映画『インサイド』の概要:2007年制作のフランス映画『屋敷女』のリメイク作品。妊娠中の交通事故により、夫を亡くし自らも聴覚に障害を負ってしまったヒロイン。出産間近のクリスマスイブの夜、ヒロインの子供を奪うため、自宅へと侵入して来た女に襲われてしまう。
映画『インサイド』の作品情報
上映時間:89分
ジャンル:サスペンス、ホラー
監督:ミゲル・アンヘル・ビバス
キャスト:レイチェル・ニコルズ、ローラ・ハリング、ベン・テンプル etc
映画『インサイド』の登場人物(キャスト)
- サラ(レイチェル・ニコルズ)
- 妊娠中にハンドル操作を誤り、事故を起こしてしまう。そのせいで夫を亡くし、自身は後遺症で耳が悪い。金髪の女性で出産と育児に強い不安を抱いている。
- 女(ローラ・ハリング)
- サラが起こした事故の被害者。事故当時、女の子を出産する予定だったが、事故で子供を失ってしまう。以降、加害者であるサラとその子供を奪おうと密かに狙っていた。黒髪の女性。
- アイザック(ベン・テンプル)
- サラの家の隣家に住む男性。パートナーの男性と暮らしており、サラ夫婦とも親友だった。夫を亡くしたサラをとても心配し、親身になって様子を見に来てくれる。
映画『インサイド』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『インサイド』のあらすじ【起】
車の走行中にハンドル操作を誤り、横転事故を起こしてしまったサラ。彼女は妊娠中で幸い子供の命は助かったが、夫は助からずサラ自身も事故の後遺症で耳が不自由になってしまう。幸か不幸か補聴器の装着にて日常会話を交わすことはできるが、車の運転はできなくなってしまった。
定期健診にて子供が順調に成長していると確認できたクリスマスイブ。隣人で親友のアイザックが訪問。サラは亡き夫と暮らした家を売却し、母親の元で出産しようと考えていた。愛する夫ももういない。彼女自身も耳が悪いため、一人でできることには限界があると感じていた。
その日の夜、車の故障で助けを求める女が自宅へとやって来る。サラは警戒してドアを開けなかったが、女は夫が死んだことも知っており明らかに彼女を脅かそうとしている。何が目当てかは分からないが、女は中へ入れないと分かると姿を消してしまう。サラはドアの施錠を確認し用心のため、警察へ連絡。アイザックにも一応、連絡を入れておいた。
数分後、警察が自宅へ。家の周辺を見回って異常がないのを確認した後、帰って行った。ひとまず安心したサラは補聴器を外して床へ就いた。
映画『インサイド』のあらすじ【承】
夜も更け土砂降りの雨が降り出した頃、自宅へと謎の女が侵入。寝入っているサラへ薬品を嗅がせ更なる眠りへと誘った後、点滴を施し陣痛促進剤を注入。ところが、サラは薬が完全に効く前に目覚めてしまう。補聴器を装着し状況把握をしようとした矢先、席を外していた女が戻って来る。その姿を目にしたサラは咄嗟に抵抗し、バスルームへと逃げ込んだ。
女がしつこくドアを叩くため、サラは補聴器の音量を下げ女の目的を知ろうとしたが、不意にドアを叩く音が止む。実はその時、アイザックからスマホへと着信が入っていたのだ。サラは音が止んだと知るとバスルームの鏡を破壊し、武器として欠片を入手。そこへ女が戻って来て部屋から出て来るよう説得しようとする。サラは臨戦態勢へと入ったものの、急に腹痛を催し苦痛に呻く。すると、女はじきに子供が生まれると言い、ドアを壊す勢いで叫び続けた。
別の方法を考えるため、女がドアの前から遠ざかる。そこへ、サラを心配して自宅へとアイザックがやって来てくれる。女は咄嗟にサラの母親だと名乗って、彼を追い返すべく和やかに会話。サラはその時を狙ってバスルームから脱出し、ベッドルームへ。補聴器の電池を交換した。
女との会話により安堵したアイザックが帰ろうとした時、金髪の壮年女性がサラの家へやって来る。女性は自分こそが母親だと言う。そこでアイザックは女に不審を抱き、母親が自宅へと入って行く様子を見守った。
その頃、サラはベッドルームにてガラスの欠片を手にドアの影に隠れていた。女だと思ってやって来た人物へと武器を突き刺す。だが、相手が実の母親だと知るとショックを受けるサラ。そこへ、アイザックが駆け付けてくれたものの、彼もまた背後から女に襲われてしまう。
頼りのアイザックまでもが倒れ、サラは再びバスルームへと逃げ込んだ。激しい攻防の末、立てこもりに成功。女はバスルームのドアを狂ったように包丁で攻撃し、更にアイザックへと止めを刺してしまう。
映画『インサイド』のあらすじ【転】
一方、サラはバスルームの小窓を破壊し、アイザックのパートナーへ助けを求めたが、そこへも女が姿を現しパートナーをも殺害。サラはバスルームから出ようとしたが、ドアの前に戸棚が置かれ部屋から出られなくなっている。彼女はドアに穴を開け、戸棚をどうにかしようとしたが、そこへ女が戻って来てしまう。
