12000作品を紹介!あなたの映画図書館『MIHOシネマ』

映画『キクとイサム』のネタバレあらすじ結末と感想。無料視聴できる動画配信は?

映画『キクとイサム』の概要:混血児の姉弟が、差別に苦しみながらもたくましく生きる姿を描く。当時のキネマ旬報ベスト・テン第1位を獲得。今井正監督は、等身大の混血児の子役を見つけるために、全国各地を回って探し当てたという。

映画『キクとイサム』の作品情報

キクとイサム

製作年:1959年
上映時間:116分
ジャンル:ヒューマンドラマ、歴史
監督:今井正
キャスト:高橋エミ子、奥の山ジョージ、北林谷栄、三国連太郎 etc

映画『キクとイサム』をフルで無料視聴できる動画配信一覧

映画『キクとイサム』をフル視聴できる動画配信サービス(VOD)の一覧です。各動画配信サービスには2週間~31日間の無料お試し期間があり、期間内の解約であれば料金は発生しません。無料期間で気になる映画を今すぐ見ちゃいましょう!
U-NEXT ×
Hulu ×
Amazonビデオ ×
dTV ×
TELASA ×
TSUTAYA DISCAS ×
ビデオマーケット ×
Netflix ×

※動画の配信情報は2022年5月時点のものです。配信状況により無料ではない場合があります。最新の配信状況は各動画配信サービス(VOD)の公式サイトでご確認ください。

映画『キクとイサム』の登場人物(キャスト)

川田キク(高橋恵美子)
混血児の小学生。同年代の男子たちよりはるかに図体がでかく、肌の色が黒い。町を歩くと好奇の目に晒されるため、外見にコンプレックスを感じている。差別に苦しみ、自殺まで図ってしまう。アメリカに行くより、祖母・しげ子の元で生きることを望む。
川田イサム(奥の山ジョージ)
キクの弟。キクとは違い、周囲と自分との差異については気にしておらず、「クロンボ」と呼ばれても傷つかない。アメリカの家庭に養子として引き取られることに。
しげ子(北林谷栄)
キクとイサムの祖母。二人を娘から引き取って育てる。齢70を迎え、体を痛めて子育てが難しくなり、姉弟をアメリカに養子として出そうと考え始める。
おかつ(岸輝子)
母屋に住む。大事な赤ん坊をキクに預けたところ、キクだけ帰ってきて赤ん坊は行方不明になる。赤ん坊は見つかったが、キクに対しての信頼を一切失う。
清二郎(清村耕次)
川田家の隣に住む。夫婦でキクたちに親切にする。姉弟を養子に出すことについて、彼らを思い猛反対する。
きみえ(朝比奈愛子)
清次郎の妻。夕食の支度を手伝ったり、重い荷物を代わったり、キクを可愛がる。周囲の姉弟への差別を体験して、彼らをアメリカにやるべきだと考え始める。

映画『キクとイサム』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『キクとイサム』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『キクとイサム』のあらすじ【起】

川田キク・イサム姉弟は、他の子供たちより肌が黒く、キクに至っては随分と図体がでかい。彼女は、同年代の男児にも取っ組み合いで負けない。家は貧しいが、祖母・しげ子の元でのびのびと育った。今日も兄弟喧嘩が絶えず、しげ子を困らせている。

川田家は畑仕事で生計を立てていた。高齢のしげ子が腰を痛めている現在、キクは立派な稼ぎ頭だ。二人は、農作物を売るために町へ出る。隣に住む親切な夫婦と遭遇し、妻・きみえも途中まで同行することになる。

町に到着し、二人はきみえと別れる。野菜は順調に売れたが、人々はキクの容姿に釘付けだ。金が貯まったところで、しげ子の腰を診てもらうため、二人は病院に寄る。待合室での視線に耐えられなくなったしげ子は、キクを先に帰す。

しげ子にもらった小遣いを握りしめ、キクは雑貨屋の前で立ち止まると、女性らしい櫛に一目惚れする。買い物をするキクを、やはり通行人が見つめて噂する。

キクについて医者に聞かれたので、娘から預かることになった経緯をペラペラと喋るしげ子。医者は、彼女たちにはアメリカの血が流れているのだから、母国に養子に出すべきだと話す。悩むしげ子。

夜になってもしげ子は帰らなかった。待ちくたびれた姉弟が探しに行くと、しげ子は道中の草むらに座り込んでいた。キクが尋ねると、治療は高額だったため断ったという。代わりに、二人に土産を渡す。姉弟は喜び、先ほどまで喧嘩していたにも関わらず、仲睦まじく会話する。

映画『キクとイサム』のあらすじ【承】

カメラを持った男が突然現れて、キクとイサムの写真を撮りたいという。照れたキクはまともに写らなかったため、男はしげ子を訪ね、キクの写真を要求する。しげ子は、キクが母親と写っているものを数枚見せる。

キクはしげ子に、先ほどのカメラマンについて聞くが、しげ子は話を逸らそうとする。しつこいキクの追撃に、しげ子は口を割る。実父のいるアメリカに、姉弟の貰い手を探すと言うのだ。好奇の目が絶えない日本の貧乏な家で暮らすより、仲間に囲まれた本来の環境で過ごすべきだと説得され、ふてくされるキク。肌の黒い腕をじっと見つめる。

