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映画『劇場霊』あらすじネタバレ結末と感想

映画『劇場霊』の概要:売れない女優が、舞台の道具の人形の怪異に巻き込まれ味わうことになる恐怖と、欲しがる人形の恐ろしい姿を描いたホラー映画。監督は有名Jホラー「リング」も手掛けた中田秀夫。

映画『劇場霊』 作品情報

劇場霊

  • 製作年:2015年
  • 上映時間:99分
  • ジャンル:ホラー、サスペンス
  • 監督:中田秀夫
  • キャスト:島崎遥香、足立梨花、高田里穂、小久保寿人 etc

映画『劇場霊』 評価

  • 点数:65点/100点
  • オススメ度:★★☆☆☆
  • ストーリー:★★★☆☆
  • キャスト起用:★★☆☆☆
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★☆☆
  • 設定:★★★★☆

[miho21]

映画『劇場霊』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)

映画『劇場霊』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

映画『劇場霊』 あらすじ【起・承】

真面目でセリフ覚えがいいことだけが取り柄の売れない女優、水樹沙羅。
事務所の看板女優、篠原葵と一緒に舞台「鮮血の呼び声」のオーディションを受け、同じ売れない女優の香織と意気投合する。
そして葵が主演に、沙羅と香織も舞台への出演が決まる。

老いていくことに耐えられず娘の生き血を浴びていたという、実在したハンガリーの貴族、エリザベートをモデルにしたという舞台。
稽古が始まるが、セリフ覚えが悪い葵は沙羅に八つ当たりをする。
人形担当スタッフの和泉と出会った沙羅は、葵に押し付けられた衣装直しを頼むため、人形の頭部を見つけてきた女性スタッフを紹介してもらうが様子がおかしい。
翌日、彼女は遺体となって発見される。

やがて、稽古中に人形が動いたと言って取り乱す葵。
監督が沙羅を引き合いに出したことから、葵は沙羅を降板させなければ自分が辞めるとまで言い出す。
そして人形に襲われた葵は屋上から落ちた。

和泉から人形には意思が宿ってもおかしくないと聞かされ、舞台に対して嫌な予感がし始める沙羅。
だが、意識不明の葵の代役に抜擢され、言い出せなくなる。
過酷な練習に耐える沙羅だったが、彼女も人形が生きているように動いているのを見てパニックになると、人形を傷つけてしまった。

落ち込む沙羅を励ます和泉。
ひとりになった彼女は、傷から大量の血を流す人形の記憶を見る。
そして人形に襲われるが、助けを呼ぶために目を離すと、血の痕跡などは残っていなかった。
騒ぎを起こした沙羅は主役から降ろされ、香織がエリザベート役に名乗り出る。

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映画『劇場霊』 結末・ラスト(ネタバレ)

和泉に呼び出された沙羅は、動く人形の事件の新聞記事を見せられる。
20年前、人形作家の家で姉妹が変死し、父親が逮捕されるという事件が起こった。
警察が駆け付けた時、人形作家は気がふれたように犯人の人形を破壊していた。

沙羅と和泉は、証拠不十分で起訴されなかったという人形作家に会いに行く。
彼の顔は、沙羅が人形の記憶の中で見たものだった。
嵐の夜に土砂崩れに巻き込まれ、3週間後に無残な遺体で発見された長女を美しい姿で送り出すため、その人形は作られた。
しかしその人形は、若く自由な妹2人を妬んで殺してしまったと語る人形作家。

舞台の設定そっくりだと気付いた沙羅は、大雨の中、和泉と一緒に公開リハーサルが行われる劇場へ急ぐ。
しかし舞台をダメにしてしまい、こっそり人形を持ち出して破壊しようとした和泉も失敗する。

警護に来ていた警察や役者たちを前に、自由に動き出した人形は「ちょうだい」と言いながら、彼らの命を奪っていく。
香織も、沙羅への謝罪の言葉を口にしながら命を奪われた。
携帯はつながらずドアも開かない会場で出口を探す沙羅と和泉だったが、人間になり始めた人形に追い付かれてしまう。
追い込まれた沙羅が手元にあった小道具で人形を刺すと、人間になりかけていたせいで血があふれ出た。
和泉と沙羅だけが生き残り、事件の犯人はわからないままになった。

女優としてブレイクした沙羅が河川敷で撮影をしていると、彼女の背後には意思を宿した人形の首が流れ着いた。

映画『劇場霊』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『劇場霊』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

パッとしないストーリー

中田秀夫の初監督作品で、伝説のホラー映画として語られることが多い「女優霊」公開から20年と銘打って製作された本作「劇場霊」。
しかし内容はイマイチで、劇場霊というよりも呪われた人形、人間になろうとする人形の恐怖がメインなので、タイトルと合っていない。

正体がわからず対策の取り方も手探りだったからこそ怖く、そしてヒットした「女優霊」や「リング」と比べても、最初から人形が原因だとわかりきっているため、怖さや面白味に欠けたストーリーになっている。
呪いの人形というのはいつの時代も恐怖対象になりやすいが、それが動き始めるタイミングの早さも怖さを半減させている。

スタッフの変死事件現場を簡単に明け渡す警察の影響力の無さなども、ストーリー展開にツッコミどころを増やしている。
アイドル主演の映画で、枕営業を暗にほのめかすシーンがあるのは不安になってしまう。
舞台で沙羅が責められている間、人形に襲われた和泉が気絶しただけで済んだのも、ご都合主義の展開でツッコミどころ。

どうあがいてもアイドル映画止まりの完成度

人間そっくりな球体人形が動き出すシーンは不気味。
徐々に人間になっていくため、動きも人間っぽく変化していくのは気味が悪い。

キスで命を奪うというのはどこか間抜けな見た目でもあり、苦笑いしてしまう。

アイドル映画のため、演技力重視というよりも雰囲気重視でキャスティングされているのがイマイチ。
親友でライバルの香織役の足立梨花や、葵役の高田里穂の演技はそれぞれ個性的で演技力もあるが、主演の島崎遥香は可もなく不可もなくという演技。

「女優霊」主演の柳憂怜(柳ユーレイ)が、警察の鑑識のひとりとして出演している部分は、やはり「女優霊」を意識してのものだろう。


人形に感じる不気味さとか怖さは、多くの人に共通の感情なんだなと感じました。特に日本人形にはなんとも言えない恐怖を感じますが、この作品に登場する人の心を持ってしまった人形にも得体の知れない怖さを感じました。
人形を見る度に、動いたら嫌だな、喋ったら怖いなと思っていたので、それが現実になってしまうのは怖すぎて、個人的にはかなり苦手な作品です。
その場で驚かせてくるシーンもありますが、見終わってからジワジワと不気味な感覚に襲われました。(女性 30代)

映画『劇場霊』 まとめ

「女優霊」から20年と銘打って、過去作品を意識させたのが悪い方向に影響してしまった作品。
どうしても中田秀夫監督の過去の作品と比べてしまうし、見えそうなのに全体像が映らない、意味がわかりそうでつながらないという「女優霊」や「リング」の恐怖感は特に比較対象になってしまう。

清水崇監督の「呪怨」シリーズのように出し惜しみせず、ギャグの一歩手前まで幽霊を見せて怖がらせる映画もあるが、本作はそこまで踏み切った演出もなされていない。

前田敦子主演の「クロユリ団地」がコケた過去があるにも関わらず、同じアイドルグループの島崎遥香主演で本作を制作したのは無謀すぎただろう。

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