映画『本がつなげる恋物語』の概要:マカオに住む女性とロサンゼルスに住む男性。現実には出会う機会がなかった二人が、偶然にも手紙でやり取りするようになり心を通わせていく様子を追う物語。監督は「海洋天堂」を手掛けたシュエ・シャオルー。
映画『本がつなげる恋物語』の作品情報
上映時間:129分
ジャンル:ファンタジー、ラブストーリー、ヒューマンドラマ
監督:シュエ・シャオルー
キャスト:タン・ウェイ、ウー・ショウポー、ポール・チョン、ルー・イー etc
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映画『本がつなげる恋物語』の登場人物(キャスト)
- ジャオ(タン・ウェイ)
- マカオでカジノのディーラーをしながらその日暮らしをしている。過去に父親を殺めてしまったことから、ギャンブルや借金にトラウマがあるが自らもその道を進んでしまう。
- ダニエル(ウー・ショウポー)
- ロサンゼルスで不動産のブローカーとして働く男性。14歳で渡米したが中国人の祖父に育てられていた。人と深い関係になるのが怖く避けているが、偶然ジャオと文通をするようになり考えを見直し始める。
- チェン・イー(ルー・イー)
- ジャオの学生時代の同級生。同級生の中で唯一、北京大学から奨学金をもらったという秀才。ジャオに持ち掛けられた賭けに失敗し、責任を押し付けてしまう。
- リン(チャン・チェ)
- ジャオの同僚でありジャオの父親の恋人だった女性。一人の男の子を育てるシングルマザー。ジャオを心配し、常に声をかけて道を外れないように見守ってくれている。
- おじい様 / リン・ピンシャン(ポール・チョン)
- ダニエルが狙っていた家の持ち主。中国人夫婦で頑なに家の売買を拒んでいたが、ダニエルの人柄に惹かれ距離を縮めていく。
映画『本がつなげる恋物語』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『本がつなげる恋物語』のあらすじ【起】
仕返しを目論む女ライダーという妄想に浸っていた矢先、大家に無理やり追い出されてしまったジャオ。2か月分の家賃を滞納してしまっていたのだ。気を落とすことなくジャオは職場に向かう。マカオのカジノでディーラーとして働くジャオの収入源はお金持ちの客からもらうチップである。若く美しいジャオを誘ってくる者もいるが、うまくかわしながら仕事をこなしていた。その夜、家がないジャオを見兼ねて同僚のリンが部屋に泊めてくれることになった。翌朝目を覚ましたジャオは、リンが置き手紙と共に置いていった「チャリング・クロス街84番地」という恋愛小説を手に取った。嫌味だと機嫌を損ねたジャオはいたずらに本のタイトルとなる住所に、本を送ってみるのだった。
ロサンゼルスで不動産のブローカーとして働くダニエル。中国人の客が増え、商売も軌道に乗っていた。昔の恋人に頼みごとをしながら、過去に「チャリング・クロス街84番地」という本をきっかけにある女性にひどい仕打ちを受けたことを思い返していた。なんと仕事を終え、届いていた郵便の中にジャオが送った本が紛れていたのである。
ある日、カジノで注目を浴びる客がいた。興味本位で覗きに行ったジャオは旧友のチェン・イーであることに気付き声をかける。昔話に花を咲かせたことで、ジャオは一緒に儲けようと計画を持ち掛けた。チェン・イーの頭脳を信じ、大金を借りてきたジャオだったが、結果は大敗。一人で借金を背負うことになってしまった。落ち込みながら帰宅したジャオ。郵便が届いており、その中にはダニエルに送りつけた本の英語版と嫌味な手紙が同封されていた。
映画『本がつなげる恋物語』のあらすじ【承】
ダニエルはリン夫妻が所有する大きな家を狙っていた。おじい様、おばあ様と呼び通い詰めていたが、ある日おじい様が事故に遭ってしまったと連絡が入る。誤って自宅に追突してしまったが、保険に入っておらず多額の修理費がかかるため、リン夫妻は頭を抱えていた。そんな二人に優しく声をかけるダニエルは、NASAで働いているという孫に手紙を書くよう提案をした。英語ができない二人の代筆をしたダニエルは、郵便を出そうと用意をしていると一通の手紙を見つけた。正体不明な本の送り主に宛てた嫌味な手紙の返信であった。その日から、お互いに姿の見えない相手との文通が始まった。いつの間に返信を楽しみにしてしまっているダニエル。ジャオの妄想の中でダニエルは知識人の老人であるとされていた。
