映画『ギター弾きの恋』の概要:ドキュメンタリー風に撮影されており、物語の合間に監督やジャズ愛好家などのインタビュー映像が流れる。だが、主人公であるジャズギタリストのエメット・レイは架空人物である。
映画『ギター弾きの恋』の作品情報
上映時間:95分
ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ
監督:ウディ・アレン
キャスト:ショーン・ペン、サマンサ・モートン、ユマ・サーマン、ウディ・アレン etc
映画『ギター弾きの恋』の登場人物(キャスト)
- エメット・レイ(ショーン・ペン)
- ジャズギタリスト。ギターの腕は一流だが、女癖も酒癖も悪い。プライドも高く、束縛されるのが嫌いなアーティスト。
- ハッティ(サマンサ・モートン)
- 口がきけない女性。知能も低く、字もあまり上手くない。エメットに出会い彼に尽くすが、捨てられてしまう。
- ブランチ・ウィリアムズ(ユマ・サーマン)
- エメットの妻。作家でスリルを追い求めている。
- アル・トリオ(アンソニー・ラパーリア)
- ブランチの愛人。ギャングの用心棒をしている。
- ビル・シールズ(ブライアン・マーキンソン)
- エメットのバンドのドラマー。
映画『ギター弾きの恋』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ギター弾きの恋』のあらすじ【起】
エメット・レイは無名のギタリストである。1930年代、伝説のギタリストであるジャンゴ・ラインハルトの継承者として、ジャズ愛好家の間では有名だった。
監督はなぜエメット・レイを題材に、映画を撮ろうとしたのか語り出した。エメットは名ギタリストにもかかわらず、目立ちやがり屋の変人なところが面白いと感じたからだった。
エメットはジャズギタリストとして演奏する傍ら、ポン引きとしても働いていた。そして、ポン引きなのに名刺を作成したり、演奏時間に遅れたりと、自尊心が強く自分勝手な男だった。だが、エメットのギターの腕前は素晴らしく、ホテルのレストランの客達はうっとりと聞き惚れた。
ジャズ研究家のナット・ヘントフは、ハッティとエメットの出会いを語った。仕事がオフの日に、エメットとドラマーのビルが海岸にナンパに出掛けたのが始まりだった。
エメット達は誰彼構わず女性に声を掛けた。だが、誰も相手にしてくれない。エメット達はそれでもめげずに、2人組の女性に声を掛けることを決める。2人揃って背の高い女性が気に入ったが、コインで負けた為、エメットは背の低い女性にアタックした。ナンパは成功し、背の高いグレーシーと友人のハッティとデートをする。だが、ハッティは口がきけなかった為、エメットは落胆する。
映画『ギター弾きの恋』のあらすじ【承】
エメットは話せないハッティを嫌がり、ビルに愚痴を零す。しかも、知能にも問題があると聞き、エメットは益々うんざりした。しかし、一夜の恋として割り切り、ハッティをホテルに誘う。ハッティは嫌がるそぶりを見せず、逆にエメットの服を積極的に脱がした。エメットは戸惑うが、ハッティとの夜は悪くはなく、部屋を追い出す前にギターを弾いてあげる。ハッティはその音色に微笑んだ。
ハッティはレストランで食事をしながら、エメットのギターに聞き惚れた。2人はそれからもデートを重ねた。エメットは寝る間際、ハッティに自分の生い立ちを話した。亡くなった軍人の父親から暴力を振るわれていたことや、母親は歌が上手い人だったことを淋しそうに吐露した。
ハッティが再びレストランに行くと、演奏しているエメットに近づく女性が居た。演奏後、エメットから1人で帰れと言われ、ハッティは拗ねてしまう。エメットは気にした様子もなく、女性とクラブに出掛けた。
エメットが目を覚ますと、知らないホテルに居た。しかも、いつの間にかニュージャージーからペンシルヴァニアまで移動していた。慌ててタクシーで戻ると、ホテル側からクビを言い渡される。ハッティの様子を見に行くと、機嫌が悪いままだった。エメットは束縛されるのが嫌で、別れ話をする。ハッティは涙を流した。エメットは何とか泣き止まそうとして、自分でお金を払うならハリウッドに付いて来いと告げた。
映画『ギター弾きの恋』のあらすじ【転】
エメット達は道中「アマチュア・コンテスト 賞金100ドル」の看板を見つける。エメットはセールスマンの振りをして大会に参加し、ギターを披露した。観客達は美しい音色に聞き惚れ、拍手喝采だった。
