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映画『キル・ユア・ダーリン』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『キル・ユア・ダーリン』の概要:アメリカの詩人、アレン・ギレンズバークに起きた事件を元に、彼の大学時代に起きた実際の殺人事件を映画化。文学規制の厳しい時代に出会ってしまった、2人の少年が起こそうとした革命の行き着く先とは?男性同士の愛憎も描かれるサスペンス。

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映画『キル・ユア・ダーリン』の作品情報

キル・ユア・ダーリン

製作年:2013年
上映時間:103分
ジャンル:サスペンス、ラブストーリー、青春
監督:ジョン・クロキダス
キャスト:ダニエル・ラドクリフ、デイン・デハーン、ベン・フォスター、マイケル・C・ホール etc

映画『キル・ユア・ダーリン』の登場人物(キャスト)

アレン・ギンズバーク(ダニエル・ラドクリフ)
詩人の父と病んだ母を持つ、ユダヤ人の少年。コロンビア大学に入学するも、大学の教育に不満を感じている時に出会った型破りな生徒・ルシアンに惹かれ退屈な大学生活が一変する。文学に対しては独自の感性を持っており、ルシアンと共に「新幻想派」を名乗り規制の厳しい文学世界で革命を起こそうと試みる。
ルシアン・カー(デイン・デハーン)
奔放な性格でアレンを惹きつける少年。彼もまたアレンと似たような考えを持ち、彼に近づいた。
デヴィッド・カマラー(マイケル・C・ホール)
ルシアンに執着し彼を求め続ける、元教授。彼に代わり大学の論文を執筆してあげており、彼とは肉体関係を持っている。
ジャック・ケルアック(ジャック・ヒューストン)
ルシアンの仲間。アメフト部でハンサムな青年。彼もまた「本物の作家」と称されるほどの文才の持ち主である。アレンらの「新幻想派」の企みに乗り、共に革命を起こす。
ウィリアム・S・バロウズ(ベン・フォスター)
ハーバード大卒で、由緒あるバロウズ家の息子。ルシアンの仲間で、笑気ガスを吸ったり薬でトリップしているなど怪しげな部分も多い。

映画『キル・ユア・ダーリン』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『キル・ユア・ダーリン』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『キル・ユア・ダーリン』のあらすじ【起】

1943年、第二次世界大戦中の最中。ニュージャージー州に住むユダヤ人のアレンは精神を病んだ母親とそれを諦めている詩人の父に挟まれ生活を送る中、黙ってコロンビア大学への入試を受け無事合格する。1年後入学した彼は、図書館へと案内され教師達から本についての説明を受ける。そんな中で突如「名作を朗読しよう」と叫び卑猥な本の文章を読み上げ出す男性生徒がいた。彼の名はルシアン。警備員に追い出されるルシアンを見て呆れ返る一同の中、アレンはその光景に楽しそうに微笑む。