借金の返済に追われるジャオと元恋人が同僚と結婚することを知らされたダニエル。他人に頼り切れない中で、ジャオは一度逃げ出そうとしたが失敗。タイミング良くVIPのドンから連絡が入りチップを期待して仕事に戻るのだった。ジャケットを置くように頼まれ部屋に入ったジャオは、無造作に置かれたお金に目がくらみ手に取ってしまった。しかし妄想の文通相手に引き留めてもらい、気を改める。ジャオを信用したドンは年末一緒にラスベガスへ行こうと提案してきたのだった。ジャンが帰宅するとリンの家に借金取りが押し掛けてきていた。追い込まれたジャオは、ドンの誘いを受け、一稼ぎすることを決心した。
ジャオはギャンブルで借金をした父親を自分の手であやめてしまった過去がある。ドンに対して初めて心の内を明かしたジャオは、文通相手が言うほど人間関係は幻想ではないと思い始めていた。翌朝、ドンに借金のことを相談したジャオ。一部の金額を記載した小切手を渡したドンは、礼は自分に言えるよう努力しろとジャオを諭すのだった。
映画『本がつなげる恋物語』のあらすじ【転】
ダニエルもリン夫妻を連れてラスベガスへ来ていた。70年連れ添いながらも結婚式をしていないという、おばあ様の言葉を機に家探しを兼ねて結婚式をさせようと企画していたのである。不器用ながら愛情のこもった誓いの言葉を述べるおじい様。偶然にもジャオは自らの不甲斐なさを改めに教会に立ち寄った。リン夫妻の愛情の深さを目の当たりにした、ダニエルとジャオ。ジャオは一世一代の大勝負に出るのだった。
見事に借金分を稼いだジャオは、元金と利息分を返済しドンの元を離れた。その頃、リン夫妻と食事をしていたダニエルだったが、一本の電話をきっかけにダニエルの計画が明るみに出てしまい夫妻との関係性が壊れてしまった。再び孤独を味わうジャオとダニエル。互いに空想の文通相手を想いながら自分の失敗を悔い改めていた。
仕事に身が入らないジャオは、ダニエルとやり取りするきっかけとなった小説を手にする男性を偶然見かけた。会話を重ね、心を開いていったジャオであったが、その男性は同業者であることがわかった。再び報われなかった愛情に気を落とすジャオ。手紙でダニエルと愛について答えを求め合うのだった。
ホテルを独りでチェックアウトするダニエル。フロントマンからリン夫婦の忘れ物を届けてくれた女性がいると知らされ、指した先を見たがすでにその女性は外に出るところであった。まさにその女性がジャオ。二人はすれ違いながらも、運命的に繋がっていた。ロサンゼルスに戻ったダニエルはリン夫妻の家の前に止まる救急車を目撃する。夫が入院したと知り、見舞いに行くも面会はさせてもらえなかった。
映画『本がつなげる恋物語』の結末・ラスト(ネタバレ)
気を落とすダニエル。しかし、しばらくした頃におじい様から連絡があった。テレビを取り付けて欲しいというのである。何とか弁解しようとリン夫妻の自宅を訪ねたダニエルは、正直に全てを話し、夫婦もダニエルの気持ちを受け止めてくれた。その夜は孫の部屋に泊めてもらうことになったダニエル。ジャオにも全てを正直に伝える手紙を書いていると、おばあ様が慌てた様子でダニエルに声をかけた。なんとおじい様が急に息を引き取ったのである。夫の故郷で行う埋葬に付き合ったダニエルは、おばあ様の好意でリン夫妻の自宅の譲渡を受けることとなる。
ジャオとダニエルの文通が始まって1年が経とうとしていた。お互いに欠かせない存在となっていたが、どうしてか手紙が届かなくなっていたのである。ジャオは思いきってロンドンに来ていた。その頃、ダニエルもロンドンを訪れ「チャリング・クロス街84番地」にある書店を訪ねていた。生憎にも店主のトーマスは亡くなってしまったが、その日は葬儀が行われていた。ダニエルは急遽、トーマスの葬儀に参列すると、同じようにこの住所に手紙を送ったことをきっかけに運命の相手と出会ったという人々が集まっていたのである。ダニエルは参列者が残したメッセージの中に、ジャオが書いたものを見つけた。ジャオも同じく葬儀に参列していたのである。
会うことはできないのかと気を落とすダニエルは書店に向かった。最後の手紙を書こうとしたのである。偶然にも同じことを考えたジャオ。運命的に出会った二人はようやく対面することができた。妄想していた姿とは違ったと皮肉を言い合いながらも、二人は一緒に歩み始めるのだった。
映画『本がつなげる恋物語』の感想・評価・レビュー
SFのような世界観で始まる物語。しかし、一切SF要素はない。この物語の鍵となるのは妄想であり、中心となる二人の孤独を掻き立てるのである。SNSがコミュニケーションの中心である現代で、手紙というツールで心を通わせていく二人のやり取りは、実に温かいものであった。いじらしい距離という障害をもってしても、共感は愛情を生むのだろう。多幸感溢れる愛情物語ではないものの、しんみりと愛情を確かめることができる時間であった。(MIHOシネマ編集部)
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