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映画『陰日向に咲く』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『陰日向に咲く』の概要:劇団ひとりの同名小説を原作とした群像劇。それぞれに事情を抱える登場人物たちが偶然出会い、互いの存在に救われながら再生していく物語。主人公を演じる岡田准一を宮崎あおい、西田敏行、三浦友和といった実力派キャストが支えている。

映画『陰日向に咲く』の作品情報

陰日向に咲く

製作年:2008年
上映時間:129分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:平川雄一朗
キャスト:岡田准一、宮崎あおい、伊藤淳史、平山あや etc

映画『陰日向に咲く』の登場人物(キャスト)

シンヤ(岡田准一)
東京都内を走る観光バスの運転手。ギャンブル依存症で多額の借金があるが、なかなかパチンコをやめられない。2年前に母親を亡くして家を出た。
鳴子 / 寿子(宮崎あおい)
鳴子は地味でまじめな鳥取の女だったが、浅草観光時に雷太と知り合い、上京してお笑いコンビを組む。2人で浅草のストリップ劇場の舞台に立っていた。コンビ解消後は雷太と音信不通になる。寿子は鳴子の娘で弁護士。雷太を探している。
雷太(伊藤淳史)
35年ほど前、浅草で売れない芸人をしていた。基本的に笑いのセンスはない。ストリッパーのジュピターに恋心を抱いていた。
モーゼ(西田敏行)
公園でテント生活をするホームレス。仲間内では大ボラ吹きで有名。足が悪い。
リュウタロウ(三浦友和)
シンヤの父。まじめなサラリーマンだったが、家を出たシンヤを待ち続ける自分に嫌気がさし、自由なモーゼに憧れてホームレスになる。
ジュピター(緒川たまき)
元ストリッパー。現在はアパートで侘しい一人暮らしをしている。2歳で亡くなった健一という息子がいた。
みゃーこ(平山あや)
秋葉原を中心に活動する売れないアイドル。すでに25歳でアイドルとしては崖っぷち。
ゆうすけ(塚本高史)
漫画喫茶で働くみゃーこの熱狂的なファン。バイト仲間2名とみゃーこを献身的に応援している。

映画『陰日向に咲く』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『陰日向に咲く』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『陰日向に咲く』のあらすじ【起】

35年前。浅草観光に来ていた鳴子は売れない芸人の雷太につまらないネタをしつこく見せられる。雷太の健気な姿に恋をした鳴子は、勝手に上京してきて雷太とお笑いコンビを組む。ストリップ劇場で前座をしながら前向きに活動していたが、コンビは突然解消され、その後鳴子と雷太は音信不通となる。

そして現在。東京観光バスの運転手をしているシンヤは、浅草で鳴子の娘の寿子と知り合う。一見好青年に見えるシンヤだったが、実はギャンブル依存症で多額の借金を抱えていた。お金を貸してくれた所長には二度とギャンブルをしないと誓っていたが、今晩もパチンコで全財産をすってしまう。その帰り、ストリップ劇場前で寿子と再会する。寿子は母の相方だった雷太を探していた。

サラリーマンのリュウタロウは人々に避けられて歩くホームレスの男性がモーゼに見える。リュウタロウは彼を勝手にモーゼと名付け、ホームレスのふりをして公園でテント生活をするモーゼを訪ねる。モーゼは仲間内では大ボラ吹きで有名だった。モーゼは新入りのリュウタロウを歓迎してくれる。

シンヤの自宅アパートでは借金取りが待っていた。借金取りは金を返せないなら父親を頼れとシンヤを脅すが、どれだけ痛めつけられてもシンヤはそれだけは拒む。

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映画『陰日向に咲く』のあらすじ【承】

秋葉原のアイドルみゃーこの追っかけをしているゆうすけは、2人の追っかけ仲間とみゃーこのイベントへ行く。しかし客はゆうすけたち3人しかいない。ゆうすけはみゃーこを気遣って“電車が止まってみんな来られないらしい”と嘘をつく。ゆうすけはテレビ番組で汚れ役のドロコに扮した切ないみゃーこを見て、番組の視聴者投稿欄にドロコを応援するコメントを大量に投稿する。

