映画『いま、会いにゆきます』の概要:市川拓司による同タイトルの恋愛小説が原作となった感動作品。死んだ筈の妻が再び戻ってきた。親子が織りなす感動の「愛」をテーマにした作品。主演の竹内結子と中村獅童はこの作品を通して結婚に至った。
映画『いま、会いにゆきます』の作品情報
上映時間:119分
ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ
監督:土井裕泰
キャスト:竹内結子、中村獅童、武井証、浅利陽介 etc
映画『いま、会いにゆきます』の登場人物(キャスト)
- 秋穂澪(竹内結子)
- 秋穂家の妻。病で命を落とすが、雨の降る日に突如2人の前に現れる。
- 秋穂巧(中村獅童)
- 秋穂家の大黒柱。澪の死後、祐司と2人で支えあって生きていた。
- 秋穂祐司(武井証)
- 秋穂家の息子。母親を早くに亡くした事で寂しい想いをしていた。
映画『いま、会いにゆきます』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『いま、会いにゆきます』のあらすじ【起】
幸せな毎日を過ごしていた澪、巧、祐司の3人ですが、ある日唐突にその幸せも終わりを迎えます。妻であり祐司の母親である澪が、病に倒れたのです。必死の医療の甲斐なく、澪の寿命は尽きようとしていました。澪は最期に「雨の季節になったら戻ってくるね」と言い残し息を引き取りました。
それから、巧と祐司は2人で支えあって生きていきました。祐司は、母親の言葉を信じ雨の季節を今か今かと待ちわびています。巧はそんな事は起こらないと分かりつつ、息子の期待を裏切らないようにと「楽しみだな」と話を合わせていました。
その日は、深い雨が降った日でした。雨の中外に出ていた2人は、雨の中に佇む1人の女性を見つけました。そして何と、彼女は亡くなった澪の顔をしていたのです。驚きと喜びに湧く2人でしたが、そんな2人を見て澪はキョトンとした顔をしています。実は澪は最期の言葉通り彼らに会いにきたものの、生前の記憶を失っていたのです。つまり、最愛の巧と祐司の事も覚えてはいないのでした。
映画『いま、会いにゆきます』のあらすじ【承】
そんな澪のために、彼らは自己紹介から始めました。巧が自分が澪の夫であった事、そして祐司が彼らの間に授かった最愛の息子であることを澪に告げます。そんな巧の言葉に澪は驚きます。そして、行くあてもないという澪は再び祐司と巧と、彼らの家で再び3人で生活するようになりました。澪が戻った家は、まるで火がついたように明るく暖かいものとなります。巧は澪の記憶が戻る事を願いながら、様々な昔話を澪に語って聞かせました。
まずは、澪と巧の出会いについてです。彼らが初めて出会ったのは高校生の頃でした。巧は高校生の時、澪に淡い片思いを抱いていました。その時は結ばれる事はなかった2人ですが、ある日再会を果たします。そして、巧はまだ澪の事を諦めきれていませんでした。巧は澪になりふり構わずアピールを続け、自分の思いを伝えます。そして、最終的に澪も巧の気持ちを受け入れ、2人は晴れて結ばれることになります。それから少し経ち、2人にとって人生最高の日が訪れます。澪が、祐司を授かったのでした。
映画『いま、会いにゆきます』のあらすじ【転】
生前、澪と祐司は森の中にタイムカプセルとしてある箱を埋めていました。祐司は、その箱を澪に見せれば記憶が戻るかもしれないと思い、箱を掘り返します。その箱の中には、様々な思い出の品が入っていました。まだ結婚する前、巧と澪が交換していた手紙や、高校時代から書き続けていた日記などです。勿論澪は記憶を失っているため、それらに関するハッキリとした記憶はありませんが、どこか懐かしさを感じます。
パラパラと日記をめくっていると、日記の後半、つまり自分が死ぬ少し前の日記に目がとまりました。そして、その文章から自分は既に死んだ人間で、雨が降る季節にしか家族には会えないという事を澪は知ってしまいます。自分が再びいなくなれば、巧、何よりまだ幼い祐司が寂しがる事は目に見えています。
祐司に少しでも寂しい思いをさせないように、そう考えた澪はとある行動を起こします。ケーキ屋に向かった澪は、今後12年分、祐司が18歳になるまでの分のケーキを注文したのでした。
映画『いま、会いにゆきます』の結末・ラスト(ネタバレ)
3人はその後も幸せな時間を過ごしますが、別れの時間は刻一刻と近づいてきていました。雨の季節が終わりを迎えてきていたのです。そして全国的に梅雨明けの日とされる日、祐司は嫌な感覚を覚えました。慌てて祐司が向かった場所は、巧と祐司が最初に澪を見つけた森の中でした。そこに、澪は1人立っていました。
