この記事では、映画『究極のハピネスを求めて』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『究極のハピネスを求めて』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『究極のハピネスを求めて』の作品情報

上映時間:96分
ジャンル:ドキュメンタリー
監督:フェリックス・シュターク
キャスト:フェリックス・シュターク、セリマ・タイビ etc
映画『究極のハピネスを求めて』の登場人物(キャスト)
- フェリックス・シュターク
- 南ドイツ出身。学校は中退し、会社も退職する。自転車ひとつで、22カ国を回る旅に出る。モーグリの恋人。
- セリマ・タイビ
- 通称、モーグリ。幼い頃からオペラを歌い、成績も優秀だった。高学歴やキャリアに興味を持つことはできず、旅に出ては、そこで受けた影響や体験を歌にしている。
映画『究極のハピネスを求めて』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『究極のハピネスを求めて』のあらすじ【起】
フェリックス・シュタークの故郷である南ドイツでは、皆懸命に働き若くして持ち家を建てることが普通だった。だが、フェリックスはそんな流れから早々に脱落した。学校は中退し、会社も退職した。自転車ひとつで、22カ国を回る旅に出たのだ。その模様を記録したのが、『Pedal The World』という題名で映画になった。
モーグリの家族は大学出身者ばかりだった。彼女自身も幼い頃からオペラを歌い、成績も優秀な人物だった。だが、高学歴やキャリアに興味を持つことはできなかった。モーグリは旅に出ては、そこで受けた影響や体験を歌にしていた。
フェリックスとモーグリは自転車の旅でカップルになり、ベルリンへ引っ越した。そこには住まいもあり友人もいたが、フェリックス達は幸せではなかった。2人にとってベルリンの街は、騒々しくて汚いだけだった。フェリックス達は家を解約すると、旅に出ることを決める。新しい映画を撮り、曲作りに励むことにしたのだ。
フェリックス達は自転車の代わりに、アメリカの古いスクールバスで旅をすることにした。2人はニューヨークに飛ぶと、バスの改造を行った。椅子を撤去し、トイレやキッチンを設置した。2人の旅は予定を立てずに行うため、朝起きてどこへ行きたいか決めていた。まずは、取得していたビザが切れるため、カナダに向かうことにした。旅には犬のルディも連れて行った。
映画『究極のハピネスを求めて』のあらすじ【承】
フェリックス達がバスで過ごす最初の夜、さっそく問題が発生した。外は雨で、天井から雨漏りが起こったのだ。屋根に上がって穴を防がなければならないほどだった。しかも、給湯器が壊れてしまい、お湯が使えなくなってしまう。フェリックスは給湯器の直し方など知らなかったが、入浴するためにも、早急に対処しなければならなかった。フェリックスは12週間にも及んだ浴室工事で挫折に慣れており、深刻に捉えず問題に対処することができた。
フェリックス達はトロントを通過し、カナダに向かった。景色を楽しみながら進んでいたが、道なりだとすぐに飽きてしまうため、1時間ごとに進路を変えて探検していた。ちゃんとルートに戻れるのかスリルを味わえたし、新しい発見があって面白かった。
フェリックス達はカナダにあるバンフ国立公園を訪れた。バンフへ行く間、予想に反して山が全く見えなかった。だが、「アルバータ州へようこそ」と書かれた看板を抜けると、荘厳な山々が見えた。フェリックス達はバンフの景色を気に入り、しばらく滞在することを決める。ルディと散歩したり、バスで公園内を回ったりした。フェリックス達は観光客を避けるため、朝早くから活動していた。運が良ければ、熊を見ることができた。
フェリックス達はバンフを離れアラスカ州へ向かった。フェリックス達は「究極のハピネス」を追い求めていた。フェリックス達は何にも縛られず、日が出たら起き、沈んだら眠る今の生活に「幸せ」を感じていた。さらに、フェリックスは前回の旅は1人だったため、モーグリと一緒に旅をして喜びを分かち合えることに幸せを感じていた。
フェリックス達はアラスカ州の「デナリ国立公園」に到着した。景色が壮大で、フェリックスは運転を楽しんでいた。フェリックス達はデナリから50キロほど離れた「テクラニカ・キャンプ場」を訪れた。そこで、排水を行い、新しい水を積み込んだ。曇り空が続いていたせいで太陽光発電ができず、代わりにプロパンガスで発電することになった。デナリは小さな丘があり、大きな山があり、壮大な川が流れており、素晴らしい景色だった。
映画『究極のハピネスを求めて』のあらすじ【転】
フェリックス達はデナリを南下し、キナイ半島に向かった。地元民のエリックとカイリーと仲良くなり、一緒に外でキャンプをして食事を食べることになった。地元民と触れ合うと、その国をより理解することができた。
