映画『母と暮せば』のネタバレあらすじ結末 | MIHOシネマ

「母と暮せば」のネタバレあらすじ結末と感想

母と暮せばの概要:広島、長崎、沖縄をテーマにした「戦後命の三部作」という井上ひさしの構想を、名匠・山田洋次が引き継ぎ、長崎をテーマに制作された作品。主演は吉永小百合と二宮和也。原爆で死んだ息子が、生き残った母の元に亡霊となって現れ、1人寂しく暮らしていた母にもひと時の幸せが訪れたかに思えたのだが……。松竹創立120周年記念作品で、第89回アカデミー賞・外国語映画賞部門の日本代表作品。

母と暮せばの作品情報

母と暮せば

製作年:2015年
上映時間:130分
ジャンル:ヒューマンドラマ、戦争、ファンタジー
監督:山田洋次
キャスト:吉永小百合、二宮和也、黒木華、浅野忠信 etc

母と暮せばの登場人物(キャスト)

福原伸子(吉永小百合)
長崎に住む助産婦。夫を結核で亡くし、長男は南方で戦死、唯一の家族であった次男の浩二も、長崎の原爆で亡くしてしまう。浩二が亡くなった証拠を見つけるまで、息子の死を受け入れられずにいたが、3年後にそのささやかな希望を持つことも諦めようと心に決める。その直後、浩二が亡霊になって現れる。おしゃべりな浩二の昔話を聞きながら、しばし幸せな時を過ごすが、もともと病弱な身体は徐々に衰弱していくのだった。
福原浩二(二宮和也)
長崎医科大学に通う学生だったが、長崎の原爆で死亡する。しかし、それから3年後、「母さんが僕のことを諦めないから、なかなか出てこられなかった」と言って、亡霊となって伸子の前に現れる。母と共に、しばらく幸せな時を過ごすが、生き残った恋人・町子のことで思い悩む。
佐多町子(黒木華)
浩二の生前の恋人で、小学校の教諭。浩二が亡くなった後も、身体の弱い伸子の家を訪れては、いろいろ手伝いをしていた。しかし伸子は町子に、浩二のことは忘れて別の新しい恋人を見つけるよう勧める。浩二のことを想い続けて結婚はしない、と言っていた町子だったが、伸子の説得に応じて、同じ学校の教諭をしている黒田と婚約する。
「上海のおじさん」(加藤健一)
家族を戦争で失い、闇市で仕入れた品物を売って生計を立てている中年男性。戦時中、上海で商売をしていたことから、「上海のおじさん」と呼ばれている。息子を失って1人暮らしの伸子の元にやって来ては、闇市の商品を伸子に分けてあげるなど、世話を焼く。伸子に好意以上のものを持っており、遠回しにプロポーズしてみるが、一笑に付されてあっさり引き下がる。
黒田(浅野忠信)
町子の婚約者で、彼女と同じ小学校の教諭。生徒から「黒ちゃん」と呼ばれて親しまれている。戦場で片足を失うが、仲間が大勢戦地で死んだ中で、自分だけが生きて帰れたことに、感無量となり泣き出してしまった、と町子が伸子に話している。伸子は、そのとき黒田の存在が、町子にとってはただの同僚ではないことに薄々気づいていたようだった。
富江(広岡由里子)
伸子の家の隣に住む主婦。伸子や、生前の浩二とよく挨拶を交わしていた。伸子が亡くなったときの最初の発見者。
風見民子(本田望結)
町子の教え子。戦地に行った父親の消息を尋ねるため、町子の付き添いで復員局へ行く。父親は亡くなっていたが、祖父の言いつけを守って涙は流さず、復員局の職員に、父が亡くなったときの状況を書面にしてもらう。母親もすでに他界しており、2人の妹の面倒をみなければならないため、泣いてはいけないと自分に言い聞かせるけなげな姿に、付き添いの町子がもらい泣きしてしまう。
復員局の職員(小林稔侍)
復員局で、幼い民子に父親の死を告げるという辛い職務を全うする職員。隠しだてをせず、はっきりと民子に父の死を告げたことで、民子は悲しみながらも気持ちの整理をつけるのだった。父親が死んだ時の状況を神に書いてほしいという民子の申し出を快く引き受ける。その際、戦争で左の手首から先を失っていることがわかる。
川上教授(橋爪功)
医科大学の浩二の恩師。浩二の話では、大の酒好きだったとのこと。伸子の話では、浩二とともに被曝し、奇跡的に建物の下から助け出されたが、ガラスが全身に突き刺さって重傷だった。酒が飲みたいと看護婦に訴え、痙攣に苦しみながら亡くなったという。