祐司は澪に抱きつき、澪もそんな祐司を暖かく迎え入れます。そして、澪は祐司に別れを告げるのでした。澪が消えて行く少し前、巧もなんとかその瞬間に間に合いました。澪は巧の顔を見て、特に何も発する事はありませんでした。しかし、巧は澪の想いを言葉がなくとも感じ取っています。そして最後に2人の顔を見た澪は、静かにその場から消えて行くのでした。
澪が消えていった後、巧は澪の日記を読み返してみました。そしてその日記を通して、巧は澪が再び彼の前に姿を現した理由を知るのでした。それから時は流れ、とうとう祐司が18歳を迎える日がやってきました。そして、祐司の元に澪からの最後のプレゼント、18歳を祝う誕生日ケーキが届いたのでした。
映画『いま、会いにゆきます』の感想・評価・レビュー
市川拓司原作のラブファンタジー。最初は「幽霊もの?」「タイムスリップもの?」とありがちな設定なのかと思いきや、クライマックスではすべてが回収され、納得のストーリーだった。家族の想い。特に澪の想いと秘められた過去が明らかになった時は、いつもならご都合主義の設定も、ちゃんと腑に落ちて、逆にしてやられた感が残ってしまうほど。
バースデーケーキの件は、悲しさに追い討ちをかけられてしまうので、心の準備が必要である。
十分すぎるほど魅力的に映っている竹内結子は必見だ。(男性 40代)
映画の中の映像が濁っているように見え、また薄めな色合いを演出しているため、ふわっと柔らかい印象を与えた。現れることのない澪が、目の前にいた時の感動と、夢の中で起きているのではないかと目を疑ってしまう感情など、自分に置き換えて見れる映画である。また記憶を無くしていたショックさや、記憶を最初から辿っていく思い出の大切さなども伝わってきた。息子の誕生日を祝い続けたいと、18歳までの誕生日ケーキを買ったシーンも共感でき、感動した。(女性 20代)
この映画を一言で片付けるのならば、王道のラブストーリーである。しかしここまで綺麗なラブストーリーはなかなか存在しない。
まず全ての映像が美しい。登場人物の心情に合った背景であり、心情がとてもわかりやすい。映画を観ている人にストレートに感情が伝わってくるのである。
そして竹内結子の美しさもこの映画の大きな魅力であると感じた。家族の愛や、夫婦の愛がまるで目に見えそうなほどに伝わってくる、切なくも温かいラブストーリーであった。(男性 20代)
雨の降る6週間という短い期間だが、幸せそうに過ごす三人の姿に心を揺さぶられた。きっと、秋穂澪の死を受け入れるために必要な期間だったのだろうと思う。自分がいなくなった後の息子のことを心配する澪の姿に、母親としての深い愛を感じた。物語のラストで澪が消えてしまったことは悲しいが、巧と祐司ならきっと大丈夫だろうと希望を抱けるような終わり方だった。切なさと同時に、家族愛や夫婦愛を感じられる温かな作品。(女性 30代)
雨の季節になるとふと観たくなる、美しく温かい物語です。最初に観たのは高校生の頃でしたが、大人になって再度観直すと感動する部分や共感する箇所が変わってきて、何度観ても新鮮な気持ちで楽しむことができます。
登場人物それぞれが大切な人を想い、切なさを胸に抱えながら生きているのが丁寧に描かれているので、それぞれの人物に共感でき涙が止まりませんでした。ラストまで観終わった後、改めて序盤のケーキの話を思い出すとさらに泣けてきます。(女性 20代)
大好きな映画の1つです。とても切ない物語ですが、たまに見たくなります。悲しいだけではなくて、ほんわか暖かい気持ちになれて、自分もこんな素敵な家族を持てるよう日々を大事に生きたいと思わせてくれる映画です。
何度出会っても、何度でも恋に落ちる、そんな澪と巧の純愛に胸が熱くなります。
梅雨の時期に訪れた、不思議だけど幸せな6週間を過ごす3人を見て、初めて梅雨の季節が終わらないでほしいと感じました。日常の幸せや梅雨の美しさ、3人を見守っている個性豊かな俳優陣のキャスティングもすべて素晴らしいのです。見終えた後、思わず原作の本を購入してしまうほど好きになった映画です。(女性 30代)
死んだはずの妻が戻ってきたが、彼女には記憶がなかった。夢のような日々が始まり、少しずつ思い出も溢れていく。まだ小さい子どもの佑司には、母との時間がとても大切なものでもあり、再び訪れる別れがとても辛いものになるだろう。それでも再び訪れた幸せな時間を、大切に過ごしていく。家族の愛が感じられる、とても心温まる作品だ。見ているだけで心が満たされる感覚がある。終わるとわかっているからこそ、よりかけがえのないものになる時間を、大切な思い出にしていきたい気持ちになる。(女性 30代)
