この記事では、映画『アイランド(2005)』のあらすじをネタバレありで解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『アイランド(2005)』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『アイランド』 作品情報

- 製作年:2005年
- 上映時間:136分
- ジャンル:アクション、SF、サスペンス
- 監督:マイケル・ベイ
- キャスト:ユアン・マクレガー、スカーレット・ヨハンソン、ジャイモン・フンスー、スティーヴ・ブシェミ etc
映画『アイランド』 評価
- 点数:80点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『アイランド』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『アイランド(2005)』のあらすじを紹介します。
2019年の近未来。海に浮かぶ緑豊かな島で憧れの地「アイランド」を目前に、トム(ユアン・マクレガー)は海へ引きずりこまれてしまういつもの悪夢にうなされていた。夢から覚めたトムを待っていたのは、普段と変わらない1日。彼は大気汚染による被害者の生存者として、壁のスクリーンに映し出される健康アドバイス、管理の行き届いた食事、そして、女性用の住居棟で暮らすジョーダン(スカーレット・ヨハンソン)との会話での治療を受けていた。数百名の住人と共に彼らが住むその閉鎖的な施設は厳重な管理下に置かれ、住人たちの生活は常に監視されているが、それも住人たちへの安全の配慮からであった。
大気汚染から救い出され、そのコミュニティで暮らし始めて既に三年が経ち、安全で快適だが退屈な日々を皆が持て余していた。ここで暮らす人々の夢は、地上最後の楽園「アイランド」へ行くことだった。その島は大気汚染を免れた地上唯一の楽園であり、コミュニティとアイランド以外の人類は地球規模の環境破壊により絶滅してしまったと言われる。コミュニティの住人を除いては。日々行われる抽選会が最大の関心事だった。トムはある日、換気口から入ってきた一匹の蛾を発見し、外の空気は汚染されているはずではなかったかという疑問を抱く。そして施設内を探索する中で恐るべき真実を目撃する。彼らは、保険契約を結んだクライアントに臓器を提供するためだけに生産された“クローン”であり、「アイランド行き」とは、すなわち臓器摘出の死刑宣告だったのだ。そして次の当選者に決まったのはジョーダンだった。トムとジョーダンは生きるための脱出を試みる。初めての外の世界へ逃れ出た二人の前に、汚染とは程遠い澄み切った青空と大地が広がっていた。アイランドの街ではジョーダンに生き写しの人物がテレビに映し出され、トムの悪夢に出て来たもう一人の自分とも出会う。そして施設から派遣された追っ手が秘密保持のため二人を執拗に追跡する。

映画『アイランド』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『アイランド(2005)』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
クローンの存在価値を描くのは難しい
SFならではの設定がユニークである。子供を産むためとか、臓器摘出のためのクローンを作るという部分も近代的であるが、そのために人間本体を丸ごと一人作るというのは、どこか医学の進歩を取り違えているような感もあるが、まぁSFなのでそこまでのリアリティを追究する必然性はないだろう。クローンには当然ながら人間としての「意識」を備え、それを騙して管理しているという点は「ブレードランナー」の設定と似ているのだが、本作はクローンだというものの人と同じ生命体であるという悲劇的部分がさほど描かれていない。主人公二人の外界での生活なども余り刷り込みが出来ていないような中途半端なクローンであるが、その辺の描写がすこし曖昧な点であろうか。マイケル・ベイ監督なのでそこまで要求はしないが、映画を鑑賞する点で観る側がそういった心理になるのも仕方がないところだ、全体の流れとしては及第点といった感じで、シナリオとアクション、役者に関しては申し分のないところであろう。近未来的なSF作品なので科学的な描写が少しあれば充実感はあったかも知れないが、アクション映画的な展開なのでそこまで深く立ち入ることもなかったのだろう。
マイケル・ベイ的な娯楽作品
