映画『エミリー・ローズ』の概要:2005年の制作されたスコット・デリクソン監督、ジェニファー・カーペンター主演のホラーサスペンス映画。実際にドイツで発生した、悪魔祓いによる保護責任者遺棄致死事件に基づいて作られた。
映画『エミリー・ローズ』 作品情報
- 製作年:2005年
- 上映時間:120分
- ジャンル:サスペンス、ミステリー、ホラー
- 監督:スコット・デリクソン
- キャスト:ローラ・リニー、トム・ウィルキンソン、キャンベル・スコット、ジェニファー・カーペンター etc
映画『エミリー・ローズ』 評価
- 点数:70点/100点
- オススメ度:★★★☆☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★☆☆
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★☆☆
- 設定:★★★★☆
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映画『エミリー・ローズ』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『エミリー・ローズ』のあらすじを紹介します。
エミリー・ローズという敬謙なクリスチャンの少女が、悪魔祓いの後に命を落とした。
悪魔祓いを担当したムーア神父は起訴され、無宗教者の女性弁護士エリンが教会から雇われる。
検察側には、キリスト教徒でやり手のトマスがつく。
教会が嫌がる中、悪魔祓い裁判が始まる。
エミリーは大学の寮で悪魔に憑かれたという。
脳の病気や精神疾患の疑いがあり、検査入院と投薬治療を行ったが、状態は悪化する一方。
ボーイフレンドのジェイソンの付き添いで実家に戻り、親交のあるムーア神父に連絡をして悪魔祓いが決められた。
神父の助言で薬を止めたのが死因と主張する検察に対し、エリンは”悪魔憑きを立証させる”事にする。
そして、悪魔祓いに同席していた精神科医カートライトが名乗り出て状況は一変するかに思われたが、カートライトは事故死してしまう。
彼から悪魔祓いを録音したテープを預かったエリンは、法廷でそれを流す。
10月31日、ハロウィンの夜に始まった悪魔祓いの内容は、2重に聞こえる声で知らないはずの外国語を話すエミリー、そして6体の悪魔が憑いているという内容だった。
エミリーはラテン語などを学んでおり、2重に聞こえる声についても説明がつくものだった。
しかし、エミリーはムーア神父に宛てた手紙で、夢で聖母マリアに会い、自分の経験を通して悪魔の存在を知らせたいと決めた、と残していた。
手紙が公開された後裁判は終わり、ムーア神父は過失致死罪で有罪になる。
しかし、服役の必要は無しという判決になった。
その後、エミリーの墓には参列者が絶えないという。
映画『エミリー・ローズ』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『エミリー・ローズ』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
キリスト教の色が強いエクソシストの物語
ホラー映画と勘違いされがちだが、悪魔祓いの末に亡くなってしまった少女に関しての裁判の映画だ。
実際にあった事件を基にしている、というテロップから始まるが、起こったのはアメリカではなくドイツで、名前や時代背景などもほとんど変更されている。
法廷でのシーンと回想シーンが上手く組み合わせてあり、裁判と同時進行で、エミリーに何が起こったのかが解き明かされていく。
だが宗教色が強く、エミリーが2度目の悪魔祓いを拒否した理由も夢でマリア様に会ったからだと手紙が残されており、キリスト教に馴染みのない場合は理解に苦しむ部分がある。
また、宗教に関して懐疑的だったはずのエリンが、落ちていたネックレスに自分のイニシャルが書かれているというだけでお守りにしてしまう、というツッコミどころもある。
ミステリーとホラーの中間にある法廷サスペンス映画
散々”なぜエミリー・ローズという少女は亡くなったのか”に論点を置きながら、様々な可能性を未解決のままにし、お涙頂戴のラストになっているのは残念だ。
見ている側にも、有罪か無罪かという疑問が投げかけられており、判決内容も有罪だが懲役無しというラストになっている。
この映画がただのホラー映画と勘違いされがちな理由に、悪魔祓いの回想シーンが刺激的だ、という理由が挙げられる。
珍しい病気では黒目が大きくなったり、不自然な体勢になったり、人間の声帯は2つあるために2種類の声も出せる、という科学的な意見も提示されている。
それでも、悪魔祓い中にエミリーが6体の悪魔の名前を言う回想シーンは、大抵の法廷劇では見られないような緊張感がある。
全てがはっきりせず、うやむやになっているストーリーのため、ミステリーを想像するとがっかりするし、ホラーを見たい場合は怖いシーンの少なさに残念さを覚えるだろう。
また、裁判の証拠のために確認をしているのだろうが、エミリーの残した手紙や悪魔祓いを記録したテープを聞いている主要登場人物のリアクションの薄さが気になってしまう。
本作は、実際に起こった悪魔祓い事件と法廷劇を描いたホラーサスペンス作品。
法廷での裁判が中心のお話で、「悪魔」の存在を証明できるか否かが裁判の結果が傾く重要な争点となっているところがアメリカらしくて興味深かった。
なのでホラーよりもサスペンス要素が強めになっている。
裁判の終盤に法廷で読み上げられた今は亡きエミリー・ローズからの手紙に、彼女に苦渋の決断が読み取れて胸が一杯になった。
終わり方も、私にとっては受け入れやすいもので面白かった。(女性 20代)
エミリーは何故亡くなってしまったのか。死因は分かっていますが、そこに至るまでに何があったのかを推理するミステリー作品です。ミステリーとエクソシストの要素を合わせると、ホラーっぽくなりすぎずとても見やすかったのですが、これが実話を元にしたストーリーという事で納得できるような答えが出ず、もう少し様々な点を明らかにして欲しかったなと感じました。
観客が求める答えと、エミリーが願った答えは違うものだったのかもしれませんが、悲しみと虚しさが入りまじる不思議な気持ちになりました。(女性 30代)
映画『エミリー・ローズ』 まとめ
法廷ミステリーとホラーを融合させた作品で、ドイツで実際に起こった”悪魔祓いによる保護責任者遺棄致死事件”というものがベースになっている。
アメリカ風の脚色はされているものの、悪魔祓いの裏話や、裁判に関するちょっとした知識が得られる映画だ。
エミリーの死因は最初に提示され、それは最後まで変わらないのだが、その過程で何が起こったのか、悪魔祓いを立証しようとする弁護側と科学的な検察側のやりとりがあって、ただのホラーではなく、ありがちなミステリーとも一線を超えていて面白い。
また、実際にドイツで起こった事件で命を落とした少女はアンネリーゼ・ミシェルという名前だ。
大きな活躍はしていないものの、エミリー・ローズという名前で活動しているブロンドヘアーの女優が実在する。
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