この記事では、映画『火天の城』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『火天の城』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『火天の城』の作品情報
上映時間:139分
ジャンル:歴史、ヒューマンドラマ
監督:田中光敏
キャスト:西田敏行、福田沙紀、椎名桔平、大竹しのぶ etc
映画『火天の城』の登場人物(キャスト)
- 岡部又右衛門(西田敏行)
- 信長に命令され安土城の築城にとりかかる宮大工の棟梁。真面目で情に厚い男で、信長のために希望通りの城を造ろうと命を懸ける。
- 織田信長(椎名桔平)
- 戦国時代に天下統一を目指した武将。安土城を築城するために自ら構想を練った設計図で築城しようと考察する。
- 岡部田鶴(大竹しのぶ)
- 岡部の妻で良妻賢母。岡部を支え続ける。
映画『火天の城』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『火天の城』のあらすじ【起】
今からおよそ500年前のこと。
織田信長は1575年の長篠の闘いで勝利し、天下統一へまっしぐらだった。
そんな中、信長は安土に城を築こうと考え出す。
安土は天然の要塞とも言うべき山の地で、それを信長は利用しようとしていたのである。
彼は自分の理想とする城の構想を伝えるため、自らの足で棟梁達の元を訪れ設計を願い出た。
信長の目に止まったのが岡部である。
必死に信長の思惑通りの城を造りたいと取り組むが、信長は元々自ら構想を練った五重の城という構想に加え、内部を吹き抜けにしてその最上部に自分が住みたいという希望を出してきた。
しかしその注文に岡部の顔はぱっとしない。
信長はその表情を見逃さず、では他に2名ほど設計させて良い人物のものを選ぶと言い出した。
その2人とは京都の金閣寺を造った宮大工と、奈良で有名な宮大工である。
信長は約束の日までに、それぞれ設計した城の模型を製作することを命令した。
こうして3人は男のプライドと出世のために、必死になって図案を考え始めるのだった。

映画『火天の城』のあらすじ【承】
約束の日。
奈良と京都から選ばれた男達は、信長の言いつけ通り内部を吹き抜けにして設計した。
しかも京都の男は金箔を城の周囲に張るなど、手のこんだものである。
それに対し岡部の設計には内部吹き抜けが無かった。
激怒した信長は岡部に刀を抜き、つきつける。
しかし岡部は命に関わるのだと言い、設計されたそれぞれの模型に火を付けた。
すると他2人の城は燃え尽き、岡部の城は燃えなかった。
この一件で、自分の希望よりも命の安全性をとった岡部に任されることとなる。
こうして信長の城が構築され始めた。
岡部が考えた城の構想は、最初に信長が希望した五重の塔にさらに地下二階を加えた城だった。
この7階建ての城の完成には7年費やさねばと考えていた岡部に対し、信長は3年で完成させろと無茶な命令を出す。
岡部は必死だった。
妻の田鶴や娘の凛の助けもあり、城造りに没頭する日々を送った。
だがここで岡部は大きな問題にぶち当たることになる。
それは城を支える支柱に、大きくて長い丈夫な木が必要となったのだ。
岡部は木曽の檜が最適だと思いつき、自らの足で旅に出ることを決める。
映画『火天の城』のあらすじ【転】
旅をした先で木曽義昌の檜を気に入った岡部は、直接譲ってくれと頼み込んだ。
織田の書状がある岡部に義昌はその場で快諾するものの、きこりには彼を手ぶらで帰すように言う。
だが、きこりは未だ見たことの無い、7階建ての前代未聞の城を見てみたいと思うようになっていた。
適当にあしらわれるはずだった岡部だが、ついに樹齢4000年の御神木を見つける。
きこりも岡部の夢に共鳴し、この木を雨が降るときに譲ると約束をしてくれた。
岡部は彼を信用し、尾張に戻っていく。
だが大雨は一向に降らず、岡部の気ばかりが焦り始める。
部下の士気も下がり始め、岡部は不安に狩られていると妻の田鶴はニコニコしているではないか。
何がそんなに楽しいのだと怒りをぶつけた岡部に、田鶴は「笑顔の裏に涙もあるのです」と訴えた。
田鶴も田鶴で苦労をしていたのだとわかった岡部は、夫婦で苦労を共にしていることを実感する。
暫く大雨が続き、約束通りキコリからあの御神木が届けられた。
キコリは岡部の夢に託したのである。
主に内緒で御神木を送った罪によりキコリは打ち首にされた。
しかし義昌はキコリの首を手厚く葬ってやれと言い、彼の意思を尊重してくれたのだった。
映画『火天の城』の結末・ラスト(ネタバレ)
そんな時、岡部にキコリから手紙が届いた。
死を既に覚悟した内容であるが、岡部の夢の完成を楽しみにしているのだと書いてあった。