マイケル・ベイの作品というのは、タイトルからして深遠な作品と思われがちであるが。この監督は一貫してエンターテインメントの専門家である。派手なアクションは得意分野であるが、人間の奥深さを描くような文芸的な感性は持ち合わせていない。彼の撮った映画を観ればそれは一目瞭然であり、彼は彼なりの世界観で撮っているのだろうから、マイケル・ベイ作品というのを最初から頭に入れておかなければ少々ガッカリする部分もあるだろう。しかるに「ブレードランナー」と比較するのは酷な話であり、多分そこまで深い話に持ってゆこうとして映画を撮っているのではない筈なのだ。しかし自分なりに見せ場や映画の流れを作るという点においては天才的な表現力を備えており、その部分をエンターテインメントとして楽しむ分には文句ない。ホームランバッターにバントを期待しても仕方がないのである。
知らなければ良かったことってありますよね。真実を知らなければ一生幸せに生きていけたのに…なんて言うのは大袈裟かもしれませんが、今作で描かれているクローンの真実を私は「知りたくない」と思ってしまいました。もし、私がコミュニティに暮らしていたらアイランド行きは幸せなことだと信じて疑わず、平凡な毎日を淡々と送っていきたいと感じます。トムのような人も必要なのだと思いますが、クローンとして生きてきた人間が地上の本当の世界に現れてもパニックになるだけなのでは…と色々なところで疑問を感じてしまいました。(女性 30代)
カジュアルでポップな「ブレード・ランナー」といった感じの世界観。科学が進歩して人間のクローンを作れるようになった時、そのクローンの”人権”はどうなるのか。そんな深く掘り下げようとすればどこまでも深掘りできるテーマを、見事なくらいに浅く「トランスフォーマー」を見るのと同じくらいの気楽さで見られるように仕上げた一本。主人公のある行動は実際は大問題だが、そこも驚くくらいに結果オーライ扱い。突っ込みどころ満載だが、そういう話と分かってみれば十分楽しい。(男性 40代)
人間とは何か、命とは何かを問うSFサスペンスの傑作。主人公リンカーンが自分たちが“クローン”であることを知った瞬間、世界が一変する。その衝撃と絶望の描写が見事だった。巨大な企業が倫理を無視して人間を「商品化」する恐怖は、現代社会への強烈な警鐘にも感じた。アクション満載の後半と、静かな哲学性を併せ持つバランスが秀逸。マイケル・ベイ作品の中でも特に心に残る一本。(20代 男性)
予想以上に考えさせられる映画だった。派手なSFアクションかと思いきや、「生まれること」「存在すること」の意味を問う深いテーマが潜んでいた。スカーレット・ヨハンソン演じるジョーダンの純粋な瞳が印象的で、クローンたちの“生きたい”という本能に涙した。マイケル・ベイらしいスピード感の中に、ヒューマニズムがしっかりと根付いている。(30代 女性)
序盤の閉ざされた“ユートピア”のような施設が、実は地獄だったという展開が恐ろしい。まるでディストピア文学を映像化したような世界観に引き込まれた。特にリンカーンが「アイランドは存在しない」と知るシーンの演出が秀逸。視覚的なスリルと倫理的な問題提起が見事に融合していた。観終わったあと、しばらく人間の尊厳について考えてしまった。(40代 男性)
「アイランド」への抽選=救済だと信じていた人々が、実は臓器提供のために殺されていたという真実があまりに残酷。でも、その構造の中でリンカーンとジョーダンが「本物の自由」を求めて戦う姿が痛快だった。派手なカーチェイスと同時に、愛と命の尊さを描いている点が素晴らしい。ラストで空を見上げる二人の表情に希望を感じた。(20代 女性)
倫理を問うSFとしても、アクション映画としても完成度が高い。特にマイケル・ベイ特有のスピード感ある映像が、テーマの緊張感をさらに引き立てていた。クローン技術の裏側に潜む「人間のエゴ」と「命の価値」を真正面から描いており、見応えがある。科学の進歩が人の心を追い越す恐ろしさを、これほどリアルに感じた作品は珍しい。(50代 男性)
映像のスタイリッシュさと哲学的なテーマの融合が見事。人工的な美しさに囲まれた世界が、実は“監獄”であるという設定が皮肉すぎてゾッとした。スカーレット・ヨハンソンの演技が光り、ジョーダンというキャラクターが人間の純粋さを象徴していたように思う。物語のテンポも良く、娯楽と思想のバランスが絶妙。(30代 女性)
「自分が誰かのコピーである」という絶望から始まる物語に、深く引き込まれた。リンカーンの“本物の自分”への渇望が、やがて人類全体への問いに変わっていく展開が見事。彼の成長とともに、観る側も「生きる意味」を考えさせられる。アクション映画としての迫力も申し分なく、娯楽としても哲学としても優れた一本だった。(40代 男性)
マイケル・ベイ監督と聞いて“ド派手なSF”を想像していたが、いい意味で裏切られた。確かにアクションは派手だが、根底には深い倫理観がある。命を「所有物」として扱う社会に対する批判が鋭く、現代にも通じる問題提起として秀逸。特にリンカーンが自分と同じ顔の“オリジナル”と対峙する場面は圧巻だった。(20代 女性)
映画『アイランド』を見た人におすすめの映画5選
ブレードランナー2049
この映画を一言で表すと?
