映画『ジャンパー』の概要:行き先無制限。世界中一瞬のうちに何処へでも行ける究極の自由と果てしない可能性を手に入れた者の前に立ちふさがる謎の組織との対決が始まった。『ボーン・アイデンティティ』のダグ・リーマンが送るアクション作。
映画『ジャンパー』 作品情報
- 製作年:2008年
- 上映時間:88分
- ジャンル:SF、アクション、ヒューマンドラマ
- 監督:ダグ・リーマン
- キャスト:ヘイデン・クリステンセン、ジェイミー・ベル、レイチェル・ビルソン、サミュエル・L・ジャクソン etc
映画『ジャンパー』 評価
- 点数:80点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★★★
- 演出:★★★☆☆
- 設定:★★★★★
映画『ジャンパー』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『ジャンパー』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『ジャンパー』 あらすじ【起・承】
23歳のデヴィット(ハイデン・クリステンセン)の生活は優雅かつ豪快だった。
ニューヨークのペントハウスに居を構え、ビッグベンの上からロンドン市街を見下ろし、次の瞬間、フィジー沖でサーフィン。
昼にはスフィンクスの上でランチ、彼は意のままに、世界中どこへでも瞬間移動出来た。
思う様に生きているかに見える彼の人生は、誰にも言えない過去があった。
デヴィットは、父ウィリアム(マイケル・ルーカー)から暴力を受け育ち、デヴィットの母は彼が幼い頃に家を出た。
彼が15歳の時、片思いしていたミリーにクリスマスプレゼントを贈ろうとしたが、同級生のマークにプレゼントを凍った河に放り投げられてしまった。
それを取り戻そうと河に飛び込んだ瞬間、デヴィットは氷点下の河の底から学校の図書館に瞬間移動していた。
彼は瞬間移動の能力を訓練でコントロールし、数年後、父を捨て、ニューヨークに移動したのだった。
ある日、デヴィットが、いつものように、ジャンパーとしての豪遊を満喫していると、謎の男たちが現れ、瞬間移動しようとしたデヴィットを捉える。
『この力は神だけに許されたもの。お前たちは歴史をゆがめる。代償を払う時がきた。』
彼は『パラディン』と名乗るジャンパー抹殺を使命とする組織の、トップエージェント・ローランド(サミュエル=L-ジャクソン)だった。
ローランドの攻撃から逃れたデヴィットは故郷ミシガン州に向かうのだが…。
映画『ジャンパー』 結末・ラスト(ネタバレ)
デヴィットは、かつて片思いしていたミリー(レイチェル・ビルソン)が、故郷に居ると知り、逢いに行く。
地元のバーで働いている彼女を誘い出し、ローマへ瞬間移動。
閉鎖後のコロッセオで、デートする2人の前に現れたのは、もう1人のジャンパー・グリフィン(ジェレミー・ベル)だった。
『この力を持つのが1人だけだと思っていたのか?』
驚くデヴィットの前に、様々な武器を持ったパラディンが出現する。
デヴィットは地元警察に捕まるが、彼を救いに来たのは彼が5歳の時に失踪したはずの母メアリー(ダイアン・レイン)だった。
警察署を脱走したデヴィットは、ミリーを空港に送り、サハラ砂漠にあるグリフィンの隠れ家へ合流し、デヴィットはパラディンと戦う決意をする。
パラディンが、ジャンパーを消す為ならジャンパーの身内を全て殺すと知ったデヴィットは故郷に戻るが、時は遅し、父はローランドに殺されていた。
彼はグリフィンと手を組み、パラディンと壮絶なバトルを繰り広げ、ローランドを倒し、ミリーを母親の元に預ける。
しかし彼はそこで、今のパラディンの首領が母である事。彼が5歳の時に失踪したのは、パラディンから息子の命を守るにはこれしかなかったと聞かされる。
映画『ジャンパー』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『ジャンパー』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
欠点が故に愛情を抱かせる主人公像
ジャンパーとして目覚めたデヴィットは、その能力を駆使し自由を手に入れようとする。
しかし彼が本質的に手に入れたいもの、孤独を癒してくれる存在は永遠に手に入らない。
ヘイデンが演じる主人公像は、有り余る力を持て余し、ダークサイドに堕ちてしまう者が多い。
『スターウォーズ』の若き日のアナキン・スカイウォーカーは、フォースの力を持て余し、ダークサイドに堕ちていく。