女はサラが開けた穴から手を差し入れ、鍵を開けようとしてくる。サラはガラスの欠片で女を攻撃した。一瞬、怯んだ女。そこへ巡回のパトカーがやって来る。女は冷静に身だしなみを整え、警官へと対応。その間にサラはドアを塞いでいる戸棚を倒すことに成功したが、警官は物音に気付かず去ってしまう。だが、車に戻った警官は女との会話に不審を覚え、再び家へ。バスルームから脱出したサラが助けを求めて玄関へと姿を現したが、警官は女によって攻撃されてしまうのだった。
それを目にしたサラはベッドルームへと避難。警官はやられた振りをして女を取り押さえようとしたものの、殺されてしまう。パトカーには女性の新人警官がまだ残っていたが、女は警官の遺体を隣室へ移動させると2階へ向かう。
女性警官は先輩が戻らないことに不審を抱き、家へ入り遺体を発見。すぐさま、署へと連絡を入れた。サラは咄嗟に助けを求めたが、女性警官は新人であるために彼女の言葉をすぐに信用しようとしない。だが、そこでサラが破水。その間、女は身を潜めつつ家のブレーカーを落とした。
暗闇に包まれる室内。女性警官が無事にブレーカーを戻したものの、女によって銃殺されてしまう。その頃、異変に気付いたサラは物音を立てないよう玄関へ。ガラスの欠片で足を負傷しながら外へ出ようとしたが、電灯で照らされ逃げられず。キッチンへ向かい女性警官の遺体を発見。サラは女と攻防を展開し、意識を奪うことに成功する。
映画『インサイド』の結末・ラスト(ネタバレ)
女はサラの腹の子を狙っている。サラは女をキッチンに閉じ込め、無事に玄関から外へ。パトカーへと籠城し無線で署へと助けを求めた。しかし、そこへ女がやって来る。凄まじい執念である。サラは咄嗟にパトカーを運転し女から逃れようとしたが、女から激しく攻撃を受け運転がおざなりになってしまう。パトカーは路上の電信柱へと突っ込んだ。束の間、気絶していたサラ。運転席から逃げようとしたが、ドアが開かない。そこで彼女は、同様に気絶している女を乗り越え助手席側から外へ逃げ出した。
陣痛の感覚が短くなっている。すでに真夜中であるため、近隣に助けを求めても出て来てはくれない。土砂降りの中、サラはリフォーム中の家へと避難することにした。声をかけて入ったものの、家には人気がない。2階へ向かうとサラの家を覗き見るための望遠カメラや、写真に資料などが大量に集められていた。恐らく、ここに女が潜伏していたのだろう。
そこへ女がやって来る。サラはクローゼットへと身を潜め、反撃の機会を待った。女にはかつて女児がいたらしいが、何らかの理由で今はいないようだ。彼女はサラと子供は自分が守ると考えているらしい。サラは熱した油を女へと浴びせ、家の裏手へと逃げ出した。自宅へは大勢の警官が駆け付けているが、サラの助けを呼ぶ声には気付かない。
女は顔の左側に酷い火傷を負いながらも、カッターを手にサラへと迫る。サラはカバーが張られたプールへと逃げ込んだ。彼女はサラが起こした事故の被害者だった。事故当時、女もまた妊娠中でじきに女の子が産まれるはずだったが、事故のせいで亡くなってしまったと言う。そのため、加害者であるサラとその子供をしつこく追い、自分の手にしようとしていたのだ。
攻防の末、カバーの張られたプールへと2人とも落ちてしまう。どこへも逃げ場がなく溺死する寸前にまで追い込まれる2人だったが、女が咄嗟にカッターでカバーを切り裂きサラとその子供を助け、自分は力尽きてしまう。そこで、サラはとうとう産気づいてしまい子供を出産。女は息絶え、サラには新たな命が授けられるのであった。
映画『インサイド』の感想・評価・レビュー
理由も分からず襲われた妊婦と、狂気に駆られ妊婦を襲う女との攻防を描いている。女役ローラ・ハリングの狂気的な様子と、一変して和やかに対応する変わり身が凄い。しかも、女はヒロインの自宅へやって来る人々を次々と殺害するため、ストーリーが進むと同時に凄惨さを増していく。
終盤からラストシーンにかけて、女の目的と動機が明らかになる。女側からしてみれば、当然の理由であったが、狂気に至るなら他にも方法があったのではないかと思う。誰だって理由も分からずに襲われたら抵抗するだろう。こうなると、耳が不自由だという設定は必要だったのだろうかと疑問に思わないでもない。(MIHOシネマ編集部)
事故で夫を亡くし、自分自身も耳が不自由なってしまった女とその事故に遭い流産してしまった女。2人の女の「復讐」にも思えるバトルを描いた作品。金髪と黒髪で対照的に描かれているキャラクターがとてもわかりやすいのですが、とにかく設定が甘く、笑ってしまう展開でした。
耳が不自由な主人公の「補聴器」が鍵になるのかと思いきや、結局信じられるのは自分だけと己の体を張って戦ったり、2人の女性が強すぎたり、ここで?というような展開に呆気にとられてしまいましたが、何とか最後まで見ることが出来ました。ラストも良かったのに惜しいなあという感じです。(女性 30代)
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