フェリックス達は次にバンクーバーを訪れた。2人にとって久しぶりの大都会だった。ルディの脚の具合が悪く、獣医師に診せる必要があったのだ。診察の結果、手術することになった。手術後、ルディは夜通し鳴いていた。フェリックス達も心配で、眠れなかった。
フェリックス達はビザの申請が上手くいかず、大使館の次のアポまで3週間も待たされることになった。旅を続けられるか分からず不安な日々を過ごしていると、ドイツからフェリックスの兄弟であるマルコと恋人のソフィアが励ましにきてくれた。ルディの傷の回復には安静が一番だったため、同じところに留まっていることは良い面もあった。そして、2度目のビザ申請は良い係官に当たり、無事に解決した。
モーグリはアメリカへの入国審査で、悲しみと怒りに襲われる出来事があった。ルディを外の犬舎に入れられたのだ。30度の暑さだったため、手術したばかりであることを係官に訴えた。しかし、水もくれず、涼しい場所に移動もさせてくれなかった。モーグリ達は早朝の涼しい時間に出直そうとしたが、一度手続きしたら出直しは効かないと断られてしまう。しかも、フェリックスがトイレを使っただけなのに、犯罪者のように扱われ係官から脅されてしまったのだ。さらに、ルディが熱中症を患い、10分ごとに嘔吐を繰り返していた。モーグリは心底アメリカに失望した。
フェリックス達はロサンゼルスを西へ向かい、内陸を走ることにした。途端に風景ががらりと変わり、砂漠が広がった。内陸は毎日ものすごい暑さで、ルディが体調を崩してしまう。モーグリは濡れタオルや保冷剤を使い、ルディの体を冷やした。その後、暑さが和らぐ朝と夜にルディの散歩を行った。その甲斐もあって、ルディは暑さに慣れて元気になった。
映画『究極のハピネスを求めて』の結末・ラスト(ネタバレ)
フェリックス達が7ヶ月の間で旅をした国は、アメリカとカナダの2カ国だけだった。ヨーロッパだったら、1周は終わっている期間だった。環境は変化に富んでいたが、人や文化はあまり変わらなかった。モーグリはこれから向かうメキシコに胸を躍らせた。入国審査の手続きが無事に済み、フェリックス達はメキシコの地に足を踏み入れた。人も親切で食事もおいしかったが、道路がボコボコで最悪だった。バスのあらゆる場所が故障していった。
メキシコの地では旅行者は珍しく、常に誰かが話し掛けてきた。初日の夜、2人の女の子に夕食に招待され、テキーラのボトルをプレゼントされた。2人は「地元を見せたい」と言い、友人の唐辛子工場を紹介した。フェリックス達は工場見学の後、唐辛子畑やポテトチップス用のじゃがいも畑も見せてもらった。モーグリはハラペーニョを食べさせてもらい、あまりの辛さに顔を顰めた。農場の近くには撮影が許されない大邸宅が並んでいた。しかも、自家用ジェット機があり、小さな檻でトラも飼われていた。フェリックスはトラがいることを疑問に思うが、あえて詳しい事情は聞かなかった。その後、トラの飼い主はたくさんの土地を持ち、何千人もの従業員を雇っている人物だと判明する。しかも、メキシコで一番大物の、麻薬の密売人だった。
フェリックス達はメキシコのサン・ミゲル・デ・アジェンデの街で男性(ミゲル)に声を掛けられ、出身地や何をしているのか質問される。ミゲルはフェリックス達の話に興味を持ち、自宅に招待した。それから、フェリックス達はミゲル一家と本物の家族みたいに仲良くなり、一緒に夕飯を食べに行くことになった。サン・ミゲル・デ・アジェンデの街は美しく、フェリックス達は数日留まることにした。移動しない日を設けたお蔭で、ストレスから解放されてリラックスできた。
路面の状態が悪いため、ガソリンスタンドでバスの点検を行った。貯水タンクはずり落ち、車はボロボロの状態だった。修理に必要な道具がなく、フェリックスは途方に暮れた。フェリックスは偶然出会ったトラックの運転手に、拙いスペイン語で助けを求めた。トラックの運転手がたぶん「ついてこい」と言ったので、フェリックス達はバスを走らせついて行くことにした。子供の頃、フェリックスは知らない人を信用するなと教わった。だが、旅でどこへ行っても、その教えは守らなかった。フェリックス達は無事に修理工の元に辿り着いた。修理をしてもらっている間、スペイン語交じりの英語で運転手にお礼を言った。
フェリックス達は暑さに慣れたと思っていたが、思ったよりも体力を消耗してストレスを抱えていた。エアコン付きのホテルに泊まることにしたが、ルディの体調が悪化してしまう。ルディを獣医の元に連れて行くと、ジアルジア症に罹っていると言われる。しかも、胃炎や他の複数の病気も患っていた。獣医からしばらく旅を休むことを勧められる。
フェリックス達はルディのために帰ることを決める。旅が終わるのは悲しかったが、フェリックス達自身も疲労していたことに気づく。フェリックス達が今求めているのは落ち着いた生活だった。最後はトゥルムの街で、知り合った友人達と穏やかに過ごした。
