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映画『影武者』のネタバレあらすじ結末と感想

この記事では、映画『影武者』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『影武者』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。

この記事でわかること
  • 『影武者』の結末までのストーリー
  • 『影武者』を見た感想・レビュー
  • 『影武者』を見た人におすすめの映画5選

映画『影武者』の作品情報

影武者

製作年:1980年
上映時間:179分
ジャンル:ヒューマンドラマ、時代劇、戦争
監督:黒澤明
キャスト:仲代達矢、山崎努、萩原健一、根津甚八 etc

映画『影武者』の登場人物(キャスト)

武田信玄(仲代達矢)
御屋形と呼ばれる。各地の武将たちに一目置かれているが、狙撃されてしまい命を落とす。自分の死後も、家を守るため三年は喪を秘すよう家臣たちに命じる。
影武者(仲代達矢)
仕置き場にいたところを、信玄の影武者として信廉に拾われる。下賤の身であるが、一度会ったきりの信玄に心服し、務めを果たしあげる。
武田信廉(山崎努)
信玄の弟。影武者を手配し、その後も面倒を見る。影武者の苦労をよく理解し、寛大な心を見せる。
諏訪勝頼(萩原健一)
信玄の息子。幼い竹丸の陣代であることに不満を隠せない。信玄亡き後、暴走を始め、家を滅亡に導いてしまう。
山縣昌景(大滝秀治)
武田家の旗本。信玄の命を守るため、様々な面で采配を下す。
織田信長(隆大介)
気性が荒くせっかち。信玄の安否を確かめるべく、武田家に医者を送り込む。
徳川家康(油井昌由樹)
頭脳派で策士。様々な方法で、武田家の実態を探ろうとする。
武田竹丸(油井孝太)
勝頼の息子。信玄の世継ぎとして育てられる。まだ幼く、影武者に懐く。
田口刑部(志村喬)
信玄の父。かつて信玄に追放される。信長の手先として、医者と共に武田家に送り込まれる。

映画『影武者』のネタバレあらすじ(起承転結)

映画『影武者』のストーリーをネタバレありの起承転結で解説しています。この先、結末までのネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『影武者』のあらすじ【起】

武田の軍勢は、野田城陥落を目前に控えていた。勝利を目にするべく戦地に赴いた信玄は、夜の闇の中で狙撃され、深手を負う。その一報は、すぐさま各地の武将の耳に入る。特に徳川家康、織田信長は、名将信玄の安否を確かめようと必死だ。落城寸前の野田城と和議を結び、退陣した武田軍に、ますます疑惑は広がってゆく。

家康は、信玄を撃った足軽に会いにゆき、真相に迫ろうとする。足軽は、敵方の武将の位置を見抜き、昼間のうちに狙いをつけて夜間に撃ったのだという。その狙いの正確さから、家康は信玄の重体を確信する。

一方、信玄はかろうじて生きていたものの、長くはないと見て遺言を残す。家のため、たとえ死すとも三年は喪を秘すよう命じ、後日息を引き取ってしまう。信玄の命を守るため、旗本たちが頭を捻るなか、信玄の弟・信廉は兼ねてより用意していた影武者を連れてくる。彼は下賤の生まれかつ盗人であったが、その姿は信玄と瓜二つであった。

影武者が現れると、味方の兵は歓呼し、御屋形の健在に湧きたった。徳川、織田の間者たちは、その様子を半信半疑で見守る。なおも確かな情報が得られず、信長は苛立つ。

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映画『影武者』のあらすじ【承】

城内でも盗みを働こうとした影武者は、偶然信玄の遺体を見つけてしまう。信玄亡き今、すっかり気力を失くしてしまい、任を降りると言いだす。旗本・山県昌景に情けをかけられ、咎められることなく自由の身となるも、心残りがある様子だ。

翌日、家臣たちが見守るなか、信玄の遺骨が湖に沈められる。影武者は、その様子を影から伺っていた。たった一度会ったきりの信玄にひどく心服していた彼は、今一度自分を影武者として用立てるよう、旗本たちに頼み込む。

再び務めを果たすこととなった影武者は、信玄として儀式に参加し、間者の目を見事に欺く。信玄の屋形に帰宅すると、孫で世継ぎの竹丸や側室たちの前でも、機転を利かせた態度を取って信玄であると信じ込ませた。唯一、信玄の愛馬である黒雲だけは騙せぬと見て、旗本たちは接触を避けさせる。黒雲は気性が荒く、信玄にしか懐かないのだ。

家康は、相変わらず信玄について探っていた。武田を攻めることで、信玄の様子を知ろうと考える。

映画『影武者』のあらすじ【転】

勝頼は、ただでさえ息子の陣代という立場が気に入らないうえ、影武者を父と崇める日々に我慢ならない。家臣には、信玄の後を継ぐにふさわしいのは竹丸ではなく勝頼だと煽られる。

