映画『ドローン・オブ・ウォー』の概要:遠隔操縦攻撃機ドローンのパイロットである主人公は、机上でドローンを操縦することよりも実戦に出ることを望んでいた。そんな時、CIAから極秘任務へと選抜される。しかし、任務は凄惨を極めるものばかり。良心の呵責を問う戦争による苦悩を描いた作品。
映画『ドローン・オブ・ウォー』の作品情報
上映時間:104分
ジャンル:ヒューマンドラマ、戦争
監督:アンドリュー・ニコル
キャスト:イーサン・ホーク、ブルース・グリーンウッド、ゾーイ・クラヴィッツ、ジェイク・アベル etc
映画『ドローン・オブ・ウォー』の登場人物(キャスト)
- トーマス・イーガン(イーサン・ホーク)
- 愛称はトミー。空軍少佐で遠隔操縦航空機ドローンのパイロット。妻と2人の子供がおり、真面目で無口。パイロットとしてはかなり良い腕を持っており、戦場に戻りたいと望んでいるが、上司に止められている。
- モリー・イーガン(ジャニュアリー・ジョーンズ)
- トーマスの妻。金髪の美人。夫には戦場に出て欲しくないと思っている。息子と娘がいる。苦悩を続けるも話してくれない夫にやきもきしている。
- ヴェラ・スアレス(ゾーイ・クラヴィッツ)
- 上等空兵。トーマスのチームに所属する新人女性パイロット。情に厚く良識を持った人物。CIAからの任務に異議を唱えるも、逆らえずに作戦を継続。密かにトーマスと仲間意識を強める
- ジャック・ジョンズ(ブルース・グリーンウッド)
- 中佐。トーマスの直属の上司で部下思いな面もある。軍人らしく上からの命令には忠実。
映画『ドローン・オブ・ウォー』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ドローン・オブ・ウォー』のあらすじ【起】
ラスベガス郊外、アメリカ空軍基地。類稀なる戦闘機のパイロットであったトーマス・リーガンは無人攻撃機ドローンを遠隔操作し、1万キロも彼方にあるアフガニスタン上空からタリバン兵をミサイルにて空爆していた。
トーマスはドローンを実機のように扱うことができる希少な人物であった。彼は元々実機を操作し実戦に出撃して来た兵士である。命の危険に晒されながらも、数々の戦場をくぐり抜けて来た実績があった。それ故にドローンのパイロットとして、机上で静かに空爆する任務には酷い違和感を覚え苦悩を抱えているのだった。
上司であるジョンズ中佐には転属願いを出しているも、彼の操縦技術を逃したくない中佐は何かと理由をつけて転属願いを受け付けない。妻のモリーもトーマスの願いには反対で、戦場に出て欲しくないと言う。パイロットなのに空を飛ばず、無人攻撃機を操縦して攻撃する者を果たしてパイロットと呼ぶのだろうか。トーマスは違和感を拭えず、苦悩は増すばかりであった。
映画『ドローン・オブ・ウォー』のあらすじ【承】
そんなある日、CIA主導によるアフガン攻撃作戦にトーマスのチームが選ばれる。それまで極力一般市民を巻き込まない個別攻撃を推進してきた軍であったが、CIAは多少の一般市民を巻き込んでも止むを得ないという考えの元、攻撃を指示していた。
そのため、CIAからの命令でターゲットを攻撃したチームは、多数の一般民をも巻き込む連続攻撃の命令に意を唱える。しかし、軍人とは上からの命令には絶対に従わなければならない。
アメリカ攻撃を推進しているタリバン兵が潜伏しているというだけで攻撃命令を出されたトーマスのチームは、納得できないながらも連続攻撃を遂行した。たった1人のターゲットを滅するためにCIAは無関係である一般民を10人あまりも巻き込んだのである。
作戦は無事に完遂できたものの、血も涙もない命令にチームの紅一点である女性兵士スアレスは憤りを隠せずにいた。彼女の言い分はトーマスの心情と同じであった。
その日の夜、チームのメンバーとクラブに繰り出したトーマス。彼はスアレスに現在の心境を吐露し、実戦での恐怖が懐かしいとこぼすのだった。
