千晶は知り合いから、「こども食堂」のボランティアを手伝って欲しいと頼まれる。「こども食堂」には手足に叩かれたような痣がある少女・ちぐさや、親との関係に悩む子供達が通っていた。
映画『こども食堂にて』の作品情報
- タイトル
- こども食堂にて
- 原題
- なし
- 製作年
- 2018年
- 日本公開日
- 2018年9月29日(土)
- 上映時間
- 115分
- ジャンル
- ヒューマンドラマ
- 監督
- 佐野翔音
- 脚本
- 佐野翔音
- 製作
- 森川一重
- 製作総指揮
- 不明
- キャスト
- 本下はの
北原佐和子
平田友子
高橋万里子
大地伸永
川上麻衣子
柴田理恵
五大路子 - 製作国
- 日本
- 配給
- 映画製作チーム・Sunshine
映画『こども食堂にて』の作品概要
2010年頃からテレビや新聞などを通して世間に広まるようになった、「こども食堂」にスポットが当てられ作られた作品。「こども食堂」は親が働いていて1人で食事を摂る子供や、貧困で満足に食事を摂れない子供など、家庭に問題を抱える子供達が利用している。また、「こども食堂」を利用している子供の中には虐待を受けている子供もおり、「こども食堂」が逃げ場所になっている場合もある。食事を提供する場所だけではなく、子供の心を癒すための場所として大きな役割を担っている。
映画『こども食堂にて』の予告動画
映画『こども食堂にて』の登場人物(キャスト)
- 滝本千晶(木下はの)
- 20歳。知り合いに紹介され、「こども食堂」でボランティアスタッフとして働くことになる。子供の頃親に虐待されていた。
映画『こども食堂にて』のあらすじ(ネタバレなし)
千晶は知り合いから、「こども食堂」のボランティアを手伝って欲しいと頼まれる。なぜ、自分が誘われたのか疑問を抱きながらも、手伝うことを承諾した。
「こども食堂」には手足に叩かれたような痣がある少女・ちぐさがいた。実は、千晶も父親から暴力を振るわれた過去があり、虐待を受けている可能性があるちぐさのことを放っておくことができなかった。千晶はちぐさのことを気に掛けるようになるが、ある日一緒に歩いているところをちぐさの母に見咎められ怒られてしまう。千晶は怯えているちぐさを見ても何もできない自分に苛立ちを感じた。
「こども食堂」はちぐさの他にも悩みを抱えている親子が大勢いた。子供の育て方が分からず戸惑う母親、血の繋がりのない息子との関係に悩む母親。子供達も親との関係に悩み、「こども食堂」に居場所を求めていた。また、千晶も長年疎遠だった父親の行方が分からなくなったと知らせが入り、探しに行くべきか悩むようになる。
映画『こども食堂にて』の感想・評価
「こども食堂」
「こども食堂」とは子供やその親達に、無償または安価な値段で食事を提供する社会活動のことである。2010年頃からテレビや新聞などを通して世間に広まるようになった。「こども食堂」の形態は運営者によって異なっており、メニューや値段などそれぞれ異なる。また、子供だけではなく高齢者が参加できるような「こども食堂」も存在している。
一番初めに作られた「こども食堂」は、現代の子供達の食事が偏りがちなのを危惧し、歯科衛生士の店主が作ったものである。貧困の子供達のための活動だと受け取る人も多いが、それだけではない。両親が共働きで1人で食事を食べている子供や、孤食に陥りがちな老人のためにも運営されている。運営における課題は様々あり、資金難やボランティア不足などが挙げられる。
子供の貧困
福祉が整っている現代においても、子供の貧困は大きな社会問題になっている。とくにひとり親の元で育てられている子供の貧困率は高い。しかも、所得再分配の効果が、高齢者の方に比重が傾いてしまっている。これは、子供を持つ世帯の数が、高齢者に比べて圧倒的に少ないことが関係している。
国や地方自治体も子供の貧困については重く受け止めている。5歳児までの教育費を無料にする自治体や、教材費や修学旅行費のサポートを行っている自治体が存在する。しかし、県によってサポート内容にバラつきがあり、全ての子供達の貧困をカバーできていないのが現状としてある。特に沖縄県内の貧困率が29.9%にも上っており、もっと積極的なサポートを必要としていることが分かる。
虐待
「こども食堂」を利用する子供達は、貧困で食事に困っている者達だけではない。親との関係に悩み、居場所を求めて利用する子供も多く存在する。特に、親から虐待を受けている子供達は逃げ場所がなく、「こども食堂」に安らぎと助けを求めている。
