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映画『愛しのダディー殺害計画』のあらすじ・感想・評判・口コミ(ネタバレなし)

幼い頃から優しく、時には厳しく自分を守り導いてくれる存在。それが父親である。父と娘の間には成長と共に親愛が築かれていくものだが、その愛情が親愛の域を遥かに超えてしまった時、その家族に一体何が起こるのか。

映画『愛しのダディー殺害計画』の作品情報

愛しのダディー殺害計画

タイトル
愛しのダディー殺害計画
原題
なし
製作年
2019年
日本公開日
2020年12月11日(金)
上映時間
28分
ジャンル
コメディ
監督
イリエナナコ
脚本
イリエナナコ
製作
南陽
製作総指揮
田中雄之
キャスト
佐藤ミケーラ
モトーラ世理奈
岡慶悟
細川佳央
矢野陽子
濱田龍司
四條久美子
斎田吾朗
製作国
日本
配給
イハフィルムズ

映画『愛しのダディー殺害計画』の作品概要

若手の映画監督を発掘、育成するための企画、『MOON CINEMA PROJECT』第3回大会においてグランプリを獲得した作品が、とうとうスクリーンに!主人公である姉妹を演じるのは、モデル業の傍ら近年精力的に女優活動を行っているモトーラ世理奈、そして、元「アイドリング!!!」メンバーで、現在はユーチューバーとしても活躍している佐藤ミケーラが起用。監督であるイリエナナコは、元広告会社に勤務していたサラリーマン。独特の感性を持っており、彼女の公式ホームページを覗いてみると、そのセンスが伝わってくる。その世界観は、若い世代にはよく刺さるのではないだろうか。1週間限定上映となっているため、是非その機会を逃さないようにしよう。

映画『愛しのダディー殺害計画』の予告動画

映画『愛しのダディー殺害計画』の登場人物(キャスト)

大槻マリ(佐藤ミケーラ)
俊美の娘。俊美を溺愛しており、今後も3人で仲良く暮らせればいいと思っていたが…?
大槻エマ(モトーラ世理奈)
俊美の娘。同じく父を溺愛していたが、とあることを理由に父親殺害を決める。
大槻俊美(岡慶悟)
マリとエマの父親。早くに妻が出て行ってしまったため、男手一つで二人を育ててきた。心穏やかな性格。

映画『愛しのダディー殺害計画』のあらすじ(ネタバレなし)

マリとエマの姉妹の母親は、幼い頃に家族を置いて出て行ってしまった。それから14年。しかし、二人は決して寂しくはなかった。なぜなら、物理にはとても優しい父親、ダディがいたのだから。二人はダディが心から大好きで、家族3人で楽しい日々を送っていた。しかし、そんな幸せな日々もある日突然終わりを迎えようとしていた。大好きなダディが、再婚すると言い出したのだ。あまりにもダディが大好きな二人は、ダディが人の物になってしまうということが許せなかった。そこで、他人に取られるくらいなら、ダディを自分達の手で殺してしまえと言うとんでもない発想に辿り着いたのだ!幼馴染みの照美を巻き込み、ダディ殺害計画が幕を開ける。

映画『愛しのダディー殺害計画』の感想・評価

短いからこそのスピード感

本作の上映時間は、なんと28分。折角なら、長い時間楽しみたいと思う人も多いだろう。確かにその想いはもっとも。しかし、短編映画には短編映画なりの良さがあるのだ。まず、第一に手軽に見やすいという点が挙がる。普段から映画を嗜まない人の理由としては、2時間超、ゆっくり座って見る時間がないと言う人がいる。しかし、28分と言う短さであれば、日々の仕事の合間、家事の合間に手軽に楽しむことができる。また、スピード感の良さも魅力の一つ。28分という限られた時間に収めるためには、一切の無駄を省く必要があるのだ。そのため中弛みすることもなく、最初から最後までマックスのテンションで駆け抜けることができるのだ。疾走感を感じたい人には、むしろ短編映画の方が向いているのかもしれない。

父親に向ける感情

誰しもが、父親に対して後ろ向きな感情を抱いたことがあるのではないだろうか。喧嘩した時であったり、反抗期の時であったり、『嫌い』と思うこともあっただろう。特に娘であれば尚更。よく、『お父さん臭い』、や『お父さんと洗濯物一緒にしないで』などという言葉を耳にするが、それだけ年頃の娘と父親の関係性は繊細なのである。そんな父親に、親愛ならばともかく、本気の恋心を抱くなどなかなか想像できないのではないだろうか。しかし、本作に登場する娘達はメーターを振り切るほどの愛情を父親に注いでいる。父親としては嬉しいかもしれないが、まさか、その愛情故に自分が殺されそうになるなど思ってもいないだろう。少し冷めた視線を向けられるのか、殺されそうなほど深い愛情を向けられるのか、世の中の父親はどちらを選ぶだろうか。

