映画『紙屋悦子の青春』のネタバレあらすじ結末と感想 | MIHOシネマ

「紙屋悦子の青春」のネタバレあらすじ結末と感想

紙屋悦子の青春の概要:劇作家、松田正隆の舞台戯曲を黒木和雄監督が映画化。昭和20年春、特攻基地のある鹿児島県米ノ津町に兄夫婦と暮らす悦子に縁談の話がくる。その話を持ってきたのは、悦子が密かに思いを寄せる明石少尉だった。

紙屋悦子の青春の作品情報

紙屋悦子の青春

製作年:2006年
上映時間:111分
ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ、戦争
監督:黒木和雄
キャスト:原田知世、永瀬正敏、松岡俊介、本上まなみ etc

紙屋悦子の青春の登場人物(キャスト)

紙屋悦子(原田知世)
紙屋家の長女。両親は3月の東京大空襲に巻き込まれ亡くなっている。兄夫婦と鹿児島県米ノ津町に住み、近くの鉄道の駅で仕事をしている。明石少尉に密かに想いを寄せている。
永与少尉(永瀬正敏)
帝国海軍所属の整備兵。明石少尉の勧めで、悦子とお見合いをする。実は以前、紙屋家に訪れた時に悦子を見て、一目惚れをしていた。
明石少尉(松岡俊介)
帝国海軍所属の飛行兵。悦子の兄、安忠の後輩で、よく紙屋家に出入りをしている。悦子に想いを寄せているが、特攻に向かう身の上ゆえ、友人の永与に悦子を勧める。
紙屋ふさ(本上まなみ)
悦子の義姉。悦子とは女学校時代の同級生で、女学生時代はいつも一緒にいるほど仲がよかった。悦子と一緒に居たいから安忠と結婚をしたと冗談を言い、安忠に怒られる。
紙屋安忠(小林薫)
悦子の兄。軍事工場の技術主任。後輩の明石少尉を可愛がっている。空襲で技師が死んでしまったため、熊本の工場へ徴用される。

紙屋悦子の青春のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『紙屋悦子の青春』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

紙屋悦子の青春のあらすじ【起】

冬の夕刻、老夫婦が、人気のない病院の屋上のベンチに座っている。二人は、訥々と色々なことを話す。風の冷たさのこと、離れて住む息子のこと、この病院までの道のりのこと。妻は点滴の時間を気にするが、夫はもう少しここにいたいと言う。それじゃあと、二人はベンチに佇む。沈む夕日を眺めながら、あの山の向こうに、きっと海があるという妻。夫は、風景の中に公園の桜の木を見つける。そして、米ノ津の家に桜があったことを思い出す。戦争のあった頃を思い出す。「なして戦争のあったとやろか?」と妻は言う。「なんで、おいは生きとるやろか?」と言う夫に、妻は「死んだら何もならん」と言う。そんなことを言いながら二人は、夕焼けに染まる雲を見て、山の向こうに想いを馳せるのだった。

昭和20年3月30日、鹿児島県米ノ津町。仕事からなかなか帰ってこない悦子を心配しつつも、先に夕食を始める兄夫婦。兄、安忠は、悦子に縁談があることを妻、ふさに話す。家に出入りしている明石少尉の紹介で永与という男らしい。そして明日、明石少尉が、その永与を連れてくると言う。しかし、二人ともその永与という男に覚えがない。ふさは、明石少尉の方が良いじゃないかと言う。

役場からの来訪者があり、安忠は玄関で話をする。そして、悦子が帰ってくる。ふさは明日のお見合いのために、戸棚から良いお茶を出してくる。かつて父が、静岡で買ってきたお茶だった。飲んで見ると、それは美味しいお茶だった。安忠は、ようやく明日見合いの話があることを悦子に伝える。悦子も永与という男に、見覚えはなかった。しかし、明石からの紹介と聞いて、会ってみることを決めるのだった。

紙屋悦子の青春のあらすじ【承】

役場からの話は、安忠に急遽、熊本の工場に行って欲しいというものだった。明日はお見合いがあるのだが、徴用なら仕方がなかった。悦子はふさに、身の回りのこともあるだろうから、兄と一緒に熊本に行くように勧める。明日はお見合いがあるからと言うふさに、悦子は一人でも大丈夫だと言う。

三人が飲んでいる美味しいお茶は、父が母のためによく買ってきたものだった。父の思い出話をし、笑い合う三人。空襲警報が出る前に用意を始めようとする安忠をふさは引き止め、お茶をじっくり飲むのだった。

