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映画『ジャーヘッド』あらすじネタバレ結末と感想

映画『ジャーヘッド』の概要:第一次湾岸戦争に派遣されたアメリカ海兵隊員アンソニー・スオフォードの自叙伝「ジャーヘッド/アメリカ海兵隊員の告白」をサム・メンデス監督が映画化した。2005年公開のアメリカ映画。

映画『ジャーヘッド』 作品情報

ジャーヘッド

  • 製作年:2005年
  • 上映時間:123分
  • ジャンル:戦争、ヒューマンドラマ、青春
  • 監督:サム・メンデス
  • キャスト:ジェイク・ギレンホール、ピーター・サースガード、ルーカス・ブラック、クリス・クーパー etc

映画『ジャーヘッド』 評価

  • 点数:75点/100点
  • オススメ度:★★★☆☆
  • ストーリー:★★★☆☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★☆☆
  • 設定:★★★★☆

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映画『ジャーヘッド』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)

映画『ジャーヘッド』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

映画『ジャーヘッド』 あらすじ【起・承】

アンソニー・スオフォード(ジェイク・ジレンホール)は、1989年アメリカ海兵隊に入隊し、ペンドルトン海兵隊基地で訓練を受ける。海兵隊員は頭を刈り上げた独特の髪型から「ジャーヘッド」という俗称で呼ばれていた。

偵察目標補足担当(STA)のサイクス三等曹長(ジェイミー・フォックス)は6名の斥候狙撃兵を選抜するため隊員たちに厳しい訓練を課す。アンソニーは見事射手に選ばれ、着弾観測役のトロイ伍長(ピーター・サースガード)とコンビを組む。

1990年、イラクのサダム・フセインがクエートに侵攻し、アンソニーたちはサウジアラビアに派遣される。大隊司令官のガジンスキー中佐(クリス・クーパー)が指揮をとり、アメリカ軍による「砂漠の盾作戦」が開始される。しかし政府官僚は説得工作を続けており、まだ攻撃許可は下りていなかった。そのためアメリカ軍はサウジの油田を守るという任務に就く。

アンソニーたちはサウジの砂漠でひたすら訓練と待機の日々を送る。この退屈な日々に、隊員たちは欲求不満を募らせていた。アンソニーは彼女のクリスティーナが浮気をしているのではないかと疑いを持ち、どんどん落ち込んでいく。

砂漠へ来て122日が過ぎたクリスマスの夜。アンソニーたちはストレスを発散するため禁止されている酒を飲み、大騒ぎする。見張りをしていたファーガス(ブライアン・ジェラティ)の不始末で火事が起き、酒を調達したアンソニーが罰を受ける。

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映画『ジャーヘッド』 結末・ラスト(ネタバレ)

175日目。1月17日に「砂漠の嵐作戦」と呼ばれる多国籍軍による空爆が開始され、アンソニーたち地上軍の海兵隊員は24日から国境へ侵攻する。

しかしアンソニーたちは空爆により壊滅したアラブ人の死体の山を見るばかりだった。追い込まれたイラク軍は油田に火を放ち、あたりは油の雨でベトベトになる。アンソニーたちは敵の姿さえ目にすることなく、ただ油まみれになっていた。

そんな中、ようやくアンソニーとトロイは狙撃兵としてカジンスキー中佐に呼び出される。任務は飛行場の管制塔にいるイラク軍将校2名の狙撃だった。アンソニーとトロイは大喜びで任務に就く。

管制塔から800メートルほど離れた廃墟から将校を狙っていた2人は、狙撃許可をもらい将校を撃とうとする。しかしそこに空軍の上官が現れ、飛行場全体を爆撃で破壊すると言いだす。前科を隠したことで帰国後の除隊が決まっていたトロイは自分たちに一発だけでも撃たせて欲しいと頼むが聞き入れられず、飛行場はあっという間に爆撃される。