映画『ドローン・オブ・ウォー』のあらすじ【転】
翌日は戦闘状況にないアルカイダの支部を空爆せよと命令が下る。CIAは政府認定のされた作戦を命令してくる。例えそれが敵対していない支部であっても、将来的に敵となるだろう不安を排除しているのだ。これが戦争の暗部だと言われたトーマス達は、意に反する命令であっても軍人であるが故に命令を遂行しなければならなかった。
政府がやっていることはテロと同じである。作戦終了後、トーマスとスアレスに見張り任務が回ってくる。その夜はモリーと予定があったが、急な任務であったために約束を反故にしたトーマス。帰宅後は妻の機嫌を宥めた。
その後も着々と任務を遂行。空では常に恐怖を感じ、生きているという実感が持てていたが、現在の任務では何も感じなくなっている。分かってはいるが、どうすることもできない。トーマスは次第に苛立ちを募らせ、モリーの浮気疑惑をきっかけに妻と喧嘩してしまう。
以前は空を自由に飛び回っていたのに、今はもう空を飛ぶことさえ叶わない。トーマスは苛立ちを酒に逃げることで解消し、攻撃的になり思い詰めていく。
ある日の夕方、彼はとうとうモリーに自分が行った任務を明かしてしまう。夫が抱える苦悩に妻は涙を流し、彼の苦しみをようやく理解した。
映画『ドローン・オブ・ウォー』の結末・ラスト(ネタバレ)
良心の呵責に苛まれたトーマスは、モリーが見ても明らかに危険な状態であった。しかし、彼は真面目であるが故にその日も出勤。朝から酒気を帯びつつミーティングルームへ。中佐は凄惨な任務を継続するにあたり、チームメンバーの精神面を心配していた。
相手が攻撃を止めない限り、こちらも攻撃を止めることができない。
その日、ターゲットの監視に8時間を要した後、攻撃命令が出たが、その時にドローンとのリンクが切れてしまい攻撃対象を逃してしまう。任務は失敗した。
中佐はトーマスが故意にリンクを切ったことを察し彼を問い詰めたが、トーマスはそのことを認めなかった。だが、任務失敗についての責任は取らなければならない。トーマスはチームから外され監視任務へと格下げになってしまい、ドローンですら空を飛ぶことができなくなった。
彼はそれをモリーに報告したが、妻は夫を見限り子供達を連れて出て行ってしまう。
このことでトーマスは酒に逃げることをやめた。
その後、気丈にも任務遂行を果たしたスアレスは一等空兵へ昇格。彼女の言葉に心を決めたトーマスは、監視任務で1人になった瞬間を狙い、以前から態度の酷い兵士を空爆。凌辱され続けていた人妻を助けた。彼はこの行動により自身の心を救いその後、何も口にせず清々しい表情で軍から去って行ったのだった。
映画『ドローン・オブ・ウォー』の感想・評価・レビュー
ドローンを遠隔操作し、戦争に参戦する兵士の苦悩と懊悩を描いた作品。
通常、戦争とは人間が命を賭けて戦う。だが、現在は人的被害を最小に抑えるため、ドローンを遠隔操作し、空爆を行う。ドローンには人が乗らないので、人が直接乗り込む爆撃機よりもスピードが出せるし、短時間で任務がこなせる。任務が短時間で完了すれば、戦争もより早く終わるということだ。ただ、今作の主人公は元々パイロットで空を飛ぶ素晴らしさや命を賭けた戦いを知っている。その命のやり取りは恐らく、忘れることのできない体験で、椅子に座って爆弾を投下する作業とはまるで違う。自分は安全な場所にいて、ボタンを押すだけで人が死ぬという現実に主人公が思い悩む様子がよく描かれている。今作を観ると、例え戦争でも命を賭けて戦う方が健全ではないかと思ってしまう。いずれは、ドローン同士で戦い人が全く死なない戦争も起こるかもしれない。そもそも、戦争など勃発しない方が一番良いと思うけれども。(女性 40代)
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