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映画『動乱』あらすじとネタバレ感想

この記事では、映画『動乱』のあらすじをネタバレありで解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『動乱』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。

この記事でわかること
  • 『動乱』の結末までのストーリー
  • 『動乱』を見た感想・レビュー
  • 『動乱』を見た人におすすめの映画5選

映画『動乱』 作品情報

動乱

  • 製作年:1980年
  • 上映時間:150分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ
  • 監督:森谷司郎
  • キャスト:高倉健、吉永小百合、米倉斉加年、田村高廣 etc

映画『動乱』 評価

  • 点数:60点/100点
  • オススメ度:★★★★★
  • ストーリー:★★★★★
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★★

[miho21]

映画『動乱』 あらすじ(ストーリー解説)

映画『動乱』のあらすじを紹介します。

第一部:「海峡を渡る愛」昭和七年四月、仙台連隊で宮城大尉(高倉健)が隊長をつとめる中隊の初年兵、溝口二等兵(永島敏行)が脱走した。その理由は姉の薫(吉永小百合)が貧しさから千円で芸者に売られてしまうという事が原因だった。溝口は逃走の罪で自決を促されたが果たせず、その幇助をしようとした捜索隊の上司を殺してしまう。宮城は弁護を申し出るが聞き入れられず、溝口は銃殺刑に処せられた。宮城は父に用立ててもらった千円を溝口の香典として渡す。当時、日本は厳しい経済恐慌であり、それを改革する意図で海軍将校と陸軍士官候補生らの有志が決起したという五・一五事件である。クーデターは成功せず、陸軍内部の皇道派と統制派の対立を激化させ、その影響は仙台にいる宮城大尉にも及び、部下が脱走兵した責任を問われて朝鮮の国境守備隊へ転任を命ぜられる。そこで将校をねぎらう宴が行われ、宮城は芸者になり身を売っている薫と再会する。彼女を責める宮城だったが数日後に薫は自殺を図る。軍が朝鮮のゲリラに不法に物資を横流しするのを目撃した宮城は、その事を黙認する代わりに、雪の中で晒し者になっていた薫の命を救う。そして日本国内では統制派による中国との戦争の準備が進められていた。

第二部:「雪降り止まず」昭和十年十月の東京。宮城は第一連隊に配属になり、薫と共に居を構えるが、二人の間にはまだ男女関係はなかった。宮城の家には多くの青年将校が訪れ、“建設か破壊か”と議論を交わす。憲兵隊の島(米倉斉加年)は宮城家の向かいに往み見張りを続けていた。ある日、宮城は恩師であり皇道派の長老格でもある鳥取の神崎中佐(田村高廣)の許へ薫を伴い訪問する。神崎の幸せな家庭を見て、自分の存在は宮城にとって一体何なのかと薫は詰め寄る。数日後、宮城が決意していた軍務局長の暗殺を、神崎が単身で陸軍省に赴き決行に及び、その事件は青年将校たちの維新の機運を一気に高める。そして島は宮城たちの行動に心情的には同調しながらも、憲兵という職務からクーデターを事前に防ごうと苦悩する。決行の日を前に宮城は実家に帰り、父親に薫のことを頼むと初めて彼女を抱いた。昭和十一年二月二十五日。夜半から降りはじめた雪の中、男たちは決起の場へと向かってゆく。

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映画『動乱』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『動乱』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

二・二六事件の全貌と、第二次世界大戦前の日本がリアルに描かれている

昭和十一年二月二十六日に起こった、一部の陸軍将校によるクーデターであり、第二次大戦前の日本の歴史を揺るがした、二・二六事件を背景に描かれた物語である。復讐譚ではなく時代背景は違うものの、どこか忠臣蔵を想い起こさせる内容である。歴史の実像に迫るような観点ではなく、理不尽な世の中に反抗し無念の死を遂げる英雄と、その英雄に寄り添う薄倖の女性を中心に捉えているところが、戦争というもので繰り返される悲劇をリアルに捉えている。高いドラマ性による緊迫感と、薫という女性の切なさが交互に描かれ、長尺作品でありながら画面から目を離すことが出来ないほど食い入ってしまう。軍国主義の中で起こる貧困と、理不尽な圧政の中で起こる汚職に立ち向かった宮城大尉が、クーデターを成功させながらも旧知の軍幹部を殺されたという天皇陛下の私的とも言える一存で「国賊」のレッテルを貼られ、処刑されてしまう話はどうにもやり切れなさが残る。忠臣蔵は切腹を覚悟して謀反を起こし、成功させた上で武士という立場で死を選択できたが、このクーデターは成功したにも関わらず、政権を覆すという結果にならず、不本意のまま銃殺になったというのは無念以外の何物でもないだろう。かつて日本はドイツ、イタリアと軍事同盟を結んでいたファシズムの国家だったという事実を、改めて本作では認識させられてしまう。