母と暮せばのネタバレあらすじ

映画『母と暮せば』のあらすじを結末まで解説しています。この先、ネタバレ含んでいるためご注意ください。

母と暮せばのあらすじ【起】

1945年、8月9日。米国の爆撃機は、世界初の原子爆弾を小倉に投下する予定であったが、小倉上空は雲で覆われていたため、目標を長崎に変更した。

その日の朝、長崎医科大学の医学生、福原浩二は、母の伸子や近所のおばさんに元気に挨拶し、いつも通り大学に出かけていった。そして、川上教授の講義を受けている最中、窓から強烈な光が刺し込んだかと思うと、浩二が机の上に置いていたインク瓶が一瞬にして溶け崩れた。

長崎の原爆。長崎医科大学とその付属病院の患者・職員を合わせておよそ900人が亡くなり、浩二もその中の一人となった。

3年後、浩二の母の福原伸子は、浩二の生前の恋人だった町子と一緒に、浩二の墓参りに来ていた。原爆で一瞬にして消えてしまった浩二には、遺品も何も残されていない。せめて服の切れ端でもあれば、浩二のことを諦められるのに、と町子に語る伸子。浩二が亡くなってから、何度も同じことを繰り返し話していた。

夫は結核で亡くなり、長男は南方の戦地で死亡、そして次男の浩二を原爆で失い、1人ぼっちになってしまった伸子は、町子や近所の人々、そして、時折やって来ては闇物資を置いていく「上海のおじさん」など、周囲の人たちの温かさに支えられて生きてきた。

助産婦の仕事をして生計を立てていたが、健康状態はあまり良くなく、血圧の薬を常に服用していた。

そして、浩二が亡くなって3年。伸子は、浩二の遺影に向かって、もう浩二が生きているかもしれないという淡い期待を抱くのはやめる、と呟く。すると、伸子の目の前に、死んだはずの浩二が学生服姿で現れる。浩二の亡霊だった。

浩二は、伸子の諦めが悪く、いつもでも自分のことを諦めないから、なかなか出てこられなかった、と冗談交じりに文句を言った。

母と暮せばのあらすじ【承】

伸子が、亡霊の浩二を驚きもせずに受け入れると、浩二も昔と変わらぬ様子で思い出話を語り、伸子を楽しませた。

しかし浩二は、かつての自分の部屋に入り、好きだったメンデルスゾーンのレコードを手に取ると、恋人の町子と一緒にこのレコードを聞いた思い出が懐かしく思い出され、悲しくなって涙を流す。すると浩二の姿は消えてしまった。浩二は、悲しい気持ちになって涙を流すと消えてしまうのだった。

このように、時々現れては消えていく浩二の亡霊だったが、伸子にはその姿が見えても、町子をはじめ他の人たちからは、その姿が見えなかった。浩二も、町子を見るのが怖くて、町子が来ているときには姿を現さなかった。

伸子は浩二に、もし町子にいい人がいたら、浩二のことを忘れてその人と一緒になり、幸せになってもらおうと話す。浩二は、町子は自分の恋人だと言って、伸子に反発して消えてしまう。

しかし、しばらくした後に現れた浩二は、考えを改め、町子に好きな人ができたら、自分のことは気にせず、その人と一緒になるよう、伸子から町子に伝えてほしいと頼むのだった。

