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映画『家族のレシピ』のあらすじ・感想・評判・口コミ(ネタバレなし)

真人は父の和男と和男の弟の明男とともに、群馬県高崎市でラーメン屋を営んでいた。ある日、和男が急死してしまう。真人は父の遺品の中から、幼い頃に亡くなった母の日記を見つける。真人は両親が出会ったシンガポールへ行くことにした。

映画『家族のレシピ』の作品情報

家族のレシピ

タイトル
家族のレシピ
原題
Ramen Teh
製作年
2017年
日本公開日
2019年3月9日(土)
上映時間
89分
ジャンル
ヒューマンドラマ
監督
エリック・クー
脚本
ウォン・キム・ホー
製作
橘豊
フォンチェン・タン
ジュシアン・ハン
山口晋
エリック・ル・ボット
製作総指揮
不明
キャスト
斎藤工
マーク・リー
ジネット・アウ
伊原剛志
別所哲也
ビートリス・チャン
松田聖子
製作国
シンガポール・日本・フランス合作
配給
エレファントハウス

映画『家族のレシピ』の作品概要

日本とシンガポール、外交関係樹立50周年記念して制作された作品。監督を担当したのは、シンガポールの映画界を牽引するエリック・クー。フジテレビ系列の連続ドラマ『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』で一躍トップ俳優の仲間入りを果たした斎藤工が主演を務め、歌手として活躍している松田聖子が共演している。料理も物語の中で重要な位置を占めており、「ベルリン国際映画祭 キュリナリー・シネマ部門(食をテーマにした作品を扱う)」で高い評価を得ている。

映画『家族のレシピ』の予告動画

映画『家族のレシピ』の登場人物(キャスト)

真人(斎藤工)
幼い頃、シンガポールに暮らしていた。大人になった現在は、父と叔父と共にラーメン屋を営んでいる。
ウィー(マーク・リー)
真人の母である、メイリアンの弟。シンガポールで食堂を営んでいる。
メイリアン(ジネット・アウ)
シンガポール人。真人の母親。真人が10歳の頃に亡くなっている。
和男(伊原剛志)
日本人。元板前。ラーメン屋の店主。息子である真人とあまり会話がない。シンガポールでメイリアンと出会い、恋に落ちる。
マダム・リー(ビートリス・チャン)
メイリアンの母。日本人のことを良く思っておらず、メイリアンと和男の結婚に反対する。
美樹(松田聖子)
真人の友人。シンガポール在住で、フードブロガーとして活躍している。シンガポールに訪れた真人の手助けをする。

映画『家族のレシピ』のあらすじ(ネタバレなし)

群馬県高崎市。真人は父の和男と和男の弟の明男とともに、ラーメン屋を営んでいた。真人の母のメイリアンは、真人が幼い頃に亡くなっていた。和男は真人に母のことを話そうとはしなかった。そんなある日、和男が急死してしまう。

真人は父の遺品を整理し、母の日記や写真などを見つける。真人は前に進むためにも、両親が出会った場所であるシンガポールを訪れることにした。シンガポール在住のフードブロガーである美樹に会い、協力を求めた。

真人はメイリアンの弟のウィーが営む食堂に辿り着く。そこには、バクテーと呼ばれる料理があった。真人はバクテーの味に懐かしさを感じ、ウィーに作り方を教えてもらうことにした。そんな中、母と祖母の間に確執があったことを知る。

映画『家族のレシピ』の感想・評価

日本とシンガポール、外交関係樹立50周年記念作品

日本はシンガポールに対して、開発支援を行ったり貿易相手国として交流を盛んに行ったりしている。また、文化交流も盛んで、シンガポールから日本へ留学する人や旅行をする人など近年増加傾向にある。2002年に日本初となる経済連携協力「日本・シンガポール新時代経済連携協定」を結ぶなど、日本とシンガポールの関係は良好とも言える。

近年の関係は良好だが、戦争時には日本がシンガポールを占領していたこともあった。日本は中国系住民を殺害するなど、住民達の心に深い傷を残した。シンガポール在住の高齢者の中には、戦時中の記憶から日本を嫌厭する者がいることを忘れてはならない。主人公の祖母であるマダム・リーが、そんな高齢者を表すキャラクターとして描かれている。

食欲をそそる作品

物語の中で「食」が重要な位置を占めている。主人公の真人は家族と共にラーメン屋を営み、亡き母の弟は食堂を営んでいる。また、真人を助ける美樹はフードライターとして活躍している人物である。また、バラバラだった家族を纏めるために、ある料理が使われている。物語の主要人物のほとんどが「食」に関わる仕事に就いているため、思わず食べたくなるような美味しそうな料理がたくさん作品内に登場する。

