この記事では、映画『私の頭の中の消しゴム(2004)』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『私の頭の中の消しゴム(2004)』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『私の頭の中の消しゴム』の作品情報

上映時間:117分
ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ
監督:イ・ジェハン
キャスト:チョン・ウソン、ソン・イェジン、ペク・チョンハク、パク・サンギュ etc
映画『私の頭の中の消しゴム』の登場人物(キャスト)
- チェ・チョルス(チョン・ウソン)
- 背が高く体格の良い男性。手先が器用で粗暴な印象を受けるも、実はとても心優しい。強い意志の持ち主で、スジンの面倒を一生見ようとする。建築士。
- キム・スジン(ソン・イェジン)
- 健忘症でちょっとうっかりしている時がある。後にアルツハイマーと診断されてしまう。お茶目で可愛らしい女性。過去に不倫していた経験あり。
映画『私の頭の中の消しゴム』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『私の頭の中の消しゴム』のあらすじ【起】
会社の上司と不倫していたキム・スジンは、不倫相手と駆け落ちの約束をしていたが、相手に裏切られ失意のうちに戻って来た。実家に戻ると両親は何も言わずに受け入れてくれたが、会社では部署の異動を命ぜられ肩身の狭い思いをしている。
そんな娘を気遣ってか、建築会社の社長である父親と食事へ向かうことになった。
現在、建築中のビルの視察をすると言い、父親と一緒に建築現場へとやって来たスジンは、そこで見知った顔を見つける。背の高い男性とは不倫相手に裏切られた夜、コンビニにて間違って彼のコーラを横取りしてしまったことがあるのだ。結局、謝ることもできずにいる。
そんなある日、仕事で店舗の改築に業者が必要となり、スジンは父親に頼んで改築業者を呼んでもらった。やって来たのはなんと、あの男性である。彼女は居たたまれなくなり、一旦姿を隠した。彼が早速、店舗の改築を始めたのでコーラを買いに行くスジン。自販機の受け取り口に出てきたコーラを取り出そうとした時、横から伸びて来る手。彼だった。あの夜の仕返しをされ、スジンは茫然とする。
その帰り、男性に声を掛けられたスジンはタクシーで帰ろうとして、ひったくりに遭う。それを助けてくれた彼のオンボロ車に乗せられて帰路につく。スジンはようやく、男性チェ・チョルスに謝ることができた。
後日、彼の跡を尾行し女友達と偶然を装い、チョルスの前に姿を現したスジン。2人はまるで運命であったかのように、会った瞬間から惹かれていた。晴れて恋人同士となったスジンとチョルスは健全なデートを重ねる。
チョルスは建築士を目指していた。スジンは彼のためにスーツを手作りしてプレゼント。彼は無事に試験を受けた。

映画『私の頭の中の消しゴム』のあらすじ【承】
そんなある日、スジンの父親が彼に会いたいと言い始め、チョルスとスジンは結婚について口論となる。2人は何日も話し合いを続けた。1人の人生を背負う自信のないチョルス。業を煮やしたスジンは、密かに家族を食事の場に呼んだ。しかし、それでもチョルスは無言のままである。スジンはがっかりしてしまいトイレへ行った後、意識を失ってしまう。
倒れたスジンを真っ先に救ったチョルスと娘の姿を見たスジンの父親は、2人の結婚を許すことにした。
建築士となったチョルス。彼は昔、世話になった会社の会長から、大きな契約を貰い結婚生活も順風満帆だった。そんな中、スジンは近頃家への帰り道が分からなくなると友人達に漏らし始める。自宅へと恐る恐る帰ったスジン。台所が最新式のものに変わっていることに驚く。健忘症の彼女のために、チョルスが作ってくれたのだった。
スジンは健忘症が酷くなっていることを自覚し病院へ。検査を受けることになった。
一方、チョルスは自分の事務所を設立。家も新築しようと楽しげにスジンと相談する。
そんな折、スジンの願いでチョルスが育った寺へ向かった2人。寺の住職は非常に厳格な人物で、チョルスに大工の基礎をみっちりと教え込んだのだと言う。住職は高齢となっていたが、相も変わらず矍鑠としていたのであった。
チョルスが席を外していた時、住職からチョルスに母親がいると知らされたスジン。夫は一言も母親のことを口にしたことが無かったため、いないものと思っていたが、何らかの理由で会わなくなったらしい。
