映画『標的の村』の概要:琉球朝日放送でキャスターを務めていた三上智恵が監督したドキュメンタリー。ヘリパッド建設や新型輸送機オスプレイの配備に反対する高江の住民たち、そして基地反対の声をあげる沖縄の人々の姿を記録している。
映画『標的の村』の作品情報
上映時間:91分
ジャンル:ドキュメンタリー、歴史
監督:三上智恵
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映画『標的の村』の登場人物(キャスト)
- ナレーション(三上智恵)
- 本作品の監督でもある。琉球朝日放送でローカルワイドニュース「ステーションQ」のメインキャスターを務めていた。
映画『標的の村』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『標的の村』のあらすじ【起】
沖縄本島北部の東村高江区、住民160人が住むこの集落を取り囲む6か所に、アメリカ軍はヘリパッド建設を計画し、2007年に着工された。沖縄防衛局は高江住民に対して何の説明もしないまま、そのヘリパッドにはオスプレイの配備が決定する。オスプレイは、度重なる墜落事故を起こしており、その機体の安全性が疑問視されている航空兵器であり、配備されると高江区の住人はその墜落の危機に日々怯える暮らしを強いられることになる。
高江区の人々はヘリパッドの建設工事をさせないように、テントを張り、座り込みをしている。それに対して、国は工事車両の通行妨害を理由として、一部住民に対して仮処分申請を起こす。その中には、安次嶺現達さんの7歳の娘の名前まであった。これをスラップ訴訟という。社会的に見て「比較強者」である大企業や自治体、国が、計画する政策などに反対の声をあげた、社会的に見て「比較的弱者」である個人や団体を、恫喝あるいは報復するために訴訟を起こすことをいう。アメリカなどでは、禁止している州が多いが、日本ではあまり知られていないのが現状だ。今回の裁判では、高江区住民15人の内13人に対する訴えは却下されたが、反対運動の中心人物である安次嶺現達さんと伊佐真次さんの二人に対しては、「通行妨害禁止命令」の請求が出される。伊佐さんは「反対運動に加われば、裁判にかけられるという見せしめの裁判だ」と言う。
映画『標的の村』のあらすじ【承】
1960年代、ベトナム戦争当時、高江区は米軍から「ベトナム村」と言われていた。米軍は、ここをベトナムの村に見立てて襲撃訓練を行っていた。当時、高江の人々は、その訓練に連れて行かれ、三角の帽子を被せられベトナムの着物に似た黒い服を着させられ、ベトナム人役をさせられていたのだ。そして、その中には乳幼児も含まれていた。ベトナム戦争が終わって40年が経ち、「ベトナム村」はなくなったが、今も米軍は高江区を一つの標的と見なして訓練を行っているのではないだろうかと高江区の人々は危惧しているのだった。
2012年3月14日、安次嶺現達さんと伊佐真次さんの二人に対して起こされた3年半に渡るスラップ訴訟の判決がでる。安次嶺現達さんに対しては、国の請求が棄却される。しかし、伊佐真次さんに対しては「通行妨害禁止命令」が下されてしまうのだった。伊佐さんは、すぐに控訴する。しかし、この裁判は2014年、最高裁によって伊佐さんの上告が棄却され、敗訴が確定する。
映画『標的の村』のあらすじ【転】
2012年6月、「米軍環境調査書」が公表される。この調査書には、オスプレイの配備運用に関することが記載されていた。高江区を取り囲むように建設されたヘリパッドは、オスプレイの着陸を想定して作られたものだった。計画によると、高江区の民家から400メートルしか離れていないヘリパッドには、年間1260回オスプレイが飛来する。更に低空飛行訓練の計画もある。オスプレイの排気は高温で山火事を起こすともいわれているのだった。しかし、高江区の住民に対し、沖縄防衛局は何の説明もしないまま、計画を進めようとしているのだった。
2012年7月、米海兵隊岩国航空基地にオスプレイが12機、陸揚げされる。一方、高江では、住民たちへの説明がないまま、ヘリパッド建設工事のための資材の運びこみ作業が開始される。反対派住民たちと作業員との押し問答が続き、怒号が飛び交う。「喧嘩しないよ。みんな歌歌って」と沖縄弁で叫ぶ反対派住民、ダンプカーの前に身を挺して何とか搬入を食い止めようとする住民、混沌とするなか結果、ダンプ一台の建築資材が搬入されてしまうのだった。
映画『標的の村』の結末・ラスト(ネタバレ)
2012年9月、「オスプレイ配備に反対する沖縄県民大会」が開かれ、10万人以上の人々が集まり、オスプレイの沖縄配備に対し反対の声をあげた。しかし、防衛大臣は「運用上の安全性を確認するに至り、アメリカ側にオスプレイの運用を開始させる」とコメントし、オスプレイの沖縄配備が決定する。
9月26日、台風17号の暴風の中、沖縄県民は基地封鎖のデモを決行する。普天間基地のゲート前で抗議集会を開き、米軍兵士の車の通行妨害をし、車をゲート前に停めるなど様々な方法で29日、全ゲートを封鎖することに成功する。しかし、翌30日、沖縄県警は機動隊を導入し、デモ隊の排除を始める。車はレッカー移動され、人々も警官に排除される。レッカー移動される車の中で、ある女性は「安里屋ユンタ」を涙ながらに歌う。この歌は沖縄に古くから伝わる、権力に抵抗する歌だった。そして10月1日、沖縄の空にオスプレイは飛来してくるのだった。
7歳のときにスラップ訴訟で、被告にされた安次嶺現達さんの娘は、「私の子どもにはオスプレイを見ないで欲しい。その時までには、もうオスプレイ はなくなって欲しい」と訴える。
しかし3日後、オスプレイは高江区上空に飛来、連日訓練を続けている。
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