ラーメンは日本人の日常生活の中に溶け込んだ、大衆向けの料理である。バクテーと呼ばれる料理は、日本人にとってあまり聞き馴染みがないかもしれない。しかし、ファーストフードや薬膳料理として、シンガポール人の生活に浸透しているものである。まさしく、日本人にとってラーメンの位置づけにある料理である。作品を見て、どんな料理なのか確認して欲しい。

日本人の父とシンガポール人の母を持つ主人公

主人公の真人は、日本人の父とシンガポール人の母の元に生まれたハーフである。真人自身も10歳まではシンガポールに暮らしていたが、幼いが故に忘れた記憶もある。真人は両親の足跡を辿るためにシンガポールを訪れるのだが、それは彼自身のルーツを辿る旅でもある。両親はシンガポールで出会い、どのようにして恋に落ちることになったのか、祖母はどんな思いを胸に母達の結婚を反対することになったのか、真人は旅を通じて知ることになる。

シンガポールと聞くと掃除が行き届いた綺麗な街で、マーライオンがあってというイメージが思い浮かぶかもしれない。この作品はそんな表面的なことだけではなく、シンガポールの人々がどんな食べ物を食べてどんな思いを抱いて生活しているのか、深い部分が知れる作品になっている。

映画『家族のレシピ』の公開前に見ておきたい映画

映画『家族のレシピ』の公開前に見ておきたい映画をピックアップして解説しています。映画『家族のレシピ』をより楽しむために、事前に見ておくことをおすすめします。

TATSUMI マンガに革命を起こした男

エリック・クーが監督・制作として作品に携わっているアニメーション作品。辰巳ヨシヒロ原作の自叙伝的漫画『劇画漂流』と短編漫画を元に制作された。辰巳ヨシヒロ自身がナレーションを担当している。俳優の別所哲也が声優を担当しており、1人で6役を演じた。「第8回ドバイ国際映画祭 ムハ・アジアアフリカ長編部門・最優秀作品賞」を受賞している。

辰巳ヨシヒロは子供向けだった漫画に革命を起こし、「劇画」を生み出した。その誕生の秘密がここにあった。『地獄/HELL』、『いとしのモンキー/BELOVED MONKEY』、『男一発/JUST A MAN』、『はいってます/OCCUPIED』、『グッドバイ/GOOD-BYE』の5つの短編が収録された作品。

詳細 TATSUMI マンガに革命を起こした男

昼顔

斎藤工の代表作。フジテレビ系列で『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』の題名で連続ドラマとして放送されていた。2014年の「新語・流行語大賞」の候補に「昼顔」がノミネートされるなど、大きな社会現象を巻き起こした作品。斎藤工は主要人物の1人である北野裕一郎を演じ、一躍有名になった。本作はその劇場版作品で、ドラマから3年後が描かれている。

紗和は夫がいる身でありながら、妻がいる北野裕一郎と恋に落ちてしまった。2人の不倫関係は周囲に知れ渡り、紗和は離婚をして仕事や住む家をなくした。北野は妻の元へと戻り、紗和は彼のことを忘れて1人で生活を送ることになった。そんなある日、紗和は北野と再会してしまう。会ってはいけないと分かっていながらも、2人は離れることができなかった。

詳細 昼顔

火垂るの墓

松田聖子が出演しており、主人公・清太の母を演じている。『火垂るの墓』は野坂昭如原作の短編小説で、作者の戦争体験を元に書かれたものである。1988年に高畑勲が監督・制作を担当し、アニメ映画が公開された。2005年には終戦60年を記念し、日本テレビ系列でスペシャルドラマが放送された。松田聖子が出演したのは、2008年に公開された実写映画版である。清太の設定や母の亡くなり方など、原作やアニメ版とは異なる部分もある。

1945年6月の神戸。清太は妹の節子を背負い、焼け落ちた家から逃げた。母を亡くしてしまった兄妹は遠縁の家を頼った。そこでの生活は決して楽なものではなく、遠縁の未亡人から辛く当たられる日々が続いた。清太は14歳という幼さではあったが、4歳の妹を守るために奮闘した。

詳細 火垂るの墓

映画『家族のレシピ』の評判・口コミ・レビュー

映画『家族のレシピ』のまとめ

日本とシンガポール、2つの国を通じてある家族の愛の物語が描かれている。主人公の真人は会ったことがなかった祖母と会い、両親が結婚に反対されていたことを知る。シンガポールに暮らす高齢者達の中には、戦争で負った心の傷が癒えない者もいる。学校の授業や本では分からない、人の思いや考えを感じられる作品だと思う。心に沁み渡るような素晴らしい料理がたくさん作品内に登場する。自分にとっての思い出の料理やおふくろの味などを思い出しながら見て欲しい。

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