その日の夜、夫が寝入った隙を見計らって、彼が絶対に開けるなと言っていた抽斗を開けることにしたスジン。中には母親と思しき女性の書類が詰まっていた。
映画『私の頭の中の消しゴム』のあらすじ【転】
後日、スジンは書類の住所を尋ねる。家や家具は全て差し押さえの赤札が貼ってあった。
自宅へ戻り、チョルスと話し合いをするも、彼は未だに母親のことを許してはおらず、激情に晒されてしまう。それでも、スジンは泣きながらチョルスを説得した。
彼は考えを改めて母親へ会いに行った。母親は刑務所に入っており、面会に来た息子へと罵詈雑言を浴びせる。チョルスは悩んだ末に、稼いで貯めたお金で土地を買い、家を建てるつもりだったが、母親の借金を全て肩代わりした。
そのせいで一文無しとなってしまったが、スジンには全く困った様子はなく、前向きに笑っていた。彼は彼女の笑顔に救われる思いだった。
一週間後という受診の予定を忘れ、半月後に思い出して病院へやって来たスジン。今日の日にちすら思い出せず、妹の歳も誕生日も答えられない。スジンはようやくMRI検査を受けた。
一方、会社ではかつて不倫をしていた上司が、降格扱いとなってスジンの前に現れる。彼女は何も覚えていないと言い、かつての不倫相手の前から立ち去った。
検査結果が出たため、病院へ来たスジン。医師からはアルツハイマー病と診断される。スジンはまだ27歳だったが、若いゆえに進行が早く、身体的な死よりも精神的な死の方が早く訪れると言われてしまう。あまりにショックな診断結果であるため、彼女は夫に病名を明かすことができなかった。
スジンは会社を辞め、主婦に専念することにした。チョルスは妻の異変に気付いてはいたが、無理に問い詰めることはせず、密かに病院へ。医師から病名を聞いて愕然とする。
その頃、外出したスジンは歩道を歩いていて突如、自分がどこにいるか分からなくなってしまう。
警官に保護されたスジンは、歩道の向こうから現れた不倫相手に出会い、手を差し伸べる。相手は関係をやり直そうと言ってくるも、彼女の頭は2年前より前に戻っている。スジンはふと、思い出して息を飲むと不倫相手の前から走り去った。
病院から出た直後、チョルスの携帯にスジンの携帯から着信がある。だが、相手はスジンではなく、落とした携帯を拾った者だと言う。チョルスは街中を探し歩き、辺りが暗くなった頃、思い出の場所であるバッティングセンターで妻を発見した。
映画『私の頭の中の消しゴム』の結末・ラスト(ネタバレ)
夫の様子から病名を知ったのだろうと察したスジンは悲しげな笑みを見せ、自分の頭の中に消しゴムがあるのだと言った。彼女は夫と別れることを告げる。しかし、チョルスは自分が覚えておくからと別れを承諾しない。夫婦は互いに泣きながら、言い分を述べ続ける。
これから先、スジンはチョルスとの思い出も、全て忘れてしまうだろう。それでも、チョルスはずっと傍にいると妻を励ました。
チョルスはスジンの名札を作り、毎朝の投薬を管理。家の至る所にメモを貼り付けた。
その日は祝い事があり、家族を呼んでいるから早く帰れと言われたチョルス。一先ずは仕事へ向かった。
スジンは料理に専念するも、ふと前後不覚となる。そのタイミングで会社の荷物を持った不倫相手が家を訪問する。彼女は彼を夫だと思い、中へ招き入れてしまう。
その場に帰宅したチョルスは、怯える妻を見て不倫相手を外へ連れ出し、嫉妬から一方的に殴ってしまう。スジンには不倫相手の方が深い思い出となっている。それが悔しかった。彼女は混乱してしまい気絶。外で乱闘中に家族がお目見えし、スジンの病気が明らかとなる。
スジンの父親は、娘の面倒は自分達で見ると言う。しかし、チョルスは自分が全ての面倒を見ると覚悟を決めていたため、頑として聞かず。意識を取り戻したスジンは、起き出しにお漏らしをしてしまう。チョルスは彼女を部屋へ戻し、泣きながら世話をするのだった。
アルツハイマーとは最近の記憶から消えていく。スジンの頭には最早、チョルスとの思い出はなく、昔の恋人の名前で呼ばれる。気持ちが折れそうになるチョルス。
そんなある日、自宅にてふと我に返ったスジン。彼女は自分の現状に絶望し、正常でいられる間に愛する夫へと必死に手紙を書いた。そうして、彼の前から忽然と姿を消したのである。
しばらく後、1通の手紙が届く。正気に戻った記念にとスジンが書いた手紙だった。チョルスは手紙の住所からスジンが身を寄せる施設を探し当てる。そして、彼女と面会。スジンはもうチョルスのことを忘れているようだ。
彼は初めて出会ったコンビニへ介護士付き添いの元、スジンを連れ出し出会いからやり直す。コンビニの店員や客には家族が扮装していた。スジンは奇跡的にすべてを思い出し、一時ではあるが、チョルスとのデートを楽しむのだった。
