映画『二ツ星の料理人』の概要:2015年製作のアメリカ映画。一流料理人として有名な主人公だがあるトラブルをきっかけにパリから逃げ、ロンドンで三つ星シェフを目指して起死回生を図ろうとするサクセスストーリー。
映画『二ツ星の料理人』の作品情報
上映時間:101分
ジャンル:ヒューマンドラマ、ラブストーリー
監督:ジョン・ウェルズ
キャスト:ブラッドリー・クーパー、シエナ・ミラー、オマール・シー、ダニエル・ブリュール etc
映画『二ツ星の料理人』の登場人物(キャスト)
- アダム・ジョーンズ(ブラッドリー・クーパー)
- 腕の良いシェフだがパリで問題を起こし、ロンドンにやってくる。頑固で疎ましがられることもあるが意思は強く流されないのが長所。思い通りにならないとすぐに起こる短気なところも。
- トニー(ダニエル・ブリュー)
- ホテル経営者の父の跡を継いでいるが、元々はアダムの兄弟弟子。優しく冷静な性格で激情的なシェフ達を支える陰の立て役者。
- エレーナ(シエナ・ミラー)
- アダムに引き抜かれ彼の店で働くことになったシェフ。腕は確かで新しい料理方法を取り入れる今風の料理人。素直で真面目。
映画『二ツ星の料理人』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『二ツ星の料理人』のあらすじ【起】
3年前、アダムはパリで有名な二つ星シェフのジャン・リュックの店で働いていた。
しかし腕がありながら薬付けになったアダムは、何かと問題を起こしパリから消える。
それでもシェフとしての人生を諦めることが出来なかった彼は、ニューオリンズのレストランで働き100万個の牡蠣の殻をむくという課題を自分に課して生活する。
そうして100万個無事にむき終えた時、彼は新天地ロンドンにやって来た。
目標はこの地で三つ星シェフとして成功させることである。
早速ロンドンで彼は昔の兄弟弟子や仲間を探し始める。
まずはトニー。
彼は父親の跡を継いでホテル経営の道を極めようとしていた。
突然現れたアダムに困惑気味のトニー、もう関わりたくなかった。
しかもアダムは恩師のジャン・リュックの死を初めてそこで知り愕然とする。
次がマイケル。
だが彼はアダムに恨みがあった。
自分の店を開店させたとき、面白く無かったアダムは彼の店に鼠を放ち衛生局に通報、そのまま閉店を余儀なくされたのだ。
その過去があったため、マイケルは二の足を踏むが全てを許しアダムに協力することを約束する。
そしてパリで一緒だったリースには拒絶されたアダムは、トニーのホテルの厨房で副料理長として働いていたエレーヌを引き抜こうとする。
しかしアダムの料理法は古く、否定的な彼女は中々なびかない。
役者がそろい始めた頃のこと、アダムが麻薬常習だったころの売人がやってきて以前の借金返済を強要してきた。
だがこの件がトニーの耳に入った上、カードが利用できなくなったことでトニーのホテルから追い出されたアダムはどうすれば良いのか真剣に考え始める。
映画『二ツ星の料理人』のあらすじ【承】
アダムが考えた案。
それはレストラン批評家を利用することだった。
知り合いのシモーネは手厳しい評論家で有名、そこで彼女に頼みトニーのレストランに行ってもらうことにする。
シモーヌが来店したことにいち早く気がついたトニーは早速厨房に走った。
しかしどの料理も中途半端で味もいまいち。
一流で無い事は明らかだった。
苛立ち、どうしようもなくなった時、アダムが厨房に現れた。
自分に任せればシモーネを納得させられるのだと。
トニーは嫌と言うほどわかっていた事実。
なくなくアダムにシェフとして料理することをお願いした。
アダムの作った料理はシモーネも納得、この一件でトニーと彼の父親は改装資金を出し彼を総料理長として雇うことを約束する。
この条件はトニーお抱えの医師に定期的に見せること。
薬や酒に手を出していないかのチェックのためだった。
こうしてレストラン「ランガムス」は開店した。
しかし思うように客は集まらず、シェフ達も上手く動けていない。
腕が良い人材を集めても、心はバラバラでアダムだけが焦って大声で怒鳴り散らしているのだった。
エレーヌはやってられないと店を辞めた。
これではダメだと、開店当日アダムは反省する。
映画『二ツ星の料理人』のあらすじ【転】
客数が伸びないことでアダムはTV出演を決めた。
そこで1週間の間無料で食事を提供することを約束したのだ。
しかも料理評論家で有名な人物をランガムスに招き入れることに成功、その評価は特別なものだった。
このおかげでアダムは成功のとっかかりを作る。
そしてトニーの説得でエレーヌも店に戻って来た。
前よりもお互いの料理への思いを話しやすくなったアダムとエレーヌは、次第に共に料理法を探し信用し始める。
スタッフもまとまり始めた頃、ミシュランの星獲得のために真剣に動き出したアダム。
トニーは店のスタッフにミシュラン調査員の特徴を頭に入れるよう指導し、何としても星を獲得しようと躍起になっている。
そんな時、昔の仲間だったリースから新装開店の招待状が届いた。
エレーヌと一緒に向かったアダムはそこでジャン・リュックの娘、アンと再会する。
彼女とは恋仲だったが、2人とも薬付けになりパリから去ったことで音信不通だった。