徳川の出陣を受けて、評定が開かれる。武田の今後の動きについて、形式的なやり取りが行われる。大勢の家臣たちが見守るなか、勝頼は突然、信玄の指示を仰ごうと言いだす。旗本たちは慌てるが、影武者の対応は堂々たるものであった。先日、信玄が「お山」と呼ばれている所以を聞いていたことから、最良の返答を絞りだしたのだ。武田の旗には「風林火山」と記されており、信玄はその中の「山」として、絶大な信頼を置かれていた。うまくかわされてしまった勝頼は、屋形を飛びだして諏訪に帰ってしまう。

信長は、信玄の父・田口刑部と共に、見舞いとして医者を遣わせる。信玄として影武者が診察に応じたため、信玄健在の証拠は揃うばかりであった。

勝頼が抜け駆けの出陣をしたとの報せが入る。勝頼の勝手な行動に、旗本たちは憤慨する。ただちに勝頼軍の背後に後詰めの軍を据え、信玄の存在をアピールすることで援護する。それを見た勝頼は、ますます怒りを募らせる。

映画『影武者』の結末・ラスト(ネタバレ)

夜になっても戦は続き、緊張の糸が張り詰める。暗闇で怒号と銃声がこだまし、慌ただしく陣形が移ろう。数人の兵が、影武者を守って命を落とす。やがて落城は成功するが、勝頼は不満を露わにする。勝利を導いたのは自分の力ではなく、父の幻影であると分かっていたのだ。

帰宅した影武者は、屋形の生活にも馴れ、竹丸との仲を一層深めていた。ところが、黒雲に乗ろうとして振り落とされてしまい、さらには信玄の背中にあるはずの傷がないことまで指摘されてしまう。観念した旗本たちは、ついに影武者の正体を明かし、勝頼を御屋形とすることに決める。影武者は屋形を追いだされる。

信玄の仮葬儀が行われる。影武者は、遠くからその様子を眺め、幼い竹丸の俯く姿に胸を痛める。家康と信長は、三年もの間謀られていたことに驚きを隠せない。

勝頼が長篠に出陣する。武田の滅亡を予感させるその動きを、旗本たちは必死に止めようと説得するが、勝頼は聞く耳を持たない。

徳川の連合軍による鉄砲隊の攻撃は、武田軍を壊滅させた。その様子を影から見ていた影武者は、心苦しいあまりに敵前に飛びだす。砲撃を受け、必死で川に逃げ込むと、そこには風林火山の旗が沈んでいた。旗に手を伸ばすも命は尽き、その横を流されてゆく。

映画『影武者』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)

ラストシーンは、影武者の表情から川の水の色まで印象深い。流れる川然り、何度も挟まれる空模様のインサート然り、本作は無常の性質を持つものをしつこく登場させる。このような懇切丁寧な演出に加え、コントのような簡潔なストーリー展開となっているため、三時間という大作でありながら、こんがらがることなく非常にさっぱりとした後味が残った。

影武者が敵前に飛びだし、亡霊のように進む様は、『』の秀虎が天守からゆらりと降りてくる場面と酷似している。黒澤が執心し、こだわり抜いたシーンなのだろうと思うと、微笑ましい気持ちになった。(MIHOシネマ編集部)


賛否両論ある今作。黒澤明監督の作品でキャストには山崎努や仲代達矢、荻原健一に根津甚八などかなり豪華な演技派俳優が揃っています。武田信玄とその「影武者」、そして信玄の家族の物語である今作は邦画とは思えないほど壮大な世界観でした。カメラワークも素晴らしく「魅せる」という言葉がぴったりです。
大きな盛り上がりはありませんが、それがまた寡黙な「男」の世界を表している気がしてとても楽しめました。より深く理解するために何度も見たい作品です。(女性 30代)


偉大な武将・武田信玄の死を隠すために用意された影武者の男が、やがて本当に「信玄」としての生き方を求められるという展開に心を奪われました。自分が何者か分からなくなりながらも、最期まで家臣たちを守ろうとする姿が胸を打ちました。ラストの滅びの美学が、黒澤映画らしくて圧巻でした。(20代 男性)


影武者が少しずつ武田信玄に成り代わっていく過程がリアルで、演技とは何か、人間とは何かを考えさせられました。彼が「信玄」になりきれずに苦しみ、最後には役割を超えた自我を持つようになる流れが悲しくも美しい。映像の重厚感も素晴らしく、黒澤監督の力量に改めて圧倒されました。(30代 女性)


武田信玄の影武者として生きることを強いられた男の運命に、ただただ切なさを感じました。本物の信玄を演じることで、彼自身もまた武田家の一部となり、滅びゆく運命を背負う。特にラスト、屍を越えて歩む影武者の姿が忘れられません。黒澤映画の中でも特に深い絶望感を感じる一本でした。(40代 男性)


最初は単なる歴史ドラマかと思っていましたが、次第に「個人とは何か」という哲学的なテーマに引き込まれました。影武者がただの替え玉から、真の「信玄」となろうとする姿は涙なしには観られません。大規模な戦闘シーンも見応えがあり、日本映画の底力を感じさせる作品でした。(20代 女性)


