この記事では、映画『劇場』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『劇場』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『劇場』の作品情報

上映時間:136分
ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ
監督:行定勲
キャスト:山﨑賢人、松岡茉優、寛一郎、伊藤沙莉 etc
映画『劇場』の登場人物(キャスト)
- 永田(山崎賢人)
- 中学からの同級生と劇団「おろか」を立ち上げ、上京したものの鳴かず飛ばずで苦しい最中に沙希と出会う。プライドが高く、沙希の前では強がることが多いがとても繊細な男性。
- 沙希(松岡茉優)
- 偶然とある画廊の前で永田に声をかけられた女性。夢を持って上京し、永田と孤独を分かち合いながら寄り添って生活していく。誰もが口をそろえて「いい子」だというとても素直なタイプ。
- 青山(伊藤沙莉)
- 永田の劇団の元劇団員。永田のキツイ言葉に耐えかね退団するも、演劇への熱量は変わらずライターとして関係していく。偶然再会した永田に仕事を与える存在。
映画『劇場』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『劇場』のあらすじ【起】
「いつまでもつだろうか」限界間際の永田はとある画廊の前で佇んでいた。偶然、隣に立った沙希に目を奪われた永田は思わず後を追い、「靴同じですね」と声をかけてしまう。お茶に誘いたくとも持ち合わせのない永田は、とりとめのない会話を必死に続ける。「お金を貸して欲しいということですか?」と問う沙希だったが、一緒にカフェへ行きコーヒーをごちそうしてくれた。
永田は高校の同級生と小劇団「おろか」を立ち上げ活動しているが、光が当たる目途はない。「いつまでもつだろうか」と自分の不安と背中合わせな日々を送っている。一方で沙希は女優を目指し青森から上京したという。沙希と連絡先を交換できたものの、自信のない永田は電話すらできずにいるのだった。
劇団員からのクレームを受けた永田。自分の演劇を疑わない永田は、劇団員にキツイ言葉で返してしまった。帰り道、自分があげた自転車に乗った劇団員に傘で殴られてしまう。作品を生む苦しみから逃げようと沙希への連絡を試みた永田。断られたと勘違いし絶望するも、沙希の返事はOKという意味だった。
どこへいっても声をかけられる沙希。自分と同じペースで歩いてくれる沙希に居心地の良さを覚え、永田はどんどん魅了されていく。新しく書き上げた脚本「その日」の主演に沙希を起用した。これまで酷評続きだった劇団だが、沙希の名演が評判を呼びは少しだけ注目を浴びた。誰もが沙希に脚光を浴びせた打ち上げ以降、永田はもう沙希を舞台に上げることはなかった。
劇団は定期公演をできるようになった。稽古日が増え、日雇いのバイトができない永田は沙希の家に転がり込んだ。やましいこともしても、沙希の元へ帰る日々。互いに影響を受け合う二人だが、沙希の親からの仕送りを食べさせてもらうことには耐えかねる永田。プライドが邪魔をして、素直にお礼も言えずにいるのだった。
映画『劇場』のあらすじ【承】
沙希に甘やかされた永田。「ここが一番安全な場所」という沙希は、贅沢もわがままも言わず寄り添ってくれるが、永田は家賃も支払わず我慢などせずに生きている。しかし時に永田は嫉妬に狂う。掴み切れない永田の言動に振り回された沙希は、学校に行かなくなった。朝から洋服屋で働き、夜は近所の居酒屋で働き詰める。一方で永田は夕方過ぎに起きて、演劇のことを考え歩き回る日々を送る。何も浮かばないアイデアを追い求める振りをして逃げているだけ日々である。
野原に誘われ、同い年の演出家が率いる劇団の演目を見た永田。その才能に嫉妬し、涙を流してしまう。その夜、偶然にも再会した元劇団員・青山から文章を書く仕事をもらえることになった。この頃から沙希が笑っていてくれればよかった日々は、形を変え始める。
一緒に広い家に引っ越そうという沙希の提案を断り、借金をして永田は一人暮らしを始める。仕事を理由に一人になった永田は、初めての居場所に安堵するも不意に沙希を求めてしまう。そうして自分が沙希に守られていたことに気付くのだった。