翌日、明石少尉と永与少尉が紙屋家にやってくる。玄関で、声をかけるが返事がない。明石は、家の中に勝手に上り込む。他人の家に入ることを躊躇する永与だったが、明石に言われ、部屋で待つことにする。待っている間、二人はお見合いの進め方を検討する。ある程度したら先に帰ると、明石は言う。そして明石は、特攻に志願することを永与に話すのだった。

派手な音がして、悦子が勝手口に帰ってくる。ブツブツ文句を言いながら部屋に入ってくると、二人がいる。驚く悦子。ほっかむりを取り、前掛けを外し、少し身なりを整えて、改めて挨拶をする悦子。時間を勘違いしていたことを詫び、兄夫婦が熊本に行っていることなどを明石に話す悦子。その間、永与は悦子をボーと見つめているのだった。永与は、明石から話をしろと言われ、悦子に趣味を聞くが、悦子には趣味はなく、話はあっさり終わる。間のもたない悦子は、お茶を入れに台所に向かう。昨晩の静岡のお茶を淹れ、二人におはぎを勧める悦子。そして、おはぎを食べた明石は、用を足しに便所に立つのだった。

紙屋悦子の青春のあらすじ【転】

二人きりになった悦子と永与は、話すことがあまりない。悦子に出身を聞かれ、長崎の平戸だと答え、その後に暗記してきた自分の略歴をつらつらと話す永与。実は、この間に明石はこっそり帰っていたのだった。二人は、そのことに気づいてはいない。会話が途切れ、少し気まずくなった永与は、戻ってこない明石の様子を、トイレに見に行く。トイレのドアを叩くが返事がない。悦子は、はたと気づき玄関へ行ってみると、明石の靴はなかった。部屋に戻り、明石が帰ってしまったことを、悦子は永与に伝える。さらに気まずくなる二人。永与がお茶を飲み干せば、悦子がお茶を注ぎ、注がれた先から飲み干す永与。お茶ばかり飲む永与に、悦子は「お嫌いですか?」と聞く。永与は「一度ここでお会いした時から…」と勘違いして答える。そして、悦子の「おはぎ?」を聞き、永与は慌てて「大好きです」と答え、おはぎを頬張る。その姿を見て微笑む悦子。悦子は、両親が空襲で死んでしまったことを話す。そして「不束者ですが、よろしくお願いします」と、頭を下げるのだった。

帰りがけ、永与は悦子に「あなたをもう一人にはしない」と告げ、紙屋家を去るのだった。その夜、兄への手紙を書いていた悦子は、波の音を聞く。海までは遠いはずなのに聞こえたと言う。そして、その波の音を聞いていると、一人でいても寂しくなかったのだ。

一週間後、玄関先の桜は満開になっていた。今日は安忠が休暇をもらって帰ってくる日だった。夕飯に、赤飯とらっきょうを用意するふさ。赤飯とらっきょうを食べたら、空襲の爆弾に当たらないという噂話を信じているのだった。安忠が帰ってくるが、ふさは帰りの遅いことに腹を立てる。更に、休みは一日だけということにも腹を立てるのだった。安忠は、自分たちが兵器を作らないと日本が負けるじゃないかと言うが、ふさは負けても良いと言う。ふさは「赤飯は赤飯らしく、らっきょうはらっきょうらしく食べたい」と言うのだった。そんな紙屋家に、明石が訪ねてくる。

紙屋悦子の青春の結末・ラスト(ネタバレ)

安忠は明石に会うのは、久しぶりだった。悦子やふさを交え談笑し、酒を酌み交わす二人。そして明石は膝を正し、沖縄奪還作戦に参加することを告げる。それは、特攻隊として出撃することを意味していた。ふさは気をきかせ、安忠と部屋を出て、悦子と明石の二人きりにしてやる。こんな時、何を話せば良いのか分からない悦子は、うっかり「どうぞ、ご自愛ください」と言ってしまう。玄関先で明石を見送った後、ふさは悦子に追いかけなくていいのか?と聞くが、悦子はそのまま家に入り、泣きくずれるのだった。

三日後、永与が訪ねてくる。転属になり、この土地を離れると言う。永与は、異動の前に、平戸から両親が出てくるので会って欲しいと悦子に言う。会うことを承諾する悦子。そして、永与は明石からの手紙を悦子に差し出すのだった。明石はもういないから、明石の分まで悦子を大切にすると言う永与。それに対し悦子は、待っているから、きっと迎えに来てくださいと言うのだった。

病院の屋上で、老夫婦は日が暮れるまでいた。周りはすっかり暗くなり、寒くなったから帰ろうと言う夫。帰りかけて、ふと波の音が聞こえる二人。寄り添いあい、波の音を聞く老夫婦。昭和20年の米ノ津の二人にも、波の音が聞こえているのだった。

この記事をシェアする