品情報
上映時間:104分
ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
監督:ジェームズ・フランコ
キャスト:ジェームズ・フランコ、デイヴ・フランコ、セス・ローゲン、トミー・ワイゾー etc
映画『ディザスター・アーティスト』の登場人物(キャスト)
- トミー(ジェームス・フランコ)
- 年齢、出身などが一切不明の男。たいへんな金持ちだったが、金の出どころも不明。若い時から役者が夢だったが、交通事故に遭ったことをきっかけに、その夢にチャレンジする決意をする。独特の訛りと長髪がトレードマーク。
- グレッグ(デイブ・フランコ)
- 役者を目指す青年。19歳の時にトミーと出会い、意気投合してLAへと向かう。トミーの良き理解者で、一番の友達。最初こそひどい演技力だったが、トミーのおかげで自信をつけ、役者として成長していく。
映画『ディザスター・アーティスト』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ディザスター・アーティスト』のあらすじ【起】
子供の頃、『ホーム・アローン』のマコーレー・カルキンを見て、演技に興味を持ったグレッグは、演劇のクラスを受けていた。だが、人前に出るとミスをするのではと緊張し、上手に演技ができない。そんな時、彼は同じクラスにいたトミーという男の演技を見て衝撃を受ける。トミーは舞台上で自らをさらけ出し、自信満々だった。
トミーと何かをやりたいと思ったグレッグは、彼に声をかけた。彼はグレッグより明らかに年上で、高級車を乗り回し、何から何まで型破りな男だった。トミーはピザショップでいきなり本読みを始める。大声で台詞を読まされたグレッグ。客の視線が集まり、好奇の目で見られたが、グレッグは今までにない快感を覚え、自信を付けていった。
ジェームス・ディーンの作品を見たトミーは、彼が亡くなった場所まで行こうと言いだし、二人は500㎞の道のりを夜通し走った。二人は現場に到着すると、そこで約束を交わした。共に励まし合い、信頼し、夢を諦めないと。
トミーは一緒にLAへ行こうと言いだす。そこで役者の夢を掴もうというのだ。グレッグの母は心配だったが、彼はサンフランシスコからトミーと共に旅立っていった。
映画『ディザスター・アーティスト』のあらすじ【承】
トミーはLAにもアパートを所有していた。二人は同居生活を始め、オーディションを受けまくった。グレッグは早々に事務所は決まったが、オーディションは落選してばかり。トミーは独特の訛りと強すぎる個性のせいで、相手にもされなかった。
グレッグは友人を増やし、恋人もできたのだが、トミーは相変わらず孤独だった。変わり者のトミーといてはチャンスを逃すと友人から忠告されたが、グレッグはトミーを一人にすることができなかった。
二人はいつまでも役を得られず、落ち込んでいく。トミーは大物プロデューサーから才能の無さを指摘され、絶対に俳優にはなれないと言われるほどだった。何か手はないかと考えていた時、グレッグが映画を作ることができたらいいのに、と呟いた。そのアイディアを気に入ったトミーは、部屋にこもって脚本を書き始めた。
LAに来てから二年近くが経とうとしていた頃、トミーは“ザ・ルーム”という脚本を書き上げる。それを読んだグレッグは絶賛。トミーはとても金持ちだったため、製作資金の心配はいらなかった。二人は早速、映画作りを開始する。
映画『ディザスター・アーティスト』のあらすじ【転】
トミーは映画作りが初めてだったため、そのやり方も豪快だった。普通はレンタルする機材も購入するほどだ。オーディションが開かれ、キャストを集めた。スタッフも揃い、いよいよ撮影が開始される。
無駄にセットを作るなど浪費を重ねたりもしたが、出だしは順調だった。だが、主役を務めるトミーは、いつもと違ってNGを連発する。グレッグのアドバイスで窮地を脱した彼は、改めて彼を親友だと感じていた。