バスはネットで抽選を行い、当選した家族に譲渡した。ルディは飛行機の搭乗を拒まれたが、ミゲル達家族のお蔭で事なきを得た。フェリックス達は今回の旅で、一生の友達ができたと喜んだ。今度はミゲル達家族と、ドイツで再会することを約束した。
フェリックス達はクリスマスの日に帰国した。そして、家族に会いに行き、再会を喜んだ。
映画『究極のハピネスを求めて』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
「スクールバスを改造して自由気ままに旅をする」。いつかはやりたいと想像はできても、なかなか現実的に実行に移すのは難しいことだと思う。だが、フェリックスと恋人のモーグリは現実にやってのけたのである。そこが一番すごいと思う。
とにかく風景が美しくて、それだけでもこの映画を見る価値があると思う。フェリックス達が心から旅を楽しみ、幸せな笑顔を見せていたのが印象的な作品だった。だがそれだけではなく、大変な部分や困難な部分もきちんと作品に盛り込まれているため、旅だけしていても楽しいわけではないのだと感じられたのが良かった。(女性 20代)
本作は、冒険好きのドイツ人カップルと愛犬ルディが、自分たちで改造したスクールバスでアラスカからカナダ、アメリカ、メキシコを南下する旅のドキュメンタリー作品。
スクールバスの改造シーンから始まり、この段階からすでにワクワクさせられる。
疲れ切っているときもハプニングの最中にもカメラを回し続けていて、脚色していない感じがとても良かった。
道中で辿り着く絶景の美しさ、大自然の中で生きてる実感を肌で感じられることは素晴らしいことだし、今すぐ旅に出たくなった。(女性 20代)
私の死ぬまでにやりたいことの中に入っている「知らない場所」に行くこと。旅に慣れている人にとっては何を言ってるのかと思われるかもしれませんが、おうちが私の「天国」であるため、正直旅行が苦手なのです。でも死ぬまでに1度はやってみたいという気持ちもあります。
この作品を見ると死ぬまでに1度と言わず、何度でも思い立った時に旅行すればいいじゃない!と物凄くハッピーな気持ちになりました。あまり深く慎重に考えすぎずに、やりたい!と思ったことを即行動に移してみるのもいいなと感じさせてくれる作品でした。(女性 30代)
夢を追いかけて改造キャンピングカーで北米を旅する二人と愛犬の姿に、自由とは何かを考えさせられました。美しい大自然の映像は癒しでしたが、同時に犬の健康問題や過酷な環境での生活の大変さも描かれ、現実的な苦悩が印象的でした。理想と現実のギャップの中で、それでも「一緒に生きること」に意味を見出している姿が胸に響きました。(20代 男性)
美しい風景に心を奪われつつも、旅の途中で愛犬ルビーが体調を崩す場面は胸が痛みました。楽しい冒険が必ずしもハッピーだけでなく、痛みや葛藤も伴うことを率直に描いているのが良かったです。旅の終盤に彼らが「幸せはどこかにあるのではなく、自分たちの中にある」と気づく流れに共感しました。映像美と素直な心情が心に残ります。(30代 女性)
冒険的なロードムービーというより、人生の実験を見せてもらった気分でした。バスを改造し、自由な暮らしを追い求める姿は憧れますが、実際には孤独や病気、天候などの厳しさに直面します。観ていて「理想の自由」と「生きる現実」の対比がとてもリアルで印象に残りました。最後に彼らが旅を終えたこと自体が一つの答えだと感じました。(40代 男性)
自然の中を駆け抜ける映像は本当に美しく、音楽と相まって詩的な旅の記録のようでした。しかし、夢のようなシーンの裏に、孤独や愛犬の病気、移動の過酷さといった現実がしっかり描かれているのが魅力。観終わった後は「幸せは特別な場所にあるのではなく、日々の小さな選択の積み重ねにある」と考えさせられました。(20代 女性)
「バンライフ」に憧れる人間にとって、この映画は理想と現実を両方突きつけてきます。アラスカの壮大な自然に心を奪われた直後、ルビーが体調を崩すシーンは旅の過酷さを痛感させられました。幸せを追い求めるほど、それが簡単ではないことに気づかされます。だからこそ、彼らが最後まで互いを支え合う姿に本物の強さを感じました。(50代 男性)
ルビーの存在がこの映画の心そのものでした。彼女が弱っていく姿は観ていて辛かったですが、それでも二人が彼女を大切にしながら旅を続ける姿には愛の深さを感じました。結局のところ「究極の幸せ」は特別な場所ではなく、愛する存在と共に時間を過ごすことなのだと実感しました。涙が溢れたけれど、心が温まる映画でした。(30代 女性)
この映画を観て「自由には代償がある」という言葉を思い出しました。車を改造して大自然を旅する生活は憧れますが、資金、健康、孤独といった問題は避けられない。二人と一匹の旅は理想を追うだけではなく、現実を受け入れる過程そのものでした。最後に彼らが笑顔で旅を振り返るシーンに、本物の幸福を見た気がします。(40代 男性)
映画『究極のハピネスを求めて』を見た人におすすめの映画5選
イントゥ・ザ・ワイルド
この映画を一言で表すと?
