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映画『Girl/ガール』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『Girl/ガール』の概要:男性の体で生まれたララは、バレリーナになるという夢を抱いている。強い意志は父親も動かし、血が滲むような努力で難関バレエ学校への入学を認められる。しかし、体の変化に対応できず苦悩する様子を描く。

映画『Girl/ガール』の作品情報

Girl/ガール

製作年:2018年
上映時間:105分
ジャンル:ヒューマンドラマ、青春
監督:ルーカス・ドン
キャスト:ヴィクトール・ポルスター、アリエ・ワルトアルテ、オリヴィエ・ボダール、タイメン・ホーファーツ etc

映画『Girl/ガール』の登場人物(キャスト)

ララ(ビクトール・ポルスター)
男性の体で生まれながらも、女性としての自我が目覚めてしまった少女。バレリーナになることを夢見て、家族に支えられながら難問のバレエ学校に入学するが葛藤が続く。
マティアス(アリエ・ワルトアルテ)
ララの父親。性の不一致に悩みながらもバレリーナを目指すララを全力で応援している。手術や進学に否定せず一緒に町を移りながら支えているが、自分の事を話さないララに不安を抱いている。

映画『Girl/ガール』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『Girl/ガール』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『Girl/ガール』のあらすじ【起】

弟に起こされたララはすぐにストレッチを始める。バレリーナとして成功することを目指しているのだ。努力は認めてもらえるものの、バレエ学校の講師から将来の期待値は低いと厳しい助言を受けたララ。8週間の研修期間を設けてもらい、チャンスを活かすためにホルモン治療にも熱心になる。父親・マティアスはララの心境をよく理解し、医師たちと一緒に全力でサポートしてくれるのだった。

念願のバレエ学校での授業が始まった。優れた生徒達が集うクラスで馴染もうと必死になるララ。骨格は徐々に女性らしくなっていたため違和感なく溶け込むが、基礎練習ですらついていくので精一杯であるララ。レッスン後はレオタードと一緒に股間に貼った前張りを外し、私服へ着替えるのだった。

母親を早くに亡くしたララは、6歳の弟の母親代わりでもある。夜勤で働くマティアスに朝食を用意し、弟を保育園に送ることからララの朝は始まる。誰よりも早く学校に行き、個人練習を積み重ねるのだった。

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映画『Girl/ガール』のあらすじ【承】

16歳になったララはホルモン治療以外にも性適合手術を進めることになる。リスクも踏まえて一緒に検討するマティアス。帰り道はつい表情が険しくなってしまう。しかし、ララは希望を持ってワクワクするとマティアスを安心させようとするのだった。

学校生活の不安はマティアスには話さないララ。男子生徒との関係を探るマティアスに「男好きになるとは限らない」と濁すのだった。熱心な練習態度や成長を認められ、学校に本入学できることになった。さらに女性としての二次性徴を起こすためのホルモン治療も始まり、ララの環境は徐々に変わり始めた。

体の変化を感じながらも男性器がついている状態のララは、クラスメイトと同じシャワールームは使えずにいる。恋愛とも程遠い体だと思い込んでいるララは、いつでも感情を抑え込んでいた。しかしある日、子供同士ですらキスをしている様子を見たララは、その夜感情を抑えきれず泣きながらマティアスのベッドで不安を吐き出すのだった。

映画『Girl/ガール』のあらすじ【転】

内緒で股間にテーピングをしていることに気付いたマティアスは「体に良くないから」と止めるように諭した。同時に、無理にトゥシューズを履いていることが原因でつま先は限界を迎えていた。厳しくも愛のある指導をしてくれる講師の前で涙してしまったのである。

