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映画『妹の恋人』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『妹の恋人』の概要:早くに両親を亡くし、2人きりで生きてきた兄と妹は、妹に恋人ができたことによって、その依存関係に終止符を打つ。心を病んだ妹を持つ兄の葛藤が、重すぎないタッチで描かれている。識字障害のある個性的な男性を演じたジョニー・デップの好演も光る。

映画『妹の恋人』の作品情報

妹の恋人

製作年:1993年
上映時間:99分
ジャンル:ヒューマンドラマ、ラブストーリー
監督:ジェレマイア・チェチック
キャスト:ジョニー・デップ、メアリー・スチュアート・マスターソン、エイダン・クイン、ジュリアン・ムーア etc

映画『妹の恋人』の登場人物(キャスト)

ベニー(エイダン・クイン)
自動車修理工場を経営している男性。12年前に両親を事故で亡くしてから、妹のジューンの親代わりも務めてきた。心を病んでいる妹のことが心配で、つい過保護になってしまう。そのため、恋人も作れない。
ジューン(メアリー・スチュアート・マスターソン)
ベニーの妹。両親を亡くしたショックで心を病んでしまい、混乱すると正気を失う。ただ、ストレスさえなければ普通に生活できるので、心の底では自立を望んでいる。兄の過干渉に苛立ちつつも依存している。
サム(ジョニー・デップ)
ベニーの友人のいとこ。識字障害があり、読み書きがほとんどできない。しかし家事は非常に得意で、マイムの腕もプロ級。ジューンを特別視せず、普通の女性として扱う。言葉数は少ないが、人をよく見ている。
ルーシー(ジュリアン・ムーア)
町のファーストフード店で働く元女優。才能がないので女優の道は諦めた。お金を節約するため、アパートの管理人もしている。ベニーと惹かれあう。

映画『妹の恋人』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『妹の恋人』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『妹の恋人』のあらすじ【起】

アメリカの田舎町で、小さな自動車修理工場を経営しているベニーは、数人の従業員と毎日忙しく働いている。しかしどんなに忙しくても、妹のジューンからの電話には出るようにしていた。

ビリーの両親は12年前に事故で亡くなり、それ以来ベニーは、ジューンと2人で暮らしてきた。ジューンは、事故のショックで心を病んでしまい、興奮すると感情のコントロールが効かなくなる。そのため、家に引きこもってアトリエで絵を描いているのだが、時々勝手に外出しては、問題を起こす。ベニーはそんな妹のことが心配で仕方なく、恋人も作らずにジューンの面倒を見ていた。

仕事中は、ジューンの主治医に紹介してもらったお手伝いさんに、ジューンのことを頼んでいる。しかしジューンは気難しく、お手伝いさんをすぐに追い出してしまう。主治医は、この兄妹が2人で暮らすことに限界を感じており、ジューンをグループホームに入所させることを勧める。しかしベニーはジューンがかわいそうで、なかなか踏ん切りがつかない。

ついにお手伝いさんの引き受け手が見つからなくなり、ベニーも真剣にグループホームへの入所を考え始める。ジューンはずっと苛立っており、問題行動を繰り返していた。友人たちは、ベニー自身のためにも、ジューンを入所させるべきだとアドバイスする。

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映画『妹の恋人』のあらすじ【承】

そんなある晩、ベニーの留守にジューンとポーカーをしていた友人が、ジューンとの勝負に勝ち、自分のいとこのサムをベニーの家に置いていく。サムは26歳の成人男性だったが、識字障害があって字が読めない。精神年齢もかなり低く、一般社会では理解されにくい常識外れの行動をとる。ベニーは困り果てるが、ジューンはサムに興味を示していた。

ベニーに連れられ、町のファーストフード店へ行ったサムは、そこで働くルーシーが、元女優であることに気づく。サムは大の映画好きで、ルーシーの出演したB級映画もしっかりと記憶していた。サム自身はバスター・キートンに憧れ、いつもダボダボのスーツを着て、帽子をかぶっていた。

ベニーはサムを家に置くことにして、ジューンの病気について説明する。サムでは少々頼りなかったが、日中ジューンを1人にしておくよりはずっとマシだ。ベニーは、“妹に何も起きないよう守ってくれ”と頼み、仕事へ出かけていく。

ジューンはサムにかなりの関心を持っていたが、どう接したらいいかがわからない。音楽と家事が大好きなサムは、大音量で音楽をかけ、台所の掃除を始める。大きな音が苦手なジューンは苛立ち、ラジカセを破壊してしまう。

ベニーが帰宅すると、ジューンが落ち込んでいた。どうやらサムが出て行ったらしい。しかしサムは、ジューンの感情を逆撫でしないよう外に出ていただだった。2人は遠慮しているサムを、家に呼び戻す。サムは料理も得意で、夕食にはアイロンを使ったホットサンドイッチを作ってくれる。ジューンはサムをすっかり気に入り、このまま家に置いて欲しいとベニーに頼む。

映画『妹の恋人』のあらすじ【転】

翌日から、サムとジューンは仲良く留守番をし始める。ジューンはサムの識字障害をバカにしたりせず、彼の手紙を代筆してやる。サムもジューンの神経質さやこだわりを理解し、彼女の心を和ませてやる。

ベニーが帰宅すると、ルーシーに車で送ってもらい、サムとジューンが買い物をして帰ってくる。4人は、ルーシーが出演した映画を見て、楽しい時間を過ごす。

ルーシーの車が故障したので、サムは彼女を自宅アパートまで送り届ける。彼女はこのアパートの管理人もしていた。互いに惹かれあっていた2人は、デートの約束をして別れる。