高倉健と吉永小百合の絶妙な絡み

高倉健と吉永小百合はこの後「海峡」も共演しているが、本作での二人の絡みは見事なほどに絶妙である。役者のオーラがこの頃からすでに群を抜いていたというのがよく解り、物言わぬシーンでも圧倒的な存在感で迫ってくる。笑うところなど全くない映画ではあるが、クーデターの前に健さんが皇居に向かい和服姿で土下座をする姿は、正しく出入り前の任侠の世界であり、それはそれである意味吹き出しそうになるシーンでもある。どうせなら軍服を着たままのシーンに出来なかったのかと思ってしまうのだが、それ以外ではさすがとしか言いようのない高倉健としての圧倒的存在感を見せつけており、同じように吉永小百合も、どうすればこんな表情が出せるのだろうという演技に今さらながら驚いてしまう。この二人の主演というのならシナリオが少々お粗末でも、駄作になろう筈がない。


二・二六事件とその周辺を描いた『動乱』は、昭和史を背景に人間ドラマとしても非常に重厚な作品でした。高倉健演じる伊達少佐が、信念と愛の間で揺れる姿が胸に刺さります。雪子との関係も、ただの恋愛ではなく、生き様の象徴として描かれていたのが印象的でした。特に銃殺刑のシーン、あれほど静かで、しかし強烈な余韻を残すシーンは他にありません。(30代 男性)


戦前の日本という時代背景の中で、「国家」と「個人」、「忠誠」と「愛情」の対立を深く描いた作品でした。中でも高倉健の静かな演技に魂を感じました。派手な戦闘シーンではなく、内面の葛藤と崩壊に焦点を当てたストーリー展開が心に残ります。雪子との悲恋も、ただのロマンスに留まらず、時代の犠牲となった二人の象徴のように感じられました。(40代 女性)


戦争映画とは少し違い、軍人としての矜持や忠義と、個人としての感情との間で揺れ動く男の姿をじっくりと描いた傑作です。二部構成という長尺ながら、物語に引き込まれ、時間を忘れてしまいました。伊達と雪子の関係は切なく、それでいて凛としていて、最後の別れのシーンには涙が止まりませんでした。(50代 男性)


『動乱』を観て、日本の歴史がいかに複雑で、個人がその中でどれだけ翻弄されるのかを痛感しました。伊達少佐が選んだ道は決して正解ではなかったのかもしれませんが、それでも信念を貫いた姿に感動しました。特に最後、銃殺刑に臨む姿は美しさすら感じました。高倉健の不器用な男の背中がすべてを物語っていました。(30代 女性)


当時の政治的混乱を背景に、軍人たちの理想と現実のギャップを鋭く描いた『動乱』は、単なる歴史ドラマではなく、普遍的な“人の弱さと強さ”を描いた人間ドラマでした。二・二六事件という重い題材を扱いながらも、娯楽性もあり、緊張感のある構成で最後まで飽きませんでした。(20代 男性)


雪子という存在が、物語全体に柔らかさと哀しみをもたらしていました。伊達との関係はとても純粋で、時代に押し流されることなく愛を貫いた彼女の強さに感動しました。雪子が最後まで伊達を信じていたことが、彼の死に意味を与えているように思えます。全体に流れる悲壮感が、昭和という時代そのものを象徴していました。(50代 女性)


政治的理想に燃える伊達と、現実を生きる雪子の対比が、観る者に何が“正しい”のかを問いかけてくるようでした。特に印象的だったのは、伊達が最後まで仲間を守ろうとし、自らの命で責任を取ったところ。高倉健だからこそ成り立つ男の美学がありました。時代劇ではなく、“時代を生きた人間”の物語です。(40代 男性)


歴史的背景に疎い私でも、人物の感情に寄り添うことで深く楽しめた映画でした。伊達少佐が命をかけた行動が、理想ではなく現実によって否定されていく過程は辛く、雪子とのやり取りにも救いがありません。それでも、信じた道を進む彼の姿に、現代にはない“覚悟”を見た気がしました。(20代 女性)