映画『私の頭の中の消しゴム』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
けして明るい内容ではないが、それでも奇跡を願わずにはいられない映画である。スジンのアルツハイマー症が悪いタイミングで発症し、昔の不倫相手を夫と間違えたり、夫を別の名前で呼びかけたりするシーンはとても胸が痛くなる。愛する妻の中から自分が消えてしまっても、自分が全てを覚えておくと堅く誓うチョルスの男気には感動してしまった。病気が治る事はなく、この先も困難が多く訪れると想像できる終わり方だが、2人が前向きに生きていけたら良いだろうなと考えさせられる内容であった。(男性 30代)
韓国の映画で、一言で言うと純愛映画です。運命的に出会った少し身分が違う2人が結婚をするんですが、奥さんの方が物忘れが酷くなり若年性アルツハイマー症にかかるというストーリーです。
ストーリー的にはベタで奥さんを献身的に介護する夫なんですが、現実の世界でここまで奥さんを愛して必死に介護する夫が世の中にどれくらいいるのかなと考えさせられてしまいました。(女性 30代)
若くしてアルツハイマーという病気にかかり、日に日に周りのことも、自分のことさえわからなくなっていってしまう主人公。やるせない気持ちや、やり場のない怒りや悲しさで涙がいっぱいになる。とても切なく悲しいストーリーだが、愛に溢れる彼の支えも虚しく、病気の進行には逆らえないことにとても心が痛む。最後まで涙が止まらない、とても感動する作品に仕上がっている。こんなにも涙を誘う作品も、なかなか見つけることはできないのではないだろうか。(女性 30代)
最初は明るくて可愛らしい恋愛映画かと思っていたが、スジンに若年性アルツハイマーが発症してから物語の色が一気に変わり、心がついていけないほど切なかった。チョルスが不器用なまま必死に支えようとする愛の形が、とても残酷で、とても美しい。記憶が消えていくスジンが、最後に彼の名前を思い出せず泣きながら抱きしめるシーンは胸が潰れそうだった。ラスト、病院を出るスジンにチョルスが微笑む姿が愛そのもの。(20代 男性)
スジンが記憶を失いながらもチョルスとの温かな日々を思い出そうとする姿が、本当に痛々しくて涙が止まらなかった。特に、彼を忘れ始めてからの日記のシーンは“書くことで自分をつなぎとめる”必死の行為で胸が締めつけられる。チョルスが強がりながらも、誰よりもスジンを愛しているのが伝わる演技も素晴らしかった。ラストは悲しいけれど、二人の絆を深く感じた。(30代 女性)
観る前から泣ける映画とは知っていたが、想像を遥かに超える破壊力だった。スジンの症状が進むにつれて、彼女の世界から色が失われていく様子が丁寧に描かれていて、その喪失感は観ている側にも伝染する。チョルスが怒ったり泣いたりしながらも彼女を守り続ける姿は、本当に愛がなければ無理だと思った。結末は悲劇なのに、愛の美しさが強く残る。(40代 男性)
恋人が少しずつ自分を忘れていく絶望感がリアルで、胸が張り裂けそうだった。一番つらかったのは、スジンが自分の病気を理解しながら“彼に迷惑をかけたくない”と距離を取ろうとする場面。チョルスの「俺が守る」という言葉には涙が溢れた。ラストの再会シーンでは、記憶は失っても心は残るというメッセージが美しく、静かに泣ける余韻があった。(50代 女性)
この作品は恋愛映画というより、“喪失と向き合う人間の物語”だと思った。スジンが段階的に記憶を失う描写は残酷なくらいリアルで、彼女自身が自分を失っていく恐怖がダイレクトに伝わる。チョルスが彼女のために料理を覚えたり、優しい声をかけたりと、少しずつ変わっていく姿も感動的。ラストは、とても悲しいけれど愛が勝った瞬間だった。(20代 女性)
何度も涙腺が崩壊した。スジンがチョルスとの思い出を忘れてしまう過程は、思っていた以上に心が痛い。とくに彼女が迷子のように彷徨い、チョルスを見ても“誰かわからない”と怯えるシーンは苦しくて直視できなかった。そんな中でチョルスが彼女に優しく寄り添い続ける姿が本当に尊い。悲しいけれど、愛の強さを感じた名作。(40代 女性)
ストーリーそのものはシンプルだが、心を揺さぶる力が圧倒的だった。スジンの病気が進行するにつれ、チョルスがどんどん大人の表情になるのが印象的。元は強面で荒々しい彼が、誰よりも優しくなっていく変化が胸に沁みた。スジンが彼を忘れても、チョルスは一度も離れない。この揺るぎない愛はフィクションを超えて、現実にも影響を残す深さがある。(30代 男性)
映画『私の頭の中の消しゴム』を見た人におすすめの映画5選
永遠の0
この映画を一言で表すと?