映画『劇場』のあらすじ【転】
自分のことでいっぱいだった永田は、ようやく沙希のことに目を向け始める。沙希のバイト先には永田が泣いてしまった劇団関係者が多く出入りしていることを知った。しかし沙希は恋人が演劇をやっていることは誰にも言っていないことも知り、嫉妬に狂うのだった。
沙希と距離を置いた永田だったが、酒を飲んだ時だけは沙希の家に行ってしまう。しかしこの頃から沙希が永田と少しずつ距離を取り始めた。そして酒の力を借りてこれまでの不満をぶつける。27歳を迎えた沙希は永田の考えも何もかもわからなくなっていたのだ。
いつからか沙希から笑顔が消えていた。「大切な話がある」という連絡を沙希から受けた永田だが、逃げ続けてしまった。沙希の職場を訪ねた永田だが、すでに店長と帰ったと聞かされる。そこで沙希と一緒に働く劇団員と対面し、劣等感に苛まれるのだった。
沙希の自転車を見つけ、「帰ろうか」と声をかける永田だが沙希は目も合わせなかった。これまでの数年間できなかった後悔を取り戻すかのように、永田は沙希を丁寧に、丁寧に扱うのだった。
映画『劇場』の結末・ラスト(ネタバレ)
精神的に不安定になることが多くなった沙希は、夜に眠れなくなった。酒の量も多くなった沙希を守ろうとする永田は、空振りばかり繰り返すのだった。その姿を見ていた野原と青山は「沙希と別れるべきだ」と説得を始める。しかし永田には人の意見を受け入れる余裕など常日頃持ち合わせていない。「最後には笑えればいい」と二人に伝え、沙希の元へ戻るのだった。
これまでならば沙希が自分以外の人を褒めることなど受け入れられなかった永田。ようやく沙希と同じ目線で話をできるようになった矢先に、沙希は実家に戻る決心をしていた。アパートの荷物を全てそのままにして永田の元を離れた沙希。「東京」の大部分を占める永田から解放された沙希は、回復し実家の近くで仕事を見つけるのだった。
永田は部屋の引き渡しに来た沙希と久々に再会する。一度だけ沙希を舞台に立たせた脚本を読み合うフリをして、永田はこれまでの後悔を伝え始める。そして沙希も即興のセリフでこれまでの感謝を伝えるのだった。
まるで舞台の上に居るように沙希に言葉を投げる永田。「一番会いたい人に会いに行く。こんな当たり前のことが何でできなかったんだろうね」と笑う永田は、形にならなかった明るい未来を語り続ける。まさにそこは舞台の上であった。その様子を客席から見る沙希は「ごめんね」と繰り返し涙を流すのだった。
映画『劇場』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
松岡茉優の一人勝ちである。圧勝だった。生活のリアリティーに共感する物語ではないものの、演者の作る世界観と監督の色付け、そして原作を活かした脚本の言葉選びのバランスが秀逸な一作である。明るい瞬間などない。永田と沙希、二人の笑い合う時間は暗雲への序章でしかないのだ。物書きでありお笑いタレントならではの締め方なのだろうか。綺麗に物語を構成する要素を活かした幕の降ろし方であった。劇場公開と配信の同日開始という見る者に見る場を委ねる戦略はどう出るのか、実験的な一作であった。(MIHOシネマ編集部)
原作を読んでいるときは、主人公の永田を著者である又吉直樹のようなイメージで捉えていたため、映画で観ると少しギャップを感じた。永田の言動は結構ひどいのだが、原作のときは半分ふざけてそうしているようにも思えて可笑しかった。しかしそれを山崎賢人がすると本当に冷たい男に見えてしまうのが残念だった。
松岡茉優はひたむきな沙希を好演していて、不器用な若者の切ない恋に浸ることができた。
最後の臨場感がとても素晴らしい。このタイトルが「劇場」であることが一気に胸に迫ってくるラストだった。(女性 40代)
松岡茉優の少し気の強そうな雰囲気が嫌味っぽく感じてしまい苦手だったのですが、この作品で彼女が演じた沙希はとにかく凄かったです。
可愛いとか綺麗という褒め言葉はよく聞きますが、彼女の場合は「いい子」というのがピッタリでしょう。もちろん本当にいい子なのですが、時にはそれがいい子「ぶっている」ように見え、そこの加減をちょうど良いバランスで演じていたのが素晴らしかったです。