キコリの命がけの苦労も実り、ついにあの御神木が城の支柱となる日が来た。
だが城が出来上がってきたと同時に、岡部は不幸に見舞われる。
最愛の妻・田鶴が病に勝てず死んでしまったのだ。
他にも城の建設中、信長の命を狙う忍者軍団による爆破が起こってしまう。
この事件で多くの配下が命を落とした。
それでも前に進み城を完成させようとする岡部の努力のお陰で、遂に木組みが完成した。
しかし大嵐のせいで城がきしみだしてしまう。
このままではむき出した大黒柱が突き出し、城が崩壊してしまう。
そこに今まで関係した人間達が駆け寄り、大黒柱を削り何とか城を守ろうとした。
こうして大勢の協力と信念で城は守られたのだ。
皆の心は喜びで溢れている。
1581年、7月安土城完成。
暗闇の中、たくさんの蝋燭で城が照らされる。
映画『火天の城』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
戦国時代を大工の棟梁目線で切り取ったアイデアは面白いが、歴史ものとしてはその分中途半端になってしまった気もする。戦争が無い分、別の何かで戦国時代感を出せていれば印象は大きく変わっただろう。それでも後半までは目新しさも手伝って面白い。ただラストの危機に対してみんなで協力するという解決方法にはアイデアを感じないし、急激に陳腐な人情劇に落ちたのが残念。もう少し技とか合理的な解決方法を用意してほしかった。(男性 30代)
この作品を観た後に気になって原作を見たが、この映画は原作の大筋だけを切り取った別の作品と考えて観た方が良いと思った。中盤で少し飽きてしまうような展開だったが、城づくりというテーマだったので普段の自分の生活では関わることが出来ない分野で大変興味深く観ることが出来た。
俳優陣の方は皆素晴らしい演技だったが、織田信長を演じた椎名桔平は全く違和感もなく世界観に合っていたのでとてもよかったと思った。(女性 20代)
戦国時代の建築という、あまり映画化されない題材に惹かれて鑑賞。木を一本一本選び、釘を使わずに巨大な城を築いていく過程は、まさに“命を賭けた芸術”でした。西田敏行さんの棟梁としての熱量と、彼を取り巻く職人たちの信念に胸が熱くなりました。人の手で作るということの尊さを再認識させてくれる作品です。(30代 男性)
単なる時代劇ではなく、“ものづくり”の情熱を描いた職人ドラマとしてとても感動しました。特に、戦国という不安定な時代において、自らの信念を貫く主人公の姿勢は、現代人にも大きなメッセージを与えてくれます。家族とのすれ違い、絆の再生も丁寧に描かれていて、最後は涙がこぼれました。建築を愛するすべての人に観てほしい。(40代 女性)
歴史映画でありながら、情熱と理想を追い求める“ものづくり人間”の物語として素晴らしかった。建築に関わる人間として、一本一本の木材に魂を込める棟梁の姿に深く共感。炎の中から生まれる城の姿が、まさに“火天の城”というタイトルにふさわしい。映像も美しく、匠の世界を丁寧に描いた傑作。(50代 男性)
夫婦の物語としても非常に胸を打たれました。夢を追う男を支える妻の姿、すれ違いながらも互いを思いやる夫婦の絆がしっかり描かれていて、建築の話でありながらも人間ドラマとして深い。大竹しのぶさんの静かな演技がとても印象的で、言葉がなくても伝わる感情がありました。涙腺が緩みました。(30代 女性)
映像の力に圧倒されました。山の中で木を切り出すシーン、木を組み上げていく様子、すべてに日本の美が詰まっていました。戦や権力の話ではなく、人の“技”にフォーカスしたところが斬新で面白かった。ストーリーは静かだけど、心の中では常に熱が宿るような、そんな不思議な映画体験でした。(20代 男性)
高校で建築を学んでいたこともあり、この作品には深く共感しました。現代では当たり前の機械もなく、全て手作業で、しかも信念をもって作られる天守閣。そのスケールと執念に震えました。職人たちの誇りが全編に漂い、あの時代の“日本人の気概”を感じさせる一作。本当に素晴らしかったです。(20代 女性)
最初は正直、地味な映画かと思っていたけれど、観ていくうちにその熱量に圧倒された。釘一本使わずに巨大な建造物を造るという、途方もない挑戦に挑む男たちの姿は本当にカッコいい。西田敏行さんの熱演はもちろん、脇役たちの丁寧な芝居も光る。ラストはもう、感動で鳥肌が立ちました。(30代 男性)
大工というテーマから、地味かと思いきや、実は戦国の中で最も命がけな“挑戦”の物語でした。命をかけて木に登り、測り、切る。そんな職人たちの情熱に胸を打たれました。夫婦のすれ違いと和解のエピソードも人間味があって良かった。特に火災のシーンの迫力は映画館で観たらもっと圧巻だったと思う。(40代 女性)
映画『火天の城』を見た人におすすめの映画5選
たそがれ清兵衛
この映画を一言で表すと?
