映画『ヒトラーへの285枚の葉書』の概要:ドイツ・ベルリン。戦争でフランスに勝利し、町はお祝いムードに沸いていた。そんな中、クヴァンゲル夫妻の元に、息子が戦死したと知らせが入る。悲しみに暮れるクヴァンゲル夫妻は、ヒトラー政権の批判をカードに書き、公共の場に置くようになる。
映画『ヒトラーへの285枚の葉書』の作品情報
上映時間:103分
ジャンル:ヒューマンドラマ、サスペンス、戦争
監督:ヴァンサン・ペレーズ
キャスト:エマ・トンプソン、ブレンダン・グリーソン、ダニエル・ブリュール、ミカエル・パーシュブラント etc
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映画『ヒトラーへの285枚の葉書』の登場人物(キャスト)
- アンナ・クヴァンゲル(エマ・トンプソン)
- 国家主義女性同盟(NSF)の一員。兵士として戦場にいた息子が戦死してしまう。
- オットー・クヴァンゲル(ブレンダン・グリーソン)
- 木材加工工場の職工長。寡黙な人物。アンナの夫。夫婦仲は良好。息子が戦死した悲しみに耐えられず、ヒトラー政権を批判するカードを公共の場にばら撒くようになる。
- エッシャリヒ(ダニエル・ブリュール)
- 警察・警部。ヒトラー政権を批判するカードが見つかり、その事件の捜査を担当することになる。
- プラル(ミカエル・パーシュブラント)
- 親衛隊・大佐。冷酷で、情け容赦ない人物。
映画『ヒトラーへの285枚の葉書』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ヒトラーへの285枚の葉書』のあらすじ【起】
ドイツ・ベルリン。戦争でフランスに勝利したため、町はお祝いムードに沸いていた。そんな中、オットーとアンナ夫妻の元に軍事郵便が届く。1940年6月11日に息子が戦死したことを知らせるものだった。ショックを受けたアンナは、夫と戦争とヒトラー総統を責めた。
オットーもまた息子を失ったことに深い悲しみを抱いていた。ヒトラーが写る写真に、「ウソつき」と悪口を書いた。ドイツは次にイギリスと戦おうとしており、ヒトラーは工場の生産性の向上を求めていた。オットーがいる木材加工工場は、半年で生産性を倍増させるよう指示が出る。職工長であるオットーは、機械を増やし怠け者を解雇してくれと意見を出した。仕事をせずに、政治の話ばかりしている者がいるのだ。しかし、オットーの意見はナチ党の悪口だと捉えられる。
アンナが家の中で呆然と座り込んでいると、国家主義女性同盟(NSF)の勤めを果たすために女性達が呼びにきた。NSFとはナチ党の女性組織のことである。女性達は夫が戦地にいる女性宅を訪ね、家で怠けていることを責めて協力を求めた。しかし、妻はただ怠けているわけではなく、戦地にいる夫が心配で何も手につかないだけだった。妻の気持ちが理解できるアンナは、その場を飛び出してしまう。
オットーはポストカードに「総統は私の息子を殺した。あなたの息子も殺されるだろう」とメッセージを書いた。筆跡がバレないように工夫もした。やってはいけないことだと分かっていたが、オットーは書かずにはいられなかった。アンナはそんなオットーを心配しながら見守った。すると、そこに隣人のローゼンタールが助けを求めて訪ねてきた。強盗目的の男達(バルクハウゼンと相棒)が家に押し入ってきたのだ。隣人のナチ党員のペルジッケ親子は強盗に気づき、バルクハウゼン達を追い出した。すると、今度は自分達が金目の物がないか物色し出した。
映画『ヒトラーへの285枚の葉書』のあらすじ【承】
オットーはヒトラーの批判を書いたポストカードを、人がたくさんいる建物の中に置いた。アンナはオットーの行動に理解を示し、ついて行った。一方、フロム判事はユダヤ人であるローゼンタールの身に危険が迫っていることを察知し、部屋に匿った。偶然そのことを知ったバルクハウゼンは、警察に密告した。ローゼンタールはフロム判事に迷惑を掛けないようにするため、警察が部屋を調べに来る前に自宅に戻った。ローゼンタールは警察に連行されそうになるが、隙を突いて飛び降り自殺をした。
エッシャリヒ警部は町中にポストカードを置いた犯人の捜索を行っていた。労働階級で子供を失った親だと当たりをつけ、情報収集を行うことにした。町中に置かれたポストカードは町人達が回収してくれるため、待っていればすぐに情報が集まるはずだった。