永田のしょうもないプライドなんでどうでも良くなるほど、沙希の純粋なキャラクターに魅了されてしまいました。(女性 30代)
売れない劇作家の永田と沙希の恋愛を描いた物語だが、単なる恋愛映画ではなく、夢を追うことの残酷さや、人を愛することの難しさを痛感させられる作品だった。永田は才能を信じて疑わないが、その自信の裏には幼さや自己中心的な面もあり、見ていてもどかしい。沙希はそんな彼を支え続けるが、次第に現実とのギャップに苦しんでいく。特に二人が別れる場面は静かなのにとても切なく、胸が締めつけられた。ラストの再会シーンでは、時間が流れても残る感情の複雑さを感じさせられ、余韻の深い映画だった。(20代 男性)
夢を追う若者の姿がリアルに描かれていて、とても印象に残る作品だった。永田は劇作家として成功することだけを考え、周囲の人間や沙希の気持ちを顧みない場面も多い。その未熟さが時に痛々しく感じるが、夢に取り憑かれた人の姿としてはとてもリアルだと思った。沙希が彼を支え続ける姿は優しくもあり、同時に切なさも感じる。二人の関係が少しずつすれ違っていく過程が丁寧に描かれていて、別れの場面は本当に苦しかった。青春の苦さを描いた映画として強く心に残る。(30代 女性)
この映画は恋愛の美しさよりも、夢を追う人間の孤独を描いているように感じた。永田は自分の作品に対する情熱が強すぎて、周囲が見えなくなってしまう。その姿は身勝手にも見えるが、何かに本気で打ち込んだことがある人なら少し理解できる部分もあると思う。沙希はそんな彼を支えるが、次第に自分の人生とのバランスが取れなくなっていく。二人が別れる場面は静かだが非常に重く、夢と現実の間で揺れる若者の姿がリアルに描かれていた。(40代 男性)
観終わった後、恋愛というより人生について考えさせられる映画だった。永田のように夢を追う人は魅力的でもあるが、その裏で周囲の人が傷つくこともあるという現実が描かれている。沙希は最初こそ彼の才能を信じて支えているが、時間が経つにつれて疲れていく様子がとてもリアルだった。特に別れのシーンは派手な演出がないのに感情が伝わってきて、思わず涙が出た。ラストで再び会う場面も印象的で、若い頃の恋の記憶を思い出させる作品だった。(50代 女性)
夢を追うことの美しさと残酷さを同時に描いた映画だと思う。永田は劇作家として成功することしか考えておらず、生活や恋愛を犠牲にしてでも作品を作ろうとする。その姿はどこか危ういが、芸術に取り憑かれた人間のリアルな姿でもある。沙希は彼を支え続けるが、次第にその関係に限界が訪れる。二人の別れは避けられないものだったように感じた。ラストで時間が経った二人が再会する場面は切なく、青春の終わりを感じさせる映画だった。(30代 男性)
恋愛映画として観るとかなり苦しい物語だった。永田は自分の夢に正直すぎるあまり、沙希の優しさに甘えてしまう。その関係が少しずつ歪んでいく過程がリアルで、見ていて辛くなる場面も多かった。沙希のように誰かを支え続けることの難しさや、夢を追う人を愛することの大変さが伝わってくる。別れの場面では、どちらが悪いという単純な話ではないことがよく分かる。若い頃の恋の苦さを思い出させる、とてもリアルな映画だった。(20代 女性)
この映画は成功物語ではなく、夢を追う人間の未熟さや葛藤を描いている点が印象的だった。永田は自分の才能を信じているが、現実は厳しく、劇団も解散してしまう。それでも諦めない姿はある意味で強いが、その過程で沙希との関係が壊れていくのが切ない。彼女は彼の才能を信じていたが、現実の生活を考えれば限界がある。別れの場面はとても静かで、二人の感情が痛いほど伝わってきた。夢と恋愛の難しさを感じる映画だった。(40代 女性)
映画『劇場』を見た人におすすめの映画5選
愛がなんだ
この映画を一言で表すと?
好きという感情に振り回される切ない恋を描いた、リアルすぎる恋愛映画。
どんな話?
平凡な会社員のテルコは、偶然出会った男性マモルに強く惹かれていく。彼に会うためなら仕事も生活も後回しにしてしまうほど夢中になるが、マモルは彼女の想いに真剣に向き合ってくれない。それでもテルコは彼を追い続ける。恋愛における片思いの苦しさや依存、そして自分を見失ってしまう感情がリアルに描かれていく恋愛ドラマ。
ここがおすすめ!
