映画『二郎は鮨の夢を見る』の概要:全米で絶賛を浴び異例のヒット!日本人よりも外国人セレブに知られる東京・銀座にあるたった10席の鮨店『すきやばし次郎』の素顔をメトロポリタンオペラ総帥・ピーター・ゲルブの息子デヴィットが送り届ける。
映画『二郎は鮨の夢を見る』 作品情報
- 製作年:2011年
- 上映時間:82分
- ジャンル:ヒューマンドラマ、ドキュメンタリー
- 監督:デヴィッド・ゲルブ
映画『二郎は鮨の夢を見る』 評価
- 点数:80点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★☆☆
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★★
[miho21]
映画『二郎は鮨の夢を見る』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『二郎は鮨の夢を見る』のあらすじを紹介します。
東京・銀座の地下にある鮨店『すきやばし次郎』は、カウンター10席の店舗でありながら『ミシュラン東京』で6年連続3つ星評価を得ている。これも店主・二郎の鮨職人としてのたゆまぬ鍛錬が故である。
店の主、小野二郎は齢90を前にして尚、板場に立ち続け、世界最高齢の3つ星料理人としてギネスブックに登録された。50半ばの二郎の長男・禎一(よしかず)氏は、本店の継承者であり、現在『すきやばし次郎』には支店もある。しかしあえて本店で主・二郎の握る鮨を求め今日も足しげく客が通う。それをみて二郎はこう語る。
『私は85歳(撮影当時)ですがまだ引退は考えた事はない』
映画は二郎の仕事に対する妥協なき姿勢と磨きぬかれた哲学、その生き方の片鱗を追っていく…。
映画『二郎は鮨の夢を見る』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『二郎は鮨の夢を見る』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
ハリウッド俳優も指名する鮨店
仏料理界のシェフ・ジョエル・ロブションに『飛行機に乗ってでも食べに行きたい』と言わしめた店、それが『すきやばし次郎』である。2015年現在8年連続ミシュラン3つ星に輝いたこの店のロケーションはいたって庶民的だ。
創業当時から銀座の地下に店を構え、カウンター10席しかない上、お手洗いも他の店と共同。メニューはお任せ18カン3万円。電話予約でのみ受付という店に予約が絶えない。何故なのか。
そもそも庶民が通う店ではないのである。2,30分で極上のお鮨を食べてそれで3万が消えていくのだから、当然の事ながら客層が決まってくる。東京で間違いなくいい店で何か食べたいが時間がない。でもお忍びで行ける日本情緒のある店といえばここぐらいである。この様な条件を満たしているのでハリウッドセレブや、大統領、首相に人気なのも頷ける。
諸外国で誤解されているSUSHI(鮨)
米国をはじめとする諸外国では鮨の中に芸術性や繊細な味覚を感じるという事はせず、あくまで日本からやってきたエンターテイメント要素の高い『食べ物』だという捕らえ方になってしまっている。鮨屋に鮨を食べにきているのに、ネタをシャリから剥がして悪びれもなく『鮨飯はたべず、刺身だけ食べる』という米国人もごろごろ居る上、クリームチーズの乗ったフィラデルフィアロールが鮨だと思ってる人間も居る。
お鮨とは本来どういうものなのかをを伝えるべくメガホンをとったというのが監督の意向だ。
諸外国の人間はともかく、お客さんは裏で二郎さんたちがどれだけ仕込みの準備をしているのかは知らない。見習い職人は出巻き1つを作るにも何十回、何百回となく練習する。映画の中でお客様にお鮨が出されるまでの行程を丹念に追う事で、鮨職人の仕事ぶりと真心を表現しているのが判る。
業者は二郎の存在をどう見ているか
卸業者や、かつて『すきやばし次郎』で修行して暖簾わけした人々は、二郎がいつまでも板場に立ち続ける事をどう思うかという事を収めている所も興味深い。これは自営業者なら誰でもぶつかる問題であり参考になる。
かつて『すきやばし二郎』で修行し暖簾わけをして貰った後、銀座に自らの店『鮨水谷』を持った水谷氏は二郎だからこそ店は持っていると辛辣である。一番厳しい時代に下積みしているからこそその目は厳しい。その一方で、店を訪れる常連客やお米を納める業者は『二郎さんが立派すぎると(息子さんの)禎一さんがかわいそうだよ。後を継がせてやらないと』という。
ミシュランの覆面調査員が来店した時に、一回目に握って進ぜたのは息子の禎一氏である。それでも正当に3つ星が下された。覆面調査員でも判らない息子と父親の違いとは、それは食べてみるしかない。
お寿司が何よりも大好きな私。色々な場所でお寿司を食べてきたし、行きつけのお寿司屋さんもあります。しかし、「すきやばし次郎」に行きたいと思ったことは1度もありませんでした。何故かと言うと、私は適正な価格で、期待以上の接客をしてくれるお店で「美味しいお寿司」を食べたいから。
この作品を見る限りすきやばし次郎は、私が求めているお店では無いなと感じてしまいました。
もちろん、すきやばし次郎が好きな人は沢山いるし、憧れている人も大勢いると思います。しかし、この作品は鮨をエンターテイメントとして捉えている「外国人」が見るべき作品のように思いました。(女性 30代)
映画『二郎は鮨の夢を見る』 まとめ
このドキュメンタリーは、NYのわずか2館で公開された映画だった。それが瞬く間に評判となり、最終的に興行収入は250万ドルとなり公開から一年後、日本に逆輸入される形となって入ってきた。
二郎氏が、いつまで板場にたち続けられるのだろうか、そんな外野の声に対し二郎氏はこう答えている。
自分が息子たちや見習いに教えているのは、仕込みを含めて『鮨作りの9割』であると。『残りの1割』を自らの力で作り出せるようになる時が独立の時だと。その時を静かに待ちながら今日も鮨を握る二郎氏の姿を映し出している映画が心地よい。
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