虐待の分類は様々あり、躾と称して暴力を振るう場合もあれば、必要な衣食住を提供せずに子供を放置する場合もある。さらに、性的暴力を加えたり、常軌を逸した教育を施そうとする場合もある。いずれも子供達の心には深い傷が刻まれ、最悪な場合は脳が委縮してしまう。そうなってしまえば、虐待された子供は自分の衝動が抑えられなくなり、問題行動を起こすようになる。「こども食堂」はそんな子供達の逃げ場所になっている。
映画『こども食堂にて』の公開前に見ておきたい映画
17歳のカルテ
ヒューマンドラマ作品。スザンナ・ケイセンの自伝書『思春期病棟の少女たち』を元に作られた作品。主人公を演じたウィノナ・ライダーは、製作総指揮にも名を連ねている。アンジェリーナ・ジョリーも出演しており、この作品で「第72回アカデミー賞・助演女優賞」を受賞している。
スザンナは両親の希望で、精神病院に入院することになった。スザンナは自殺未遂を疑われており、本人がいくら否定しても周囲はまともに話を聞いてくれなかった。結局、納得できないまま、入院することが決まってしまう。スザンナは入院した病院で、リサ・ロウという女性に出会う。リサは他の患者達とはどこか雰囲気が異なっており、スザンナは彼女に興味を持つようになる。
詳細 17歳のカルテ
最強のふたり
ヒューマンドラマ作品。体が不自由な富豪と、介護を担当することになった貧困層の交流する姿が描かれている。観客・批評家からの評価が高く、「第24回東京国際映画祭・東京サクラグランプリ」を始めに様々な賞を受賞・ノミネートされている。実話を元に作られており、ほんわり温かなコメディ要素も入っている。
富豪のフィリップは頸髄損傷の影響で首から下を動かすことができなかった。住み込みの介護人を雇うため、面接を行った。面接者達が安定を求めて来たと発言したり障碍者を助けたいと言ったり、当たり障りのない希望動機を言う中、不採用にして欲しいと訴える青年がいた。青年は失業手当をもらうつもりなのだ。富豪はその青年に興味を引かれ、雇うことを決める。
詳細 最強のふたり
ターミナル
ヒューマンドラマ作品。トム・ハンクスが主人公を演じ、スティーヴン・スピルバーグ監督とタッグを組んで作られた作品。物語の舞台はターミナルで、実際の空港ではなくセットが使われている。セット内の飲食店は実在する企業のものが使われており、吉野家や日本でも有名なバーガーキングなどが存在する。
ビクター・ナボルスキーはクラコウジアからニューヨークにやって来た。だが、パスポートの審査に引っ掛かり呼び出しを受けてしまう。クラコウジアでクーデターが起こり、ビザが無効になったのだ。ビクターは空港のロビーから出れば捕まえられてしまうため、その場に留まることになった。ビクターは片言しか英語が話せず周りの助けがない中、空港のロビーで生きていかなくてはいけなくなる。
詳細 ターミナル
映画『こども食堂にて』の評判・口コミ・レビュー
「こども食堂にて」を観賞。いい映画だった。制度や施設の説明も自然な流れの中で行われて違和感なかった。ただ、関係者なだけに、こどもの虐待は保育所や学童保育、児童館は何をしてる?公的機関はどうした?って考えてしまう。
— なかのさとし (@jaws3104) 2018年9月29日
映画「こども食堂にて」が、29日、アップリング渋谷などで公開されました。小さな映画館でしたが、監督、出演女優の舞台挨拶もあり、製作に関わった人の熱い思いが伝わって来ました。虐待を受けた子どもたちを助けようとする人たちの目線で描いた秀作でした。 pic.twitter.com/opXRqsu3R6
— Seiichi Amano (@seiichiamano) 2018年9月29日
横浜シネマリンで『こども食堂にて』を観ました。
佐野翔音監督、主演の木下はのさん、五代路子さん、平田友子さん、小池真名実さん、愛羅さん他の舞台挨拶がありました。
こども食堂は単なる食堂ではなく、地域の寄り合いの場で癒しの場だということがよくわかりました。 pic.twitter.com/g9U5mbiqFe— シャートフ (@kirirofu0615) 2018年9月29日
映画『こども食堂にて』のまとめ
「こども食堂」はマスメディアを通じて全国中に認知されるようになり、大きな関心を集めるようになった。最近ではタレントのはるな愛さんが、定期的に「こども食堂」を開催していることを明かし話題になった。「こども食堂」の特性的に貧困層のための活動だと思われがちだが、実際には家庭や学校に居場所がない子供達にとっての拠り所にもなっている。この映画はニュースや新聞などでは分からない、利用している子供達の思いも感じられる。
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