自由と孤独の果てに「本当の幸せ」を探し求めた青年の実話ドラマ。
どんな話?
裕福な家庭に生まれた青年クリストファーが、全てを捨ててアラスカの荒野へと旅立つ実話を基にした物語。自然の美しさと厳しさ、そして孤独の中で彼が見出す「幸せの意味」が、観客に深い問いを投げかけます。
ここがおすすめ!
『究極のハピネスを求めて』同様に、美しい自然を背景に「幸せの本質」を探し求める物語。壮大な景色と心揺さぶる音楽、そして人生を変えるメッセージが詰まった必見の作品です。
ワイルド
この映画を一言で表すと?
喪失と罪を背負った女性が自然を通じて自分を取り戻すロードムービー。
どんな話?
母の死と自分の過去に苦しむ女性シェリルが、1,600km以上にわたるパシフィック・クレスト・トレイルを一人で歩き続ける実話を描いた作品。孤独と自然との闘いの中で、彼女は自らを癒していきます。
ここがおすすめ!
自然の壮大さと人間の小ささを対比させながら、再生の物語を紡ぎます。『究極のハピネスを求めて』と同じく「旅そのものが人生の象徴」と感じさせてくれる映画です。
バニシング・ポイント
この映画を一言で表すと?
アメリカ横断を舞台に自由と破滅を疾走する伝説のロードムービー。
どんな話?
車を走らせる男コワルスキーが、警察に追われながらアメリカを横断していく物語。シンプルな筋書きの中に、自由を求める人間の姿とアメリカ社会の影が浮かび上がります。
ここがおすすめ!
車と旅を通じて自由を体現する映画であり、『究極のハピネスを求めて』のバンライフと通じるテーマがあります。疾走感と虚無感が入り混じる不思議な余韻を残します。
イート・プリ・ラブ
この映画を一言で表すと?
旅を通して自分自身を見つけ直す、心温まる自己再生の物語。
どんな話?
離婚を経た主人公リズが、イタリア・インド・バリを巡りながら「食」「祈り」「愛」を通して人生の再出発をしていく物語。観光映画のような美しい映像も魅力のひとつです。
ここがおすすめ!
『究極のハピネスを求めて』同様に、旅を通じて「幸せ」を探す物語。心が疲れた時に観ると前向きな気持ちを取り戻せる作品です。
リトル・ミス・サンシャイン
この映画を一言で表すと?
欠点だらけの家族が旅を通して見つける、ささやかな幸せの物語。
どんな話?
ミスコン出場を夢見る少女と、その夢を支える破天荒な家族が古びたワゴンでアメリカ横断をする物語。旅の中で家族の絆が試され、やがて強まっていきます。
ここがおすすめ!
『究極のハピネスを求めて』が「愛犬と二人の旅」なら、こちらは「家族の旅」。ハプニングだらけの中で見つける小さな幸福は、観た人の心に温かい余韻を残します。






みんなの感想・レビュー
忘れもしません。2019 3月にこの映画を字幕で見たのは夜中のバーの小さなスクリーンで、隣で私に寄りかかり熟睡していた男性がいました。私はわけもわからず暇をもてあましてこの映画をぼんやり見ていましたが、その時の私が今思うと究極のハピネスだった気がします。一晩、一人で誰にも行き先を告げずに宿泊先を決めた日でした。行く手に何があるかわからないけど、不安とわくわくが入り交じった、非日常。決して無駄ではない、必要な時間だったと思います。後からじわじわくる映画です。