しかし、撮影が続くにつれて不穏な空気が流れていく。スタッフたちはトミーのやり方にだんだんついていけなくなる。グレッグがアパートを出て恋人と住むことを告げた辺りから、トミーの様子が変わっていった。彼は孤独と嫉妬に狂い始め、皆ともめていくようになる。
テレビドラマに出演できるチャンスを得たグレッグ。その役には髭が必要だったが、トミーの作品内で剃ることになっていた。グレッグは髭剃りのシーンを先延ばししてくれないかと頼んだが、トミーは許可してくれなかった。結局、グレッグはチャンスを棒に振ることになり、これがきっかけで二人の仲は急速に悪くなっていく。
映画『ディザスター・アーティスト』の結末・ラスト(ネタバレ)
トミーは自分に理解を示さないスタッフの何人かをクビにしてしまった。暴走するトミーに、グレッグも頭にきていた。人のことは責めるのに、自分のことは何一つ話さないトミー。グレッグは彼に出身や年齢、金の出どころなどを尋ねたが、彼は何も語ろうとしない。失望を感じたグレッグは、遂に彼の元を去っていった。
それから8ヵ月が過ぎた。グレッグは舞台に出演するまでに成長していた。そんな時、“ザ・ルーム”が完成し、プレミア上映するという招待状が届く。彼は行く気が無かったが、トミーがやってきたことで、しぶしぶ行くことにした。
プレミア上映は本格的なものだった。気乗りしていなかったが、グレッグも気分が上がってくる。かつての仲間たちが揃い、客も予想以上に入った。トミーは、これは俺の命だ、と前置きすると上映を開始した。だが、話が進むにつれて駄作の匂いを漂わせ始める。しかし、ある時から客は映画を楽しみだし、笑いだすようになった。
悲劇を描いた作品を作ったつもりだったトミーは、笑いだす客にショックを受け、出て行ってしまう。追いかけてきたグレッグに、自分をさらけ出したら笑い者にされたと言って落ち込むトミー。だが、グレッグはそう思ってはいなかった。皆、君の作った映画を楽しんでいるのだと肩を叩き、スクリーンへと連れ戻した。
劇場は笑いに包まれ、観客は心から映画を楽しんでいた。上映が終了すると、スタンディングオベーションが起こり、トミーコールが叫ばれた。期待した反応とは違ったが、その暖かい称賛を嬉しく思ったトミーは舞台へと上がっていく。彼は、支えてくれた友がいなければ完成しなかったと語り、グレッグを舞台に呼んだ。肩を組む二人に、観客は惜しみない拍手を送ったのだった。
映画『ディザスター・アーティスト』の感想・評価・レビュー
題材となった映画は伝説になるほどの駄作らしいが、その作品を元にこういった作品が作られるのだから、ある種の魅力は持っているのだろう。出来上がった作品よりも、製作過程やトミー自身に面白さがある部分については、バンクシーの『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』などと共通する面白さがあった。近年のジェームズ・フランコは、ハリウッドでもひと際、個性的で独自路線を突き進んでいると思う。そんな彼が、トミーの作品に興味を持ち、本作を作ったのは必然と言っていいかもしれない。(MIHOシネマ編集部)
アメリカ映画史上最悪の駄作と称された『ザ・ルーム』が完成するまでの物語を描いた今作。『ザ・ルーム』と言えば、映画好きなら誰もが知るカルト的な人気を誇る作品ですよね。駄作と言われていたにも関わらず、度を超えたひどさに逆に人気が出てしまうなんて不思議な話ですが、そんな作品だからこそ人の興味をそそり、今作のように舞台裏まで映画化されてしまうのでしょう。
ジェームズ・フランコとデイブ・フランコの兄弟共演を楽しみに鑑賞しましたが、とにかく笑える作品です。後半はずっと笑いっぱなしで涙が出るほどでした。
まさかジェームズ・フランコがこんな作品を作れるとは思っていなかったので監督としての才能に驚きました。(女性 30代)
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