静かに、しかし確かに生きる侍の姿が心を打つ、真の武士道映画。
どんな話?
下級武士・井口清兵衛は、亡き妻の代わりに娘たちと母の世話をしながら、質素に暮らしていた。ある日、かつての許嫁と再会したことから、彼の運命が大きく動き出す。侍の誇りと家族への愛を描いた感動作。
ここがおすすめ!
『火天の城』と同様に、目立たないけれど誇りを持って生きる人物像が描かれており、心に沁みる物語です。美しい日本の風景と共に、人としてどう生きるかを問う、静かで力強い名作です。
武士の家計簿
この映画を一言で表すと?
刀を持たずに帳簿で戦う!異色の“算盤侍”の家族再建ドラマ。
どんな話?
加賀藩の下級武士・猪山直之は、家計を立て直すために倹約に徹する生活を家族に課しながら、誠実に人生と向き合っていく。武士の姿を、戦いではなく家族と経済の面から描いた心温まる時代劇。
ここがおすすめ!
豪快さではなく、地に足のついた“生きる力”を描く姿勢が『火天の城』に通じます。派手な戦シーンはないけれど、淡々としたリアリティと家族の絆に心が打たれる、観る人を選ばない名作です。
蝉しぐれ
この映画を一言で表すと?
切ない恋と義に生きた少年が、やがて一人の侍へと成長する物語。
どんな話?
父を謀反の罪で失った少年・牧文四郎は、苦難を乗り越えて成長し、やがて藩の命運を左右する立場へと上り詰めていく。淡い初恋と忠義の間で揺れながら、己の信念を貫く若き武士の青春譚。
ここがおすすめ!
『火天の城』と同じく、時代に翻弄されながらも一つの信念を貫く主人公に深く共感できます。自然描写の美しさと共に、静かに燃えるような物語展開が魅力で、日本映画らしい情緒を味わえます。
のぼうの城
この映画を一言で表すと?
戦わずして民を守る、奇策の“農民武将”が魅せる歴史活劇!
どんな話?
豊臣秀吉の大軍に包囲された忍城を、知略と民衆の力で守ろうとする“でくのぼう”こと成田長親の奮闘を描いた実話ベースの戦国エンタメ。合戦と人間ドラマが融合したスケール感のある作品。
ここがおすすめ!
職人や庶民の力を信じた主人公の姿勢は『火天の城』にも通じ、名もなき者たちが歴史に名を残す瞬間に胸が熱くなります。合戦シーンも迫力があり、笑いと涙のバランスが絶妙なエンタメ時代劇です。
築城せよ!
この映画を一言で表すと?
現代に城を建てろ!?町おこしに賭けた男たちの熱血プロジェクト!
どんな話?
閉鎖寸前の博物館を立て直すため、町おこしとして“実物大の城を作る”という前代未聞のプロジェクトが始まる。反発とトラブルの連続の中、男たちは本物の情熱と誇りに目覚めていく。
ここがおすすめ!
『火天の城』のように“城づくり”に人生を懸ける男たちを描いた作品ですが、こちらは現代版。建築のロマンや人とのつながりに加え、コミカルな展開もあり、見やすく熱いヒューマンドラマです。
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