失意の2人がキャンプへ戻ると、すでに戦争は終わり、仲間たちは大騒ぎをしていた。アンソニーたちは空に向かって銃を乱射する。結局アンソニーの戦争は4日で終わる。

帰国したアンソニーはクリスティーナに振られ、軍隊も辞める。虚しく日々を過ごすアンソニーの元にトロイの訃報が届く。彼はいつまでもジャーヘッドでいたかったのだ。

映画『ジャーヘッド』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『ジャーヘッド』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

不思議な戦争映画

本作は戦争映画だが、戦闘シーンはほぼ皆無である。なぜなら主人公のアンソニーは海兵隊の狙撃兵でありながら敵に向けて一発の銃弾も放つことなく、戦争が終わってしまうからだ。アンソニーたち海兵隊員が動き出す前に多国籍空軍による空爆は開始されており、たどり着いた前線にはすでに生きた敵などいない。みんな黒焦げの死体になっている。

175日も過酷な砂漠で待機して、戦闘開始から4日間でなんともあっけなく停戦が決まる。いろんな戦争映画を見てきたが、これほど不思議な戦争映画は初めてだった。

リアルな軍人の思考回路

本作で最も興味深かったのは、アンソニーを始めとする海兵隊員(アメリカ軍兵士)たちの思考回路だ。何本かのアメリカの戦争映画を見てきて、薄々感じてきたことがある。それは“彼らは戦争が好きなのではないか?”ということだ。

“戦争が好き”というのが言い過ぎだとすると“戦闘が好き”と言い換えてもいい。あれほど過酷な訓練をして実戦に備えているのだから当たり前なのかもしれないが、本作でもちょっとイカれ気味の海兵隊員が“早く人を殺したい!”と繰り返し叫んでいる。アンソニーや相棒のトロイも狙撃兵として実際に敵を撃ちたくてたまらない。ようやく回ってきたチャンスを空軍に横取りされ、涙を流して悔しがっている。この感覚は軍人でない私たちにはなかなかわかりづらい。

一番印象的だったのは、海兵隊員たちが基地内の映写室で「地獄の黙示録」を見ているシーンだ。彼らが見守る画面には狂気の男・キルゴア中佐がワーグナーの「ワルキューレの騎行」を大音量でぶちかましながら、空の騎兵師団を率いてベトコンの基地を襲撃に行くシーンが映し出されている。それを見ている兵士たちの興奮ぶりがすごい。地上で逃げ惑う人々が爆撃された際には、大盛り上がりで歓声を上げている。ここで薄々感じてきたことは確信に変わった。彼らはやはり戦闘が好きなのだ。

多くの兵士は一度現実を見るとアンソニーのように挫折していくのだろうが、その後も軍隊に残り出世していくような人は根っから戦場が好きで、あの緊張感の中にいないと生きている実感がわかなくなるのだろう。トロイ(多分除隊に絶望して自殺したのだと思う)やサイクスがまさにそういう男だ。それはそれで気の毒な気もする。


戦争映画らしくないストーリーですが、戦争によって荒んでしまった心や、どうしようも無いもどかしさ、虚しさが感じ取れる作品でした。
私は、そもそも戦争に向かう兵士の心境を勘違いしていたようです。行きたくないけど「仕方なく」行くのだと思っていました。
しかし、主人公のアンソニーは行くからには活躍したい、役目を果たしたいという気持ちが強かったように感じます。彼以外の兵士もそうだったのではないでしょうか。
「何のために」なんて考えてもしかたないのですが、やるせない気持ちになりました。(女性 30代)

映画『ジャーヘッド』 まとめ

やたらとハイテンションな隊員たちの下ネタや馬鹿騒ぎには少々うんざりさせられるが、キャスティングに救われた。それにしてもみんな(特に主演のジェイク・ジレンホール)ジャーヘッドにアーミースタイルの時はすごくかっこよかったのに、帰国して普通の若者になると急にもっさりしていて驚いた。やはり軍服や制服って、男前度を上げる効果がある。

ジェイク・ジレンホールは「ブロークバック・マウンテン」でのゲイ役が非常に印象的だったが、この役も男性から愛されそう…。彼の海兵隊員姿は美しかった。

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