大学の授業中でアレンはスティーヴス教授の授業に意見を述べるが、その考えを父親の詩を愚弄するような内容と共に否定されてしまう。ある晩、アレンはルームメイトにパーティーへ誘われるが勉強を口実に断る。どこからか聞こえてくるブラームスの音色に誘われるまま歩いていくと、アレンは同じくパーティーへ行かなかったというルシアンと出会う。彼は自分の元へとやってきたアレンに「やっと来たな」と微笑み返す。2人は出会って間もないが、文学について話すうちに意気投合。途中、母親から「今日はすぐに帰ってきて」と電話が入るものの、アレンはルシアンが気になるあまり適当な相槌を打ち電話を切り上げる。アレンはルシアンについていくままに彼が参加している別のパーティーへと顔を覗かせる。初めて踏み入れるその世界では、様々な男女が抱擁したり、キスを交わしていたり大麻や笑気ガスを吸っていたりとアレンにとっては衝撃的なものだ。ルシアンは家主に会わせると言い、アレンに主催者のデヴィッドを紹介する。デヴィッドや、ルシアンの友人だというちょっと変わったウィリアムを交え文学革命の思想について語らう内に朝まで過ごす。母との約束を思い出し、ルシアンを連れたまま慌てて家へと戻ると、父が勝手に母を病棟へと預ける手続きを済ませた後だった。連れていかれる母を止めようとするが、父は頑なに「これが最良の選択だ」と目も合わせようとしない。母は「お前のせいよ」とアレンに向かって恨みがましく言葉を残し、そのまま連れて行かれるのだった。アレンがルシアンに自分の家庭について自嘲めいた言葉を残すと、ルシアンは自分も4歳の時に父が出て行ったのだと語る。2人は詩人・イェイツの言葉でもある「生まれ代わるにはまず死ぬべきだ」の言葉になぞらえふざけて自殺の真似事をし、結果失敗する。吹っ切れたよう、アレンはそのままルシアンの奔放な性格と思想にのめり込んでいく。この時代、文学は規制が激しく決められた物しか読めなかった。ルシアンはそれに強い反発心を持っており、それに革命を起こしたいと考えていた。アレンも同調し、いつしかアレンは彼に対し友情以上の愛情を覚えていく。

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映画『キル・ユア・ダーリン』のあらすじ【承】

ある日、デヴィッドのアパートで笑気ガスを吸っているアレンとルシアンの元に激怒しながら部屋へと飛び込んでくるデヴィッド。アレンは彼に追い出され、デヴィッドが実はルシアンの代わりに大学での論文を書いていた事実を知る。デヴィッドは、今は清掃業をやっているが元々は教授でありルシアン曰く「僕を追ってきた、いかれた変人野郎で同性愛者」だという。しかしルシアンの今の思想や知識は、ほぼデヴィッドに影響されたものなのだろう。

スティーヴス教授は試験に小説を1つ書いてこいと課題を出す。アレンはウィリアムからペルビチンという薬を貰い、それを飲むと狂ったようにタイプライターへと向かう。ある日原稿を持ってルシアンの元へと走ると、彼の椅子には何故か例のデヴィッドがいた。デヴィッドはアレンがルシアンを気にしているのを察知しているのか「ルシアンなら出かけたよ。上級生のアメフト選手と。ジャックと言う名の、ハンサムで文の上手な男さ」と笑う。そしてアレンに対し「あいつは気まぐれだ。すぐに別の男を見つける」と牽制して去っていく。アレンはルシアンの部屋で彼の帰りを待ち、戻って来た彼にどこへいたのか尋ねる。彼は本物の作家に出会った、と言い、アレンにジャックを紹介し彼の家へと連れて行く。ジャックは大学入学前に100万語の小説を書いたらしい。ジャックとアレン、ルシアンの3人はそのまま夜の世界へと飛び出すとボートを盗み出しその上で語り合う。アレンはジャックに促され、ルシアンに見せ損ねていた原稿を読み上げた。ジャックは素直にそれを素晴らしいと褒め、ルシアンも感心したようだった。意気投合したよう3人は戦争が終わったら大学を捨てそのまま船に乗ってパリへ出ようと笑い合った。

翌日、大学側にボートを盗んだことがばれて呼び出しを食らうアレンとルシアン。ルシアンは母親共々、学部長に日頃の素行についてもお叱りを食らう。ふざけた態度を崩さないルシアンに学部長は静かに「シカゴで起こした事件のことは知っている」と囁いた。途端、ルシアンは母親に「話したのか?」と激高する――「噂が広まれば俺はここにはいられない!」……ルシアンの叫びは廊下で待っているアレンの耳元にまで届いていた。慌てた様子で「一体何をしたんだ」と駆け付けたアレンの父は、違う女性を連れていた。アレンは愕然とし「そのために母さんを入院させたのか」と問いかけ、父に頬を打たれる。それから、外で1人煙草を吹かしているルシアンの元へと近づくアレン。傷心気味のルシアンは「僕はすぐ駄目になる」と呟き、アレンは心配そうに「退学するのか?」と問いかける。ルシアンは「君は頑張れ」と吐き捨て、やはり浮かない顔のままだった。アレンはその隣に腰かけると、先程父とあった出来事を話し「全てがどうでも良くなり、ボートを盗んだのは僕だと主張した」と話す。何故だと問うルシアンに「僕はもっと違う人間になりたい。それに退学になってマズいのは僕じゃなくて君だろう。今度は僕達が革命を起こす番だ、目に物を見せてやろう」と焚き付ける。