しかしアンの対応は優しかった上、父親の形見のナイフをアダムに譲りたいといってきたのだった。
葬儀にも出席しなかった自分に嫌気が差し、その場から姿を消したアダム。
残されたエレーヌは市場で魚を探すと言っていたのを思い出し、早朝市場に向かう。
予想は的中。
アダムは魚売り場の前にいた。
店に戻って来た2人は初めてそこでキスを交わす。
だがしかし、そこに麻薬密売人が姿を現したのだ。
映画『二ツ星の料理人』の結末・ラスト(ネタバレ)
その夜、エレーヌは怪我をしているアダムが店の裏口に座っているのを見つける。
店の休憩所で彼を休ませていると、店にミシュラン調査員がやってきた。
アダムは急いで支度をし、完璧な料理を提供するように指揮をとる。
そしてメイン料理が出された時のこと。
料理が戻って来た。
「ソースが辛い」と言う。
そんなはずは無いと言うアダムに、マイケルが言った。
「唐辛子を入れてやった」と。
昔自分の店を潰した仕返しをしたのだといって、店を後にした。
愕然とする一同。
その日アダムは酷い泥酔状態でリースの店に行った。
敵であるはずのリースだったが、様子のおかしいアダムを気にして店で一晩過ごして良いと言う。
そして2人で会話をしたことで、わだかまりも溶け今までの冷たい関係が終わった。
翌朝ホテルに戻ると、アンが麻薬の借金を返済していた。
そして父親の形見のナイフをアダムに渡すと、新しい人生を歩むために去って行く。
部屋でトニーとエレーヌの歓迎をうけるアダムは、昨日の調査員はただのセールスマンだったことを知る。
今までの一件で、アダムはシェフを信用し任せ、皆とコミュニケーションをとることを大事にし始める。
そして遂に本物のミシュラン調査員がやってきた。
前回より落ち着きのある彼は、やるべきことをやるだけだと言い、いつも通り料理を提供した。
見事三つ星シェフとして夢を叶えたアダム。
トニーとアダムは静かに喜んだ。
映画『二ツ星の料理人』の感想・評価・レビュー
一人の有望な若手料理人が名声を求める中で自分の過去と向き合い成長する物語。天才的な腕を持つが性格に難があり、というのは映画ではお決まりのキャラクターだが、それだけに受け入れやすく没入しやすい作品といえるだろう。
戦場のような厨房のシーンが特に素晴らしく、アクション映画のようなスピーディーさで職場の緊張感を煽り、プロッフェッショナルの仕事を堪能できる。大げさな一発逆転は用意されず、チームと食事を共にするところから再生を目指すラストも気に入った。(男性 30代)
麻薬と酒でドロップアウトした天才シェフであるアダムが、ロンドンのレストランに戻り、もう一度シェフとして再起を図ろうとする、という物語です。
アダムは自分勝手で、一緒に仕事をしたいような人ではありません。
でも、そんなアダムが挫折を経験したり、周りの人たちの優しさに気付くことで、自分の人生に向き合いチャレンジしようとする姿は、とても勇気づけられます。
いま仕事やプライベートが上手くいかず、ネガティブな気持ちになっている人にお勧めです。(女性 30代)
料理人って最高にかっこいい仕事ですよね。食べるという生きていく上で欠かせないことで、人に元気や幸せを与えられる。でもそんな料理人には彼らなりの苦悩があり、この作品はそれを分かりやすく描いているヒューマンドラマです。
ブラッドリー・クーパー演じるアダム・ジョーンズは、料理の腕は一流でありながらも人生はかなり難ありで挫折ばかり。人を寄せつけない独りよがりの性格もあり、パリの二ツ星レストランから追放されてしまいます。
料理人ってプライドを持っていて、厳しくて、でも確かな技術があって。そんなイメージを持っていたし、それが正しくてそれで成功したと思っていたのでかなり間違った見方をしていたなと感じました。
「本当の最高は、ひとりじゃできない」この言葉に全てが詰まっています。(女性 30代)
料理界の異端児と呼ばれるも、酒と薬と借金で堕ちた男の復活の物語。序盤の淡々とメンバーを集めるシーンからは、カリスマ性の光るアダムがかっこよく描かれています。しかし、中盤で心の弱さが浮き彫りに。料理の世界に戻ってきた男の根本は昔のままでしたという展開です。仲間の力を信じるようになり、無事に完全復活・進化ができて良かったと素直に思えます。料理も美味しそうで、頻繁に味見をするシェフたちを見るとお腹が空いてきます。とても爽やかな作品ですが、過去をもう少し丁寧に描いてもらえたらより感情移入できたと思います。(男性 20代)
“いくら料理の腕が天才的で顔がブラッドリー・クーパーでもこんな人とは絶対一緒に働きたくない…”と思ってしまった。情緒不安定すぎてシンプルに怖い。むしろ主人公とはライバル関係であるリースの方が個人的には好きだし応援したくなった。自暴自棄になり死にたいと暴れまわるアダムをなだめ(なかなか衝撃的なシーンだった)、オムレツを作ってやるシーンはじーんときた。
そんな料理以外は台風の目のようなアダムが、最後は仲間の大切さに気付き、自ら歩み寄ろうとするラストはとても良かった。でもやっぱり、振り回されるトニー達が可哀想。(女性 30代)
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