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映画『ヘンリー・フール』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『ヘンリー・フール』の概要:自称天才作家だという男と、恵まれない境遇の内気な男が出会うことで、互いの才能に疑念を抱きながら運命を切り開く様を紡ぐ。インディーズ監督がカンヌ映画祭で脚本賞取得したことでも話題をさらった一作。

映画『ヘンリー・フール』の作品情報

ヘンリー・フール

製作年:1997年
上映時間:137分
ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
監督:ハル・ハートリー
キャスト:トーマス・ジェイ・ライアン、ジェームズ・アーバニアク、パーカー・ポージー、マリア・ポーター etc

映画『ヘンリー・フール』の登場人物(キャスト)

ヘンリー・フール(トーマス・ジェイ・ライアン)
幼女への性犯罪で逮捕歴があり、監視官の目を気にしながら生きてきた男。“自称”天才作家だと言い張り、内向的なサイモンに取り入り生計を立てようとする。
サイモン・グリム(ジェームズ・アーバニアク)
ごみの収集処理場で働く内気な男。家族の前でも言葉数が少なく、自分の気持ちを言葉にすることはあまりない。ヘンリーと偶然出会い、詞を書くことに関心を持つ。
フェイ・グリム(パーカー・ポージー)
サイモンの姉。乱暴な性格だが寂しがり屋。才能を認められず苦悩するサイモンを陰ながら支えている。ヘンリーと男女の仲になってしまう女性。

映画『ヘンリー・フール』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『ヘンリー・フール』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ヘンリー・フール』のあらすじ【起】

ごみの収集処理場で働くサイモン。内気な彼は家族の前でも言葉数は少なく内向的だ。いつも休憩中は、処理場の裏で誰とも会わないように過ごす。しかし、その日は見知らぬカップルがいた。

行為中に覗かれたと勘違いしたカップルは激情。サイモンは何とか逃げきった。帰宅したサイモンの前に、ヘンリー・フールと名乗る男が現れた。ヘンリーにお使いを頼まれ、ビールを買いに行ったサイモンは再びカップルと遭遇。仕返しをされかけたが、店主の助けもあり逃げることができた。

ヘンリーはサイモンへ一冊のノートを託す。そして言葉に出せない気持ちを書き出せと指示をする。「告白」を文章にして残すことがヘンリーのライフワークだという。

初めて気持ちを文字に書き起こしたサイモン。ヘンリーはサイモンの才能に驚く。しかしその日、サイモンは仕事の休憩中にカップルから酷い仕返しを受けてしまった。

ヘンリーが置き忘れたサイモンの詩が書かれたノートを、日用品店の娘は手に取り歌を口ずさんだ。言葉を発することができない娘を突き動かす才能をサイモンは持っていたのだ。

日用品店の店主もサイモンの才能に感化された。その様子を見ていたヘンリーは、サイモンを持ち上げ、たくさんの詩を読むように諭す。そして、ヘンリーはサイモンの自宅に住み着き、自由に飲み食いするようになった。

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映画『ヘンリー・フール』のあらすじ【承】

どんなにひどい怪我をしていても仕事に行くサイモン。一方で、ヘンリーはフェイを誘惑しておきながら、母親と行為に至る酷い振る舞いを続けた。サイモンはヘンリーを探す男の存在に気づく。

サイモンの詩は密やかに話題になっていた。感銘を受けた高校生が学校新聞に載せたいと申し出てきたのである。しかし、一部の人からは「反社会的ポルノ」に値すると非難されることもあった。

サイモンはヘンリーのアドバイスに従い、仕事を辞めて詩に専念した。しかしヘンリーが過去に少女との淫行で逮捕されていたことを知る。監察人の男に連絡すべきだと諭すが、ヘンリーに逆上される。

サイモンは結果を出そうと、出版社に作品を持ち込むが酷評が続く。ヘンリーが友人だと語る出版界の実力者・ジェームズに直接作を読んでもらうことができたが、作品は認められなかった。さらに、ヘンリーはジェームズと友人ではなく、ただの清掃員の一人であったことも発覚した。

落胆して帰宅するサイモンの目に、手首を切って横たわる母親の姿が映る。その頃、フェイはヘンリーのノートを読み共感。そして体の関係を持ってしまっていた。

映画『ヘンリー・フール』のあらすじ【転】

母親はサイモンの腕の中で息を引き取った。母の死に立ち会うことができなかったフェイは、葬儀中も意気消沈していた。その矢先、フェイはヘンリーの子供を授かっていると発覚する。

ヘンリーは責任から逃れようとしていた。しかし、サイモンを始め、日用品店の店主も結婚をするようにヘンリーを諭す。

正式に結婚することとなったヘンリーとフェイ。しかし、定職についておらず監察官の目から逃れられないヘンリーは、サイモンの詩をインターネットに掲載しお金を作ろうとする。

思い付きのまま実行に移したヘンリーだが、サイモンの詩は再び「反社会的ポルノ」だと酷評する者が多かった。しかし、メディアが取り上げるようになったことで、サイモンの詩は多くの者の目に留まり、称賛する者も増えた。

一度は、サイモンを見下したような態度で詩を批判したジェームズも出版のオファーをかけてきた。世の中の動きは早く、サイモンは一躍時の人となる。サイモンはジェームズをビジネスパートナーに選び、ヘンリーの著書も併せて出版することを条件に出した。

サイモンはヘンリーの著書に改めて目を通し、明らかに駄作だったことに気付いてしまう。ジェームズもサイモンが提示した条件をのむことはなかった。

映画『ヘンリー・フール』の結末・ラスト(ネタバレ)

ヘンリーを期待させてしまっていたサイモンは、申し訳なさそうに現実を教えるがヘンリーは納得せず、サイモンを酷く罵倒した。傷ついたサイモンはすべてを捨て、町を去る決意をする。

ヘンリーとフェイの子供はネッドと名付けられた。ヘンリーはサイモンの代わりにごみ処理場での仕事を続けている。フェイはヘンリーの怠惰な性格と向き合いながら、何とか生計を立てて暮らしていた。

ネッドが7歳の誕生日を迎えた頃、サイモンがノーベル文学賞を受賞する。ヘンリーの周りでも大騒ぎだった。その頃、ヘンリーは近所に住む少女が虐待を受けているのではないかと心配していた。

少女の母親が顔にあざを作っていることに気付いたヘンリーは、父親を問い詰めようと自宅を訪ねた。監禁されていた少女に頼まれ、ヘンリーは父親を懲らしめようとしたヘンリーは揉みあいの末に父親を殺めてしまった。

頭を抱えるフェイを見て、ネッドはサイモンの写真を握りしめ出版社を訪ねた。ネッドのSOSを受けて、サイモンは地元へ戻る決意をする。

サイモンは留置所にいるヘンリーを保釈させ、偽装パスポートで自分に成りすませてヘンリーを国外に逃がすのだった。ヘンリーはサイモンに見送られながら、待機する期待へと走り出した。

映画『ヘンリー・フール』の感想・評価・レビュー

3部作の第一章と聞くと、序章に過ぎないのではないかと疑ってしまうがそんなことない。ヘンリーの人間性とサイモンの運命の転機をしっかりと目に焼き付けられる時間が待っていた。2006年の「フェイ・グリム」、14年の「ネッド・ライフル」まできちんと見守りたい。人生は数奇なもので、出会い次第で運は開けてくる。サイモンの葛藤も然り、とても普遍的に見えた。インディペンデント映画界でも名高いハル・ハートリー監督の社会風刺が活きた一作である。(MIHOシネマ編集部)

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