MOON CINEMA PROJECT

『MOON CINEMA PROJECT』という企画を耳にしたことがあるだろうか。企画書だけあれば、誰もが応募できるという映画プロジェクトである。世の中には、心から映画を愛しており、頭の中にはプロットはあるもののそれを形にする術がない、または金銭的な理由からそれが難しいなどといった事情を抱えた若者が多くある。そんな若者を支援するこのプロジェクトは、まさに、今後の日本映画界の益々の発展を支える重要な役割を担っていると言える。そして、本作はそのMOON CINEMA PROJECTでグランプリを獲得した作品なのだ。今はまだあまり知名度のない若手監督ではあるものの、今後、邦画界を牽引する人物となるかもしれない。今から是非チェックしておこう。

映画『愛しのダディー殺害計画』の公開前に見ておきたい映画

映画『愛しのダディー殺害計画』の公開前に見ておきたい映画をピックアップして解説しています。映画『愛しのダディー殺害計画』をより楽しむために、事前に見ておくことをおすすめします。

つみきのいえ

最新作のような短編映画を、これまであまり目にする機会がなかったという人も多いのではないだろうか。長編映画の方が、どうしても上映している映画館や宣伝なども多いため、動員数も増えやすい。しかし、これまでにも、日本からは秀逸な短編映画が次々と生まれてきた。そして、本作はその代表となる作品である。アカデミー短編アニメ賞を獲得した作品でもあり、この快挙は、実は日本においては市場初めてのこと。台詞は一切なく、美しい映像と、音楽で構成された芸術的な作品である。しかし、きちんとストーリーは存在し、物語が進むにつれ、おじいさんを中心に描かれるストーリーの真実が明らかになっていく。全体的に優しい雰囲気であるが、何故か人の涙を誘う感動作。

詳細 つみきのいえ

私の男(2013)

父親と娘の間には、確かに愛情は存在する。しかし、それはあくまでも親愛、家族愛というもの。最新作の場合、単なる家族愛という域を大幅に超えてしまっているのだ。父親と娘の恋。それは、決して法律的には認められることのない禁断の愛である。そんな禁忌を取り扱ったテーマで、近年大きな話題を読んだのが本作。父親役に浅野忠信、娘役に二階堂ふみという実力派を起用したことで、より物語の背徳性が際立つこととなった。10歳の少女、花は、ある日突然津波により家族を失ってしまう。そんな彼女は、遠縁にあたるという淳悟に引き取られ養子縁組を結ぶことに。それから時を共にしていく二人。しかし、そんな二人の関係性は、いつしか思いがけぬ方向に進んでいく。

詳細 私の男(2013)

そうして私たちはプールに金魚を、

前述したように、最新作はMOON CINEMA PROJECTでグランプリを獲得した作品。最新作は第3回大会の覇者であるが、本作は記念すべき第1回目のグランプリ獲得作品。さらには第33回サンダンス映画祭ショートフィルム部門のグランプリを獲得するなど破竹の勢いを見せたショートフィルムである。2012年の埼玉県秩父市で起きたとある事件が世間を騒がせた。なんと、学校のプールに約400匹もの金魚が放流されたのだ。犯人は一体誰なのか、そして、なぜそのような犯行に及んだのか。そんな、実際に起こった事件を原題に描いたドキュメンタリーである。女子中学生のやりきれない葛藤や心の中で渦巻くどうしようもない苛立ちなどを見事に描き出した作品。

詳細 そうして私たちはプールに金魚を、

映画『愛しのダディー殺害計画』の評判・口コミ・レビュー

映画『愛しのダディー殺害計画』のまとめ

監督が元広告会社に勤務していたハイセンスの若手女性監督ということもあり、本作の感性は若い女性により伝わるものになっていると思われる。しかし、本作をお勧めしたい対象がもう一つある。それは、娘を持つ父親達。異性故に、自分の子供時代、そして、今の自分とは全く異なる考え方や成長を遂げる娘に対し、戸惑いを感じたことはないだろうか。もしかすると、娘との仲がそれほどうまくはいっていないという父親もいるかもしれない。そんな人は、本作を見て、娘に溺愛される喜びを少しでも噛んでみるのはどうだろうか。いずれ自分も娘とそういった関係になれる、と希望が持てるかもしれない。娘からの愛を獲得するためには、娘に殺されることもわけはない!?父親にとっては、嬉しくもあり恐ろしくもある、複雑な作品になっているかもしれない。

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