寿子は鳴子と雷太が出演していたストリップ劇場の元オーナーを探し当て、コンビの解散にはジュピターというストリッパーが関わっていたという情報を仕入れる。

モーゼたちの暮らす公園では有名な野球選手の川島が雇った探偵が、彼の父親を探していた。モーゼのテントにあった空き缶の中の写真や新聞の切り抜きが決め手となり、モーゼが川島の父親ということになる。仲間たちはモーゼのお別れ会を開き、リュウタロウもそれに参加する。モーゼは迎えに来た川島とともに公園を去っていく。

借金取りから手っ取り早く金を作る方法としてオレオレ詐欺を勧められたシンヤは、偶然かけた電話の女性から“健一なの?”と問いかけられる。シンヤは息子の健一になりすまし、その女性と話をする。2度目の電話でシンヤは女性に50万円を用意してもらう約束をし、花火大会の日に待ち合わせをする。

映画『陰日向に咲く』のあらすじ【転】

パチンコをしているところを所長に見つかり、シンヤは所長から本気で怒られる。仕事仲間はシンヤのことを心配し、お金もカンパしてくれていた。さすがのシンヤも反省し、法律相談センターへ行くことにする。

ひとり息子のシンヤは毎年庭にある桃の木の前で記念写真を撮るような恵まれた家庭に育ったが、親の期待に応えられない自分が嫌でパチンコに逃げるようになっていく。2年前に脳梗塞で亡くなった母親は、シンヤのギャンブル依存症を心から心配していた。しかし母の死によって、シンヤの依存症はますます悪化する。

話を聞いた相談員は弁護士を呼ぶ。シンヤの担当弁護士は寿子だった。シンヤは驚いて逃げ出す。追いかけてきた寿子にシンヤは母親が死んだ日の話をする。シンヤに相談もなく、父親は母の延命装置を外すよう医師に頼んでいた。シンヤは母を見捨てた父親を恨み、家を出た。感情的になっていたシンヤは寿子を傷つけてしまうが、彼女は“お父さんと会えるように”と縁結びのお守りをくれる。

花火大会の日。待ち合わせ場所に女性が来ない。シンヤが電話をかけると、女性は体調を崩していた。入院しろと言われたがお金がなくてできないという女性の話を聞き、シンヤは父のリュウタロウに電話する。しかしリュウタロウは電話に出ない。リュウタロウは息子を待ち続ける日々に疲れ果て、これからはひとりで生きると決めていた。自宅へ帰ったシンヤはゴミ箱に捨てられた家族写真を見て家の中をめちゃくちゃにする。

映画『陰日向に咲く』の結末・ラスト(ネタバレ)

その夜、東京に台風が上陸する。シンヤは女性の大家から女性が先ほど亡くなったことを聞く。シンヤは女性のアパートへ向かう。ジュピターの居場所を突き止めた寿子は、ジュピターのアパートへ向かう。シンヤが女性の部屋へ入ると、女性の亡骸の前にはモーゼが座っていた。

女性の正体は年老いたジュピターで、モーゼは川島の父などではなく(刑務所に服役中の川島の実の父のテントをモーゼが勝手に使っていて勘違いされただけ)雷太の成れの果てだった。昔、アメリカ兵からジュピターを守ろうとして、モーゼはひどい暴行を受ける。それで足が不自由になった。ジュピターへの強い想いに気づいたモーゼは芸人をやめる決意をし、鳴子のもとを去った。

そこへ寿子がやってくる。寿子は“母もあなたのそばにいたかっただけ”と母の想いを代弁する。モーゼは浅草で待っているという鳴子のもとへ走り、鳴子と再会する。

シンヤはジュピターが残した健一への手紙を読む。本当の健一は2歳で亡くなっていた。ジュピターはシンヤに成長した健一を重ね、シンヤからの電話を心待ちにしていた。箱の中には千円札や小銭をかき集めてお金が用意されていた。シンヤはジュピターに母親の姿を重ね、親心を思い知る。

ゆうすけのおかげでブレークしたみゃーこは、ゆうすけにメールを出していた。実は2人は小学校時代の同級生で、みゃーこはゆうすけの初恋の人だった。みゃーこはそれに気づき、ゆうすけを食事に誘う。しかしゆうすけはファンとしてみゃーこを応援し続ける道を選ぶ。