母と暮せばのあらすじ【転】

ある日、伸子が助産婦の仕事で出産の手伝いに行った家に、町子の小学校の生徒がいた。そして、その子供から、町子の同僚で「黒ちゃん」と呼ばれている男性教員の話を聞く。優しい先生で、生徒からも慕われているとのことだった。

黒田の話は、以前、町子本人からも聞いていた。そのときの話しぶりから、伸子は町子が黒田に対して、同僚以上の好意を抱いていることを感じていた。

ある日、伸子は、小豆が手に入ったと言っておすそわけに来た町子に、もしいい人がいたら、浩二のことは気にせず、その人と一緒になって、幸せになってほしいと話す。何度も聞いている話だったが、町子はいつものように、自分は浩二のことを思って一生結婚せずに生きていくと言う。

しかし、伸子が黒田の名前を出すと、町子は慌てて泣き出した。町子は確かに黒田に好意を抱いていた。しかし町子には、浩二のことのほかにもう一つ、幸せになることを拒む理由があった。

それは戦争中のこと。町子は、お腹が痛くなって工場での勤労奉仕を休んだことがあった。ところがちょうどその日、空襲で工場の屋根が落ち、仲良しだった友人が2人、亡くなった。友人の母は、町子に、「あんたのように工場をずる休みすれば、娘も助かったのに」と厳しい言葉をぶつけて詰ったという。

そんな町子に、伸子は将来を考えて幸せになるように諭す。そのほうが浩二も喜ぶとも言った。町子は「考えてみます」と言って、泣きながら帰っていった。

母と暮せばのあらすじ【結】

暮れも押し詰まったある日。伸子は1人でささやかな正月の準備をしていた。伸子の身体は日に日に衰弱し、少し掃除をしただけでも疲れてしまう。

そこへ町子が、正月の餅を持ってやって来る。先日のことで町子が怒ってしまったのではないかと心配していた伸子は、町子の訪問を喜んだ。

しかし町子は1人でなく、黒田を連れて来ていた。町子は伸子の説得を受け入れ、黒田と婚約したのだった。黒田は戦争で片足をなくしていたが、真面目で心優しい人物で、自分から伸子に挨拶をしたいと、町子に頼んだという。伸子に対面した黒田は、町子を一生大切にすると誓う。

伸子は、喜んで黒田を浩二の遺影の前に連れて行く。手を合わせる黒田。しかし、伸子はそのとき、急に息子のことが不憫になって、泣き出してしまう。伸子の気持ちを察した黒田は、町子と共にその場を辞するのだった。町子は別れ際、伸子に抱きついて「ごめんなさい」と謝り、去って行った。

娘のように可愛がっていた町子が去ると、その寂しさと冬の寒さが身体に染みわたり、伸子は布団に横になる。

そこへ浩二の亡霊が現れる。伸子は浩二に町子のことを話そうとするが、言い出せない。しかし、浩二は察していた。浩二は母の苦労をねぎらうと、その場を去ろうとする。しかし、また戻って来て、「もうこの家には来られない」と告げる。

それを聞いて伸子は慌てる。町子も去り、浩二までもう来なくなってしまったら、自分は寂しくて死んでしまうと。

しかし、浩二の亡霊はやさしく微笑むと、これからはずっと一緒にいられるから大丈夫だと母に言う。なぜなら、「あなたはもう、僕たちの世界の人だから」と。それを聞いた伸子は、これからずっと息子と一緒にいられる幸せに、喜びの笑顔を浮かべて、静かに息を引き取った。

隣人の富江と、上海のおじさんが、正月の料理などを持って訪ねて来て、伸子の亡骸を発見する。富江は、1人寂しくなくなった伸子を不憫に思うが、伸子の顔は静かな笑みを浮かべていた。

クリスチャンだった伸子の葬儀は、長崎の教会で行われた。町子や黒田、上海のおじさんらが伸子を見送りにやって来ていた。その様子を眺めていた伸子と浩二は、2人手を取って天国に召されていった。

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