映画『キル・ユア・ダーリン』のあらすじ【転】

「新幻想派」と名乗る彼らの革命はこうだ、図書館に展示されている本と閲覧には許可のいる禁止本を入れ替えてしまおうという内容である。早速アレン達は鍵を手に入れるため行動。アレンが受付の女子を口説き連れ出し、裏に消えた2人を追いかけたルシアンはその間に鍵を奪うことに成功。その夜中、図書館に忍び込んで規制のかかった卑猥な本達を誰にでも見える場所へと配置してしまう。翌朝、図書館に来た教師陣は唖然とし、それは朝刊に載るまでの騒ぎとなる。

その頃、祝杯を上げる新幻想派のメンバー達。そこへ現れるデヴィッドは新たに書いたのであろうルシアンの論文を渡しに来たらしい。ルシアンは彼を無視しようとするがデヴィッドがそれを引き止める。ルシアンは「もう僕達の関係は終わりだ」と全てを清算することを告げ、しかしデヴィッドは悲しそうに「お前は私のすべてなんだよ」と追いすがり、「私なしで生きられるのか?」と捨て台詞を吐いてその場を立ち去った。その晩、外でふざけ合うアレンとルシアンとジャック。酔い潰れたのか吐いて伸びてしまうジャックをよそに、「これが始まりだな」と笑うルシアン。ルシアンは「全部君のせいだ」と呟きながら寝転ぶアレンの肩に寄り添った。ルシアンもまた、アレンの思いに応えようとしていたのだったと知り2人はそのまま接吻を交わす。しかし、ルシアンの中にはまた別の複雑な思いも芽生え始めていた。ジャックが戻ってきたと知り、慌てて身を放したルシアン。彼は立ち上がるや否やジャックに帰ろうと告げ、アレンにはそれまでデヴィッドが受けてきた論文の課題を言い残し彼を置いて立ち去って行くのだった。

ルシアンはジャックの元へとそのまま身を寄せるが、その晩デヴィッドが現れまだ未練があることを漏らし関係の修復を求めた。しかしルシアンは警察を呼ぶ、と彼を突き放しただけである。デヴィッドはそれでも彼を諦めきれずジャックの猫をオーブンに閉じ込めるなど嫌がらせをして去っていく。ルシアンはアレンに黙り、ジャックと共に国を出て行くことを決めていた。論文を届けに来たアレンはそれを知り愕然とするが、ルシアンはアレンを拒絶しジャックと共に船へと向かっていた。その先にも再び現れるデヴィッド。追い払おうとするジャックを止め、ルシアンは話をつけてくるとデヴィッドと共に外へと出てしまった。その頃、失意の底のアレンは悲しみの溝を埋めるため見知らぬ行きずりの男と関係を持ち、ジャックは結局船出を止め家へと1人で戻ってきた。外へと出て行ったルシアンは、持っていたナイフでデヴィッドを刺してしまうのだった。

映画『キル・ユア・ダーリン』の結末・ラスト(ネタバレ)