『ニュースの天才』では、記事をリライトする能力がありながら、誇張し嘘を書き続けた事で糾弾された実在の記者を演じていた。
今回も、特殊な能力が故に、人間としての付き合いが出来ず、片思いしていたミリーを、いきなりデートに誘いだし、危険に巻き込む事になってしまう。
それでも憎めない役柄にしているのは、ヘイデンの今まで演じてきた持ち味とも言えるだろう。
ジャンパーの能力が私たちに教えてくれる事とは
ジェレミー・ベル演じるグリフィンはこの映画の原作本にはないキャラクターだ。
デヴィットが5歳の時に母メアリーがパラディンの首領になるために失踪したのに対し、グリフィンは5歳の時にローランドに両親を殺されているという設定だ。
デヴィットは、哀しみから身に着けたジャンプだが、グリフィンは怒りから身に着けたジャンプである事が判る。
この映画のジャンプが象徴しているのは、自分の問題から逃げる事だ。
必要なものだけ手にして、他の事には無関心である私たちに対する警告でもある。
リアル感にこだわった撮影
監督のダグ・リーマンは、物語の設定上、国境を超えた世界観を作る為に、東京、トロント、ローマ、ニューヨーク、メキシコ、アナーバー、パリ、エジプトとロケを敢行した。
東京での撮影シーンは、銀座のベンツショールーム。
グリフィンがデヴィットを乗せて東京を縦横無尽に走る迫力あるあのシーンは、ここで撮影された。
勿論視覚上ブルーバックも、取り入れている所はあるが、なるべくリアル感に拘り、ロケを行ったそうだ。
映画に何を求めるかで大いにこの作品は賛否が分かれる。なぜなら、主人公ヘイデン・クリステンセン演じる主人公が、別の空間に瞬間移動する能力を私利私欲の為に使うからだ。そして、終盤で何かを学び成長することもない。主人公はいわゆる完成されたクズ。
この作品は大切な何かに気づかせる訳でも、ハートウォーミングな物語でもない。だからこそ新鮮だ。ひたすらスタイリッシュなアクションに酔いしれ、小狡い主人公にやれやれと肩をすくめる。これはこれで、ありだと思った。
敵役のサミュエル・ジャクソンも「サミュエルってよくこういうキャラクターを演じるよな」というイメージそのもので面白かった。(男性 30代)
特殊能力は面白いけれど、ストーリーに厚みがない作品です。特殊能力を使うシーンはアクションとして面白いですし、最初の方で能力を毎日のように使っていてドアの開け方が分からないシーンがあるのも小ネタで良いなと思いました。
ただ、親子のシーンや心情描写シーンが少ないので疑問を抱いている内にアクション満載の場面になり、映画が終わる感じです。世界中にジャンプして場面が頻繁に切り替わるので目が疲れます。(女性 30代)
アメコミに登場するヒーローのようなこんな事が出来たらいいな、楽しそうだなが詰まった作品で物凄く面白かったです。
ヘイデン・クリステンセンはどうしても『スターウォーズ』のアナキンのイメージが強いのですが、今作で演じていたのは至って普通の青年。ただ、特殊な能力をたまたま持っていただけ。しかも、誰もが憧れるヒーローのような「完璧さ」が無いのが凄く好感を持てました。
ダメなところがあるから応援したくなってしまうし、裏切りに遭ったり孤独を感じている姿も観客を惹きつける魅力だと思いました。(女性 30代)
子供の頃、家にドラえもんが来ないかなぁ、漫画やアニメで見るような特殊能力があればなぁと思ったことはないだろうか。それで世界のためになる何かをするわけでもない。自分の生活をちょっと拡張するのが関の山。歳を取れば自然にそんな考えも消えていく。
この映画はそんな子供が憧れる特殊能力の一つを手にした坊やのお話。かつて自分も憧れた能力が画面に展開されていく様を楽しめる。それ以上の何かは特にない。でもそれも悪くない。自分だって意味や意義がなくても特殊能力に憧れたことがあるのだから。(男性 40代)
映画『ジャンパー』 まとめ
SF小説やコミックでは、瞬間移動という題材は珍しいものではないが、映画で題材として掘り下げて扱っているものは少ない。
しかも瞬間移動する人間の人物像に焦点を絞るという事では、この作品が初めてではないだろうか。
何故、その人物が瞬間移動するという能力を身に着けたのか、それが何故規制されなければいけないのか、また、彼らの能力が教えてくれる事とは、これら3点を、この映画から学び取る事が出来る。
題材としては、超能力モノになるが、映画の骨子は、周囲の人間に比べ秀でた所や突出した所があったとしても、傍若無人にふるまうべきではないという事かもしれない。
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