こうした歴史を題材にした映画は堅苦しいと思っていたけど、『動乱』は人物描写が丁寧で、感情に訴える作品でした。高倉健演じる伊達の無骨な愛情と、真っすぐすぎる生き方が、逆に哀しく映りました。結末は分かっていても、見届けたくなるような緊張感があって、非常に見応えのある映画でした。(30代 男性)


当時の軍部の空気感や、若い将校たちの焦燥と理想に共感しつつも、やはり一人ひとりの人間ドラマとして見るべき映画だと思います。伊達と雪子、それぞれの生き方が交差するラストに涙。歴史の影にあった、名もなき愛と死を描いたこの作品は、もっと若い人たちにも観てほしい名作です。(20代 男性)

映画『動乱』を見た人におすすめの映画5選

累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『動乱』を見た人におすすめの映画5選を紹介します。

日本のいちばん長い日

この映画を一言で表すと?

終戦前夜、国家の命運を巡る極限の24時間を描いた緊迫の歴史ドラマ。

どんな話?

終戦を決断した昭和天皇と、その意思に反旗を翻す陸軍将校たち。玉音放送を阻止しようとする「宮城事件」を軸に、日本がいかにして戦争を終わらせたかを描く実録的群像劇。

ここがおすすめ!

『動乱』と同じく、理想と現実のはざまで揺れる軍人たちの姿が描かれます。時代に翻弄される男たちの矜持と葛藤がリアルに伝わり、国家と個人を問う重厚な作品です。終戦の裏側にある真実を知る好機にも。

二・二六事件 脱出

この映画を一言で表すと?

歴史の闇に消えた青年将校たちの悲劇と理想を描いた異色サスペンス。

どんな話?

二・二六事件の混乱の中、陸軍の青年将校たちの理想主義と現実との対立、そして彼らがたどった運命を描く。脱出を試みる兵士と、それを阻む体制側とのせめぎ合いに迫る。

ここがおすすめ!

『動乱』と題材が同じ「二・二六事件」で、違った視点から描かれる本作は、事件の全貌をより深く理解するのに最適です。青年将校たちの理想の純粋さと、破滅への道が静かに迫る緊張感が見どころです。

八甲田山

この映画を一言で表すと?

自然と軍規に翻弄された男たちの生死を賭けた極寒サバイバル。

どんな話?

日露戦争前夜、過酷な雪中行軍の訓練で陸軍兵士たちが遭難。上層部の命令と現場の判断のずれが、多くの死者を生み出す。実話を元にした壮絶な軍隊ドラマ。

ここがおすすめ!

『動乱』同様、国家の命令に従う軍人たちの悲劇を描いた作品。理不尽な命令に従い、命を落としていく男たちの姿に、“忠誠とは何か”という問いを強く突きつけられます。映像美と迫真の演技にも注目です。

人間の條件(第5・6部)

この映画を一言で表すと?

極限の戦地で試される“人間の本質”を描いた不朽の大河ドラマ。

どんな話?

満州を舞台に、戦争の矛盾と人間性の崩壊を体験する青年・梶の姿を描く大作。第5・6部では、戦場を逃れた梶がシベリアで過酷な労働と飢餓、仲間の死に直面していく。

ここがおすすめ!

『動乱』と同じく、戦争の中で“人としてどう生きるか”を描いており、特に信念と人道のはざまで揺れる主人公に共感必至。人間性を深く問う、哲学的で骨太な名作シリーズです。

風の又三郎 ガラスのマント

この映画を一言で表すと?

文学と映像が融合した、詩情と悲劇に満ちた異色の青春軍人映画。

どんな話?

軍学校に通う少年兵たちの友情、夢、死を描く幻想的な物語。軍靴の音とともに変わっていく時代の中で、少年たちは何を守り、何を失うのか。

ここがおすすめ!

軍という規律の中にいる若者たちの心の葛藤を丁寧に描き、『動乱』のように“時代に呑まれた者たち”の物語として共鳴します。宮沢賢治の世界観を反映した映像詩としても高く評価される一作です。

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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みんなの感想・レビュー

  1. 名無し より:

    クーデターが成功したにも…とのくだりがありますが未遂もしくは失敗ではありませんか?
    成功したとはおかしな表現です