隣人の男性に密かな恋心を抱き始めたララは初めてアクションを起こす。少しでも早く女性に近づきたい一心で、投薬量を増やして欲しいと願い出るのだった。

クラスメイトの誕生日会に招かれたララは、レッスン以外で初めてクラスメイト達と過ごした。興味本位で裸を見せて欲しいと迫る女子たち。仕方なく全てを晒したララだったが、誰にも言えない感情と孤独に苛まれるのだった。一人帰宅したララは、マティアスが恋人のクリスティンと過ごしているところに遭遇してしまう。心配をかけまいと一人になるララだが、精神的な負担はララを追い込んでいた。さらに度重なるテーピングは皮膚炎を起こし、性適合手術を延期せざるを得なくなるのだった。

映画『Girl/ガール』の結末・ラスト(ネタバレ)

優しい隣人と初めてのキスを経験したララ。しかし、相手が自分の身体に触ることを拒んでしまった。落ち込んだ様子のララを見兼ねて話を聞こうとするマティアスだったが、ララは黙り込んでしまう。自分を中心に生活を変えてくれた家族に申し訳ない気持ちでいっぱいだったのだ。さらにホルモン治療の影響で上手く踊れなくなっていたララ。リハーサル中に無理が生じて倒れてしまうのだった。

ララの治療方法の見直しが検討された。バレエも医師に止められてしまい、目標にしていた発表会は観客として当日を迎えることになる。心配をかけまいと笑顔で過ごすララだが、一人になった時感情はピークに達した。

自ら救急車を手配し、部屋にこもったララ。タオルを口に詰め込み、ハサミで自身のペニスを切り落としたのである。病院にかけつけたマティアスに手を取ってもらい、ララは笑顔を見せるのだった。

数年後、ララは颯爽とヒールを履いて町を歩いていた。その容姿は、悩みで溢れた時期よりも格段と美しく、晴れやかな表情で満ち足りているのだった。

映画『Girl/ガール』の感想・評価・レビュー

2018年、第71回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品された今作。長編デビュー作ながらカメラドール(新人監督賞)を受賞したルーカス・ドン監督。そして何よりこの物語を印象的に仕上げているのは、最優秀俳優賞を受賞した主演のビクトール・ポルスターによる熱演だろう。嬉しいはずの成長だが、時に妨げにもなる。クラスメイトからの嫉妬は、ララの努力を妬むようだった。孤独や不満で溢れている内容ながら、希望に満ちた未来を感じられる不思議な時間であった。(MIHOシネマ編集部)


理解があって、寛大な心を持ったお父さんが味方で本当に良かったなと感じました。トランスジェンダーのララは心は自分のものでも、身体は自分のものでは無いと言う複雑な感情をずっと持っていたのでしょう。苦しみながらも行動を起こしたララのことを父は理解してくれていて、それが何よりの救いでした。
誰も悪くないのに、こんなにも苦しくて切ない気持ちになる作品は初めてで、現実の世界にもララのように苦しみ、もがき続けている人がいるのだと思うと正しい理解をすることがとても大切なことだと感じました。(女性 30代)


主人公ララを演じたビクトール・ポルスターがとにかく可愛くて美しい。当人はれっきとした男性現役バレエダンサーとのことだが、今作ではララという女の子にしか見えないから凄い。
今作はトランスジェンダーの女の子が自分の身体と心の違い、夢であるバレリーナへの努力、学校での周囲との付き合い、そして家族との関係に苦悩する様子が描かれている。とはいえ、彼女はまだ15・6歳。医師や父親は健康や精神的なことを考え焦るなと言い続けているが、本人がそれを聞くはずもない。本人の気持ちも理解できるので、焦ることをやめられないのも分かる。救いは父親に理解があって娘の支援を行っていること。どちらかと言うと、自分は父親の気持ちに共感してしまってとても辛かった。力になりたいのになれない虚しさや言葉が届かないもどかしさは本当にしんどい。本人の気持ちも分かるだけに、彼女が病院へ搬送される際の父親の感情がもう胸に迫って涙が溢れた。同じ悩みを抱える友人がいれば違ったのかなとも思う。(女性 40代)

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