翌朝。自宅へ戻っていたリュウタロウはシンヤからの電話に出る。シンヤは家の前から電話しており、両親にずっと“ごめん”と言いたかったのだと泣いていた。リュウタロウは息子を受け入れ、2人は桃の木の前で記念写真を撮る。

映画『陰日向に咲く』の感想・評価・レビュー

原作のショートストーリーが映画では上手く繋がっていた。人と人との絡み合いをうまく表現していたと思う。一人一人がうまくいかない現実の中で、周りの人々に支えられながら生きていく。そういった人間模様を丁寧に描いていた。
物語はよく作られていたが、大きく感動するポイントは無いため、少し物足りなく感じてしまうかもしれない。しかし人間の毎日とは小さな幸せの積み重ねであり、大きな紆余曲折があるわけではない。そういった意味では人間というものをうまく表していたと感じた。(男性 20代)


劇団ひとりの原作を映画化で、当時話題になりました。オムニバス形式になっていて、日陰に生きてきた6人だか奇妙な縁で繋がっていきます。家族愛で雰囲気が上手い具合に出来ていますが、内容に深みが足りないと感じました。

前半は何処で繋がっていくのかと思いましたが、後半からなるほどなと納得させられます。感動作なので、涙腺弱い人は注意です。(女性 30代)


人間関係に疲れ果てたときに見たくなる作品。一見バラバラに見える登場人物達の日々が、少しずつ交わっていることが分かるラストに感動した。亡くなった息子のことを今でも思い続けているジュピターと、彼女に母親を重ね合わせるシンヤの姿にグッときた。
モーゼが鳴子と無事に再会できて本当に良かったと思う。これから幸せな日々を送って欲しいなと心から思えた。原作の小説を読みたくなった。劇団ひとりさんの才能が凄いと思う。(女性 30代)


原作は劇団ひとりの同名小説。芸人が小説を出すと聞いた時はとても驚きましたが、物語の構成や言葉選び、情景が目に浮かぶ様子など物凄く細かく書かれていて、本当に才能がある方なんだと感動したのを覚えています。
原作はオムニバス形式の作品ですが、今作では1つ1つのストーリーがとてもいい具合に絡み合っていて、ラストの展開もスッキリ、ほっこりできるものでした。岡田准一や宮崎あおいなど豪華なキャストにも注目して欲しいです。(女性 30代)

みんなの感想・レビュー

  1. 匿名 より:

    ①人と人はどこかでつながっている

    偶然の出会いによって実は縁があったことがわかる、という作品。現実はこれほど輪のようにつながることなんてないが、実は知らないだけで縁はそこら中にあるのかも、と思えるような、心温まる作品だった。

    原作小説はオムニバス形式で、一つ一つのエピソードに主人公がいるのだが、映画ではシンヤを中心に展開していく。そのため、鳴子と雷太の過去のエピソード(映画オリジナルの寿子含む)、そしてシンヤの父・リュウタロウのエピソードにはつながりがあるが、もう一つ、売れないアイドルと彼女を応援する男のエピソードは完全に独立している。このエピソードはアイドルがファンの支えで人気者になるというもので、印象的ではある。しかし、それ以外のエピソードが上手く絡み合い、群像劇としてうまくできていたため、そこだけちょっと惜しく感じてしまった。

    ②誰もが心に隙間を持っている

    登場する人物はみんな報われない。大切な人が死んでいたり、恋が叶わなかったり、夢がかなわなかったり。幸せではない人々を描いている。
    そんなやりきれない思いを抱えた人々が、1人、また1人と縁をつないでいく。その縁に気付いた時、心にできた隙間を埋めることができるのだろう。
    最後、シンヤが父と久々の再会を果たす場面ではそれが満たされたように感じられた。
    みんな「陰日向」の存在だが、何かに一生懸命に生きている。日の下でも陰の中でも、人のつながりを感じてこそこれからも生きていけるのだろう。

  2. 匿名 より:

    オムニバス形式の原作を上手くまとめられているとは思うが、原作のエピソードの1つ「ピンボケな私」は映画にはない。時間の都合か、ストーリーがつながらないからなのかわからないが、それならアイドルのエピソードも入れない方が良かったのではないかと思った。映画はオリジナルの登場人物である寿子を作ったことでバラバラのエピソードを繋げているので、他にもエピソードとエピソードをつなぐ人物を登場させることもできたのではないだろうか。