アンナはNSFの活動で豪邸に暮らすゲーリヒ夫人の元を訪ねた。ゲーリヒ夫人の夫は親衛隊中佐で、NSFにも資金の提供をしていた。だが、アンナは募金を求めず、なぜ工場で働かないか夫人に尋ねた。女性にも労働の義務はあるのだ。ゲーリヒ夫人はアンナの意見に腹を立てた。アンナはしばらくNSFの活動を休むことになった。実は、アンナがこのような乱暴な態度を取ったのは、NSFを抜けるためだった。
映画『ヒトラーへの285枚の葉書』のあらすじ【転】
オットーはポストカードを公共の場に置き続けた。ある日、人にバレて捕まりそうになるが、アンナが機転を利かせて夫を救った。一方、エッシャリヒ警部は親衛隊のプラル大佐から、犯人の特定を急かされる。そんな時、犯人を目撃した人が現れ、似顔絵が制作された。
エッシャリヒ警部は犯人のことを推察した。犯人は指紋を残さず同じ道にポストカードを置かないことから、頭が良い人物だと考えられた。また、文章の内容が変わってきて、ヒトラー政権の批判と共に自由な報道を訴える言葉が見られた。
アンナがお弁当を持ってオットーの職場を訪ねると、来ていないと言われる。心配になったアンナは、急いで警察に向かった。すると、人々が売国奴と罵りながら、犯人を責め立てていた。逮捕されたのは、オットーではなかった。オットーはポストカードを拾った人の反応を見るため、仕事を休んだだけだった。
エッシャリヒ警部は逮捕された男の取り調べを行った。男はポストカードを持っていたが、犯人像とは似ても似つかなった。子供達は兵士だったが、2人共生きていた。しかも、冷静沈着とは程遠く、取り調べを受けている最中もビクビクと怯えていた。男は偶然ポストカードを拾っただけだと考えられた。エッシャリヒ警部は男を釈放するが、そのことをプラル大佐に叱られる。プラル大佐はエッシャリヒ警部を殴り、釈放した男を始末するよう指示した。
映画『ヒトラーへの285枚の葉書』の結末・ラスト(ネタバレ)
エッシャリヒ警部は釈放した男の元妻を尋問し、居場所を特定した。自分の身も男の身も危ないことを告げ、死ぬことを勧めた。男は親衛隊に拷問されることを恐れ、死を受け入れた。エッシャリヒ警部は男を射殺し、自殺したとプラル大佐に報告した。それからも、ポストカードは町で発見された。
オットーは同僚に頼まれ、非番の日に仕事に行くことになった。工場に着き、ポストカードを入れたポケットに穴が開いていることに気づく。探してみると、工場の中に落ちていて部下に拾われていた。オットーは動揺することなく、通報するようナチ党員の同僚に頼んだ。
オットーは警察に連行された。警察に届けられたカードは全部で267枚あった。オットーは犯行を自供し、全部で285枚のカードを書いたことを明かした。全て独りでやったことで、アンナは関係ないと伝えた。そして、エッシャリヒ警部にアンナを釈放してくれと頼んだ。オットーは親衛隊から暴行を加えられる。エッシャリヒ警部はその様子を痛ましく思うが、プラル大佐がいる手前仲間に加わるしかなかった。
裁判でオットーとアンナは再会する。2人は手を握って寄り添い合った。結局、アンナが釈放されることはなかった。オットーは処刑されることになった。エッシャリヒ警部がオットーに声を掛けると、カードとペンが欲しいと言われる。オットーはアンナを逮捕したエッシャリヒ警部を恨んでいた。
エッシャリヒ警部は18枚以外の全てのポストカードを読んだ。全てを読んだのは、エッシャリヒ警部だけだった。エッシャリヒ警部はポストカードを窓からばら撒くと、拳銃で自殺した。
映画『ヒトラーへの285枚の葉書』の感想・評価・レビュー
物語の冒頭で、戦争の勝利を喜ぶ町人と、息子の戦死を知って悲しみに暮れるクヴァンゲル夫妻の対比が印象的だった。きっと現代なら政権を批判しても処刑されることはなく、息子を失った悲しみを昇華できる場所があったのだと思う。しかし、この時代はヒトラー政権の批判をすることは許されず、子供の死を悲しむ時間さえ与えられない。実際に戦争の場面が映し出されるわけではないが、クヴァンゲル夫妻の心情が丁寧に描かれているため、戦争の悲惨さが凄く伝わってくる映画になっている。(MIHOシネマ編集部)
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