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映画『きいろいゾウ』あらすじネタバレ結末と感想

映画『きいろいゾウ』の概要:『きいろいゾウ』は、直木賞作家の西加奈子による同名小説の映像化作。主演は宮﨑あおいと向井理。田舎の町に住む売れない作家の夫と、動物や植物の声が聞こえる妻の夫婦の絆を描く。

映画『きいろいゾウ』 作品情報

きいろいゾウ

  • 製作年:2012年
  • 上映時間:131分
  • ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ
  • 監督:廣木隆一
  • キャスト:宮崎あおい、向井理、濱田龍臣、浅見姫香 etc

映画『きいろいゾウ』 評価

  • 点数:65点/100点
  • オススメ度:★★★☆☆
  • ストーリー:★★★☆☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★☆☆
  • 設定:★★★★☆

[miho21]

映画『きいろいゾウ』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)

映画『きいろいゾウ』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

映画『きいろいゾウ』 あらすじ【起・承】

売れない作家で、昼は老人ホームで働く夫の無辜歩(通称・ムコ)と、動物や植物の声をきくことができる感受性豊かな妻の妻利愛子(通称・ツマ)は、田舎町に暮らしている。
近所のヤギや、犬、庭のソテツ、地面の蟻、ツマの周りはいろんな声であふれている。

近所に住む老人のアレチは、妻セイカの痴呆が進んでいることをよく愚痴りにやってくる。「豆腐にミロの粉をかける」など愚痴をこぼしはするが、本気で怒っているわけではないので、ツマはこの夫婦をほほえましく見守っている。
その頃、不登校で祖父母の家に滞在している少年・大地や、大地を好きで何かと付きまとう少女洋子とも親しくなる。

ある日、ムコ宛てに一通の手紙が届く。しかしムコは手紙を開けようとはせず、ツマの不安は募っていく。
そんな中、二人は海に出かける。ムコの背中には鳥のタトゥがあるが、ツマはそのタトゥが気になりつつも何も聞き出せない。
ムコは、子供の頃に自殺した叔母の「ない姉ちゃん」の話をした。

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映画『きいろいゾウ』 結末・ラスト(ネタバレ)

ムコが世話をしていた男性が亡くなった。知り合いの「死」をきっかけに、ない姉ちゃんのこと、そして秘密にしている過去の恋人のことなど、過去の傷を思い出してムコは落ち込む。
二人の間の会話はだんだんなくなっていった。ムコが気になるツマは、彼の日記を読んでいた。そしてムコはそのことを知っている。ムコは、「日記の中でしか本当の会話ができない」と思う。

ムコはとうとうあの手紙を読んだ。それは、かつての恋人の夫からの手紙だった。ムコは、引きずっている過去と決別し、ツマと生きていくためにも東京行きを決める。ムコは仕事で編集さんに会いに行くと嘘をつくが、その嘘にツマは気付いている。
二人の関係はぎくしゃくしたまま、ムコは東京へ旅立つ。
かつての恋人は、鳥の絵を描くアーティストだった。ムコの背中のタトゥは、彼女がデザインしたものだったのだ。
手紙を送ってきた夏目は、妻が重度の障害を持っていた娘を亡くしてから激しく落ち込み、抜け殻のように生きているのをどうにかしようとしてムコに助けを求めたのだった。
夏目の妻を愛する切実な願いから、ムコも背中のタトゥを見せて語りかける。彼女はようやく反応する。夫婦の愛を見たムコは、やっと過去と決別するのだった。

一方、ツマはソテツの幹に背を預け、満月に「ムコさんを返してください」と願う。その願いが聞き届けられたからか、それから動物や植物の声が聞こえることはなくなった。

夫婦で歩んでいく決心を固めたムコが東京から戻り、ツマもやっと一番大切なものに気付き、二人はまた穏やかに幸せに暮らしていく。

映画『きいろいゾウ』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『きいろいゾウ』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