恋愛の美しい部分だけでなく、執着や依存といったリアルな感情を描いている点が魅力。登場人物たちは決して完璧ではなく、むしろ未熟で不器用だからこそ共感できる。恋をしている時の苦しさや切なさが痛いほど伝わってくる作品で、観終わった後には自分の恋愛を振り返りたくなる。恋愛映画の中でも特にリアルな感情を描いた作品。
花束みたいな恋をした
この映画を一言で表すと?
出会いから別れまで、恋のすべてをリアルに描いた共感度の高い恋愛映画。
どんな話?
東京で偶然出会った麦と絹は、好きな本や音楽の趣味がぴったり合い、すぐに恋に落ちる。二人は同棲を始め、穏やかな日常を積み重ねていくが、就職や将来の価値観の違いによって少しずつすれ違いが生まれていく。かつては同じ夢を語っていた二人の関係が変化していく過程を、等身大の視点で描いた青春恋愛ドラマ。
ここがおすすめ!
恋の始まりの高揚感から、関係が変わっていく現実までを丁寧に描いた脚本が魅力。日常の何気ない会話や価値観のズレがリアルで、多くの観客が自分の恋愛と重ねてしまう。若い恋の輝きと切なさが詰まった物語で、観終わった後には青春の記憶を思い出させる余韻が残る。恋愛映画が好きな人にはぜひ観てほしい作品。
何者
この映画を一言で表すと?
夢と現実の狭間でもがく若者たちの本音を鋭く描いた青春ドラマ。
どんな話?
就職活動を控えた大学生たちは、将来の夢や理想を語り合いながらも、それぞれ不安や焦りを抱えている。SNSでは前向きな言葉を発信する彼らだが、心の奥では他人と自分を比較し、劣等感や嫉妬を感じている。友情のように見える関係の裏にある本音が少しずつ露わになり、やがて思いもよらない形で人間関係が崩れていく。
ここがおすすめ!
現代の若者が抱える不安や自己評価の揺らぎを鋭く描いた作品。登場人物たちは一見前向きに見えるが、内面には複雑な感情を抱えている。そのリアルさが観る者の共感を呼び、物語が進むにつれて人間関係の本質が浮かび上がる。夢を追うことや自分の存在価値について考えさせられる、深いテーマを持つ青春映画。
ボヘミアン・ラプソディ
この映画を一言で表すと?
音楽に人生をかけた男の情熱と葛藤を描く、圧倒的な感動の音楽映画。
どんな話?
イギリスのロックバンド、クイーンのボーカルであるフレディ・マーキュリーの人生を描いた物語。独特の個性と音楽への情熱を武器に世界的なスターとなるが、その成功の裏には孤独や葛藤もあった。仲間との衝突や自分自身への迷いを乗り越えながら、彼は音楽で世界を魅了していく。伝説的ライブまでの道のりを描いた感動のストーリー。
ここがおすすめ!
音楽への情熱や仲間との絆が胸を打つ作品。特にクライマックスのライブシーンは圧倒的な迫力で、多くの観客を感動させた名場面。成功の裏にある苦悩や孤独も丁寧に描かれており、芸術に人生を捧げる人間のドラマとしても見応えがある。音楽映画としてだけでなく、人間ドラマとしても深い余韻を残す作品。
ラ・ラ・ランド
この映画を一言で表すと?
夢を追う二人の恋を描いた、切なくも美しいミュージカル映画。
どんな話?
女優を夢見るミアとジャズピアニストのセバスチャンは、ロサンゼルスで出会い恋に落ちる。二人は互いの夢を応援しながら関係を深めていくが、成功に近づくにつれてそれぞれの人生は違う方向へ進み始める。夢を叶えることと恋を守ること、その両方を選ぶことの難しさを描いたロマンチックで切ない物語。
ここがおすすめ!
色彩豊かな映像と音楽が魅力のミュージカル映画だが、物語の核心は夢と恋愛の選択にある。理想を追い続けることの喜びと代償を描いたストーリーは、多くの人の心に響く。特にラストの展開は切なくも美しく、観る人によって様々な解釈が生まれる。夢を追う人の人生を描いた作品として強い余韻を残す映画。



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