黒澤明監督らしい、壮大で緻密な歴史絵巻でした。影武者が「武田信玄」を演じ続けることで、いつしか彼自身が失われていく過程がとても切なかったです。ラストの破滅的な展開も見事で、武田家と共に消えていく影武者の姿が心に深く残りました。何度も噛みしめたくなる名作だと思います。(50代 男性)


影武者の孤独と葛藤が、全編にわたって痛いほど伝わってきました。自分の存在を否定され、誰かになりきる苦しみ。それでも彼は最後まで家臣たちを守ろうとした。その姿には、計り知れない悲しみと誇りがありました。映像の重厚さと圧倒的な演出に、ただただ脱帽です。(40代 女性)


一人の無名の男が、歴史の中で大きな役割を演じることを強いられる物語に、強く胸を打たれました。影武者が命をかけて武田家を守ろうとする姿は、単なる代役ではなく、彼自身の生き様だったのだと感じます。壮大なスケールの中にも、人間の小さな誇りが輝く名作でした。(30代 男性)


最初は戦国ものらしい重厚な歴史劇として観ていましたが、後半に進むにつれて、影武者の心理描写に心を奪われました。自分が自分でなくなる恐怖、それでも誰かを守るために生きる選択。黒澤明監督らしい人間ドラマがしっかりと根付いていて、深い余韻を残してくれました。(50代 女性)

映画『影武者』を見た人におすすめの映画5選

累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『影武者』を見た人におすすめの映画5選を紹介します。

この映画を一言で表すと?

壮絶な裏切りと滅びを描く、黒澤明の集大成的戦国絵巻。

どんな話?

戦国大名が三人の息子に国を譲ろうとしたことから起こる裏切りと血みどろの争いを描いた、シェイクスピアの「リア王」をベースにした重厚なドラマ。衰えゆく父の孤独と家族の崩壊を、圧倒的な映像美で描き出します。

ここがおすすめ!

絢爛豪華な衣装と壮大なロケーション、そして黒澤監督ならではの圧巻の戦闘シーンが魅力。『影武者』で感じた「滅びの美学」に心打たれた方には、さらに深い絶望と美しさに浸れる必見の作品です。

七人の侍

この映画を一言で表すと?

人間ドラマとアクションが融合した、日本映画史上最高峰の傑作。

どんな話?

野武士から村を守るため、農民たちが雇った七人の侍たちの戦いを描く物語。個性豊かな侍たちが命をかけて戦う姿は、単なるアクション映画を超えた深い人間ドラマを生み出しています。黒澤明監督の代表作の一つ。

ここがおすすめ!

迫力のあるアクションと、侍たちそれぞれの生き様が胸を打ちます。『影武者』で味わった人間の尊厳や運命に対する深い視線を、さらに力強い形で感じ取れる、何度でも観たくなる名作です。

椿三十郎

この映画を一言で表すと?

粋で軽妙、しかし重厚な人間ドラマを描いた痛快時代劇。

どんな話?

正義感に燃える若侍たちと、飄々としながらも圧倒的な剣術を持つ浪人・椿三十郎が腐敗した権力に立ち向かう痛快ストーリー。軽妙なテンポとシリアスなテーマのバランスが絶妙な時代劇です。

ここがおすすめ!

人間の弱さやずるさを鋭く描きながら、痛快なアクションも楽しめます。『影武者』のようにシリアスな歴史ドラマが好きな方に、少し軽やかでありながら深みのある人間描写を楽しんでほしい一作です。

羅生門

この映画を一言で表すと?

「真実とは何か」を問いかける、世界映画史に残る傑作。

どんな話?

森の中で起こった侍の殺害事件を、関係者それぞれの視点から描き、全く異なる証言が浮かび上がる物語。人間の欲望と自己保身が真実を歪めていく様を、鋭く描き出しています。黒澤明監督の国際的ブレイク作品です。

ここがおすすめ!

真実の多面性、人間の本質を描き出す深いテーマ性が魅力。『影武者』で描かれた「表と裏」のテーマに惹かれた方には、必ず観てほしい、鋭くも普遍的な問いを投げかける名作です。

英霊たちの応援歌 最後の早慶戦

この映画を一言で表すと?

青春と命の輝きが交錯する、感動の戦時青春ドラマ。

どんな話?

第二次世界大戦末期、出陣前の学徒たちが、最後の早慶戦を戦う姿を描いた青春群像劇。友情、誇り、そして避けがたい運命を胸に、若者たちは最後の試合に挑みます。切なさと美しさが同居する物語です。

ここがおすすめ!

死と隣り合わせにある青春の尊さが胸を打ちます。『影武者』で感じた「運命に立ち向かう人間の尊厳」に感動した方に、別の角度から同じ感情を呼び起こしてくれる作品としておすすめです。

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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