しげ子の話があってから、キクは学校でも物思いに耽ってしまい、授業に身が入らない。一方、事情を知らないイサムは、相変わらずやんちゃをしていた。担任に教室を締め出され、友人と口論になったところ、「クロンボ」と罵られる。イサムはよく分からぬまま憤慨し、担任もきつく叱る。その様子を遠巻きに見ていたキクは、うなだれてしまう。

体育の授業でドッジボールをするキク。一番体格が大きく、男児に負けず劣らず活躍する。だが、明るい気持ちにはなれないようで、ふと考え込んでしまう。

イサムは帰宅すると、「クロンボ」と言われたことを告げる。しげ子を始め、家に集まっていた清二郎夫婦、母屋に住むおかつは口を閉じてしまう。そんななか、キクだけは物分かりがよくイサムに説明する。

映画『キクとイサム』のあらすじ【転】

秋祭りの日を迎え、川田家と清二郎夫婦は遊びに出かける。皆で綱渡りに見入っていると、イサムの姿が見えない。一同はイサムを探して歩き、途中呼び込みの喋りに足を止め、しばし聞き入る。ところが、通行人はキクの方にばかり目を向ける。見兼ねた呼び込みの男は、商売にならないと言ってキクたちを追っ払う。

イサムは男子たちにそそのかされ、高い柱を危なげによじ登っていた。キクたちが気づいて駆けつけると、近くにいた大人たちも止めに入ろうとする。イサムは手を滑らせて落ちてしまうが、用意された布団の上に着地したため助かる。イサムを肌の色を見て、見物は口々に噂をする。すっかり肩身をなくしたしげ子たちは、すごすごと帰ろうとする。キクだけは大衆に振り向くと、「黒んぼ黒んぼって言わねぇでけろ!黄色んぼ!」と怒りを露わにする。

一同が川田家に着いたところ、おかつが一通の手紙を届けにくる。内容は、イサムの引きとり先が決まったというものだ。大人たちは討論を始め、姉弟の命運について意見を分かつ。イサムは傍で耳を傾けていたが、事の重大性を飲み込んでおらず、アメリカ暮らしという響きに夢を見る。一方、キクの背中は不安げだ。

その夜、キクはイサムの寝顔を見つめて悲しそうな目をする。しげ子は、キクにもアメリカに行くようやんわりと勧める。

イサムが旅立つ日が来た。うまく言葉を言いだせない顔つきで、汽車に乗り込むイサム。皆は口々に、別れの挨拶を口にする。汽車が走りだすと、突然哀情に襲われ、イサムは泣き叫ぶ。キクは汽車を最後まで追いかけたあと、涙が溢れて止まらない。

映画『キクとイサム』の結末・ラスト(ネタバレ)

おかつの赤ん坊を預かったキクだが、男児たちにからかわれると、赤ん坊をトラックの荷台に置いて喧嘩しに行ってしまう。そこへ、学校をずっと休んでいるキクを訪ねて、担任教師がやってくる。キクは、肌の色が違うことについて、純粋な質問を投げる。教師はキクをなだめ、学校に来るよう説得する。

キクは赤ん坊がいなくなったことに気づく。たちまち騒ぎになり、村人総出で探すこととなった。のちに赤ん坊は見つかったものの、キクはひどく責められ、故意ではないかとあらぬ疑いまでかけられる。自信を失ったキクは、清二郎の家にあった白粉を顔に塗りたくり、黒い肌をごまかそうとする。大人たちは、キクを尼にさせるべきだと確信し始める。

昼間の事件を聞きつけて、川田家に新聞記者が押しかけてくる。むりやり写真を撮られたキクは憤慨し、鍬を振りかざして彼らを追い返す。そんなキクを見て、しつけは不可能だと感じたしげ子は、尼寺へ行くよう説得する。

翌朝、しげ子が目を覚ますと、隣にキクの姿がない。探し回って納屋を覗いたところ、キクが突っ立っている。その上には、切れた綱がぶら下がっていた。キクは自殺しようと試みたのだ。二人は泣きながら崩れ落ち、しげ子はキクへの愛情を語る。すると、キクに生理が来る。しげ子はキクの成長を、心から噛みしめる。

しげ子は自分の元でキクを育てると決意する。学校を休み、百姓として一人前になるために仕事を手伝うキク。偶然、男児たちと遭遇するが、大人の女性になったという自覚を胸に、彼らを無視して歩いてゆく。

映画『キクとイサム』の感想・評価・レビュー

テーマが直接に社会的でありながらも、全くくどくないのは、子役たちがあまりにも自然体だからだろう。姉弟を取り囲む作中の様々な境遇は、彼らの等身大の日常であるという。だからこそ、①目を背けたくなるような残酷な現実を、②子供らしい逞しさで生き抜いてゆく、この二つの要素の釣り合いが非常に取れているのだ。今井正という人間の、人間に対する向き合い方が、私は好きになった。真面目で、何よりも活力の漲る映画であった。(MIHOシネマ編集部)


「子供は残酷」なんて言葉がありますが、それを見て見ぬふりしたり、加勢して面白がるような大人ほど酷く残酷なものは無いと感じました。
2021年、年号が「令和」になっても無くならない「差別」。今作で描かれていたのは、想像もできないほど酷い差別の描写で、その標的にされてしまっている「子供」の表情は見ているのが辛くなるほど、切なくて悲しくなりました。
何かしてあげたいと思っても、何をすれば彼らの救いになるのか分からず、結局正解が分からないまま見終わってしまいました。物凄く考えさせられる作品です。(女性 30代)

みんなの感想・レビュー