“喪失と愛が人生を貫く、涙なしでは観られない家族の物語。”
どんな話?
特攻で亡くなった祖父・宮部の真実を探す若者が、祖父を知る人々を訪ね歩くことで、その“本当の姿”に触れていく。臆病と呼ばれた男の裏にあった強烈な愛情や葛藤が明かされ、家族の絆と人生の選択の深さが胸に迫る。静かで厚みのある感動作。
ここがおすすめ!
恋人を失っていく『私の頭の中の消しゴム』と同じく、“愛する人を守りたいのに守れない残酷さ”を描いている。家族や愛の本質を静かに照らす作品で、観終わると胸が熱くなる。涙と余韻が長く続くタイプの映画が好きな人にぴったり。
きみに読む物語(The Notebook)
この映画を一言で表すと?
“記憶を超えて心が結びつく、究極の純愛ラブストーリー。”
どんな話?
療養施設で暮らす女性に、老人が“ある恋人たちの物語”を読み聞かせる。語られるのは、社会階層の違いを超えて愛し合った若い男女の激しく切ない恋。やがてその物語と施設の女性との関係が明らかになり、観客は深い感動に包まれる。
ここがおすすめ!
『私の頭の中の消しゴム』と同じく“記憶を失う恋人を支え続ける愛”を描いた名作。愛の強さや時間の残酷さをこれほど美しく表現した作品は稀。号泣必至で、恋愛映画の金字塔とも言える一本。
世界の中心で、愛をさけぶ
この映画を一言で表すと?
“失われた初恋が大人になった心を揺さぶり続ける、切ない純愛ドラマ。”
どんな話?
恋人を亡くした過去を抱えた男性が、再びその記憶と向き合うことで青春時代の痛みと愛を回想していく物語。オーストラリアの美しい景色と、淡くて儚い初恋の記憶が交互に描かれる。喪失と再生がテーマの深いドラマ。
ここがおすすめ!
“愛する人を失う痛み”を真正面から描いており、『私の頭の中の消しゴム』に強く通じる。涙を誘う描写が多いが、ただ悲しいだけでなく、人生の大切さや愛の重さを静かに伝えてくれる名作。
余命1ヶ月の花嫁
この映画を一言で表すと?
“残された時間を全力で生き抜く、命と愛の真実の物語。”
どんな話?
乳がんに侵された女性と、その彼女を献身的に支える恋人の実話を映画化した作品。結婚式の準備や日々の生活を通じて、二人が“残された時間”をどう生きたのかが丁寧に描かれる。儚くも力強い感動作。
ここがおすすめ!
スジンとチョルスの姿に胸を打たれた人なら必ず響く作品。恋人が病と戦いながら支え合う構図は似ており、リアルな悲しみと愛の尊さがストレートに伝わる。涙を流したいときにもおすすめ。
あと1センチの恋(Love, Rosie)
この映画を一言で表すと?
“すれ違い続ける二人の人生が、切なくも愛しく交差していく物語。”
どんな話?
幼なじみの男女が、好き同士でありながらタイミングや環境が噛み合わず、何度もすれ違いながら成長していく。友情と恋愛の境界線を揺れる心情が丁寧に描かれ、リアルな人生の酸っぱさが際立つ。
ここがおすすめ!
病気ではなく“時間”と“運命”が二人を引き裂く点が新しい。『私の頭の中の消しゴム』のように、どうしようもない状況に抗いながらもつながろうとする男女の姿に胸が締めつけられる。切ない恋愛映画が好きな人に最適。






みんなの感想・レビュー
記憶を徐々になくしていく病気を持つ妻と、それを懸命に支えながら愛を育む夫の、韓国を舞台とした映画。この夫婦はお互いまだ若く、新婚であり、これからまだ楽しい思い出をたくさん作っていこうという矢先に、妻が自身の病気を知ってしまう場面が見ていてつらい。そこから必死に夫と出会ったときの記憶や、身の回りの事を忘れまいと、夫と思い出話をしたり、メモ書きをいたる所に貼り付けるなど、けなげな姿が涙を誘った。愛する人の記憶を失っていく悲しさや悲しみを、見ている人にとても上手く伝えてくる作品だった。