主治医のもとを訪れたベニーは、サムのことで注意を受ける。主治医は、サムが若い男性であることを心配し、グループホームの件を早くジューンに話すよう促す。しかしベニーは、最近ジューンの調子がいいので、しばらく様子を見たいと申し出る。

サムは自立を目指し、ビデオ店で働くことを考えていた。しかし、自分では書類を記入できないので、それを家に持ち帰る。ベニーとルーシーは楽しくデートをし、車内でキスをする。ルーシーは自宅にベニーを誘うが、彼はジューンのことが気になり、その誘いを断ってしまう。ルーシーは、傷ついたようだった。

ピクニックに出かけた日。ジューンはルーシーも誘おうと提案する。しかしベニーは、“彼女に嫌われた”と落ち込んでいた。サムはベニーを元気づけるため、公園でマイムを始める。サムのマイムはとても素晴らしく、すぐに人だかりができる。ベニーは、彼の芸達者ぶりに感心する。

サムとジューンは愛し合うようになり、男女の関係になる。ジューンはとても幸せだったが、ベニーには秘密にしておくよう、サムに頼む。ジューンは、ベニーがきっと反対するだろうと思っていた。サムはベニーに、“彼女は変わっているけど、まともに近いと思う”と言ってみる。しかしその言葉はベニーには届かない。

映画『妹の恋人』の結末・ラスト(ネタバレ)

ベニーはサムの才能を伸ばしてやりたいと考え、ショーのオーディションを受けてみるよう彼に勧める。しかしジューンはそれに反対で、サムにもその気はなかった。ジューンとサムは、2人の関係をベニーに打ち明ける。そんなことを全く想像していなかったベニーは、激昂してサムを追い出す。ジューンは泣いてサムを追い出さないでくれと頼むが、ベニーは聞く耳を持たず、“グループホームに入れ!”と怒鳴ってしまう。

ジューンは深く傷ついており、さすがに反省したベニーは、深夜にもかかわらず、彼女が食べたいというものを買いに出る。サムは、ベニーが出かけたのを見て、ジューンを外へ連れ出す。

サムと深夜バスに乗ったジューンは、車内でパニック状態になり、大声で泣き叫ぶ。サムはバスを止めてもらい、救急車が呼ばれる。ベニーは帰り道でその現場に遭遇し、すぐに病院へ駆けつける。しかし、ジューンは一切の面会を拒絶しており、ベニーにも会ってくれなかった。

待合室でサムを見つけたベニーは、彼に怒りをぶつける。感情的になったベニーは、“お前はバカだから人に笑われるんだ”とサムを侮辱する。サムはベニーを見損ない、どこかへ行ってしまう。サムは、ビデオ店で働き始めていた。

ベニーは、2人を傷つけたことを反省し、サムに謝罪して助けを求める。ジューンは厳重に管理された隔離病棟に入っており、会えない状態が続いていた。サムはベニーに協力し、彼を隔離病棟へ侵入させてやる。

ジューンの病室を訪れたベニーは、サムのことを謝罪し、“好きに生きろ”と彼女に告げる。ベニーはジューンを心配するあまり、彼女から自由に生きる権利を奪っていた。ジューンもそれを感じ取っており、自分を常に病人扱いする兄にストレスを溜めていた。ジューンはサムに嫌われたと思い込んでおり、そのことでも深く傷ついていた。

主治医もやってきて、病室内には重たい空気が流れる。その時、ジューンは窓の外で宙吊りになっているサムの姿を見る。サムはジューンに愛を伝えるため、屋上からワイヤーでぶら下がり、窓の外から無言のメッセージを送っていた。ジューンは一瞬で笑顔になり、“アパートに住みたい”と主治医に申し出る。ベニーもそれに賛成してくれる。

退院したジューンは、サムと一緒に、ルーシーが管理人をしているアパートで住み始める。ベニーは2組の花束を持って、アパートを訪れる。彼はまずルーシーに花束を贈り、やり直したいという気持ちを打ち明ける。ルーシーは、それを喜んでくれる。ジューンの部屋では、ジューンとサムが仲良く台所に立ち、アイロンを使ったホットサンドイッチを作っていた。ベニーは2人の後ろ姿を見て微笑み、玄関に花束を置いて去っていく。

映画『妹の恋人』の感想・評価・レビュー

サムはいとこに厄介者扱いされて、ひょんなことからベニーと妹のジューンの家に転がり込む。人を受け付けなかった精神病のジューンだが、サムとの出会いによって少しずつ変化がある。サムの個性を悲観的に捉える人が多いが、それを魅力と捉え認めてくれる人たちとの絆に感動する。軽快にパントマイムを披露する若きジョニー・デップに目が釘付けだ。ジョニー・デップは少し変わった役を演じさせたら最高で、彼の魅力も爆発している。(女性 30代)


昔から大好きなこの作品。私には4つ下の弟が居ますが、自他ともに認めるブラコンです。弟が大好き過ぎて何をするのも弟が最優先。過保護すぎるかもしれませんが、なんでもしてあげたくなるほど可愛い存在なんです。そんな私は今作のお兄ちゃんにめちゃくちゃに共感しました。「弟の恋人」と考えただけで複雑な気持ちになるので考えないようにしているのですが、今作で描かれた「妹の恋人」であるジョニー・デップはもう流石としか言いようがありません。
優しく、包み込むような雰囲気を持ちながらも切なく悲しい表情をする彼。こんなに優しくて愛に溢れる相手なら「恋人」として認めてもいいかなと思ってしまいます。(女性 30代)

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