ファンタジーな雰囲気の作品ですが、タイトルの意味がわかるとき、かなり泣けます。原作の小説は今一つに思えましたが、上手く改変されていて、映画の作品としては完成度が高いです。日記帳という小道具に重要な役割を与え、ひまわり畑のシーンでは感動を呼び起こされました。原作を先に読んでいると、大抵の場合ガッカリしがちですが、この作品はそんな心配がありません。別れとは悲しいものですが、この作品ではそれを上回る幸せを感じます。今ある小さな幸せを大切にして生きていこう、という気持ちになりました。(女性 30代)
「寒いね」と言いながらポケットに手を入れたり、「おじゃまします」と布団に入ったり、さりげないやりとりがとても素朴で心に沁みました。ストーリーは現実離れしていますが、大切な人への想いが静かに流れていて素直に感動できました。愛する人となら小さな思い出がかけがえのない宝物になる。こんな恋愛って素敵だなと思います。
竹内結子演じる澪は透明感があり、中村獅童演じる巧は不器用だけど真っ直ぐな性格が伝わってきて良かったです。二人の息子、祐司くんも親思いで可愛かったです。登場人物みんなが優しい人柄なので、安心して見ていられる物語でした。(女性 40代)
ところどころ話が噛み合わない部分がある気がするものの、回想シーンは分かりやすく、風景も綺麗な泣かせる作品です。
竹内結子の透明感のある雰囲気がファンタジー要素によくマッチしています。子供の出てくる作品は子供が妙に大人びていて現実に引き戻されて鑑賞してしまうのですが、この作品ではそんなことはなく自然な家族という感じです。中村獅童の演技はあまり印象に残っていないので、竹内結子と脇役キャストの演技目当てで観るのもいいです。(女性 30代)
みんなの感想・レビュー
雨、森など自然の映像が目に優しく、鑑賞後は雨が素敵なものに思えます。登場人物が少数で、ある家族以外は最低限しか登場しません。余計なものを一切排除したストーリーが、分かり易く集中しやすいです。また、中村獅童の若かりし頃の役を浅利陽介が演じており、二人が似ているためとても自然な回想シーンを楽しめました。2004年の作品ですが、バス車内で喫煙していたり、公衆電話を使用していたりと若干古さを感じる点も大好きです。
高校時代の初恋が紆余雄曲折して実るというストーリーは、王道でストレートなラブストーリーだ。
そこにタイムトラベルという要素が入ることで、違う味わいが引き出されている。
しかし、タイムスリップした大学生の澪と、9年後に佑司を産んだ澪が同じ年齢に見えるものなのか、というツッコミどころもある。
また、自分が亡くなったと知った澪がそれを知っている巧の同僚に会いに向かったり、澪のことを秘密にすると約束した佑司が簡単にそれを喋ってしまったり、巧も信頼している医者だからといって話してしまうのもツッコミどころ。
作中で澪が書いた“アーカイブ星”の絵本が広げられていたり、その中の文章を佑司を演じた子役が読み上げるシーンがあり、可愛らしい絵柄がちらっと見えるたびに一度手に取って読んでみたいと思ってしまう。
「雨の季節に帰ってくる」という言葉通りに、亡くなったはずの妻が帰ってくるという奇妙なストーリー。
序盤に登場するケーキ屋の店主が、高校生の佑司に「最後まで届けられてよかった」と誕生日ケーキを渡すなど、その後の展開を期待させる場面が多い。
記憶をなくした状態で現れた澪が、巧との馴れ初めを聞かされるシーンは巧目線で描かれ、現代に戻った澪の目線から描かれた物語によって全ての真実が明らかになるという展開は斬新。
雨の降る幻想的な森の中で佇む澪や、時間が来て自分の時代へ帰るためにその場所で別れを惜しむシーンなど、美しい映像が目を引く。
また、満開の向日葵の映像も美しく印象的。
回想シーンを細かく入れるのではなく、区切りよくまとめて作中に組み込んでいるので、比較的わかりやすいストーリー。
それが元の時代に帰ってからの澪目線のストーリーにも反映されるということもあり、繰り返し見る場合も役立つ。
2004年はこの手の純愛映画が、「世界の中心で愛を叫ぶ」をはじめとしてブームになったため、見飽きてしまうような感覚が残る作品でもある。
高校時代の不器用な恋を実らせた夫婦と一人息子、やがて訪れた悲しい別れの後に“雨の季節にアーカイブ星から帰ってくる”という言葉通り、父子の下に現れた最愛の妻との不思議な6週間を描いている。
幻想的な雰囲気と映像の美しさを利用して、ジメジメとして嫌われやすい梅雨の時期を綺麗に表現している。