映画『天のしずく』の概要:齢90を前にして現役料理家であり、日本の食品自給率の向上に努める辰巳芳子さん。彼女が病床の父親の為に作ったスープを通じて食のあり方について語るドキュメンタリー。
映画『天のしずく』 作品情報
- 製作年:2012年
- 上映時間:113分
- ジャンル:ヒューマンドラマ、ラブストーリー、コメディ
- 監督:河邑厚徳
- キャスト:辰巳芳子 etc
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映画『天のしずく』 評価
- 点数:80点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★☆☆
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★☆☆
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『天のしずく』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『天のしずく』のあらすじを紹介します。
現在の様に嚥下障害専門外来や、嚥下障害専門のレシピがなかった時代。
辰巳さんは、料理研究家のパイオニアだったお母様・浜子さんと共に、当時珍しかった西洋料理の研鑽を積み、食材に旬のもの、季節のものを取り入れた『いのちのスープ』を作り上げる。現代の家庭料理を席巻する『簡単即席』に命を全うしうる事があるのだろうかと辰巳さんは異議を唱え続けてきた。
辰巳さんが作る『命のスープ』は、季節の野菜を乱切りにし、ほうろう鍋で焦げ付かないようにこまめにかき混ぜながら炒め、煮込んだ後、すり鉢で摩り下ろす。ハンドミキサーや圧力鍋といった効率のいい調理器具が世の中にある中、辰巳さんはあえてこれらを使わない。あえて手間隙をかけることで料理の味はまろやかになり、これを食べる事で人間は暴飲暴食を自然と抑えられ、本来の食事量に戻るのだと辰巳さんは語る。
忙しい現代人の流れにあえて逆行する彼女の生き方は、必要としている人に徐々にとりいれられていった…
映画『天のしずく』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『天のしずく』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
たべることは生きること
映画はみずみずしいまでに美しい緑の草原を映し出す所から始まる。それは辰巳さんが料理に注ぐ信念『食べる事は生きること。生きるものは全てどこかでつながり何らかの恩恵をうけている』という言葉を現しているかのようだ。
映画の中では幾度となく、辰巳さんの手元がクローズアップされる。
乱切りにされた野菜をホウロウ鍋に入れる手、梅干をつける手、梅干のシソを搾る手、そして筑前煮を料理教室の生徒の前で炒める時の手。彼女は常に『素材をいじめてはいけない、素材が生きるようにしなくては』と手が食材に添う様に気を使っているのが判る。
食事を丁寧に作るという事は日々を丁寧に生きるという意味である事も判る。
辰巳さんを支える人々も輝いている
映画の中には、辰巳さんの食生活の見直し運動=『食育』に心を動かされ、力になる農家の人々や、レクチャーを受ける人々も出てくる。
辰巳さんが信頼を寄せる農家の方は、農作物を育てる方としては面倒かもしれないが、なるべく手間隙をかけ農薬を使わず育てる様にしているのが垣間見える。
終末医療が叫ばれて久しい中、辰巳さんは『命のスープ作り』を広める事により、人が命を真っ当する最後の日まで自力で食べられる様にという運動を広げている。
口から食べ物が入らなくなると患者の意志に関係なく胃ろうが薦められるケースもあるが、それを辰巳さんは嘆くのだ。
この映画では緩和ケア病棟の医療従事者が、命のスープ作りを薦める所を映すだけでなく、この病棟で命のスープに助けられた足腰も不自由なお年寄りが、他の人の為に命のスープ作りを毎日するという無償の思いやりも映している。
いのちのはじまりには母乳があり、最後に唇をしめらす末期の水がある。辰巳さんは、その間に人の体と心を潤わせる『天のしずく』を作る為に奔走する料理家とも言えるだろう。
映画『天のしずく』 まとめ
辰巳さんは、現在食事のあり方に問題意識を持つ人への料理講座や、終末医療の一環として命のスープを取り入れるだけでなく、新たなな試みもしている。
それはこれから食べ物の味を覚える、幼稚園、保育園児への食育だ。親によっては子供の食事に手間隙をかけられない家もあるかもしれない。
その為、辰巳さんはどの子供も子供の頃に正しい味覚を持たせ好き嫌いをなくさせる意味で『命のスープの講演会』を保育所や幼稚園で行なっている。
味への偏見が薄いこの時期こそ正しい食育をする絶好のチャンスであり、食べる事が生きる事につながるチャンスでもある。
食材のあり方について疑問を持つ人には何らかのヒントは見つかるドキュメンタリーだと思う。
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