夜、ハッティはプロのギタリストだと言わず、住民を騙したエメットを目で静かに攻めていた。エメットはハッティの正直なところは尊敬できたが、世渡りが下手だと思っていた。エメットはビルに昨日見た夢を語る。ハリウッドで有名になり、大スターになっている夢だった。ビルは驚き、これからハリウッドに行くのは短編映画で主演の後ろで演奏するだけだと馬鹿にした。それでも、エメットは有名女優に囲まれている夢を見たと嬉しそうに話した。今はハメットと一緒に居るが、引き止められる気はさらさらなかった。今までも女性を捨てて後悔したことは、一度も無かった。
ある日、ハッティの方がハリウッドでスカウトされる。エメットに付いてスタジオに居るところを、監督が目を付けたのだ。30秒の短いシーンでセリフが無かった為、ハッティでも問題なかった。だが、それをエメットが気に入らず怒った。そしてそれ以降、エメットはハリウッドに興味を示さなくなった。
ラジオD・Jはそれからのエメットの人生を話した。エメット達は東部に戻り、マネージャーのシドが、仕事を入れるようになった。その為、エメットの商売は繁盛した。多くのミュージシャンが失業状態の中、エメットはRCAビクターと契約した。
エメットは遊びにお金を使い、破産寸前だった。シドから怒られても気にした様子も無かった。その為、金を管理されることになる。エメットは家に帰り、ハッティに倹約しろと伝える。だが、ハッティはエメットの誕生日プレゼントを嬉しそうに差し出した。ヤギ皮の手袋で、エメットが前から欲しがっていたものだった。しかも、メッセージカードが入っており、読み難い字で一緒に暮らして1年経つことや愛と書かれていた。エメットはどうしていいか分からず動揺する。
映画『ギター弾きの恋』の結末・ラスト(ネタバレ)
とあるパーティーで、エメットはブランチという女性に出会う。共に夕食を食べ、バンドメンバーとの演奏を聞かせた。そして、同棲していた女性とは別れたと伝え、だから君に出会えたと口説く。ブランチも演奏しているエメットに魅力を感じていた。エメットはブランチと逢瀬を重ね、寝言でハッティと叫んだ口でブランチに求婚した。2人の共通点は派手な服好きなところだけで、衝動的な結婚だった。結婚生活は喧嘩ばかりで、破局は目に見えていた。
ブランチはエメットのことで、ギャングのペドローに会いに行く。ペドローはショーに穴をあけるエメットのことを怒っていたが、ブランチが謝罪して何とか猶予をもらう。その時、ブランチは用心棒アル・トリオに出会う。危険な雰囲気を漂わせているアルに、ブランチは心をときめかせる。作家であるブランチは自伝的小説を書いていた。そこには、エメットとの結婚を後悔していることが書かれていた。
ビリヤードで遊んでいたエメットは、友人からブランチが用心棒と浮気している話を聞く。エメットは友人の話を信じなかったが、気になったのでブランチを尾行した。そして、ブランチがアルと会っているところを見かける。2人がお店に入っている隙に、エメットはアルの車に忍び込んだ。車内に戻って来たブランチは、エメットの悪口を話してアルと仲睦まじく微笑み合っていた。エメットは怒り2人を殺そうとする。だが、偶々立ち寄ったガソリンスタンドで強盗が起こり、犯人が車を間違えてアルの車に乗り込んだ。エメットは警察に追いかけられる破目になる。だが、ラジオD・J曰く、ガソリンスタンドで強盗は起こっておらず、エメットがブランチに詰め寄り自殺しようとしたという話もあった。エメットの伝説は嘘が多い為、どれが本当かは分からなかった。
エメットはブランチと別れてハッティに会いに行く。色々言い訳をし、先は見えないが一緒に来ないかと誘った。ハッティは相変わらず読み難い字で、結婚したことを伝えた。エメットは動揺しながらも、カッコつけてその場を去った。だが、ホテルに戻り酒に溺れた。エメットはいつものように女性を口説き連れ出したが、ハッティと別れたことを後悔し、ギターを叩き割って泣き崩れた。
映画『ギター弾きの恋』の感想・評価・レビュー
ウディ・アレンの作り出す独特の世界観と、ショーン・ペンのオーラがありつつもどこか可愛らしい表情が物凄くマッチしていて、心地よい雰囲気に酔いしれてしまう作品でした。
ショーン・ペンが演じるのはジャズギタリストのエメット・レイ。実力はありながらも女癖と酒癖に関しては最悪で、その上プライドはかなり高めな面倒臭い人。しかし、そんな彼に心を惹かれる女性は少なくないようです。
最後の最後までプライドを捨てきれなかったエメットですが、ラストシーンの彼の涙はグッとくるものがありました。(女性 30代)
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