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映画『アイリスへの手紙』あらすじネタバレ結末と感想

映画『アイリスへの手紙』の概要:生活に追われる熟年女性と読み書きの出来ない男が出会い、互いの救いとなっていく。ともにオスカーを受賞しているジェーン・フォンダとロバート・デ・ニーロが不器用な熟年カップルを演じた。1989年公開のアメリカ映画。

映画『アイリスへの手紙』 作品情報

アイリスへの手紙

  • 製作年:1989年
  • 上映時間:104分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ、ラブストーリー
  • 監督:マーティン・リット
  • キャスト:ロバート・デ・ニーロ、ジェーン・フォンダ、スウージー・カーツ、マーサ・プリンプトン etc

映画『アイリスへの手紙』 評価

  • 点数:70点/100点
  • オススメ度:★★★☆☆
  • ストーリー:★★★☆☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★☆☆
  • 設定:★★★☆☆

[miho21]

映画『アイリスへの手紙』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)

映画『アイリスへの手紙』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

映画『アイリスへの手紙』 あらすじ【起・承】

アイリス・キング(ジェーン・フォンダ)は8か月前に病気で夫を亡くし、製菓工場で働きながら娘と息子を育てていた。ある日、工場からの帰りのバスでスリにバッグを奪われ、スタンリー・コックス(ロバート・デ・ニーロ)という男に助けてもらう。

スランリーは工場の食堂で働いており、アイリスの家の近所で年老いた父親と暮らしていた。2人は何度か偶然出会い、互いの身の上話をするようになる。スタンリーは父の仕事の都合でまともな教育を受けられなかった。そのため読み書きができず、それをひどく恥じていた。アイリスにそれを知られスタンリーは傷つく。

読み書きができないことで食堂を解雇されたスタンリーは、高齢の父を老人ホームに預け日雇い労働をして食いつなぐ。しかし父は亡くなってしまい、スタンリーは独りぼっちになる。自分の名前も書けないことで多くの不自由を感じてきたスタンリーは、諦めていた読み書きをアイリスに教えて欲しいと頼みに行く。

面倒見のいいアイリスは、スタンリーの先生となって彼に読み書きを教え始める。そうしながら2人は互いのことを深く知るようになっていく。

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映画『アイリスへの手紙』 結末・ラスト(ネタバレ)

アイリスは夫の死からなかなか立ち直れないでいた。さらに高校生の娘が妊娠し、未婚の母になると言い出す。それでもアイリスはスタンリーの勉強に付き合っていたが、スタンリーの方が前へ進めないもどかしさに苛立ち、勉強を辞めてしまう。

アイリスはスタンリーの引越し先を探し、彼を訪ねる。スタンリーには機械を作る才能があり、その腕を買われて仕事先が見つかっていた。スタンリーは再び字の勉強を始め、アイリスの家族とも仲良くなっていく。

スタンリーはアイリスのことを愛しており彼女にアタックするが、アイリスは慎重だった。セックスしようとしても彼女は夫を思い出して泣き出し、さすがのスタンリーもしばらく彼女と距離を置く。

3週間後、姿を見せたスタンリーにアイリスは手紙を渡す。スタンリーはアイリスの気持ちを綴った手紙を読めるようになっており、ついに2人は結ばれる。デトロイトで正社員として雇ってもらえることが決まり、スタンリーは旅立つ。2人は手紙のやり取りを続け、愛を育んでいく。

スタンリーは出世して車の免許も取り、アイリスにプロポーズする。アイリスは喜んでそれを受け入れ、2人は新しい人生を始める。

映画『アイリスへの手紙』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『アイリスへの手紙』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

スタンリーの成長

スタンリーは父親の仕事の都合でまともに学校へ行けず、自分の名前すら書けないまま大人になっていた。複雑な機械を組み立てたり、多くの木の種類を記憶したりすることができるので頭はいいはずなのだが、恥ずかしい気持ちが先に立ち、読み書きを教えて欲しいと誰にも頼めなかったのだ。

自分の名前も書けないと特に先進国で暮らしていくのは大変だ。銀行口座を開くこともできず、まともな就職先は見つからない。このスタンリーの強い劣等感は丁寧に描かれており、彼の苛立ちや悲しみがひしひしと伝わってくる。スタンリーを演じたロバート・デ・ニーロも彼の苦悩と成長ぶりを繊細に表現しているので、スタンリーの変化が手に取るようにわかる。“何でもやればできる”という彼の最後のセリフには説得力がある。いくつになっても挑戦する気持ちを失わないことは大切だ。

ラブストーリーというよりヒューマンドラマ

この物語はアイリスとスタンリーという大人の男女のラブストーリーではあるが、華やかさは全くない。2人は工場で働く労働者であり、家庭内にも様々な問題を抱えている。貧困や失業といったアメリカ社会の抱える問題もさりげなく描かれており、内容的に重いといえば重い。

そのため本作はラブストーリーというよりヒューマンドラマだと思った方がいい。さらに2人の恋の展開に色気がない。アイリスの夢だった高級ホテルのデートでも、彼女の下着は使い古され破れている。それをスタンリーも特に気にしない。そういう演出も嫌いではないが、少々リアルすぎて苦笑いしてしまった。

下町で暮らす人のいいおばさんと日雇い労働者に近い孤独な男の恋物語は山田洋次監督の作品を彷彿とさせるような泣きがある。「幸福の黄色いハンカチ」は高倉健と倍賞千恵子だからいいが、同じ役を田中邦衛とあき竹城が演ったらリアルすぎてつらい。それと同じでこの熟年カップルがデ・ニーロとジェーン・フォンダだからリアルすぎる演出も許容範囲。そこは救いだった。


スタンリーの誠実で真面目な人柄とアイリスの優しくて温かみのある雰囲気が作品の世界観をとても清々しいものにしていて見ていて心が温かくなりました。
読み書きが出来ないというのは生きていく上で非常に大変な思いをしてきたのだと思いますが、そんなハンデも感じさせないほど頭が良く、誠実なスタンリーの姿。こういった人をバカにしたり見下す人ももちろん居ますが、アイリスのように彼に優しく教えたり、彼の機械の才能を見込んでくれた人たちのように得意なことや、人より秀でた部分を見つけて、伸ばしてくれる人に出会えたら人生は良い方向へと進んでいくのだと感じました。(女性 30代)

映画『アイリスへの手紙』 まとめ

スタンリーが高齢の父親を老人ホームに預けるシークエンスは残る。父親を老人ホームに預けるしかなくなった子供の悲しさと申し訳なさ。それを察して息子に気を使わせないよう明るく振る舞う父親が切ない。後半よりも前半のそういう泥臭い人間ドラマが強く印象に残る作品で、そこだけに特化した作品でも良かったかもしれない。後半になって前半の重たさが嘘みたいに軽くなりトントン拍子でハッピーエンドを迎えるのは少々拍子抜けする。しっかり描けているところとそうでないところのムラが激しい脚本だ。

それやこれやで高評価とまではいかないが、社会の片隅で生きる人々への優しい眼差しは好きだった。

みんなの感想・レビュー

  1. 八柱のニールヤング より:

    この映画は、映画そのものが好きな人たちで作られてる気がします。商業ベースで観る側の要求に応えるような映画ではない。地味だが素敵なドラマだった。スタッフ及び名優らに拍手。