過去にとらわれた夫婦が今を生きようとする話

ムコは慕っていた叔母の「ない姉ちゃん」の自殺や、「ない姉ちゃん」に似ていた元恋人を引きずり引きずり、何故かツマと二人で暮らしている。
ツマは、幼いころ病気で入院しており、いつも絵本を読んで、空想の世界で生きていた。その頃に見たという「きいろいゾウの夢」を語り、大人になってもその頃のことを夢に見、動物や植物と会話している不思議ちゃん。

原作を読んでいないし、私が映画から読み取れなかっただけなのかもしれないが、この二人の過去はやたらに語られるのに、当の二人がなぜお互いを好きになり、夫婦になったのかがまったく見えないまま終わった。
むしろ、お互いの大切さに気付いたのは本当にラストになってからで、それまで過去を引きずり倒してきた二人は傷を舐めあっていただけなのだろうか。
傷を持った者同士が、表面上愛し合う夫婦として暮らしてきて、最後にやっと本当の夫婦になれたのだと感じた。

あとは、「子供のまま大人になった」大人が、やっと本当に大人になった話である。過去を引きずったままの主役二人に対して、小学生の大地・洋子は「大人になりたい子供」。でも、大人になりたいけど子供の今をちゃんと生きようとしている。ツマが大人になれたのも、この出会いがあったからなのだろう。

感情が溢れるツマと感情を表に出さないムコ

動物や植物と会話する不思議ちゃんで、近所の老人や子供ともすぐに打ち解けるほど感情豊かなツマ。映画前半は本当に笑顔が多くて、幸せそう。後半になると、ムコへの不信感が募り、不の感情がまさに「爆発」するという感じで、その感情の落差がすごい。
嘘をつくムコに腹を立てたツマは、蛇口をめいっぱいひねり、ムコがそれを止めるのだけど、またさらにひねり、それを止めるムコが蛇口を力いっぱい抑えると今度はガラスのコップを手に取りそれでムコの手をたたきまくり、コップが割れると今度は茶碗をたたきつけるという感情の溢れっぷり。このシーンは狂気を感じた。
反対にムコは感情をほとんど表に出さないタイプ。知り合いの死をきっかけにやっと内にしまい込んでいた感情をさらけだしたくらいで、あとは本当に読めない。だからこそツマを不安にさせ、日記でしか本心を出せなくなったのだと感じた。


向井理と宮崎あおいの雰囲気が作品の世界観に物凄くマッチしていて、その柔らかさと温かさ、優しさを全面から感じ取ることが出来ました。
優しさ故に話せないこと、相手を思うが故に聞けないことなど、どこの夫婦にも有り得る葛藤やモヤモヤを物凄く優しく表現しているので、苦しくならずに安心して見ていられました。
女性はツマに感情移入してしまい、胸が苦しくなるようなシーンもあるかと思いますが、最後は二人らしいハッピーエンドになるのでゆったりした気持ちで見て欲しいです。(女性 30代)


原作は既に読んでいましたが、見事に映像化できたものだと感心しました。どことなく一貫性の無い、白昼夢のような世界観をぴったりと表現できています。植物や雨、動物達と会話するツマさんを見て、自然への敬愛の仕方を学びました。その動物達の声にオーラを感じ調べた所、安藤サクラ、高良健吾、江本佑と豪華俳優が勢揃いしていて大変驚きました。映像と合わせて、素敵な沢山の声を聴いてほしいです。日常のささやかな暮らしこそ、奇跡なんだと思います。(女性 30代)

映画『きいろいゾウ』 まとめ

宮﨑あおい・向井理という人気俳優を主演に据えて、話題にはなったけど好き嫌いが分かれる内容だなあと思った。夫婦の話だからほのぼの系かと思えば後半はかなりドロドロしているし、テーマの割にはいらないシーンが多い。一番は、エンタメ重視の映画にありがちな安易な説明がないこと。だから俳優目当てとか、話題になったからなんとなくとかで観る人にはよくわからないし、この独特の世界観が好きではない人にも耐えられないかもしれないと思った。

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