「人間」と「人工生命」の境界を問う、圧倒的映像美のSFノワール。
どんな話?
未来の地球。レプリカント(人造人間)を取り締まる捜査官Kは、自身の存在に疑問を抱きながら、かつてのブレードランナーであるデッカードの行方を追う。人工生命に“魂”は宿るのかというテーマを壮大なスケールで描く、哲学的SF。
ここがおすすめ!
『アイランド』と同様、「命の創造」と「人間の倫理」を問う重厚なテーマを持ちながら、ヴィルヌーヴ監督による美しい映像と静かな叙情が融合している。圧倒的な世界観と、魂を探す者たちの孤独が深く胸に残る傑作。
ガタカ
この映画を一言で表すと?
遺伝子が人生を決める社会で、“努力する人間”の尊厳を描く近未来ドラマ。
どんな話?
遺伝子操作で優劣が決まる未来社会。自然出生の青年ヴィンセントは「劣等」とされながらも、宇宙飛行士になる夢を諦めず、他人のDNAを借りて理想の社会に挑む。科学が支配する世界で、「人間らしさ」とは何かを問う感動作。
ここがおすすめ!
『アイランド』と共通するテーマは“人間の価値はどこにあるのか”。静かな映像と繊細なドラマ展開が見事で、ユマ・サーマン、イーサン・ホークらの演技が胸を打つ。希望と反骨精神が融合した、SFヒューマンドラマの金字塔。
オブリビオン
この映画を一言で表すと?
美しすぎる荒廃地球で、自分の“正体”を知る男の叙情的SF。
どんな話?
戦争により荒廃した地球を守る任務に就く男・ジャック。彼は任務の最中、失われた記憶と“もう一人の自分”の存在に気づく。見知らぬ女性との出会いが、彼の運命を大きく変えていく。真実とアイデンティティをめぐる物語。
ここがおすすめ!
トム・クルーズ主演の本作は、壮大な映像美と孤独な人間ドラマが融合。『アイランド』と同じく「自己の真実を知る」物語であり、衝撃的な展開と美しいラストが印象的。音楽と映像の融合が、心に静かな余韻を残す。
エリジウム
この映画を一言で表すと?
格差社会の究極形を描いた、SFアクション×社会派ドラマ。
どんな話?
未来の地球は汚染され、富裕層だけが“エリジウム”と呼ばれる人工衛星で贅沢な生活を送っている。地上で病と貧困に苦しむマックスは、命を賭けてこの格差社会を打ち壊そうと立ち上がる。壮大なスケールの社会SF。
ここがおすすめ!
『アイランド』同様、“選ばれた者と使い捨ての存在”という対比が鮮烈。SFアクションの迫力だけでなく、現代社会の構造を皮肉るメッセージ性が強い。映像のリアルさと緊張感ある展開が最後まで観客を引き込む。
エクス・マキナ
この映画を一言で表すと?
人間とAIの心理戦を描く、知的で美しい密室SFスリラー。
どんな話?
天才プログラマーが作り出した美しいAI“エヴァ”。彼女の「意識」をテストするために選ばれた青年ケイレブは、次第に彼女に心を奪われていく。しかし、それは予想を超えた知性との対峙の始まりだった。
ここがおすすめ!
少人数の密室劇ながら、緊張感と哲学的テーマが満載。『アイランド』が描く「人工生命の人間性」に通じる問題意識を、より深く掘り下げている。AIと人間の境界線を問う知的スリラーで、観終わった後に静かな恐怖と感動が残る。






みんなの感想・レビュー
深夜の国際線で何気なしに鑑賞したところカルチャーショックを受けた、大好きな作品です。
当時20歳そこそこで話題の映画をたまに見る程度だった私を、映画の深みへと誘ってくれた作品であり、今でもたまに見たくなります。
なんでこの映画酷評ばかりなんでしょうかね?他のレビューサイトでも見ましたが、好きという方はほとんどいませんでした。また、何かとこうすべきだったとか言うのも多かった様に思います。確かにブレードランナーと比較もよくされますし。余り他の映画と比べられてもと思います。確かに観客に合わせていたらきりがありませんよね。私もこの映画は好きな分類の方です。