翌日、アレンはルシアンがデヴィッドを殺害し逮捕された事実を知る。彼に面会しにいくとルシアンは正当防衛だと言い、検事から供述書を求められていることを話す。僕を見捨てないでくれ、と訴えるルシアンに思わず代筆することを了承してしまうアレン。そのために情報を集めに回るうち、ルシアンがシカゴでかつて自殺未遂を起こし入院していたことを知る。アレンは入院中の母へと会いに行き、昔のような病んだ様子は減り、笑顔すら浮かべている母へと悩みを打ち明けた。母の答えは、「見捨てなさい。私は父さんに見捨てられて回復したの。分かるわね?」と自らの葛藤に追い打ちをかけるようなものであった――。

アレンは供述書に、愛憎入り混じる感情の末、彼を庇うどころかルシアンの立場が悪くなるような文面、しかしほとんど真実に近いのであろう事柄を書き込んだ。デヴィッドはルシアンを愛し、ルシアンもまた彼を愛していた。互いにとって必要な存在であったにも関わらずに殺害したのだ、と――同時に、ルシアンがデヴィッドを刺した時の過去の映像が挟まれる。そこではルシアンがナイフを向けた際に、デヴィッドが自らそのナイフに刺さりに行ったことが判明する。ルシアンはアレンの持ってきた供述書を読み絶望し、彼を引き止めるがアレンは彼に背を向けて去ってしまう。アレンはこの供述書を元に大学の課題であった小説を仕上げ提出するも、「内容に多くの問題がある。別の作品を出さなければ退学だ」と告げられる。アレンは迷うことなく退学を選び、原稿は大学側に取り上げられてしまう。実家へと戻り、終戦のニュースがラジオで流れる中、彼の元に一通の郵便が届く。中には大学に取り上げられていた原稿が入っており、「この調子で続けなさい」とスティーヴス教授からサインが入っていた。

それから、テロップにはこうある――『ルシアンはデヴィッドを同性愛者であると主張したが、殺人罪に問われ18ヶ月を少年院で過ごす。その後UPI通信社で記者となり2005年に死去するまで勤務していた。結婚は2回、3人の子供をもうけた。大学を中退したアレンはアメリカで最も成功した詩人のうちの1人となる。彼は最初の詩集をルシアンに捧げたが、彼は自分の名を本から削除するよう求めた』

映画『キル・ユア・ダーリン』の感想・評価・レビュー

あのハリー・ポッターことラドクリフ君が文字通り体当たりで挑むボーイズラブありの青春サスペンス。男性同士のキスシーンから何と濡れ場まであるのだから開眼する女子も一部にいるだろう。不思議なのはルシアンが何故あれ程好きだったアレンから唐突に離れようとしたのか。デヴィッドに執着された過去もあり、独占される前に見切りをつけたのだろうか?男達を惑わすルシアン役のデイン・デハーンの色気も凄い、顔色の悪さも魅力にしてしまえる俳優である。(MIHOシネマ編集部)


どうしても『ハリー・ポッター』のイメージから抜け出すことの出来ないダニエル・ラドクリフ。そのイメージを払拭するためか、彼が挑む役はかなり体を張ったものが多く、今作もその1つと言えるでしょう。
過激でありながら、繊細で美しいボーイズラブを見ていても嫌だと感じる部分は一切なく、とにかく美しいと感じました。そうさせたのはルシアンを演じたデイン・デハーンの顔立ちでしょう。
色白で妖艶な彼の顔立ちは女だけでなく男も魅了してしまうのが分かる気がします。(女性 30代)


音楽やセットがお洒落で洗練された雰囲気なのに、ストーリーはドロドロとした愛憎劇です。内容と映像のギャップが大きく、奇異なる感に打たれ見入りました。同性愛、腐れ縁、刃傷沙汰と波瀾万丈な展開ですが、実話だそうです。第二次世界大戦中の出来事のためか、重くて暗い、不穏な空気が終始漂っています。ストーリーを把握するのに手一杯で、アレン・ギンズバーグが書く詩の内容にまで気が回りませんでした。詩集を読んで、再度鑑賞したいです。(女性 30代)

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